ELDEN RING 〜Ruin World〜 作:豚足と豚骨の化身
昔の話だ。1人の褪せ人が王となった。各地を統治していた半神共を皆殺しにし、壊れた黄金律を修復することで、彼は唯一神となったのだ。
一時は、もちろん平和が訪れたとも。死ぬことを許さぬ慈悲深き律は、マリカという舞台装置を触媒に世界に安寧をもたらしたのである。しかし、それも長くは続かなかった。
生物の欲は底知れず、自らを護る律すらも穢した。あとはもう、落ちるだけさ。黄金律が壊れていた時代に逆戻り。亡者が跋扈し、世界は再び枯れていった。
かく言う私も生きるのが辛くなってきたところだ。平和と言うものに甘えすぎたのか、はたまた歳かな……。まぁなんにせよ、私ももうすぐ正気を失うことだろう。
だから最期に、この日記に遺言を書きを残すことにした。褪せ人よ。お前が誰かは知らないが、そんなお前に一つだけ遺言を残してやろう。
「エルデンリングを求めよ。」
これは、この世界にうんざりした1人の老いぼれが残す啓示だ。引導とも言えるがな。お前が、王になるのだ。
それともう1つ。お前に頼み事がしたい。外にある小屋の中に、1人の少女がいるとおもう。彼女の頼みを聞いてやってくれ。きっと、それはお前にとっても導きになってくれることだろう。
……
………
…………
「さて…………こんな……ものか。」
老人は木製の古ぼけた机の上で、先程まで書いていた日記をパタリと閉じた。顔も知らぬ誰かへの諸注意を書くのにも区切りがついたのだろう。覚束無い足取りで、椅子を立ち上がった。
その老人には、異質な点がった。それは、左目から炎が上がっているということ。黄金色がゆらゆらとゆれ、彼の目を焼き続けていた。目を焼かれている男は、ガタリとその場に崩れ落ちた。
「今度こそ……まずいな。」
左目と同様の光が、右目からも少しずつ漏れ出す。老人は呻き声を出してその場に倒れ込む。彼の全身がギシギシと軋むような音を立て始める。激痛と酷い倦怠感。そんな中で、老人は必死の思いで立ち上がり、いまにも倒れそうな歩みで何とかドアに鍵をかけた。直後老人の右目がプシャリと破裂し、中から黄金の炎が吹き出す。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぉぁ!!!」
発狂。先程までの平静さはどこへやら、唐突に喉がはち切れそうな程の大声で老人は叫び始める。身体の至るところを爪で引っ掻きまわして、肉が抉れて血が滴った。
「あぁぁ!!あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
バタバタと部屋中を駆け回り、そこにあったものを次々と壊してゆく。そして、この部屋に唯一あった扉へ手をかけて乱暴に引く。しかし、ドアは開かない。鍵が閉まっているからだ。もちろん鍵を開けば外に出られるのだが、正気を失った老人にそんな事は考えられないのだ。
地面を這い回りながら、自分の身体を走り回る激痛と狂気に襲われ続ける。彼がそこから帰ってくることはないだろう。何故なら、彼は既に狂い火に充てられた亡者でしか無いのだから。