トレセン音頭で推定三階から降りて来るが、それを人間が体験したりと
DDMスターダムの拡張みたいな感じにした。

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メイクデビュー

 俺はしがないモブAだ。本名は別にあるがそんなことはどうでもいい。

この夏、とあるウマ娘の会社とマッドサイエンティストが完成させたという、

とあるゲーム機がゲームセンターに設置されるのだ。

 アーケードゲームと銘打っているが、実際はある程度国の免除を受けて設立される

新たな体感型施設らしい。

 

 色々と問題はあるんだけど、宝くじについで税収を上げなくて済んでいる実入りがでかいのが、ウマ娘関連のものであると試算がでている。

だから人気が低迷しているウマ娘に関する商品を、今度は大型のもので体験できるようにしたらしい。

 年端もいかない幼い子どもが、大人数の前で走って歌って批判され罵倒される。

そんな倫理観が戦国時代で止まっている彼女らと同じような体験ができる。

実に趣深いものだ。

 

「そういうわけで、何故かレース場が一つもないこの田舎にもやってきたようだな。

なあ兄弟」

「兄弟じゃねえ。そもそもダンスラスターダムで、足をくじいてからダンスゲーム

がトラウマになったとか聞いたから、趣旨が違う体感型ゲームを一緒にやりにきたんだろうが」

「実に懐がでかい漢よの」

「せっかく都会から帰ってきたんだが、このままお前をジュゴンに食わせて帰ってもいいんだが?」

「悪かったな、兄弟!」

 

 クソ田舎なのに、一箇所に集まってともにテレビを見て応援するという、

実に頭昭和なこの地方にも建設されたのだ。

費用対効果という言葉を教えて差し上げたいなあ!

 実際に先行して開催された東京では、中年層までが満足できる内容らしい。

理由として、腕が上がらないが理由だとか。

 

 四十肩かぁ。よる年波平ってやつだ。俺も将来の自分を見ているようで、

戦々恐々としているぞ。 行く道、来た道ってな!

 そんなこんなで待ち人0人である中、俺達は開店をしばらく待ってから施設に入場する。

スターティングパートさんが、数名雇われている状況であって収益性が見込まれなさそうだから、すぐに総なめしてやるぜ!

 

「2名様で、お時間は?」

「3時間」

「URAの有料会員ですか?」

「オレはそうだが……」

「俺も有料会員だぞ? ほら、会員証」

「……照会取れました。割り引きまして、2万円です。

お飲み物やお食事は、別料金になりますのでダンスエリアから出て内線で

お願いいたします」

 

 高いのかやすいのかわからないんだけど?

今インフレが結構しているためか、ある程度月給が上がっている。

そのためか値段にも反映されていると見た!

ただ、これが地方の値段なのか、都会の値段なのか判別かつかない。

 なにせ公式HPに掲載されている値段を見ずに、兄弟にまかせて突撃をかましているからだ。兄弟はカードを受け取って、先に歩いていく。待ってくれよと一緒についていき、

その部屋の扉で立ち止まる。

 

 カラオケのように扉が個々に並ぶような感じ。

だけどあんな密接ではなくて、結構離れている。

ダンスフロアなのかダンス教室なのか、結構広大なのかな?

 

「さあ、ご開帳~!」

「オレが最初にあけるんだけどな?」

 

 入ってみると、なんか色々地面にある。

 

<ようこそ! ウマ娘ダンスライブフロアへ!>

 

 この声はだれだろう? 声優さんかな?

とにかく室内に入ったら、カードを差し込む。すると差込口から粒子が溢れ出し、

後方に光の集合体であるウマ娘が出現した。

そのウマ娘はかつて人気を博したG1級の少女、トウカイテイオーだ。

 

<キミたち、ここは初めてかな?>

「勿論だ」

「ただの映像に何言って――」

<わかった! じゃあ、この施設とゲームについて説明するね!>

「おー」

「科学の進歩ってスゲー!」

 

 指向性なんとかっていうやつで、あたかも目の前のトウカイテイオーから

声を出しているという感覚で聞こえる。

スピーカーのような感覚は一切ない。すごく滑らかだ。

 

<まずは初めての人に、チュートリアルをやってもらうよ!>

 

 最初にダンスルームが、この部屋中に展開される。

薄暗かった一面真っ白な部屋が変化して、あたかも中央ウマ娘トレーニングセンター学園の

専用ダンスルームになるんだ。あまりの技術力に、頭おかしなるで。

 

<じゃあ、一番最初の基礎練習ね。まずは軽く体を動かして、怪我しないようにするよ。

そして、ウマ娘が絶対に覚えなきゃいけないメイクデビューを、一緒に踊ってみよう!>

「まじ!? 早くないか?」

「おいおいおい、(足首が)死んだわあいつ」

 

 トレセン学園の上品な紫色の学生服から、赤色の体操服を着用したトウカイテイオー。

ラジオ体操に近しいというかウォーミングアップ行為を行って、基本的な体の動かし方を学ぶ。

そもそもこのウマ娘のライブって、数年に一度担当者が変わることもあってその人のクセが出る。

 例えば人差し指ではなく、小指を断てることが多かったり、ただのジャンプはパンツを見せないために足を閉じて横に曲げる等。様々の法則が見えるんだ。

また女性がダンスを担当していることもあって、男性特有の方から動くということはない。

そういう法則性があるため、男として苦手とする動きも多くありなかなか厳しいものがある。

 

 少なくともウマ娘特有のものすごい身体能力を駆使したパフォーマンスは、

比較的少ないと思われる。昨今で言えば、『Legend-Changer』『GIRL'S LEGEND U』

『BLOW my GALE』『U.M.A NEW WORLD!!』が、人間的に厳しいと思われる。

高いし飛ぶし吸い込まれそうになるし。怖い。

 いや、あったわ、『トレセン音頭』。たしか突貫みたいな話を聞いたことがある。

それはともかく、なんで中央の太鼓台から飛び降りてなにもないんだよ、おかしいだろ。

高さにして3階じゃん。

 

 あとは、『BLAZE』『M.s VICTORIA』か? あんな火炎あんまり出せないぞ、きっと。

ああ、和訳『L'Arc de gloire』かな? ミュージカル調で、プロの声楽家でもないのにあの声量はおかしい。G1級ウマ娘は天からいろんな物をもらいすぎだろう。

美貌とかも入れて通常の人間には、手が届かない華と言われるだけはある。

 芸能界と同じく遠くから眺めるのが一番だな。

きっと彼女たちに付きそうトレーナーは、頭の中が爆発沸騰しているにちがいない。

 

<覚えた?>

「覚えた覚えた」

<じゃあ、まずはチュートリアルでメイクデビューを流すから、ボクのように踊ってみてね!>

 

 踊り手は二名にして、メインも二人。

そうした中チュートリアルなのか、そのまま音がけと一緒に鏡となった彼女らが目の前で踊る。

ただ一発で覚えられないので、そのたびに修正が入る。

 

<まずは曲をかけながら、踊り始め10秒。キミたちは、ボクが踊る形をそのまま真正面から学んでね。つまり、鏡になるようにするから、シンクロしてくれたら嬉しいな>

 

 彼女が右手を伸ばしたなら、俺等は左手を伸ばすということだな!

意外と難しいぞ。しかも本番の採点時に、動きも加わるんだろう?

くっそ厳しいにも程がある。

 兄弟は苦も無く、さらっとやっていく。だが俺はリズム感もそうだけど、

以前くじいた足が痛み行動が阻害されてしまう。

 

「おいおい! こんな簡単なステップを踏めないのかよ」

「いやー、トラウマで体が動かねえ」

<確かにトラウマで体を動かせないってことがあるよね。ボクも骨折で長期休養してたとき、長い間走ってなかったから、休養明けに走りがぎこちなくなったときがあったよ>

「へー、あのトウカイテイオーもそんなことがあったのか」

 

 おかしいな。おしゃべりチャットボットかと思えば、キャラに合ったストーリーが

口から出てくる。実際に喋っているわけではないのに、本当に本人の様に思えてしまう。

 

「まあトウカイテイオーもそう言っているんだ。まずは体を慣らせようか」

「うぃ~っす」

 

 まずは彼女を姿見にして、簡単に踊る。

ワンテンポ遅れるが、未知の領域だったりなれない体の動きということもあって、

少々ぎこちない。それでも、得点として60点取れてるから、及第点……なのか?

 兄弟は80点も取っている。難度は☆1という一番やさしい部類。

ここで躓いてしまっているのは、あんまりよろしくない。

この後は実際にプロジェクションマッピングで映し出されるステージで、

動き付きで踊るんだからな。

 

<うんうん! キミたち、やっぱり見込みあるよ!>

「走り回るときに、相棒の目を見ないといけないのきつい」

「わかる」

「次の動きに移りにくい」「なんで男をガン見しないといけないんだ」

 

 兄弟の言う事は至極真っ当なんだけど、俺はダンスの先生役をしているトウカイテイオーが見えないとどうしようもなくなる。

いやぁ、ウマ娘たちはスゴイなあ。

 

<じゃあ、このまま通しで練習するね。三番目にボクが入るから相手なしで

やってみようか!>

「いっ!? まじか。きついぞ」

「ん? 濁りきった三十路の脳みそにゃきつかったか?」

「おおん? やってやろうじゃねえか、この野郎」

「お、もう飲み込めない言葉をはいたな? 男に二言はないんだろう?」

「そ、そうだぞ」

 

 俺は兄弟の口車に乗せられて、威勢よくライブダンスの通しをすることになった。

コピーできないから、ステップが甘くなった。

しかも面倒なメインは兄弟に任せている分、メインを引き立たせるダンスをやるセカンド・サードは、リードラインに沿って動かなければならない。

楽だけど、動きが難しくなる。

 特にステージを一周するところだ。4位以下が背後で左腕を挙げているところで、

走り回り元の位置に一定の秒数で帰ってこないといけない。

ここの秒数指定や維持等に意識を割いてしまって、

どこで曲がるかを忘れてしまった。

 

 床に目印があるというのに、だ。

 

「やあーっちまったーーー!」

「オイオイオイ、音楽のテンポに合わせて走るだけだぞココ」

<あらら。まだ時間があるから、ここの走り方を教えてあげるね>

 

 ぬおおおお、足を引っ張ってしまった。

遊びに来ただけなのに、妙な罪悪感があるんだよなあ。

でも、トウカイテイオーといったG1級ウマ娘のメモリーを積んだAIが、

自分らにダンスを教えてダンスゲームの真髄をおしえてくれるんだから、

とても贅沢なもんだよな。

 そういえばこんなAIは、他の人の対応もしているんだろうか?

今の技術ってそんなに多人数を相手にしても、処理落ちをしないんだろうか。

 

 2時間連続で踊り続けていると、流石に体力がきつくなってきたのか

兄弟もだいぶへとへとだ。

 

「ちょっくらトイレ」

「いってら~」

<トイレの場所、わかる?>

「そういやわからないな。教えてくれ」

<いいよ>

 

 すると先程までライブ会場だった場所が、すぐにダンスレッスンの場所に変わった。

そこから壁面が施設案内図に変化して、トイレの場所を示すんだ。

まずは兄弟に行ってもらう。

後で俺もいく。

 いやお前も行けよってなるんだけど、誰もいなくなるのはまずい気がしたのさ。

そういうわけだから、さっさと行ってこいや!

 

「そういや、トウカイテイオー」

<何~?>

「それって本人の声を、ボカロやボイロみたいに収録して、

パターン化して出してんの?」

<え”っ、あ、いや~>

「企業秘密か?」

<そ、そうだよ~>

「なら仕方ない」

 

 やはりウマ娘は大企業とか貴族関係のところが多いな!

こうやって権利を確実にして、利権だけじゃなく個人情報も含めて守っている。

しっかしよくよく見ると、本当にTVの向こう側で見ているのと同じに見えるな。

ちょっくら触ってみるか。

 

<え、何?>

「光の集合体だから、当たり判定を確認したいっす」

<うぇ~、変なところ触っちゃ駄目だよ?>

「なんで物理的反応がある前提で話すんだい」

 

 早速体操服姿から制服に戻ったトウカイテイオーの肩を触る。

すると通り抜けなかった。

 

「は? どうなってんの」

<本当に触るなんて思っても見なかったよ>

「URA、恐るべし!」

 

 光が体を通り抜けているわけもなく、状況に合わせて屈折しているのだろうか?

しかしおかしいな。太陽光でもあるまいし、妙にあったかい。

まさか光源って、実は熱源だったりしない?

そう感じながら俺は、トウカイテイオーの後ろに周って尻尾を触る。

 

<ぴえっ! な、何すんの!?>

「映像の処理的に一番面倒なのって、頭髪とか麺類のパラパラなんよ」

<わけわかんないよ!>

「おーい、帰ったぞー」

「やあ、おかえり」

「何やってんだ、お前」

「すげんだ、これが」

 

 兄弟がトイレから戻ってきた。そこで部屋に入ってくるなり、怪訝な表情で俺を見る。

確かに不可思議な感じだけど、見る目がなんというか不審者に対する対応で

びっくりしちゃうぜ。

 だけど兄弟にこれの凄さを味わってもらうと、光の集合体なのに暖かく

ありえない非現実的な処理に興味津々になった。

あとはよろしくと伝えて、トイレへ向かう。

 

「昨今のAIってスゴイんやんな」

「な! 自分たちでオリジナルダンスコーチを作れるなんて夢にも思わんかったわ」

 

 新品でありながら未来によくある無機質で無個性で、普遍的な一般常識の範疇におさまっているトイレで用をたす。一息ついていると、隣から話し声が聞こえた。

オリジナルのダンスコーチ? いったい何のことだろう。

 まさかと思うが、練習を終えたら免許皆伝みたいな扱いになるのだろうか。

まあ、メイクデビューすら満足にできないんだ。

その先にある景色は、まだ気にするもんでもないだろう。

 

「戻ったぞ~い」

「おかえりー」

「ところで、どうだった?」

「何がだよ」

「しっぽ」

「絶対光の集合体じゃないだろコレ。ロボットか何かだ」

 

 でもなぁ、実際に何も無い空間にそいつが出現したんだから、光の集合体だとおもうんだけど。そう考えていると、トウカイテイオーの形をしている物理的接触ができる光の集合体は、俺たちに話しかけてくる。

 

<じゃあ、始めよっか>

 

 いい笑顔だなぁ。人工造形の谷がないから、すごく自然に対応することができる。

それはともかくだ。

メイクデビューを踊り、兄弟のダンスへの適性が高いことを再確認しながら、自己最大得点の80点を取る。

落としたところ?

 

 妙に腰を使うから最後の方で、腰痛を少々。これで落としたぞ。

少しくらいええやろがい!

 

「いやー、いい運動になったな!」

「じ、持病の腰痛が……」

「準備運動をしないからだ」

「一緒にしただろうが!?」

「意識して筋肉を動かさないからだ」

「くっそ、運動関係最強マンめ」

<二人とも、三時間でよくここまで踊れたね>

 

 トウカイテイオーは、体操服から制服になっており終わりの準備を済ませたようだ。

そういえば、一つ終わったから免許皆伝はないのだろうか。

もしや、100点満点とかあるのか?

 

<ち~な~み~に~、最後の通しダンスだけど、録画したものがあるんだ~。

いる?>

「いらん」「いらね」

<ええ!? ウマチューブとか、PakPok、PacaPaca動画に投稿しないの!?>

「息抜きだからしねーよ」「なんで全世界に、俺の痴態をさらさにゃならんのだ」

<もったいなーい>

 

 そう言われてもなあ。そもそも個々に来た理由は、ダンスでアシクビヲクジキマシターってやつだ。

運動不足の解消にも役立つと思ってきただけで、動画を撮影するような考え

で来てないんだよ。

 

<ふーん。じゃあじゃあ、これからも君たちのレッスンを、このボクが受け持ってあげるね!>

「へ~」「ほーん」

<もっと嬉しがってよ!?>

「いや、なんか機械っぽくねぇんだよな」

「うんうん」

<ゔぇっ!? ボ、ボクは機械だよ! AIだって!>

 

 そう言い訳を垂らしている彼女は、どんどん墓穴を掘っているにすぎない。

どうあがいても、トウカイテイオーは少なくともAIではない。

となると、指向性をもたせればいいから、マイクか。

 口パクはMMDを扱ったときのように、母音で口を動かせば良いと知っている。

なるほどなるほど、こいつはAIの皮をかぶったロボットだな!

 

「お前、声はどこかから誰かが指摘しているな?」

「絶対AIじゃないぞ」

<これ以上は企業秘密! 企業秘密だから!>

「と仰ってますわよ、奥さん」

「やーねー最近の若い子は。すーぐに秘密主義にするわりに、自分の個人情報を

世界へ垂れ流しちゃんだもの」

<ヴッ>

 

 兄弟もなかなかするどい刃をお持ちのようで。

やっぱコイツAIじゃねえわ。素体はたぶん人間以上に脆いぞ。

あんまり触れないな?

 

 長話をすると延長金を払わされそうだから、さっさと退出するに限る。

 

<もし、次に来る場合、予約しといてね! その方が、ダンスルームを長時間

使えるから!>

「あいよ!」

「わかった!」

 

 最後にメンバーズカードとルームカードを交換する。

この施設の1と2が俺と兄弟だ。兄弟に1を渡そうとした。

しかし、運動不足の解消のためにきたのが発端なので、と

理由をつけられて俺の胸ポケットに入れられる。

 

「オレも仕事が忙しいから、暇な時にくりゃいいだろ」

「それもそうだな」

 

 なお、後日すぐさま筋肉痛が来たので、まだまだ俺も若いと思えた。

また行くかなぁ。

 

ーー

 

「はぁ~疲れた~」

「お疲れ~キセキちゃん」

 

 ここはダンスライブフロアの裏側。表と同じく新品なので、ここで働く従業員も

意気揚々としている。

そんな中、白い服を着用したウマ娘が、入口から入ってくる。

入室した少女は、ウマ娘だ。なにやら疲労困憊なようす。

 

「オープニングと実施3時間、お疲れ様」

「手取りがいいって思ったけど、この衣装重くない?」

「光学センサー付きの変形衣装だからね。機構やロイヤリティもつけて、

500万と70キロだから」

「重すぎる!?」

「人間は死ぬよ、きっと!」

「大丈夫大丈夫! 人間もレンジャーとかの人外はいけるから!」

「特殊部隊は違う特殊能力持ちだから、絶対に違う!」

 

 なにやら大人の女性に、食い気味に話し込んでいる。

少女は大人の女性の言葉に、色々反論したり会話しながら専用の機械に服をセットする。

 

「充電と浄化をポチッとな」

「絶対割に合ってないと思うんですけど」

「でも、地方じゃスピーカーとマイクだけでしょ?

それに比べたら、中央の豪華セットで歌えるのは、またとない機会でしょ」

「働きながらだけどね!」

「当たり前でしょ? 地方のウマ娘が無制限で遊べたら、全員ここに入り浸りになるし」

 

 どうやら話し込んでいる少女は、地方のウマ娘として働いている用に見える。

児童の労働は労働基準法に反しているため、労働監督署が笑いながら殴り込んでくるぞ?

しかしそんなことお構いなしに、女性はその少女に事実をぶちまけていく。

 

「わかってるんだけどさー」

「まあまあ、時給は東京と同じく2000円だから、死ぬほど働いてね」

「このブラック企業!」

「それはURAに言うんだな!」

 

 地方に時給2000円は毒薬であるが、いろんな意味で重いものを3時間連続で着用する

と考えると実に安月給となる。本当に割に合っていない。

 それでも地方のウマ娘にとって、本場の施設と同じ規格で踊ることはロマンの一つである。

そのためにも、ここで働くことは憧れの一つを、消化できることになるようだ。

 

「あ、髪型も直さなきゃ」

「あ~、そーいやそうだった。キセキちゃんは、本当にあのウマ娘に似てるよね」

「う~、トラウマが……」

「まあ、名前からしてね~。キセキノテイオーちゃん♪」

「う、五月蝿いな! ボクはこの名前が嫌いなんだよ!」

 

 

 キセキノテイオー、史実で掲示板に一度も載ったことがない馬である。




大別して2種の種族が、争いや諍いがあまり描かれていない作品は、2次が書きやすくていい。

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