ヒュンケルのキギロ水やりからの二次創作です(マイナー)

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ひゅんける「えっほ、えっほ!!」

「もっと頭の良い奴に、水やりを任せてくれないですかねぇ?」

「……フム」

「頼みますよ、ガンガディアさん」

「……そういえば、バルトス殿の所に」

「ウン、あの人間の奴隷小僧の事ですかな、バルトス殿の酔狂の?」

「……バルトス殿は彼を鍛えたいと言っていた、この方法は良いかもしれんな」

「何をブツブツと、ガンガディアさん?」

 

 

 

////////////////

 

 

 

――ヒュンケルよ、いかなる戦士、剣士とて、基礎を固めなければ、決して腕は上がらない――

 

――キソ?――

 

――そう、そして基礎とは、何もワシや爺と、ひのきの棒をぶつけ合うばかりではないのだ――

 

――……?――

 

 

 

////////////////

 

 

 

「お、重い~!!」

 

 このすっごく縦に長くて、グルグル回っている階段、ボクはそれを、水が沢山入った桶を持って、ひたすら昇っているんだけど。

 

「……でも、これも!!」

 

 さいきょうの戦士になるためのキソ訓練、魔王様のさいきょうの家来になるためなら。

 

「苦しくない、苦しくない!!」

 

 まず足腰を鍛えろと、とうさんが言っていたこの訓練、ならば。

 

「苦しくない、頑張るんだ、ボク!!」

 

 と、ボクは気合いをさらに入れて、階段を駆け上がっていく、と。

 

 リィ、ン……

 

「おお、ぼっちゃま」

「あっ、モルグさん」

 

 手のベルを鳴らしながら、上から降りてきたモルグさん、このオジサンは、バルトスとうさんの友達だ。

 

「今日も訓練ですか、精が出ますのぉ」

「この水やりが終わったら、今日もひのきの棒での訓練、お願いします、モルグさん!!」

「御安い御用ですじゃ、ぼっちゃま」

 

 なんかモルグさんはお風呂が嫌いなのか、いっつもくさいけど、それさえ気にしなければ、ボクはこの人の事、とうさんと同じ位好きだ。

 

「いや、しかしヒュンケルぼっちゃまは腕を上げられた、もはやこのモルグでは勝てませぬわ」

「そ、そんなぁ~」

「いやはや、ヒュンケル様が魔王軍最強の戦士となるのも、時間の問題ですじゃ……」

 

 だけど、ボクは知っている。

 

――やはり、腕2本だけではそなたには勝てぬか、モルグよ――

――なんの、所詮わたくしは人間であった時も、そして今も卑劣な暗殺者、本気を出した戦士には勝てませぬ……――

 

 ボクが寝つけなかった夜、散歩がてらに、とうさんがよく使う訓練場に行った時、何かバルトスとうさんとこのモルグさんが、お互いに向き合い。

 

――ワシに何かあったとき、ヒュンケルにこの技を教えてやってくれ、モルグ――

 

 とうさんは剣から、モルグさんはその手にはめた、金属の爪から。

 

――御安い御用ですじゃ、バルトス様――

 

 何か凄い、グルグルゴウゴウした物を放って、そのあと二人の後ろの壁が、ボコボコと壊れて行ったのを、ボクは見た。

 

「す、凄い……!!」

 

 そのときは、この二人に気が付かれないように、じっと息を潜めていたボクだったけど。

 

「これが、本当の、ボクがかんがえている、さいきょうのせんし……!!」

 

 ボクがこっそりと、二人を感動の目で見詰める中で、その後もとうさん達は話を続けて。

 

――わたくしモルグも、ヒュンケル様のように人間の時に親に捨てられ、忠誠を誓った主にも使い捨てらたのです――

 

 ん、モルグさん?

 

――捨てられる苦しみは良く解っておりまする、バルトス様――

――……そうか――

――もしもヒュンケルぼっちゃまが見事な青年になったあかつきには、このモルグ、命が尽きるまで仕えとうございます――

――お互い命など、とうに尽きているではないか、モルグよ――

――ハッハッハッ……!!――

 

 親、捨てられる?

 

「……へんなの、2人とも」

 

 少なくとも、僕の親は目の前にいるけど、大人って、わからないなぁ。

 

 

 

////////////////

 

 

 

「フン、遅かったな小僧」

「すいませんオジサン!!」

「またオジサンと言う、お前は!!」

 

 この樹のおじさん、ほとんど顔だけの、身体が地面に埋まったおじさんに桶の水を掛けるのが、ボクの日課。

 

「明日はもっと早く来い、そして水を、もっと多く持ってこい!!」

「はい、解りましたオジサン!!」

「だ、か、らァ!!」

 

 でも、いつも疑問に思っているんだけど、この首から下が地面に埋まっている、樹のオジサン。

 

「キギロ様と呼ばんかバカ助小僧!!」

「は、はい、すいません!!」

 

 いったい、どんなツミをおかしたんだろう?

 

 

 

////////////////

 

 

 

 グゥ、ラァ……

 

「……あっ!?」

 

 この日、ボクは少し疲れていたのかもしれない。

 

「わわっ!?」

 

 危ない、ボク縦穴に落ちちゃう!!

 

 フゥ……

 

「……大丈夫か、少年?」

「あっ、ガンガディアさん……」

 

 この、いつもムッとした顔をしている人が助けてくれなかったら、ボクはこのまま階段から、ナラクの底に落ちていたと思う。

 

「あ、ありがとうございます!!」

「注意しろ、少年」

 

 その、宙に浮いているガンガディアさんは、そのままその太い腕に抱えたボクを、階段へ戻してくれたけど。

 

「……」

 

 正直、ボクはこの眼鏡を掛けた人がちょっと怖い。

 

「……やっぱり、この人みたいにいつも本を読んでばっかりいると、こんな顔になっちゃうのかな?」

 

 だけど、すこし前に。

 

――精が出るな、少年――

 

――うん、いつかボクは、とうさんも超える、さいきょうの魔王様の戦士になるんだ!!――

 

――……そうか、精進するがいい、少年――

 

 と、言った後に。

 

――……これなら、人間でも食べれるだろう――

――あ、ありがとう、おじさん!!――

 

 アメちゃんをくれた。

 

――しかし、君はまるで、昔の私を見ているようで――

 

 しかも。

 

――……実に――

 

 初めて、ボクに笑顔を見せたガンガディアさんは。

 

――……実に、憧れる――

 

 ポンッ……

 

 二個もくれた。

 

 

 

////////////////

 

 

 

「あれ?」

 

 いつもの、樹のオジサンがいない。

 

「……穴がある、出ていったのかな?」

 

 ファ、サ……

 

「……ん?」

 

 木の葉っぱ?

 

「……何か、書いてある」

 

――バルトスの奴隷へ――

 

 ドレイ?

 

「ああ、息子という意味かな?」

 

 聞き慣れない言葉だったけど、ボクはそのまま、その葉っぱに書かれた文字を読み進める。

 

――お前に、このボクの木の枝をくれてやる、いつまでも、ひのきの棒では力がつかないぞ――

 

「……木の枝?」

 

 そういえば、確かに穴から少し離れた所に、木の枝が転がっている。

 

――感謝しろよ人間の奴隷、正直今のボクには、この枝1つだけでも、大きな出費なんだよね、キギロ――

 

「……うーん」

 

 何だか書いてある言葉の意味はサッパリ解らなかったけど、それでもボクは。

 

「……ありがとう、キギロのおじさん」

 

 と、その樹のオジサンがいなくなった後の穴に、ボクは頭を下げて、お礼を言った後。

 

「……普通の枝に見えるけど?」

 

 その木の枝を手に取った、けど。

 

 ズゥ……!!

 

「こ、これ、凄くカチンコチンの上!!」

 

――……凄く、すっごく重いよ~!!――

 

 

 


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