0人目の嘘吐き彼女   作:モーン21

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2週間ぶりです

ついに今日がアニメ3期の最終回(36話)ですね。本当は原作30話の最後まで書きたかったですけれど、間に合いそうにないので2話に分けて投稿させていただきます

前話と同様、Aパートの予告のみでBパートに何をするのか不明ですが決して寝落ちすることなく視聴する所存です。(私の予想は85話『恋太郎の1日』です)

それでは本編どうぞ






30話-1 真っ暗だと残りの感覚が強化される

 『――続いてのニュースです。昨日午後5時頃、梳(すき)杉(すぎ)町(ちょう)にて大型トラックが民家に突撃する事故がありました。この事故で大型トラックを運転していた○○歳の男性が病院に運ばれました。軽傷とみられています。

警察によりますと、路面は乾燥していて現場にブレーキ痕もないことから病気か居眠り運転の可能性もあるとみて事故の原因を調べています――』

 

 

 

 あの日、トラックに轢かれかけた所を間一髪で恋太郎くんに助けられた。本当に恋太郎くんは命の恩人だよ。呆然とするお姉ちゃんから身体の主導権を奪えたけれどギリギリ間に合わなかっただろうから。

 まぁ、家は半壊して到底住める状況じゃないけれど。そこはお爺ちゃん達(・)の前準備と親切のおかげで私は日常生活を送ることができている。本当に恵まれているよなぁ、私は。

 

 

 

♥♥♥♥♥

 

「ふふ…食事中の胡桃(くるみ)さんの瞳って綺麗ですよね。青緑にキラキラ輝いてエメラルドみたい」

 

「えぇ…?」

 

「俺もそう思う」

 

 放課後羽々里さんのお付きのメイドが煎れた紅茶を飲みながらクッキーを頂いていると、羽香里ちゃんが隣で頬をほころばせる胡桃ちゃんにそう言った。

 すると、突如褒められたことに照れる胡桃ちゃんが慌てながら食事の手を止めて口を開いた。

 

「そっそんなの…ッ凪乃(なの)先輩とか…静(しずか)先輩とかの方が澄(す)んでて…っ」

 

「“羽香里(はかり)さん”“羽々里(ははり)さん”も同じ色の宝石のようだ」

 

「俺もそう思うッ!!」

 

「薬膳(やくぜん)楠莉(くすり)の緑の瞳は安らぎの効果がある」

 

「俺もそう思うッ!!」

 

「唐音(からね)のおめめも肉食獣みたいで強そうなのだ」

 

「褒めてんのかそれ」

 

 皆の褒め合いを微笑ましく眺めていると、向かいに座る楠莉ちゃんがじぃぃっと見つめて私に聞いてきた。

 

「ライの目って何色なのだ?ずっと目隠ししてるから分かんねーのだ」

 

「えぇっと…紫だと思うよ。…はい、どうかな?」

 

「おぉー!ライのおめめもラスボスみてーで強そうなのだ」

 

「俺もそう思うッ!!」

 

「あんたのその目に対する語彙力はなんだよ。それと恋太郎、あんたBOTみたいになってるわよ」

 

 アイマスクを外して楠莉ちゃんの方へ見やると、楠莉ちゃんと恋太郎くんがそう褒めてくれたので少し嬉しい。こうして好意が反転することなく恋太郎くんと見つめ合うことができて、本当にお姉ちゃんには感謝してもしきれないぐらいだよ。

 

「瞳の色なら――銘戸(めいど)の目もすっごく綺麗よね~!♥」

 

「…め…滅相(めっそう)もございません…」

 

 瞳の色のお話になってから、ずっとニコニコと私達を眺めていた羽々里さんが自身のお付きのメイドの瞳の色について話を広げる。

 へぇ、そうなんだーって聞き逃しそうになったけれど。

 

「いや…目ぇ見たことないんだけど!いつも微笑(ほほえ)んでるから!!」

 

「目隠し、メカクレ以外で瞳が見えないことってあるんだ…!」

 

「何に感心してんだよ…」

 

 そうだ、私基本的に目隠しして生活しているからメイドさんの目を見たこと無いや。

 ここ最近になって私もお世話になることが多くなったメイドさんの目を私自身も見たことが無いことに驚く。そして、私達ほとんど全員が見ていないことに更に驚く。

 でも、さすがに羽香里ちゃんは同じ家にいるんだから見たことぐらいあるだろうと思っていると。

 

「そういえば…私も見たことありませんね」

 

「同じ家にいながら!!?」

 

「いつも微笑(ほほえ)んでるんで」

 

「メイドの鑑みたいな人だ…」

 

 羽香里ちゃんも見たことないんだ…ということは、この中だと見たことがあるのは羽々里さんだけ…?あ(・)の(・)子(・)は見たことあるのかな?今度聞いてみよっと。

 

「『彼女は一体何色(なにいろ)なのかしら』」

 

「銘(めい)戸(ど)の瞳はね…虹色なのよ」

 

「どこ人(じん)の設定だよ」

 

 ……予想外の答えが返ってきたな。これまで色々な人やキャラを見てきたけれど、虹色の瞳なんて見たことないや。……見てみたい!!

 

「えーー!!見たいのだ!!微笑(ほほえ)むのやめてなのだ!!」

 

「私も!!私も見たいです!!」

 

「いえ…メイドは主人(あるじ)の前では常に笑顔であるべきですので」

 

 楠莉ちゃんに追従して銘戸さんに詰め寄るも、あえなく断られてしまった。

 ぐぬぬ…でもまぁ、本人が見せたくないって言うならこれ以上無理強いするのは…

 

「いいわよ。私も久しぶりに見たいわ」

 

「かしこまりました」

 

 いいんだっ!!?まぁ、主人(あるじ)の命令を遂行するのがメイドのたしなみだとすれば間違ってはないけれど…切り替えが早すぎてビックリした。

 まぁそれはともかく羽々里さん(あるじ)の許可をもらえたことだし、今度こそ銘戸さんの瞳を見られると楠莉ちゃんと一緒にワクワク待機していると…

 

「…おや…?顔面の筋肉が言うことを聞きません」

 

「よく息(いき)潜(ひそ)ませてたな今まで」

 

「日頃笑顔である内に顔面に張り付いてしまったのでしょうか…」

 

「やだそんな笑顔じゃない笑顔」

 

「人体って不思議だね」

 

「おめーが言うな」

 

 何故か胡桃ちゃんにツッコまれる。たしかにお姉ちゃんの変身は人体に到底できる芸当ではないけれど。

 

「申し訳…ございません…」

 

「…泣いてるのだ…?」

 

「まぶたが…開(ひら)きません…!!」

 

「ぎゃー夢に出そう!」

 

 無理矢理力尽くで開こうとする銘戸さんだけれど、それでも決して開かない銘戸さんのまぶた。間違えて接着剤付けたとかじゃないんだよね?いや、それはそれで悲惨だから笑えないんだけれど。

 

「羽々里(ははり)様のご命令に従えないなんて専属メイドとしてあるまじき事…!!メスを持ってまいります」

 

「切除しようとしている!!」

 

「いい!!いい!!やっぱり見せなくていいからッ!!」

 

「かしこまりました」

 

 いやっ切り替え早っ!!しかもすごいのはそれだけじゃない。先ほどまでの銘戸さんの言動には一切のウソや誇張が見られないことだ。

 つまり銘戸さんは、羽々里さんに止められるまで本気でまぶたを切ろうとしていたということ。さらに羽々里さん(あるじ)の一言でその決意や覚悟もキレイに霧散できるということ。並大抵の人に出来ることではないのは明らかだった。

 

「銘(めい)戸(ど)は忠実すぎて時々危なっかしいのよね…」

 

「『青酸カリ飲め』って言われたらどうすんのだ?」

 

「もちろん飲みます」

 

「それではまるでアンドロイド」

 

「あんたが言うか」

 

 唯一の救いは羽々里さんが止めれば止まる所か。それにしても、主人(あるじ)と従者(メイド)の関係とはいえここまでとは。2人の馴れ初めとこれまでで一体何があったのか興味が湧いたけれど、それは後回しかな。

 

「…と言うか、マンガで糸目キャラとか見るたび思うんだけどさ…どういう原理で目見えてんの?それ」

 

「この状態で目が見えているわけないではございませんか」

 

「見えてねーのかよ!じゃあどうやって生活してんだよ!?」

 

「音や気配ですとか…」

 

「え?銘戸さんも!?私(・)達(・)もそうなんですよ!!」

 

「あんたとライ先輩もかよ!!?って見えてなかったのかよ!!?」

 

「あー!でも虹色おめめ見たいのだー!!」

 

 まさか音や気配で周囲を観測できる人(なかま)がこんな近くにいるとは。世界って狭いね。予期せぬ出会いに興奮を抑えられない。銘戸さんの手を掴んで上下にブンブン振りながら矢継ぎ早に質問する。

いつから出来るようになったのか、誰に教えられたのか。聞きたいことは幾らでも……

 

 

 

 

 

「『わっ!』」

 

 

 

 

 

 いつの間に近くに来ていたのか。静ちゃんが突如バンザイしながら可愛い声を上げる。脈絡の無い行動に私達全員の視線が静ちゃんに集まって恥ずかしそうに赤面している。

 

 かわいい。

 

 

 

「わああビックリしたッッ!!!!」

 

 

 

「ぅわビックリした何よ急に!!!!」

 

 

 

 !!!?

 

 静ちゃんの可愛さにときめいていると恋太郎くんが突然飛び退(ずさ)った。恋太郎くんと唐音ちゃんの2連大声に驚いて思わず身体を震わせた。

 

 突然の3人の行動の意図が何なのか考えていると。

 

「あ…!静(しずか)さん銘(めい)戸(ど)さんを驚かせて目を見開かせようとしたんですね」

 

 羽香里ちゃんの回答に静ちゃんが恥ずかしそうにしながらも頷く。どうやらこれが答えらしい。恋太郎くんの行動は私達の誰よりも先に静ちゃんの意図を汲んでのものだったみたい。

 

 

 

 それから、私達恋太郎ファミリーはそれぞれの方法で銘戸さんの目を開かせるよう試みた。

 『ぶっかけると皮膚がただれて滅茶苦茶痛(い)てー薬(くすり)』*1を与えようとする楠莉ちゃん。

 カッターで銘戸さんの虚(きょ)を衝(つ)き、刺されたと錯覚させる凪乃ちゃん。

 おいしいものを食べると目がギンギンになるから(胡桃本人談)とお饅頭を食べさせる胡桃ちゃん。

 

 最初の静ちゃんを含めて4人が挑戦するも、残念ながら銘戸さんのまぶたが開かれることはなかった。

 

 そしてついに、私の番が来た。

 

「それじゃあ銘戸さん、ちょっと横になってもらっていいですか?」

 

「……」チラ…

 

「いいわよ横になって」

 

「かしこまりました」

 

 あ(・)る(・)人(・)に協力をお願いした後私は銘戸さんにそう言った。

羽々里さん(あるじ)の許可を取った後横になった銘戸さんの耳の傍に近寄る。

 

 そして……

 

 

 

「銘戸、目を開けてちょうだい?」

 

「………!!?」

 

 

 

 羽々里さんの声をマネて、そう囁いた。

 

 そう私の作戦は、ずばり羽々里さんだ。

 羽々里さん(あるじ)と銘戸さん(メイド)の絆が強いのは最早言うまでも無い。だったら、羽々里さんの命令で目を開かせることができればと思ったのだ。

 

 けれど、羽々里さんの命令でも目が開けなかったのは立証済み。しかも、2人の絆の強さを考えればいくら私のモノマネが上手くてもホンモノには敵わないことも。

 

 だから、

 

 

 

「ダメよ~目を開けちゃ。ニセモノの声に騙されないで?」

 

 

 

 羽々里さん本人に協力を仰いだ。

 

「聞こえなかったのかしら?『目を開けなさい』と言っているのよ」

 

「開けちゃダメよ~。ね?銘戸?」

 

 

 

「ASMR!!?」

 

 私が座る反対側の耳に向けて羽々里さんが私の声マネとは正反対の内容を(開けないでと)囁いてもらう。左右から同時に羽々里さんの声で逆のことを言うことで銘戸さんの脳をバグらせる作戦だ。

 ちなみに、私の声マネが恋太郎くんから羽香里ちゃんを遠ざけようとしたあの頃の羽々里さんなのは、天使と悪魔をイメージしてのことでそれ以上の他意はない。

 

 

 

「目を開けなさい…開けなさい…開けなさい…」

 

「目を開けないで…開けないで…開けないで…」

 

 

 

「…………ッ」

 

 

 

 銘戸さんの身体が微かながらも震えてきた。そろそろかな?

 声の調子を今の羽々里さんに変えて囁きを続行する。

 

「目を開けて♥」

 

「開けないで♥」

 

「ダメ、開けて♥」

 

「イヤ、開けないで♥」

 

 

 

「…………ッ!!」

 

 銘戸さんの震えが先ほどより大きくなった。よし、次がラストだ!

 

 

 

「「いいわよ♥開けて♥目を開けて♥」」

 

 

 

 羽々里さんと私が同じ声、同じトーンで目を開けることを許可した。

 

 

 

「アッ…アッ…アッ…アッ…!!」

 

 

 

 けれど、銘戸さんのまぶたが開かれることは無かった。

 

 

 

「銘戸!!?」

 

「ちょっとライ!!?すごい身体震えてるけど、大丈夫なのよね!!?」

 

「大丈夫…多分…」

 

「多分なのかよ!!?」

 

「ASMRにより後遺症が発生した事例は無い」

 

「wikiみたいな解説ありがとう、凪乃!」

 

「…ッ!…ッ!!…ッ!!」アワ!アワワ!!

 

「なるほど…ライさんのASMRでもダメでしたか……」はむはむ

 

 その後、銘戸さんが落ち着いた頃にやり過ぎたことを謝った所、快く許してくれましたとさ。

 

 

 

 めでたし、めでたし。

 

 

 

 ……いや、まだ銘戸さんの目は開いてないから終わらないんだった。

 

 

*1:
原作拙作12話『キスゾンビ♥パニック』より

カラオケ回でライダー(姉)とライちゃん(妹)がどう歌うか

  • ①ライダーとライちゃん2人で1曲歌う
  • ②それぞれ1曲ずつ歌う
  • ③(①と②どっちも)やってくれ、必要だろ
  • ④アンケートの結果だけ見たい人用
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