Fete/Breaking Down   作:鮭漉 鎌太郎

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初めましての方は初めまして、鮭漉鎌太郎と申します。
ずっと昔から温めていたFate/stay night基準の第六次聖杯戦争ものになります。
独自の設定やキャラ、ストーリーが多いので、苦手だな、という方以外は楽しんでいただければ幸いです。


① 目覚めし夜明け
プロローグ 舞台は幕を開ける


 

 

 

 

 

――月の銀光が辺りを照らす。

 埃がその衝撃に従って重力を失い、粒子が光を吸って宙に舞い踊る。

 ガラクタの中に広がる、人が二人か三人立っていられるような空間の中に、少年は座り込んでいた。

 いや、どちらかと言えば青年に近いだろう。しかしそのがっしりとした体躯からは連想できないほど、呆然としている彼の表情は幼い。

 ――風が渦を巻く。

 それが単純な自然現象ではなく、非自然的なモノ……〝魔術〟の働きによるものだと、彼は知っている。

 だって今眼の前に、その非自然的な存在がいるのだから。

 その女性は、鎧を身に纏っていた。

 鎧と言うにはまるでドレスのような形状をしていたが、その装甲と内包している魔力から、舞踏のものではないと察せられた。

 剣を薙ぎ、銀髪の髪は魔力の流れのせいで銀糸の一つ一つがうねり、彼女の美貌をより彩る。

 

「っ、ここに来て、新たなサーヴァント(﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅)だと⁉」

 

 少し離れた男の怒声も、青年の耳には入らなかった。

 眼の前に、絶対的な完全を見た時、人は何も出来なくなる。

 ただその存在に圧倒され、言葉を失い、視線も呼吸も止まって、ただそれを甘受するモノになりきってしまう。

 彼女は、それほどの〝完璧〟である。

 青年には、それが分かってしまったのだ。

 それはもう、明星を見て、方角が分かるように。

 

「……まったく、呼び出されるような願いなんてなかったんだけどね。ほら、私ってなんだって自分で叶えられちゃう自立した女だからさ。

 でも、可哀想な男の子を放っておくほど、冷めてるつもりもないのよね」

 

 外見の流麗さと反した、少しハスキーで、言葉遣いの荒い言葉をこぼしながら、女性は眼の前に立っている存在――つまり青年を見つめる。

 

 

 

「――ねぇ、貴方が私の相棒、マスターって事で、合ってる?」

 

 

 

 

 ――こうして、運命は目覚めた。

 

 

 

 

 ――極東に、【聖杯戦争】と呼ばれる儀式が、かつて存在した。

 七人の魔術師が集い、それぞれが歴史に偉人と称された英霊……境界記録帯(ゴーストライナー)を現界する事によって行われる、蠱毒の概念を用いた魔術儀式。

 万能の願望機【聖杯】を作り出すことこそが、この儀式の目的。俗にサーヴァントと呼ばれる英霊は、それぞれ役割(クラス)を持ってこの世界に現界する。

 剣士(セイバー)

 槍兵(ランサー)

 弓兵(アーチャー)

 騎兵(ライダー)

 暗殺者(アサシン)

 魔術師(キャスター)

 狂戦士(バーサーカー)

 これをそれぞれ討ち果たし、残った一陣営のみ、聖杯を使用する権利を得る。

 先程、蠱毒の概念といったが、ああ、少し訂正しよう。

 蠱毒というより、それぞれを貶めながら行う生贄の儀式と言った方が、むしろ正しかったかもしれない。

 ――しかし、極東の冬木市にて行われた聖杯戦争は、十年前、五度目の挑戦の失敗により叶わなかった。

 聖杯は結局生まれなかった。

 ……いや、冬木の聖杯戦争のみではない。どの平行世界、どの世界線を覗いたとしても、聖杯が真の完成を見た例は非常に少ない。

 

 外典は潰え。

 偽物は混沌と化し。

 至上の命題はもはや聖杯戦争の様相を無視した。

 

 

 

 なら、夢想の聖杯戦争は?

 この闘争は、本物へと至れるだろうか?

 

 

 

 

 

 




本日はあと二話更新します
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