数珠丸提督、神戸鎮守府に着任す   作:神谷京介

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プロローグ2 七つの宝玉

それは、いつもと変わらない、ごく一般的な遭遇戦だった。

 

場所は神戸市の須磨区にある鉄拐山。

そこで私は、一体の「歴史修正主義者」と遭遇したのだった。

 

『キキっ、キサマ、何者だ』

 

誰何してきた「歴史修正主義者」は、鼠の面を被った短剣の使い手であった。

 

「私は刀剣男子の一人、数珠丸恒次と申す。」

 

私が名乗りを上げると敵は一瞬逃走をしかけたが、思い直したそぶりを見せると襲い掛かってきた。

 

ガキン!

 

一瞬で間合いを詰めてきて一撃。

 

咄嗟に刀で防御すると、次の瞬間には背後に回り込み、さらに追撃を仕掛けてくる。

 

ギャリン!

 

辛うじて迎撃が間に合い、刃と刃がぶつかったと思うと、もう相手は別の場所に移動している。

 

短剣使いは一般的に小柄でスピードに特化した使い手が多いが、この敵は、その中でも相当の使い手である。

 

反撃する余裕は全くなく、敵の動きも読めないため、暫し防御に徹して敵の行動パターンを把握することに専念する。

 

数回切り結び、行動パターンを把握しかけたころ、敵は突然距離を置いて話しかけてきた。

 

『キキッ、なかなかやるな。 ならばこれよりぞっとするものを見せてやろう。』

 

敵はそう言うと不可思議な印を結ぶ。 すると、敵の体は無数に分裂し、私の周囲に展開したのだった。

 

『キキッ、我が奥義、多重分身の術を篤と味わうがいい。 貴様は無数の我に切り刻まれ、狂い死ぬことになるのだ。

冥途の土産に教えておこう。 俺は歴史修正主義者、干支組の子津というものなり。』

 

そう言うと、無数に分裂した敵が一斉に襲ってきた。

 

しかし私も刀剣男子の中では最高クラスの評価を持つ天下五剣の一人。 敵の突撃と同時に敵の一体に照準を合わせ、突撃する。

 

一瞬目の前の敵が動揺したようなそぶりを見せる。だが、私は構わず敵の懐に切り込んだのであった。

 

ズシャッ。

 

敵の一体と私の体が交差した瞬間に、鉄の刃が肉を断ち切る音が周囲に響きわたる。

 

次いで無数にあった敵の分身体はいつの間にか霧散し、周囲は静寂に包まれる。

 

敵はよろめきながら振り返り、口を開く。

 

『バ、バカな・・・。 あれだけあった分身の中から、なぜ俺だけを見つけることができる。』

 

「残念だが、私には周りの者の魂を見分けることができるのだ。 故に、魂なき分身では私を欺くことはできぬ。」

 

そう、私には目の前にいる者の魂を見抜き、その色を見分けることができる。

 

恐らくは、私のかつての持ち主が日蓮聖人という坊主であり、その力の一部を引き継いだものだと思われるが・・・。

 

「寧ろ其方のほうが分身を維持するために神経を使っていたため、私に集中できなかったのではないか?」

 

『む、無念。』

 

相手はそう叫ぶと地面に倒れ伏し、霧になって消えていった。

 

私は緊張を解くと、大きく息を吐き出す。

 

深いダメージこそ受けなかったが、先ほどの相手は相当な強敵であった。

 

私に敵の本体を見抜く能力があったからよかったものの、そうでなければあの分身攻撃に惑わされ、どうなっていたか判らないところだった。

 

「おや?」

 

一息ついた後、「歴史修正主義者」の消えた場所に、彼の所持品と思われる袋が落ちているのを見つける。

 

中身を調べてみたところ、袋の中には宝玉が入っていた。

 

「なんだこれは?」

 

それは、それぞれに「榛名」「伊勢」「摩耶」「衣笠」「足柄」「初風」「瑞鶴」の文字が浮き出していた七個の宝玉であった。

 




「数珠丸恒次」の魂を見る特殊能力は、当小説のオリジナル設定です。
公式設定ではないので、ご注意願います。
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