龍閃の軌跡   作:通りすがりの熾天龍

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新作新作ゥ!
というわけで第1話。
基本リィンサイドで進めていきます。


物語が始まる場所

12年前、西暦20XX年。

俺は一人の子供を庇い、殺人鬼の凶刃に倒れた。

 

 

時を同じく、12年前。

しかし七曜暦1192年。

俺は異世界でとある貴族に拾われた。

身体年齢が一気に低下し、5歳くらいになっていた。

更に、外見もまるで別人のようになってしまった。

 

 

9年前。とある冬の日。

俺は『力』と『異能』に目覚めた。

といっても、『異能』の方は元から持っていたものが進化したような形であるが。

 

 

7年前。1197年。

《剣仙》と呼ばれる男、ユン・カーファイと出会った。

俺は彼に教えを乞い、『異能』をコントロールできるようになった。

しかし、『力』は完全制御には至らなかった。

数年間の修行の末、八葉一刀流を習得。

前世の漫画などの知識をもとに、新たな奥義を作り上げることにも成功した。

師匠ユンにも、新たな型としてその剣術を認めてもらった。

 

 

3年前、1201年。

師匠の言葉に従い、一人旅に出る。

旅に出る直前、あるものを完成させ、身に着けていくことにした。

師匠が用意してくれたフリーパスのおかげで国境を越え、他国へ行くこともできた。

行く先々で様々な人と出会い、様々な経験をし、様々な意味で成長した。

 

 

そして今日、1204年3月31日・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『次はトリスタ、トリスタ。一分ほどの停車となりますので、お降りになる方はお忘れ物のないようご注意ください』

「んぁ・・・そろそろか」

 

車内放送で目が覚める。

軽く伸びをして荷物の確認。

と言っても身に着けているもの以外は細長い包み一つだけなんだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トリスタに到着。

駅を出て十歩程、立ち止って辺りを見回す。

春のライノ。無数の白い花が俺達トールズ新入生を出迎えてくれる。

日本では入学式には桜だけれどライノの花も同じくらい綺麗だ。

桜は花が散ってから葉が出るが、ライノは花と葉が同時に見える。

そう言えば師匠が言ってたっけ、この世界にも桜は存在するってこと。

東方から桜を取り寄せてライノと並べてみようか。

桜とライノが入り混じる春の風景。うん、いいかもしれない。

 

と、突然背中に軽い衝撃を感じた。

それと同時に「きゃっ」という小さな悲鳴。

振り向くと、同じ制服を着た女の子が尻餅をついていた。

状況から察するに・・・俺が悪いな。

 

「悪ぃ、道の真ん中で立ち止るのは拙かったな。大丈夫か?」

 

手を差し伸べて謝罪。

その娘は俺の手を取り、立ち上がる。

 

「気にしないで。私も花に見とれて、余所見しながら歩いてたから。それにしても、凄く良さそうな街よね?」

「そうだな。春にトリスタに来るのは初めてだが、凄く綺麗だな」

 

俺の言葉に、女の子はキョトンとする。

 

「春には初めてってことは・・・貴方はこの街に来たことがあるの?」

「ああ、前に何度かな。あ、そういえばそのトランク、さっきので落としたみたいだけ

ど、大丈夫か?」

「ええ、大丈夫よ。心配してくれてありがとう」

 

なら一安心。

 

「それにしても・・・制服の色、同じなのね」

 

彼女の疑問(?)ももっともだ。俺らのように赤い制服はほとんど見かけない。

 

「確か、貴族生徒が白で平民生徒が緑だったはずだが・・・赤い制服の話なんて聞いたことが無いぞ」

「でも私は送られてきたものを着てきただけよ?」

「それは俺もだ。まぁ、他にも2,3人は見かけたし、何か理由があるのかもな」

 

例えば・・・

 

「もしかして同じクラスだったりするかもね」

 

おっと先に言われてしまったか。

 

「かもな。どうせならこの場で自己紹介といこうぜ。俺はリィン・シュバルツァー。君は?」

「アリサ・ライ・・・んんっ、アリサ・Rよ」

 

ファミリーネームを言い直したのは触れない方がいいか?

もちろん口には出さないが。

 

「よろしくな、アリサ。それで、この後どうする? 俺はもう少しぶらついてから行くつもりだけど」

「私はこのまま真っ直ぐ行くわ。それじゃ、入学式で会えたら、また会いましょ」

「おぅ、そんじゃな」

 

そんな会話をして別れる。

さて、教会にでも寄るかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トリスタの教会は俺の故郷ユミルのそれとほぼ同じ規模である。

・・・どうでもいいよね。

おや、誰かいる。

褐色肌・・・外国人か?

それに、制服の色は赤。

うーん、赤い制服の意味が尚更解らなくなってきた。

しっかし随分長く祈ってるな。

お、立ち上がった。

 

「すまない、邪魔をしたか」

「いや、そんなことは無い。気にすんな」

「そうか。失礼する」

 

褐色肌の男はそう言って教会を出た。

・・・俺も軽く祈っていくか。

あえてキリストに・・・は流石に止めておこう。

天罰怖いでござる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トールズ士官学院。

これから2年間、俺が過ごす場所。

その校門前に一台の車が停まっているのが見えた。

緑色の高級車。そこから降りて学院に入っていく一人の少年。

貴族か。しかもかなり位の高い。

リムジンがUターンしてきたので脇に避ける。

そのままリムジンは通り過ぎて行った。

しかし今の貴族っぽい奴、制服の色が赤かったな。

 

 

 

 

なんて考えていると、

 

「そなた・・・リィンか?」

 

後ろから声が。

振り向くと、見覚えのある姿が。

 

「ラウラじゃないか。久しぶり。元気そうだな」

 

レグラムを訪れた際に出会った少女、ラウラ・S・アルゼイドが、そこに居た。

 

「うむ、大体1年半ぶりだな。そなたも元気そうで何よりだ」

「ヴィクターさんは元気か?」

「いつもと変わらぬ」

 

つまり元気ってことだな。

 

「っと、ラウラも赤い制服なんだな」

「そのようだな・・・その、リィン、一緒に行っても、構わないだろうか?」

「おぅ、いいぜ」

 

俺がそう言うと嬉しそうな顔をするラウラ。

 

「うむ、では行こうか」

 

 

 

 

と、そこで俺の視界にあるものが目に入った。

ラウラに一言断りを入れ、道沿いの草むらに落ちていたそれを拾う。

 

「これは・・・導力器(オーブメント)か?」

「だな、俺が持ってるのと同じみたいだが・・・」

「それなら私も持っているぞ?」

 

ラウラと顔を見合わせる。

 

「どうする、リィン? 落し物なら学院に届けたほうがいいと思うのだが」

「いや、まずは俺たちで探したほうがいいだろう」

「ふむ・・・なぜなのだ?」

 

その1、この導力器、学校の備品という割にはかなり複雑な作りをしている。

つまりこれはかなり高価な品のはずだ。

予算などの都合上、これを持っている生徒の数は少ないと思うべきだ。

その2、今までわずかしか見かけなかった赤い制服の生徒。

目視情報だけで判断すれば、同じくその数は少ないであろう。

この二つと、もう一つ。

既に俺とラウラがこれを持っているという事実から推測できるだろうこと。

赤い制服の生徒だけがこの導力器(オーブメント)を持っているはずだ。

ならば話は簡単。

 

「赤い制服でかつ何かを探していそうな人、もしくはそんな人の目撃情報を探せばいいってわけだ。見つからなかったら落とし主が気づいてないって事だろうから、その時は学院に届ける」

「なるほど、流石リィンだ」

 

俺の推理に納得した様子のラウラ。

 

 

 

 

 

「ちょっといいかしら?」

 

さっそく探しに行こうとすると、学校とは逆の方向から声をかけられた。

声のほうを見ると、駅前で会ったばかりの彼女がいた。

 

「あれ、アリサ? 先に行ったんじゃなかったのか?」

「そうなんだけどね。大事なものを落としちゃって・・・」

 

それってもしかして・・・。

 

「これか?すぐそこに落ちていたやつなんだが」

 

拾った赤いオーブメントを見せる。

 

「ああ、それよ。よかった、無事に見つかって・・・リィン、ありがとう」

「どういたしまして。すぐに見つかってよかったよ」

 

探すまでもなく一件落着、と思いきゃ

 

「ふむ、落とし主がすぐ見つかったのはいいのだが・・・リィン、その娘とはどういった間柄なのだ?」

「え? いや、駅前で会って同じ制服だなって話しただけだけど・・・な、なんで睨むんだ!?」

「睨んでなどおらぬ」

「いや、どう見たって」

「睨んでなどおらぬ!」

「アッハイ」

 

解せぬっ。

 

「あはは・・・貴方も大変ね」

 

アリサには同情される始末。どうしてこうなった。

 

「と、とにかくだ。そろそろ時間も惜しいし早く行こうぜ、な?」

 

ラウラの怒り(?)は解いたがなぜか周囲の視線が怖い中、二人と共に学院へ向かうことになった。

なんか爆ぜろとか爆発しろとか聞こえた気が・・・うん、気のせいだよな、な?

 

 

 

 

 

 

アリサ、ラウラと共に学院の門をくぐる。

と、そこに俺達を呼び止める声が聞こえた。

 

「君達が最後みたいだね」

 

そう俺達に言ったのは黄色いツナギを着た男。

そのすぐ横にはどう見ても学院生とは思えないほどちっこい少女。

しかし彼女はトールズの制服を着ている。

その少女が確認するように俺達に問いかける。

 

「えっと、リィン・シュバルツァー君に、ラウラ・S・アルゼイドさん。それに、アリサ・ライ・・・「ストップ!」ふぇ!?」

 

アリサの本名を言おうとしたであろうその人に、アリサがストップをかけた。

 

「す、すみません。アリサ・Rでお願いします」

「え、で、でも資料にはライ・・・」

「だからストップ! お願いですからそれ以上言わないでください」

「う、うん。わかったよ」

 

そんなやり取りを見てラウラが俺に尋ねる。

 

「どういうことなのだ?」

「事情があると思うぞ。まぁ、詮索禁止ってことで」

「ふむ、了解した」

 

それでは改めて、レッツテイク2。

 

「そ、それじゃあ、もう一度確認するね。リィン・シュバルツァー君、ラウラ・S・アルゼイドさん、アリサ・Rさん。で、あってるよね?」

「ええ、間違いありません。リィン・シュバルツァーは俺です」

 

少女の言葉に俺が代表して答える。

 

「それじゃあ、申請のあった品を預かってもいいかな?」

 

今度は黄色の男が俺達に言う。

 

「案内書にあった通りですね。了解です」

 

俺達はその人に荷物を渡す。

ラウラから受け取った時に少しよろめいたのは・・・まぁ、大丈夫だろう、多分。

 

「確かに。後で返されるはずだから心配しないでくれ」

「あっちのほうに行くと講堂があるよ。入学式はそこでするからまっすぐ向かってね」

 

最後に、と少女は満面の笑みで付け足す。

 

「3人とも、トールズ士官学院へようこそ!」




突発的後書き企画!


『やりたいネタ①』

リィン「あ、貴方は・・・杉田さん!」
トヴァル「誰だよ!」
リィン「いや、何かピンときた」
こんな声優ネタ。


『やりたいネタ②』

リィン「ニセッチダヨー(声真似)」
トワ「あははははははは!」
リィン「そこまで笑うようなネタだっけ?」
会長のツボは謎(独自設定)。




リィンの前世には軌跡シリーズは存在しなかった設定です。
よって原作知識なし。


頭脳明晰、しかし恋愛には非常に鈍感なリィンです。
あれ、これって原作と一緒じゃん。
しかし性格は随分変わってます。
真面目モードとおふざけモードの二面性が目立つ性格のはず。

先に言っちゃうと完全記憶能力持ち、かつ高次元演算可能。
完全記憶は常時発動型ではなく、真剣に覚えようとしたものや、インパクトが強かった出来事など、記憶する事象のある程度の選択が可能です。


既に4話まで書き終えています。
ですが一気に投稿せず、様子を見ながら投稿していこうと思います。
少なくとも2話目投稿まで1,2週間は間をあけようかと。
評価や感想など、お待ちしてます。
では!

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