U.C.0076.01.04 道央某所 病院
「無事で良かったよ、カズヤ!!」
「……心配をかけました、シン兄様」
翌日、カズヤを迎えに来た一団にはツキモリ重工業の後継者であり、カズヤの兄であるシン・ツキモリがそこにいた
シンは病院から出てきたカズヤを力の限り抱き締め、弟の体を強く抱きしめていた
「カズヤが自由を愛してることは知っているけど、今度からは外出する時は護衛を付けるべきだよ」
「新しい本を購入した喜びで、注意を怠っていました。すみません」
「ごめんね、怒っている訳じゃないんだ。でも、もう家族を失いたくないだけなんだ」
カズヤに語りかける彼の顔は、悲しみと慈愛が入り混じった表情をしていた。
「……ありがとうございます」
「じゃあ、我が家に帰ろう!!」
車の後部座席に乗り込むとシンの付き人がドアを閉めた。護衛車両に挟まれながら、2人が乗った車は病院を後にした。
~~~~~~~~~
道東某所 ツキモリ家本邸
「父上は連邦との会議でベルファストに向かったよ」
「そういえば、軍艦の追加発注があったと話が出ていましたね」
ツキモリ家本邸に到着した2人は、軽めの食事を取り、各自の部屋に移動した。各自の部屋へ移動した。カズヤは、この身体の記憶を頼りに自室を探し出し、2階へと向かった。
階段の踊り場には、笑顔の幼いカズヤと家族の大きな肖像画が飾られていた。カズヤは、その肖像画を見つめ、静かに問いかけた。
「……俺は君の人生を奪ってしまったのだろうか?」
事故によって失われたかつてのカズヤ。今の自分は、彼の身体を借りているに過ぎないのだろうか。肖像画の少年は、その問いに答えることはない。
「ここだな」
辿り着いたカズヤの部屋に入るが他人の部屋に来た感覚は無く、どちらかというと安心感を彼は感じていた。
部屋には宇宙関係やロボットの専門書が本棚にかなりの数が納められていた。カズヤはある本が目につき、手に取った。
「新粒子の発見とその特性について、著トレノフ・Y・ミノフスキー」
ミノフスキー博士が書いた本には、多くの付箋が貼られや赤文字で考察が書かれていた。
「君は凄いな。自力でミノフスキー粒子が核融合炉の制御に使えることに気づいていたのか」
前世では兵器開発に従事していた為、彼は本に残された情報から核融合炉の制御にミノフスキー粒子が利用できることをカズヤが気付いてことを読み解いていた。
「………?」
少し胸が暖かくなる感覚を感じた。
「カズヤ、入るで」
「ノック無しで入らないでくれよ、テッペイ」
「すまんすまん、ジブンが帰ってきたからはよ計画を進めたくてな」
突然、部屋に入ってきた人物の名前がすんなり出てきて、彼は安心していた。
「明日は研究所に行くんやろ? 皆が待っとる」
「うん、そのつもりだよ」
「昨日までの試験結果を置いていくから見たれや」
「ありがとう」
テッペイは書類を手渡すと、大きな欠伸をしながら部屋から出ていった。残された書類の表紙には、WACH計画と書かれ極秘と印鑑が押されていた。
「WACH計画…?」
書類を見ていくうちに手が止まらなくなり、顔に狂気の笑みが浮かんでいた。
「君は本当の天才だよ」