「あの時は違うぞ! カズヤ・ツキモリ!!」
「何回も人の名前をフルネームで呼ぶな! ウルセェんだよ!!」
爆炎の中、二機の影が疾走する。スラスターが咆哮し、アイハスXとアイハス改が交錯するたび、閃光がほとばしる。
ビームソードが衝突——火花が空間を貫く
「ハッ……速いな、カズヤ!!」
アベルのアイハス改が鋭く旋回する。スラスターをフル稼働させ、一瞬の隙を突いてカズヤへ斬りかかった。
「黙れよ、どっちが速いか、試してみろ!!」
カズヤのアイハスXが即座に反応。機体を反転させつつ、ビームソードを横薙ぎに振るう。
斬撃が空を裂く。
しかし、アベルもまた防御を捨て、突撃する。
高機動戦闘、極限の速度。
アイハスXとアイハス改は互いにエネルギーの限界までスラスターを駆動しながら、交錯するたびにビームソードを振るう。
カズヤは右旋回、アベルが背後へ回る瞬間、逆噴射。 アイハスXが強引に態勢を修正し、正面へ回り込む。ビームソードが再びぶつかり合う——閃光、衝撃、機体振動。
アベルの声が響く。
「今度こそ——貴様を倒す!!」
カズヤは歯を食いしばる。
「やれるもんなら、やってみろよ!!」
スラスターが唸る。戦場の中心で、二機はさらに加速し、交差するたびにビームの閃光が散る。
砕けたコンクリート片が舞い上がる。アゼルのアイハスが倒壊したビルの隙間から飛び出し、カズヤとアベルの激戦に割り込んだ。
「ところがぎっちょん、俺の事を忘れるなよ!」
ビームソードを振り抜き、アベルへ迫る。しかし、瞬間——横切るビームの閃光。
アゼルは咄嗟にスラスターを吹かし、強制回避。削られたビルの破片がアイハスの肩装甲をかすめる。
「チッ……手荒い迎えだな!」
「隊長の邪魔しないで下さい、野良犬」
アゼルを狙撃したのは高所へと移動した紫のガンキャノンであった。
アベルのアイハス改はすでに次の動きへ移っていた。カズヤとの斬り合いを続けながら、アゼルの介入をも計算に入れる動き——
「ハハッ! やはり、面白いな!」
アイハス改がスラスター全開——その機動、異常なほど鋭い。一瞬の隙をつき、ビルの影へ逃げ込む——高速戦闘が乱戦へ変化。
「逃げるか?……いや、違う」
カズヤは直感的に察知した。アベルはこの戦場で生き残るための最適解を実行している——戦場の影を使う、瞬間的な戦術転換。
「ここからが本番か……!」
アゼルが再び追い詰めるべく動く。しかし、次の瞬間、ビルの瓦礫が弾け飛んだ——
「クソッ!まだいたか!」
「そっち、任せたぞ!」
アイハスXとアイハス改が交差するたび、火花が散る。カズヤのビームソードがアベルの機体をかすめ、紫の装甲に焦げ痕が走る。
「チッ……!」
アベルはすぐさま機体を捻り、カズヤの攻撃ラインを外す。だが、カズヤは機体を旋回させつつ、再び追い込む。
「ハハッ!いい動きだ……だが、突破できるか?!」
アベルのアイハス改が突然ブースターを噴かし、後方へ飛び去る——その先には崩落した建物の残骸。
「隠れたか!?いや……」
カズヤは直感的に察知する。次の瞬間——
瓦礫を貫いて、紫の閃光が走る
アベルは建物の隙間を利用し、カズヤへ正確な一撃を放つ。
「クソッ、やるな……!」
カズヤは瞬間的に機体をひねり、回避。ビームが地面を抉り、炎が吹き上がる。
一方、アゼルはレールガンを撃ち込み、ガンキャノンの足場を破壊。だが、紫の機影はすぐさま別の高所へ移動していた。
「隊長の邪魔はさせない……!」
アゼルは咄嗟にスラスターを噴かし、側転回避。しかし——敵はその動きを読んでいた。
二連射——次弾がアゼルの回避軌道へ
閃光が走る——爆炎とともにアゼルの機体が揺れる。
「チッ……やるじゃねぇか!」
アゼルは機体を再調整し、照準をガンキャノンへ向ける。
「だが、そっちも足場が限られてるんじゃねぇか?」
アゼルのアイハスが距離を詰め、紫のガンキャノンを狙う。高速機動からの狙撃、敵の動きを封じる一撃——だが、ガンキャノンもただの支援機ではなかった。
「この距離なら外さねぇ——!」
アゼルの照準がガンキャノンの胸部へ吸い込まれる。しかし、次の瞬間——240mm砲が火を吹いた。
「チッ……っ!!」
砲撃がアイハスの左腕に炸裂。爆炎が吹き上がり、アゼルの機体が大きく揺れる。だが、お返しとばかりにビームライフルを放つ。
「ぐっ……!」
紫の装甲に亀裂が走り、ガンキャノンの姿勢が崩れる。しかし、アゼルのアイハスもまた、左腕を失い、機体制御が不安定に。
戦場の中央で、二機が揺らぐ——
「……痛み分けかよ」
アゼルが息を吐く。紫のガンキャノンは一歩後退し、アベルの戦線へと戻ろうとしていた。
「悪くねぇ……だが、もう一発食らわせてやりたかったな……」
煙が舞う中、アゼルは機体を再調整し、戦線を離脱する。
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カズヤのアイハスXがスラスターを最大出力に引き上げ、一気に加速。地表を滑るように機体を旋回させ、アベルのアイハス改へ突進する。
「俺の速度について来れるか?!」
アイハスXは左右へ急激に振りながら、ビームソードの軌道を読ませない。高速の回避運動と攻撃が一体となり、戦場の地形を利用しながら圧倒的な動きを見せる。
しかし、アベルはその速度を真正面から受け止めることはしない。
「その速度は素晴らしいな……だが、直線で突っ込む限り、戦術は単純だ!」
施設の崩落した構造物を利用し、アベルは機体を隠しながらカズヤの攻撃ラインを計算。
カズヤが右旋回する、その瞬間——瓦礫の隙間からビームが奔る。
「チッ……!」
アイハスXが空間を切り裂きながら急上昇。ビームが地面を抉り、炎が吹き上がる。
「隠れて撃つか、アベル……!」
しかし、カズヤもまた一瞬で戦術を切り替えていた。
瓦礫へビームソードを投擲し、それを撃ち抜いた。爆発は拡大し、施設の残骸が砕け、アベルのアイハス改が姿を現す。
「俺を誘い出すか?ハハッ、やるじゃないか!」
——次の瞬間、二機は再び交差した。
カズヤのアイハスXがスラスターを最大出力に引き上げ、戦場を切り裂く。しかし、アベルのアイハス改は瓦礫の影を使い、奇襲戦術で応戦する。
カズヤは歯を食いしばり、呟く。
「ツクヨミ、I・Veilのリミッターを解除する!」
ツクヨミの音声が肯定を示した。
「了解したわ! オーバーフローした場合、エクストラ・ユニットをパージするわよ!」
「問題ない……やるぞ!!」
アイハスXのスラスターが限界出力へ——光の軌跡が走り、天空へ駆け上った。
「空に飛んでどうした!?」
「ツクヨミ、I・Flexの制御を頼むぞ」
「分かったわ」
天へ登ったアイハスXはI・Veilを前に突き出し、少しづつ落下していく。そして、前方にはメガ粒子の塊がバチバチと音を立て形成される。
「制御限界よ!」
「弾け飛べ!」
アベルは直感的に察知した——これはただの攻撃ではない。カズヤの機体が戦場のルールを変えようとしている。
粒子が収束し、光の爆発が内部に渦を巻き、地上へ着弾した。衝撃波が周囲の瓦礫を砕き、戦場の空気が一瞬、静止する。
「こんな所で死ぬものかッッ!!」
アベルはスラスターを最大噴射——しかし、光の奔流が機体の脚部をかすめ、紫の装甲が溶けていく。
「エクストラ・ユニットをパージ。機体フレームに重大な損傷を確認。カズヤッ! 機体を海に落として、じゃないとアイハスが耐えられないわ!」
「……了…解」
メガ粒子の爆発はカズヤが乗るアイハスXにも影響が出ており、機体フレームに重大な損傷を与えていた。更には、大型スラスターとI・Veilを搭載していたエクストラ・ユニットも限界を迎え、ツクヨミがパージした。
カズヤは揺らぐ意識の中で機体を制御し、どうにかモニターに海が映ったことを確認した所で、意識が途切れた。
「私がどうにかするしかないッ! 着水タイミングを算出、制御スラスターの出力調整、救難信号の発信ッ!!」
コックピットでは、カズヤを生かすためにツクヨミが全力でアイハスXを制御していく。その姿はAIであるはずのツクヨミが、まるで人間のようにカズヤの生存に焦がれる——
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「……また負けちまった」
「生きてる限り、敗北はありませんよ。隊長」
敗北の中、紫の装甲が燃え続ける——彼の目に映るのは、己が戦場に刻んだ傷跡だった。
「ありがとう、ラミナ」
敗北の味は苦いが、まだ終わりじゃない——彼はラミナの言葉でそう確信していた。
アベルは間一髪の所で生き残っていた。紫のアイハスは腰辺りまで融解しており、I・Veilが放ったメガ粒子の威力を物語っていた。
「迎えも来ました。行きましょうか、私たちの
「私も重症なんだが、君は厳しいな」
海中から現れた攻撃型潜水艦VIII型がスモーク弾を放ち、鹿児島宇宙基地一帯は煙に包まれ、晴れた頃にはジオン軍は跡形も無く消えていた。
テッド部隊は、ツクヨミが発した救難信号を頼りにカズヤの捜索に全力を注いだ。
カズヤのMIAはツキモリ重工業に大きな動揺を齎し、更にツキモリ重工業は作戦を遅延させた連邦軍に対して、猛抗議を行い、
両者の関係に僅かな亀裂が生じることになった。
「アイハスX発見! コックピット内に生命反応があります!」
アイハスXが見つかったのは、月が顔を出し始めた頃であった。