これが(ホロウで)生き残るための、オレの足掻きだぁ!   作:野菜大好き丸

6 / 6
最近アニメがおもしろい(ZEXAL一挙放送)
いやマジで5Dsといい15年も前のアニメが現代アニメと覇権争いすんのは草なんよww。
あとZEXAL二番目のOPのBRAVING!は神曲でいいぞ~これ。異論は認める。



5.駆け抜けるトラックと武装の竜

 サイドラが零号ホロウ内を突き進む一方……。

 

 

 

『ンナナナナ……(まさかエリー都がこうも滅茶苦茶になるなんて……)』

 

 

 崩壊した大通りの道を、リョウがトラックで爆走し突き進んでいた。

 予定の行商を終えて主が住まう拠点へと帰る途中、突如発生した零号ホロウ事変。ホロウの急速な拡大に反応できずリョウはそのままホロウの中へと呑み込まれていった。

 

 ホロウに呑み込まれた後、リョウはエリー都内各地に搭載されている近くのボンプ用作業台から現時点でのキャロットデータをダウンロードし、トラックでの脱出を試みていた。

 

 リョウにとっては何もかも衝撃的だった。人々が多く賑わい活気に満ち溢れていたはずのあのエリー都が、殺戮と悲鳴に塗れた絶望の地へと一日も掛からず変貌していったのだから。平和な日々が何の前触れもなく一瞬にして奪われる、ホロウ災害の恐ろしさをリョウは再認識した。

 

『ンナ、ンナナナ。ンナァ……(一応このトラックにはエーテル侵蝕の防護や遮断処理が施されているし、抗侵蝕剤もいくつか常備している。それにボクはボンプだから多少のエーテル環境に強い、けど……)』

 

 

 ちらりと運転席についてる車両コンテナ内のカメラ画面を見る。コンテナには行商で余った物資や買い取った資材。そして──、

 

 

 

「う、ぐっ……」

 

 

「兄貴! 大丈夫か!?」

 

 

「心配するな……お前はやるべきことだけ考えてろ」

 

 

「兄貴……」

 

 

 

 本来この荷台にいるはずのない二人の少年が乗っていた。少年達の頭部前方には角が生えており、彼らは鬼族と呼ばれる亜人(シリオン)の一種であった。しかも二人の見た目が殆ど似ていることから双子ではないかと思われる。

 コンテナ内では兄と呼ばれた鬼は大量の包帯で手当てされた状態で横になり、弟であろう鬼は心配そうに兄を見ていた。

 

 

 

 ──遡ること数時間前、脱出の為にトラックをホロウの街中で走らせていたリョウが道中で二人を見かけた。だがその時点で、二人とも傷を負ってボロボロになっており一刻を争う事態であった。特に兄の方が深刻であり、胴体に袈裟懸けに切り裂かれた深い傷を負ってかなりの血を流しており、比較的に軽傷だった弟がどうにか彼に肩を貸しながら移動するのが精一杯な状況だった。

 

 

 ただ事でない様子の二人を見たリョウは、二人の近くへと駐車しすぐさま二人を荷台の中に引き入れることにした。物資にあった応急用の救急キットや抗侵蝕剤を用いて兄を手当てを行い、安静にさせた。そして何が起きたのかとリョウは事情を弟に尋ねた。

 

 弟の話によると二人はエリー都のスラム付近で暮らしており、生業として自警団の真似事であったり何でも屋としてホロウに潜ったりして生計を立てて暮らしていた。

 

 今回のホロウ災害で住民を逃がそうとスラム中を駆け回っていたところに突如強大な化け物が現れ、応戦していた。

 

 だが歯が立たず一蹴され、弟が反撃されるところを兄が庇い重傷を負ってしまった。追撃が来る前に近くのガスボンベや消火器など破裂させ煙幕代わりにし、敵に自分らを見失わせた兄弟はどうにかその場から離れていった。そうして逃げていった先でリョウと出会ったのこと。

 

 

 弟から事情を聴き、どうにか兄の手当てを終えた。リョウは少し考えた結果、自分のトラックに兄弟二人の相乗り(ヒッチハイク)を受け入れホロウの脱出に車を走らせることを提案した。二人は治療を受けてこれ以上お世話になるわけにはと遠慮しようとしてたが、リョウは怪我を抱えたままではホロウに脱出するのは困難だと説得し相乗りを勧めていた。

 

 一応相乗りの対価(乗せる建前)としてまだ動ける弟にはいざという時の護衛を条件を示した。世の中ギブ&テイクで成り立っているし、下手な無償は後々面倒ごとに繋がるのを世間を見てきたリョウはよく知っている。

 ただこの提案を持ち掛けた理由として、見た感じ腕っぷしがある彼に物資から得物を貸し出してでも守りの人手を増やせれば、ホロウで生き残る確率が上がる。いくらこのトラックにボンプ用の自衛装備が搭載されても限界があることを考えて、リョウにとっても彼らの道連れは悪くない話だ。

 

 

 それに実の所、リョウとしても私情が無いことはない。危機的状況に陥っていた彼らがかつての自分と重なって放っておけず助けてあげたいのと──、

 

 

 

──リョウ、この先お前に色々と任せたり責務を負わせるかもしれない。お前さんは優しいからちょっとしたことで苦悩するかもしれない。

 

 

──だから念のため言っておく。もし悩んだらおまえ自身が、納得する結果の為に動け。どうにか生き残っていりゃその後の責任やら面倒ごとは俺が背負ってやる。

 

 

──なぁに、少なくともこの長い蛇体ならお前さんよりもそういったのをたくさん背負えるからな。

 

 

 

 自分の主は、困っている誰かを見捨てるようなことはしないだろうと。ならば、そんな主に従ずる自分もそれに恥じない生き方をすべきと心に決めていた。

 

 そんなリョウの提案を聞いた弟は快く引き受け、兄弟はリョウのトラックに相乗りする形となりホロウから脱出する形となった。むしろ法外でない条件を示したことに弟鬼は感謝し、護衛することに意欲的になっていた。

 

 

 ──そして今、ホロウ脱出に向かってトラックを走らせている。キャロットデータによると現時点でホロウからの出口は新エリー都方面が一番近い。リョウにとっては本来の目的地からほぼ反対側に進んでしまっているが、今はこのホロウからいち早く脱出することが先決だと、車のアクセルをより強く効かせた。

 

 邪魔者として道中で出現したエーテリアスは弟鬼が前線を張り、リョウが後方で援護し速やかに対処出来ているため思っているよりも足止め時間を食わずに進めていけた。このままのペースなら順調にホロウから脱出できるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ンナ、ンナナ──ッ!? (……しかし、気がかりなことが一つ。彼ら兄弟を襲った化け物は一体────っ!? )』

 

 

 

 突如、運転席から急接近の警告が発生。同時にトラックに強い衝撃が襲い掛かり、そのまま勢いよく吹っ飛ばされ横転した。

 

 

 

 

 

「あがっ!? 痛ってぇ~!?」

 

 

「う……運転手、何が起きた……!?」

 

 

 

 

『ンナナ……ンナッ!? (いったい何が……って、あれはっ!?)』

 

 

 運転席からどうにか這い上がり出てくるリョウ。横転したトラックの荷台の壁には強い衝撃で大きく凹んでおり、何が起きたのかと辺りを見渡すと──、

 

 

 

──グルルルルゥゥ……

 

 

 

 トラックが走っていたであろう場所に、巨大な怪物が唸り声を上げながらこちらを見据えている姿をリョウのカメラアイが捉えた。

 

 全身に刃で覆われた重厚な金属製の装甲を身に纏い、両肩にはギロチンや大斧に見える翼みたいなものが生えており、その姿は全身凶器で武装した巨大な竜だった。怪物の全身には赤黒く染まった何かの跡がこびり付き、こちらをじっと見据える眼光にはヒシヒシと突き刺す威圧感を放っている。

 

 

 

 あれは一体? エーテリアスなのか? よく見ればあの竜の胸の中心にはエーテリアスでみられるコアが存在し、体の所々にエーテルの結晶が表出している。

 

 ──だけどリョウは、あれはエーテリアスではなく、むしろ()()()()()()()()()()()()()()()だと感じ取っていた。唯一違うのは、理性がある主に対し、あれは暴力がそのまま形作った本能そのものだと。

 

 

「おい運転手! 何が起きた──って、あいつは!!」

 

 

「まさか……ここまで追ってくるとは……!」

 

 

『ンナナナナナ……! (あれが、貴方達の言っていた例の怪物……!)』

 

 

 

 トラックの荷台からこじ開け出てきた鬼の兄弟。彼らもあの怪物の姿を見て驚きと焦りの色を浮かべる。やはり彼らを襲ったのはあれで間違いない。

 そして怪物は、遠くからじっとこちらを狙い澄ますよう鋭い視線を向けつつ、じりじりとこちらに近づきながら機を窺っている。

 

 

 

 

『……ンナナナ! (……お二人共、ボクが時間を稼ぎます。その隙にあちらに向かって真っすぐ走ってください! データではあっちに出口の裂け目があるはずです!)』

 

「おい待て! お前を置いて行けってか?! それじゃ何のために護衛を引き受けたんだ!」

 

「そうだ……! それでは貴方に何も恩を返せない……!!」

 

『ンナナ! (目的を見失わないでください! この中で脱出すべきは貴方達です! スクラップ一つで命二つ救えるなら安いものです!)』

 

「しかし……ぐぉっ!?」

 

 

 問答の中、突如として兄鬼がうずくまり、同時に体表から細かいエーテル結晶が現れ出てきた。エーテルの侵蝕、それもかなり重症とも言える状態だ。

 

 

「兄貴!? どうしたんだよ!?」

 

『ンナナナァ!!? (侵蝕状態が悪化した!? 抗侵蝕剤は打ったはずなのに効いていなかった!? 不味い、このまま弟君が彼を連れて走っていくとしても出口に間に合うかどうか……!)』

 

 

 よりにもよってなぜこのタイミングで発症したのか。リョウは内心、運命に悪態をつきたくなった。

 

 

「待ってろすぐに抗侵蝕剤を────っ! やべぇ! 奴がこっちに向かってくる!!」

 

『ンナッ!? (しまったっ!?)』

 

 

 不測の事態によって彼らに隙が生まれ、その隙を逃さないほど怪物は優しくも無く、無慈悲であった。このままでは全員が迫りくる怪物の突進(チャージ)で轢き潰されてしまう。

 

 

『ン、ンナァァ……!』

 

「お、おい!」

 

 

 恐怖に震えながらも気丈に声を上げながらリョウは鬼の兄弟より前に出て、隠し持っていたボンプ用の手榴弾を取り出して、奴に目掛けて狙いを定める。この小さい自分が投げる手榴弾では奴にとっては小さい爆竹であり、稼げても1秒くらいで無駄なことかもしれない。

 

 

 

 けれど僅かな隙を稼いで、彼ら二人を1秒でも早くホロウから脱出させる。それが今のボクがすべきことだ。

 

 

 ボクみたいに機械(ボンプ)記憶領域(メモリー)が無事なら、最悪機体(ボディ)が壊れても直せばいい。けれど彼ら人間は死んだら生き返れない。自分の論理コアから合理的にすべきことをするだけだと。けれど──、

 

 

 

 

 

『(──申し訳ございません、サイドラ様。ボクは生きて帰るという、貴方様の命令に背いてしまいました……)』

 

 

 

 

 まもなく迫る殺戮の暴力。怯える内心を必死に抑え、せめて一矢報いらんと意を決し、リョウが手榴弾を投げ出そうとしたその瞬間、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──グガァアアアァァッ!? 

 

 

 

 

 怪物の体がブレ、真横に吹っ飛ばされた。同時にとてつもない速度でリョウ達の目の前を何かが横切り、速度により生まれた見えない衝撃波(ソニックブーム)でリョウは尻もちをつき、粉塵が舞い上がった。

 

 

「ケホケホッ……! なんだぁ、今のは……!?」

 

「う……いったい、何が……?」

 

 

 舞い上がった粉塵が次第に晴れていき、その先に巨大な何かがいた。

 

 

『ンナァ……(まさか、あれは……)』

 

 

 やがて粉塵は晴れ、何かの姿は彼らの目の前に現れる。銀色の装甲を身に纏い、背中にはX状に展開された見たことない金色の翼が装備されている巨大な大蛇のような龍。

 

 リョウはその姿を、見間違うはずがなかった。誰よりも強く、勇ましい自分の主がここに。

 

 

 

『……ンナァァァ!!! (サイドラ様ぁぁ!!!)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『──グゥオォォオオオオッ!!!』

 

 

 

 

 機光龍は勇猛に雄叫びを上げる。それはまるで敵に、これ以上仲間への狼藉は許さんと言わんばかりに強く、雄々しく吠え上げた。




・リョウ
不幸にも零号ホロウに巻き込まれたボンプ。道中で同行者を拾いどうにか脱出を目指すもヤバい怪物に襲われ絶体絶命の危機。仕える主の到着が間に合った。

・鬼の兄弟
エリー都のスラム住まいの鬼のシリオンの兄弟。双子なのか容姿は結構似ている。ゼンゼロの蒼角ちゃんみたいなタイプの見た目ではなく、某激しく熱かりしカードゲームでの超獣世界で有名な希望の双子(鬼修羅)と容姿がクリソツ。見た目が似てるだけであっちの世界とは何ら関係が無い。
怪物の返り討ちに遭って逃げていた所をリョウと出会い、共に脱出を目指す。

・怪物
全身凶器の鋭く重厚な装甲を纏った竜の怪物。めちゃんこ強いし、双子を探している道中に数多の人間を葬り去った。さて、何のモンスターかな?
ヒント:ボチヤミサンタイ

・サイドラ
もう大丈夫、私が来たっ!!
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