七度目のタイムリープにより新たに人生をやり直すバラノールは、ついにリスラドの全拠点を陥落させた。宿敵たちを打倒したバラノールは頂点に立つためには誰よりも強い執念を持つことだと悟った。

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PSゲーム、『シャドウオブウォー』の拡張版、「モルドールの荒廃」を私がプレイし、その八回目のチャレンジ体験を小説化しました。最近このハーメルンに書いた「バラノールの人生」の続編になってます。


続バラノールの人生

 第一章 戦いの追憶

 

 ついに俺はここまで来た。バラノールの目前には、峡谷の中に作られた、古い半壊した建築群が広がっていた。雑話するウルクたち、やぐらの上から周囲を見張るウルク、巨体を揺らしながらうろつくオルグ、そこにおびただしい敵軍の活動が窺えた。この拠点を落とせば、砦の包囲は完了だ。そうバラノールは意気込んだ。

 

 ここはオークや岩トロールなどの魔物が跋扈し、冥王サウロンが君臨支配するモルドール、その東辺境、不毛の荒野、リスラド。バラノールはモルドールの西、ゴンドール国の軍人であったが、モルドールの東辺のゴンドール領、ミナス・イシルに駐在中、サウロン軍の侵攻を受け、ミナス・イシルは陥落。ミナス・イシルのゴンドール軍は散り散りになり、バラノールは独り東はリスラドに逃れたのであった。

 リスラドのみならずモルドール中が現在そうなっているのであるが、サウロンによるオークや岩トロールの品種改良が進み、より戦闘に強化され、知力も強化されたウルクやオログが支配的な種であった。リスラドは特にマローダーと呼ばれるウルクとオログの連合部族の勢力が強い地であり、そのマローダーの長が首領として君臨していた。

 バラノールは、ゴンドール人の居場所をリスラドに再建するため、その首領を打倒しようとしたが、その配下の小隊長たちによりあえなく命を落とした。いや、落とすはずであった。

 バラノールは死んだと思った瞬間、リスラドの山中にトルビンというドワーフが構える工房にいる自分に気がついた。これはリスラドを訪れたばかりのときだ。バラノールは悟った。タイムリープだ!何の力でかわからないが、死ぬ直前に過去に戻されたのだ!どうあれ、また首領に挑戦できる!そうしてバラノールは何度も戦死を経験しながらも、タイムリープを繰り返し、首領に挑戦し続けたのだった。

 四回目の挑戦は幸運もあり、リスラドの大半を手中に収めることに成功したが、最後の拠点を攻略中、そこを死守するために結集した首領の配下たちの圧倒的な力により、結局敗戦して、またタイムリープを繰り返すことになった。今回は七度目のタイムリープによる八回目の挑戦である。バラノールはようやく四度目のときに至った段階、最終拠点奪取の戦いに漕ぎ着けたのだった。

 

 この八度目も思えば大変だったな。バラノールはその戦いの日々を思い返した。タイムリープ直後はいつもそうなのだが、ろくな装備を身につけておらず、戦いは苦戦となった。その苦戦中から上手く積み上げていけば、覇道も軌道に乗ってくるのであるが、大概そうなる前に殺された。

 今回はかなり幸運だったな。敵が見逃してくれたりもした。しかしあの屈辱は晴らさねば。バラノールは「肌を剥ぐ者」という異名を持つ皮仮面のウルク、グブにより味あわされた酷い屈辱を思い出した。

 やつと戦ったときは大分装備も良くなっていたが、近距離でのチェーンの連打はそれでも強烈だった。へたり込まされたあと、やつは「それでは面白くない。おまえの全力を出して見ろ!」とぬかし、立ち上がらせ、すぐチェーンで打ちのめし、再びうずくまったところで、「おまえは苦痛にのたうち回っているべきだ」とかほざいて、立ち去った。

 あいつを倒せなかったら、首領を倒せても、リスラドは制覇できていないようなものだ。必ずいつか仕留めてやる。

 そう回想したあと、まあお互い様か、俺に再三挑戦してきたウルクたちもいたな。あいつらも強かったな。バラノールに別な思い出が湧き起こる。

 

 何遍もタイムリープしているうちにバラノールはあまり名前を憶えられなくなっていた。タイムリープにより体験する現実のあいだには様々な相違があった。

 ドワーフのトルビン、傭兵組織バニッシングサンズの首領を務める兄、セルカ、彼らは常に出現する。リスラドの首領も毎回同じだ。しかし他の者たちは皆違っている。同じ名前、どこかで会ったような顔には遭遇するが、顔と名前の一致は全くない。

 タイムリープで人生をやり直す度に因果の連鎖が再編されるのだろうか。とすれば、ドワーフのトルビンがリスラド山中に工房を構え、兄のセルカがバニッシングサンズの首領を務め、あのウルクの首領がリスラドを治めているのは絶対の運命なのだろう。

 

 俺がタイムリープするのは俺の死では運命が満足しないということだろうか。何らかの条件に俺の未来がかなったなら、タイムリープは起こらなくなるのかもしれない。それが俺にとって良いような条件なら良いのだが。

 

 バラノールはそのような思索に耽ったあと、名を忘れてしまった強敵の顔を改めて思い出した。あいつは何遍も息を吹き返して俺に挑んできた。二度目に会ってからは、最初にステルス攻撃で殺ったときの手斧を頭にずっとブッ刺したまま出てきたな。

 四度目のタイムリープのおりに出会ったウルクの戦士、グーラが毒の化け物になる以前のころに似た感じかな。近接で強力かつ素早い連続攻撃を斬り下ろしてくる。しかもグーラより強い。正面から攻撃すると頭突きで反撃してくるし、遠隔からの射撃は全て弾き飛ばした。

 最初会ったときは何とか一人で倒したが、二回目は厳しい戦いだった。少し屈み込んだだけで体力を回復させる技まで習得してきて、それを妨害しながら戦って、やっと倒したと思ったら、最後の力を振り絞って、また体力を半分ぐらい戻してくるし、結局雇っていた傭兵を全員投入して、何とか倒したな。

 あの戦いでは「砂地」という補助傭兵が失血死したっけな。あの傭兵はこの砂ばかりのリスラドの大地に同化したような自然な目立たない動きで好フォローしてくれる良いやつだった。

 三回目は軍団長を暗殺しようとしたとき、邪魔しに出てきた。あのときも傭兵全員を投入して何とか片付け、軍団長の方は頭上からのステルス攻撃一発で簡単に片付いたっけな。過去のタイムリープすべて含めて、やつが一番手強かったかもしれない。

 

 あとボルクとかいうしつこいのもいたなあ。やつを三回目に倒したのは、ついこのあいだ四番目の拠点を陥したときだから、名前はまだ憶えてる。

 アサシンなんだが弱点が毒だからと、毒矢で倒したら、グーラみたいに毒をまとって来やがった。危うくなると逃げ出そうとするから、かえって助かったな。毒をまといながらも毒で攻撃されるのが苦手なままだったことも幸いだった。体表に毒をまとえても体内に毒を受け入れられない体構造になってたようだな。

 しかしあの執念は敬服に値する。「皮を剥ぐ者」に再戦するとき、そして最後の砦を陥とそうという今、ボルクたち、倒した強者どもの記憶が励みになる。俺の方はリベンジ果たすぜ!バラノールは激しく闘志を燃やしたのであった。

 

 

   第二章 最後の砦を陥せ!

 

 バラノールは傭兵たちを率い、南東の拠点から時計回りに進軍してきた。拠点の奪取はそう難しくはなかった。傭兵たちもナイスジョブの連続だった。しかしタイムリープによる四回目の挑戦のときもそうだった。今回は果たして最後の拠点を陥せるだろうか。おそらく首領は総力をあげてその拠点を守ろうとするだろう。なぜなら、そこを陥せば首領の砦への包囲が完成するからである。つまり戦局は首領に王手をかけるに近いところまでになるのだ。

 最後の拠点はムズというウルクが仕切っている。奇しくも第四回目の人生のおり、最後の拠点を仕切っていた隊長の名もムズだった。しかし同名異人だ。前のムズは「博学な書記」という異名を持つ褐色で痩せ型のウルク、今回のムズは灰色の肌のずんぐりしたディフェンダー戦士である。しかし名の一致が結果の一致につながるのではないかと不安を覚えずにはいられなかった。

 バラノールが高台から眺めれば、ムズの他に四人の小隊長がうろついている。やっぱりそのへんの展開は以前通りか。なるべく早いうちに数を減らしておきたいな。こちらに向かってくるのが一人いる。手始めにやつを片付けるか。身を潜めつつバラノールは短剣を構えた。

 バラノールが頭上からステルス攻撃を浴びせる!隊長がよろめいているところで、素早くフック付きロープで高台に上がり、もう一度ステルスを決めた!あと一息だ!

 「人間の臭いがする!」

そう言って別の隊長がやって来てしまった。探知と追跡が得意なハンタータイプだ。ここぞとばかり弱った隊長はうまうま逃げ出した。警報の音が聞こえてきた。ハンター隊長も向きを変え、本陣へと戻っていった。結局、本陣に敵隊長五人が集結してしまった。

 まだ勝算はある!四回目の挑戦のときと同じような環境になっていれば!四回目のおりの最後の拠点は西北、今回は東北方と位置は違うが、タイムリープで繰り返されることには同一のパターンも見える。まず敵陣を見下ろせるところに移動だ!

 バラノールは敵陣を見下ろし、予想通りであったことに感謝した。本陣の中に大きな浅い蟻地獄のような箇所が一箇所ある!あれは化けミミズが潜り込んでいる証拠だ!以前はあれを利用することを思い着かなかったが今回はやってやる!バラノールはその窪みに矢を射た!巨大なミミズの化物が出現し、最寄りのウルクに頭から食いついた!

 よし、うまいぞ!化けミミズと共闘して、拠点奪取だ!隊長たちを狙って矢や爆弾を発射しながら、化けミミズを適度に起こす。うまい具合にいってきた。

 

「見つけたぞ!」

 

!!

 

 ハンター隊長が持ち前の探知力を駆使し、部下を率いて登って来た!しかし狭い屋根上に大人数は上がりにくい。そう苦戦せず、ハンター隊長を討ち取る。

 そして下を見やれば、戦闘では敵味方を問わず攻撃してしまうバーサーカーの隊長が、あまり体力の残っていなかった、先ほど討ち漏らした隊長を斬り殺していた。

 バラノールは傭兵三人全員に招集をかけ、自分のまわりを守らせ、射撃に専念した。そうして下方、陣内にいたオログの隊長を毒矢で射殺すると、大ジャンプして背中のカイトを開き、敵陣の上空を滑空!上空からバーサーカーの隊長をステルスアタックで仕留める!

 さあ、残りはムズと陣の征圧のみだ!盾で防御を固めるムズだったが幸い毒矢に残量があり、守備よく射殺!残りの残党たちと陣内で戦い、無事バラノールは自軍の軍旗を陣にうち立てた!砦以外のリスラドの拠点は全てバラノールの軍に陥ちたのである!

 首領よ、待っていろ!もうすぐおまえに会いにいく!バラノールは最後の戦いに向け、激しい闘志を燃やしつつ、最後のプランを考え始めた。今度こそ最後までやってやるぞ!

 バラノールは恋人、亡きミナス・イシル総督の娘、イドリルや親しい同僚たちについて思い起こした。リスラドを制覇したら、みんなを探してここに集めよう。ミナス・イシルに代わる新たなゴンドール人の都市造りだ!バラノールは希望に満ちた前途を思い描いたのだった。

 

 

  第三章 執念

 

 最終拠点を制覇し、砦の直接攻略が可能となったバラノールであったが、すぐ攻略に急ぐことはしなかった。以前、拠点を四つ陥とし、このまま楽々行けると楽観して、最後の拠点の戦いに臨んだが、予想外の敵の強さに圧倒され、敗北したことを忘れてはいなかったのだ。

 バラノールはとりあえず砦の街中で数人の小隊長を狩った。第四回目の人生において、小隊長ホルクをずっと生かし、最後に彼の射撃を受け、動けなくなったところを他の者により仕留められた。バラノールは手痛い教訓を得たのだ。目立たないやつだからといって侮るな、というわけである。

 

 軽い狩りをしたと意気揚々砦の城門から外へ出たとき、突如、重装備のずんぐりしたウルクが立ちはだかった。伝説級のディフェンダー戦士、「看守」こと、ホグブリグである。

 どうやらこいつは俺を城壁の内側に閉じ込めておきたいようだな。だが、おまえを倒して脱獄だぜ!バラノールは盾を構えるホブグリブに対し、頭上を飛び越え、背後を突く戦法をとってみた。

 しかし流石はレジェンドのホグブリグ!数回飛び越えをしただけで、飛び越えを見切られ、頭上で叩き落とされるようになった。

 そこでバラノールはホブグリブが盾を持ち身構えているところをフック付きロープを引っ掛けて引き倒し、そこを刺す戦法に切り替えた。結構上手くいき、その戦法にはめれたが、うっかり側で隙を作り、三連続斬撃をくらい、動けなくなってしまった。

 攻撃力が無茶高い!ここまでか!とバラノールが覚悟を決めたとき、ホブグリブはこうほざいた。

「基本的な戦い方もわかっちゃいないようだ」

そして彼はそのまま去っていった。

 屈辱である!生き延びたのはいいが、屈辱的体験はグブのときだけにしたかった!この屈辱は晴らさねばなるまい!バラノールは彼の痕跡を探した。

 

 はっきりした足跡がある。これは重装備のやつが歩いたときにつく深い足跡だな。間違いなくこの先にいる。バラノールは少し距離をおいて足跡を崖上から追うようにしてホブグリブの痕跡を追った。

 見つけた!この崖下に今、ホブグリブが手下たちとたむろっている。さて上から攻撃してやるか!突然、背後からモルドールの肉食獣、カラゴルが現れた!

 こんなときに!

 

??

 

カラゴルは向きを変えて茂みに戻って行った。あの先に強者がいることを本能で感じ取ったのかもしれない。

 カラゴルの賢さに感謝しつつ、崖のへりへと静かに歩むと、弓兵が崖へりに立って、ホブグリブたちの方を注視している。案の定、見張りを置いてたか、素直に足跡のすぐ後ろを辿っていけば、すぐ発見されて、やつらに不意打ちができなくなる寸法だな。

 バラノールは見張りを後ろから静かに殺すと、崖上からホブグリブにステルスアタックを仕掛けた!決まったが、それほど効いていないようだ。笑って部下どもと反撃してきた。

 バラノールは距離をとり弓メインで戦った。あの攻撃力の相手に迂闊なことはできない。

 集団を翻弄しながら戦っていると、「砂地」の後任の補助傭兵、「鉄面皮」がずんぐりしたウルクを羽交締めにした状態で現れた。側面まで覆う鉄兜を被っているからといって「鉄面皮」はないだろうと思ったが、どうやら本人がその呼び名を気に入っているようだ。

「物持ちのウルクを捕まえたぜ!雇い主はあんただから届けとくぜ!」

そう言って、そのウルクを放った。

 バラノールがそのウルクを刺し殺すと、懐から結構な金が転がり落ちてきた。流石に金と酒を戦いと同じくらいこよなく愛するマローダーのウルクだな。バラノールはにやりとしたが、のんびりできる状況ではない。バラノールは「鉄面皮」とともにすぐホブグリブの一団と戦い始めた。

 しかし補助役の「鉄面皮」にホブグリブは厳しい。バラノールは警戒して距離を取っている分、「鉄面皮」はホブグリブの強烈な斬撃をまともにくらい窮してきたようだ。

 まずい!バラノールは毒爆弾や毒矢でホブグリブの動きを抑える作戦をとった。受ければ、相手が少しぐらいたじろぐように攻撃しなければ!

 しかし突然、背後からヘドロをまとったアサシンが現れた!ボルク!四度目かよ!いい加減成仏しろ!バラノールはボルクを相手にせざるえなくなった。背後で「鉄面皮」がホブグリブに処刑される音が聞こえた。

 やりやがったな!ホブグリブ!ホブグリブの部下どもはすべて片付いていたので、ボルクとホブグリブを交互に攻める!

 

??

 

 いつのまにかホブグリブがいない!上手く逃げやがったか!ボルクめ!俺のリベンジを邪魔しやがって!おまえのリベンジはここで終わりにしてやる!

 バラノールはボルクに毒矢を放った。彼は毒が武器ではあるが、自身も相変わらず毒に弱い!

「おぼえてやがれ!」

逃げるボルク!

「逃すかよ!」

背後から毒矢を射て、ボルクを足止めし、追いつき、エグゼキューション!ボルクは息絶えた!

 

 勝ち残ったところで、バラノールは傭兵組織バニッシングサンズの諜報部とコンタクトを取った。あのままでは済まさない!「鉄面皮」の仇!バラノールは諜報員にホブグリブの居場所について聞いたのだった。

 驚くべきことに、ホブグリブはすでに死んでいた!バラノールはホブグリブと戦う直前にカラゴルと出会ったことを思い出した。ホブグリブはかなりの深手を負って逃げた。あの野生獣は賢くも目敏いやつだ!好機を逃さなかったのだな。

 しかし、自身の手でホブグリブを倒せなかったことにバラノールは煮え切らない思いを抱えていた。

 こうなったら、ここで屈辱をすべて晴らすか!グブを討つときだ!バラノールはグブの潜む古跡に足を運んだ。

 

 グブが焚き火の側で部下どもとたむろっている。グブの弱点は炎だが、弓矢を全て弾く技能があるから、火矢は使えない!焚き火がある場所で戦えるとはまさに好機!バラノールは焚き火に矢を打ち込んだ。焚き火に矢を打ち込み、爆発を起こさせるのはバラノールの特技の一つである。大爆発でグブたちは火に包まれた。

 燃えながら、うずくまっているグブに剣を打ち込むと、すぐ反応してきた。グブの反撃をかわし、距離を取る。

「この野郎、面倒かけさせやがって!」

グブは言った。

 そこでバラノールはグブの傍にあったグロックの樽を射抜いた!グロック、そのウルクの酒はアルコール度数が極めて高く、発火性、燃焼性が高い。その樽を矢で射ろうものなら、大爆発である。再びグブたちは炎に包まれた。

 そこでまたグブに駆け寄り、バラノールは剣撃を加える。大ダメージ負いながらも激しく反撃してくるグブ!

 バラノールはフック付きロープを半壊した石造りの古建築物の上方にひっかけ、ひゅんと遥か上方に移動した。

 下でグブが探し回っている。今だ!

 

バサッ!

 

上方からのステルスアタックが決まった!バラノールはグブの喉をかき切った!リベンジは果たされたのだ!

 

 溜飲を降ろしたバラノールは数人、他の小隊長を片付け、再び砦の街中に戻り、軍団長をも一人片付けた。

 

 次の標的はまだ街中にいるかな?おっ!ラタクというトリックスターがいるな。こいつを仕留めるか!バラノールはラタクを探した。

 

 いた!積み上がった物品を物色している!情報によればステルスアタックが通用しない変幻自在の相手だな。ここは矢で攻撃しよう。バラノールは矢を射まくった!ラタクは矢でフリーズ状態!これはいける!

 しかし街中というのが問題であった。他のウルクたちがバラノールを発見し、バラノールの立っている家屋の屋根に上がってきた。バラノールは群れに対処しながら、ラタクの方に滑空して着地し、彼に接近戦を挑む!

 しばらくすると、ラタクは撤退を始めた。追おうとするが、いつのまにかウルクだらけである。距離を取られたところで、トリックスターの特技を決められた。ドロンとどこかに消え失せてしまったのである。バラノールはラタクにまんまと逃げられてしまった。

 バラノールはウルクたちを振り切り、再度ラタクを探し、また戦いを挑んだが、同じ結果になった。

 バラノールは諦めなかった。三度目の戦いでついにラタクを追い詰めた!とどめだ!

「俺が殺されるときがあっても今ではない!」

ラタクは眼前でドロンと消えた。

 いつまでもそうやっていけると思うな!バラノールは四度目の探索と戦いの末、ついにラタクを処刑した!ラタクは右腕と右脚を切断されて絶命した。

 

 バラノールは思った。リスラドを制するのは執念だ!より強い執念がある者が頂点をつかむ!ボルクよ、おまえのしつこさには嫌気がさしたが、俺の執念の方がおまえより強い!だからおまえに勝てたし、全てのリベンジも果たした。逃げるのが巧みなやつも討てた!おまえを超えるしつこい俺がリスラドを制覇すなら、納得だろう?

 バラノールは心中で死んだ宿敵、毒気のアサシン、ボルクにそう語ったのだった。

 

 

エピローグ

 

 これはリスラドの砦の城壁付近から発見された手記である。「バラノール」とは四百年ほど前にウルク政権に反乱を起こした人間たちのリーダーの一人、ハラド人のバラノールその人に間違いあるまい。おそらくこれはその人本人が第三者の視点からタイムリープという空想あるいは妄想を交え、自己を回想したものであろう。

 彼とその兄のセルカは東夷人の軍団、バニッシングサンズを率い、ときのリスラド・タクラ政権を打倒したことで歴史上よく知られている。しかしその後の足取りは全く謎であり、リスラドも再びウルクの国となった。

 バニッシング・サンズはモルドール中を巡り回る傭兵団になったとする学説が今のところ最有力であるが、この手記はそれに何らの傍証を与えない。だが反乱直前のバラノールの動向については大変詳しく、簡単な史事としてしか記さない史書の記録を大いに補うものである。

 人間側からの偏見に溢れた記述ではないかと思われる記述も散見するが、当時のウルク=オログ社会の状況を知るうえでも貴重である。批判的な見地からこの史料を分析することで妥当な歴史像が見出されるのではないかと考える。

 最近、固有文芸復興の波から暗黒語の書籍が増えているが、ウルク=オログを越えて、全世界の全種族と学術成果を共有するという政策方針により、共通語に同史料を翻訳し、ここに公開した次第である。リスラド史研究の今後の発展の寄与となれば幸いである。

 

リスラド・ウルク=オログ共和国筆頭史官

「博学な書記」アムグ




これ以上は続編は書きません。ゲームプレイ満足いきましたから^_^では執筆はしばしおやすみしまーす。

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