中身はにゃんこ先生では、ありません。
短編ですが、面白いそうだと思ってもらえれば長く書きたいです。
ガンッ!!!
衝撃と共に目が覚める。
「あっ!猫ちゃんが!」
近くから子供の声が聞こえる。
「ごめんね!すぐに起こすからね」
置物の体が祀られていた祠に戻される。
「壊れてないよね?セ〜フ」
「せえふではないわ。小娘」
「ん?」
少女が周りを見渡しているが、周りに〝人〟はいない。
「気のせい?」
「こちらだ」
「え?・・・猫ちゃん!?」
体に力を込めて、置物の猫を本物の猫さながらに動かす。
「えぇぇ!?置き物じゃなかったの!?」
「置き物ではない。わたしは妖だ」
少女は無視して、ほっぺたをつねっている。
「い、痛い」
「当たり前だ。バカなのか?」
「バカじゃないもん」
バカというより、ポンコツっぽいな。
「猫ちゃんは、妖なの?」
「そう言っているだろう」
「はえー、そうなんだ」
普通、もうちょいなんかあるだろう。
「お名前は?なんていうの?」
「・・・・・・にゃんこ先生と呼べ」
「なんか変な名前」
それはこちらの責任ではない。
「食ってやろうか」
「あははは」
「お前の名は、なんだ」
ツボに入ったのか、まだ笑っている少女に訊ねる。
「私はね、宮野明美。12歳だよ」
今度はこちらが驚く番だった。
◇◆◆◇
俺は、死んだと思ったら、転生していた。
しかも、夏目友人帳に登場するにゃんこ先生、正確にはまだらに成って。
意味が分からないので、とりあえず、情報収集のために、空を飛んで旅に出た。
何年も過ごすと、いくつか分かったことがあった。
1つ目は、ここが江戸時代であること。
これは割とすぐにわかった。思ったより強盗や殺人が多いことには、びっくりしたが。
2つ目は、妖と祓い屋がほとんどいないこと。
いろんな噂を確かめに行ったが、伝承やいた痕跡だけだったり、詐欺だったりとほとんど無駄足だった。
3つ目は、夏目友人帳の世界でないこと。
2つ目に付随して、こっから妖が爆増するわけないので、違うのだろうという結論に至った。
せっかく、ロールプレイしてたのに完全に無駄になった。
これからどうしようかと思っていると、祠ににゃんこ先生そっくりの置き物を見つける。
これは運命だと思い、吸い込まれるように中に入った。
すると、なんとシンデレラフィット。
そのまま抜け出せなくなって、もがいてるうちに諦めて眠りについた。
だが、倒された拍子にスポッと抜け出せた、というわけだ。
そして、今に至るのだが。
目の前の少女は宮野明美というらしい。
宮野明美で思い出されるのが、名探偵コナンに出てくる灰原哀の死んでしまった姉だ。
まだ、同姓同名なだけだが、妖としての勘がそうだといっている。
「おい、妹はいるか?」
「いるよ!志保って名前で、すっごい可愛いんだー」
はい、確定です。ありがとうございました。
クソッ!コナンかよ!通りで治安が悪いはずだ。
「あ、早く帰らないと怒られちゃう」
この時期の宮野明美は、黒の組織の監視下だったか。
「私が妖だということは誰にも言ってはいけないよ」
黒の組織に捕まって解剖とか実験とかは、嫌すぎる。
「うん、わかった。じゃあね、にゃんこ先生」
「ああ」
手を振りながら、走っていって見えなくなる。
「さてと」
本来の姿に戻って、空から彼女の後を追いかける。
すぐに追いついて、上から見てると古びたアパートに入っていく。
にゃんこになってドアの近くで耳を澄ますと声が聞こえる。
「ただいま戻りました」
明美の声にさっきみたいな明るさはない。
他に気配はあるが、動いていないため、おそらく、監視してるやつなのだろう。
そのあと、しばらく様子を見ていたが、生活音がするだけで話し声は、明美の独り言みたいなものしか聞こえてこなかった。
◇◆◆◇
次の日の朝、待っているとアパートからランドセルを背負った明美が出てくる。
「明美、おはよう」
周りに誰もいないことを確認して、話しかける。
「え!!にゃんこ先生!どうしたの!?」
「お前が、誰かに話してしまわないか見ていたんだよ」
「・・・そっか。大丈夫、誰にも言わないよ」
そんな悲しい顔されたら、こっちが大丈夫じゃない。
「明美、お前はわたしが動けなくなっていたところを助けてくれた。代わりに、ひとつ願いを聞いてあげよう」
「え・・・」
歩くのをやめて、こちらを真剣な表情で見てくる。
「不老不死や死者の蘇生などはできないが、できる限りのことは叶えよう」
「じゃ、じゃあ、私はいいから志保を、妹が困ったときに助けて!」
予想はしていた願いだが、本当に優しいというか。シスコンというか。
「承った。1度だけ妹を助けてやろう」
「ありがとう。にゃんこ先生」
「ではな」
契約を交わして、その場を立ち去った。
◇◆◆◇
その後、明美とは直接会うことはせずに、原作を見守るため、夏目貴志に変身して生活していた。
途中で、事件に巻き込まれたり、原作キャラとの遭遇はあったが、概ね原作通り進んだと思う。多分。
そして、今日、俺はジンに撃たれていた。
ジン達が立ち去って、少しするとコナンがやってくる。
「しっかりして!雅美さん!」
「・・・コナンくん、どうしてここが」
「発信機を雅美さんの車につけておいたんだ」
さすが名探偵、平然とやりやがる。
「事件の黒幕に会いに行く思ってね。あの時ちゃんと話しておけば」
「君は一体・・・」
「・・・工藤新一・・・探偵さ」
溜め過ぎだろ、名探偵。
名台詞のあと、黒の組織のこととお金のありかをコナンに教える。
「頼んだわよ、小さな探偵さん」
「っ!!くっ!」
最後のセリフを言って、死んだフリをする。
その後、救急車で病院に運ばれる。
1人になったタイミングで、そっくりになる不思議な人形に妖力を注いで、夏目の姿になって逃げる。
なんとかなったはずと自分に言い聞かせながら、自宅に目指す。
無事に帰ると、ベッドの上に入れ替わったときに、気絶させた本物の明美がいることを確認する。
「終わったか」
ひとりごちると、腹部にある弾丸を取り出す。
基本的に銃弾とかは効かないが、気分は悪いので、ジンにはいつか仕返しすると決めた。
座って本を読んで待っていると、明美が目を覚ます。
「うっ、ここは・・・一体」
「起きたか、明美」
「だれ!!?」
気付いたら、知らない部屋に男といるとか、コナンなら普通にありそうだな。
ボフンッ!
にゃんこ先生の姿に変身する。
「え!?ねこ!?」
さすがに、そいつが猫のパターンはないけど。
「にゃんこ先生と呼べ」
「・・・・・・あっ!あのときの!?あれは夢じゃなかったの!?」
「頬をつねらなくていいのか」
そういうと本当に頬をつねりだす。
「・・・痛い」
「バカは治っていないみたいだな」
ようやく信じ始めたようで固まっている。
「・・・そうよ!10億円は!?志保は!?」
「残念ながら、初めから嘘だったようだ」
テーブル置いてある銃弾を見せる。
「やっぱり・・・でも、それしかなかったのに!」
明美が両手で顔を覆って、悔しさを滲ませる。
すると、バッと顔を上げてこちらを見てきた。
「あのときの約束は!?助けてくれるって!」
使えるものはなんでも使って助けたいよな。
「今回、お前を助けたことで契約は果たした」
「なんで!?私より志保を助ける約束でしょ!」
「お前の妹が、姉を心配して困っていたからな。妹を助けるためにお前を助けたということだ」
「そんな・・・」
あと勝手に助かるしな。
「明美、新たに契約を結ぶか?」
「・・・」
すごい睨んでくる。
「お前を妹と会わせてやろう」
「タダじゃないんでしょ」
「その通りだ」
「何をすればいいの・・・」
妹を助ける条件に、本当に10億盗んだくらいだ、なんでもやるだろう。
「それは、毎日うまい飯を作ることだ」
「・・・ん?」
「これから先、わたしがいいというまで、毎日飯を作れ」
冗談みたいだが、コナンの出現により、飯屋にいると、事件に巻き込まれる可能性がすごく高いのだ。
それを回避するために、ご飯を作ってほしい。
「ずっとってこと?」
「わたしがいらないと言うまでだ」
組織が壊滅して、コナンが元に戻るまでということなのだが、それも説明できないのでこうなる。
「分かったわ」
「本当にいいのか?婚姻はかなり難しくなるぞ」
完結までどのくらいかかるか分からないので、暗に赤井秀一とのことを聞いている。
「うん、もういいの」
まあ、本当は死んでたし、妹を優先したいのだろう。
「では、契約成立だ」
「いつ、志保に会わせてくれるの」
「早くて3ヶ月後くらいだな」
今、博士の家に保護されてるくらいだろうから、知り合いになって、信頼得てってなると、そのくらいはかかるはずだ。
ただ、コナンは連れてきて、巻き込まれたくないのだが、振り切るのにもっとかかる気もする。
「3ヶ月も・・・あの子、大丈夫かしら・・・」
「あと会わせるだけだぞ。一緒には暮らせない」
「・・・聞いてなかったけど、今の私ってどういう状態なの?」
「10億円強盗事件の犯人広田雅美は、身元不明の遺体で死亡扱いだ。明日の朝刊でも見てみろ」
宮野明美の方はどうなんだろうか。
抹消されていそうだな。
「だから、しばらく外には出れない。お前を殺した組織もおるからな」
「ねぇ、組織を・・・やっぱりなんでもないわ」
組織を壊滅させてくれとか言いたかったんだろうか。
「妹の状況を確認してくるから、うまい飯を作って待っとけ」
「志保をよろしくお願いします」
明美が、立ち上がって深々としたお辞儀をする。
「大船に乗ったつもりでおれ」
このあとは、小さい灰原を運ぶ簡単なお仕事だと油断していたが、名探偵を上手く避けれる訳もなく、大変なことになっていくお話。
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