ユニバース戦士補ジュウ計画   作:壱肆陸

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本日はMasterTreeさんの作品です!
(X:@OHMA_Master1020)
(ハーメルン:https://syosetu.org/user/137480/

「正義ノノリテ」
https://syosetu.org/novel/374798/3.html
の続編となります。

本来3話あったのを1話にまとめたので、3章仕立てでお送りします。

(以下、作者様の前書きです)


本当はセルフ三次創作シリーズで投稿しようかなとか考えましたが、企画で番外編集をやるとの事で予定変更。アイデアを考えてたセルフ三次創作ストーリーの一つをピックアップ。

時は第三回指輪争奪戦。
再びゴーオンレッドの指輪を手にした桜は前回とは違い、その力を思うがままに使っていたのだが ある日思わぬ災厄に見舞われて───


正義ノシカク

 

第一章 「厄災パニック」

 

 

 

これは俺が再びゴーオンレッドの力を手にしてから少し経った後の、

ちょっと未来の話である───

 

 

*****

 

 

夜。

家への帰路を行く人も消え、人々が1日を終えようとしている時間。

 

ここはとあるジュエリーショップの前。

そこに止まった黒いバンから現れる一団があった。目出し帽を被り、バールやハンマーなどを手にした黒ずくめの服の者達。

 

彼らは施錠されたガラス戸を叩き割って店内へ侵入。ショーケースも破壊し、事前に下調べをしていたのか、1つ1つが超高額のアクセサリーを迷う事なくバッグの中に無造作に詰め込んで行く。

 

そうして粗方盗り終え、バンに乗り込みあとは逃走するだけといった所で────

 

 

「はいお疲れェ!!」

 

 

そのバンの屋根に飛び降りながら深々と大剣を突き刺す戦士有り。突然の急襲に驚き、慌てて転げ出てくる窃盗団達は車の屋根を見上げその姿を視認した。

 

鳥のようなデザインのメットを被った、真紅の戦士。この俺────ゴーオンレッドを。

 

「ったく…ここ最近近所で頻繁に目撃された不審者情報。加えて前にネットで見て覚えてたパターンのマーキングを見かけたからまさかと思って調べてたけど…マジで来るとはな」

 

っ…このっ…クッソ抜けねぇ…!まあいいか、ただの人間相手なら使わねえし使えねえ。

ロードサーベルを放置したまま、車の屋根から飛び降りる。

 

手に持った凶器を向けながら目出し帽の連中が警戒を強めたのを見て、こちらも給油ノズル型の銃…マンタンガンの銃身を回転。先端を伸ばしてロッドモードに。

 

「けど運が悪かったな?金に目が眩んで、軽率に人生棒に振って…その末路がただ捕まるだけじゃ無いんだか…っと!?」

 

と喋っている途中で1人がハンマーを手に殴りかかって来たが、得物が大きく動きも単調だった為難なく回避し、返す刀でその背に振り抜き吹っ飛ばす。

 

 

「おいコラ!ヒーローが喋ってる時は黙って聞けやハゲ!あ〜もうあったま来た!もう少し喋り倒してからカッコよくキメたかったけどそもそもコイツら相手にそんな拘る必要ねえや!」

 

「Go!」のかけ声と共に両足を揃えて飛び上がり、前宙からの一撃。持っていたバールを叩き落とし、返しで横っ面に叩き込む。

 

あっという間に2人やられ、パニックになったもう1人のハンマー持ちの手を掴んで引き寄せ膝で一撃。気絶させたそいつをもう1人に放り投げ倒れたところで…

 

「っラァ!」

 

スイカ割りの如く真っ向から腹に向けて振り下ろす。強い衝撃を受けて2人は気絶。確か6人いたからこれで残りは2人…あれ、1人だけ?

 

「計算ミス?いや、こんな小学生の算数以下の問題で俺が間違えるわけ…」

 

などと考えていると、唸るようなエンジン音が響く。音のした方を振り向くと黒いバンがドアを開けたまま急発進。そうだ、実行犯ばかり気にして運転手のことが頭から抜け落ちてた!

俺としたことが…!

 

「っ、逃すか!」

 

マンタンガンをガンモードにし即座に発砲。

慌てて狙った為多少弾はバラけたものの両方の後輪に命中。パンクし制御を失ったバンは電柱に激突し停止。運転手も気絶したようだ。

 

「アレは…一旦放置でいいや…あとはお前!」

 

仲間が全員やられ、残った1人は他の奴らなどお構いなしに一目散に逃げ出していく。普通の人間相手ならそれで逃げられたんだろうが…残念、相手が悪かった。

 

両足のタイヤを回転させて加速し、地面を滑るように駆け抜け先回り。体を捻って後ろ回し蹴りの要領で足刀を叩き込み壁に叩きつけ、最後の1人もダウンさせた。

 

「っし、チェッカー・フラッグ!」

 

左拳を突き上げ、お月様に向けて高らかに勝利宣言。したところで鳴り響くサイレンと野次馬が集まって来ているのに気づいた。

 

「っと、ここまでだな…。後は警察の仕事だし、俺は退散するとしますか!」

 

今倒したやつと運転手のやつを引きずって他の4人と共に一纏めに積み重ねたあと俺もそそくさと退散した。

 

 

*****

 

 

「なぁニュース見た?」

「見た見た!結構近くだったよな?」

 

「しかも警察が調べたらさ…」

「ね〜?周囲の家にも幾つか特有の目印みたいなのがあったって…余罪どんだけ出て来るんだろ」

「早く捕まってよかったね〜」

 

「でも、なんかそいつらやっつけた奴がいたんでしょ?」

「そうそう!なんだっけ?熱海常夏総理がそうだったやつ!確か、指輪の戦士?の…」

 

 

「ゴーオンレッド…フフッ♪」

 

教室を飛び交う朝の噂話を耳にしながらスマホのニュースを閲覧。

 

『アクセサリー強盗撃沈!またしても指輪の戦士の活躍か?』見出しの写真にはデカデカと俺…もといゴーオンレッドがカッコよく写っていた。

 

ある日テガソードに告げられた、指輪争奪戦のやり直し。それによって再びゴーオンレッドの指輪を手に入れた俺は、修行がてら街の犯罪者を相手に戦う日々を送っていた。

 

まあプライバシーとかを考えて正体は隠してるので大っぴらに言えないのが残念だし見返りを求めてる訳でも無いんだが…それでも賞賛の声を浴びせられるのは気持ちがいいものである。口の端が吊り上がって仕方ない。

 

「んっフフフ…って!」

 

「こら、そんなにニヤけない。また暴れてたの桜くん?」

 

軽く頭を叩かれ、振り向くとそこには愛しの彼女(あいぼう)の結衣が。何処となく呆れ顔の彼女に反論するかのようにちょっとムッとした顔をしてみせた。

 

「人聞きの悪いこと言うなよ結衣。暴れてたのは捕まった犯人の方、俺はそれを止めただけだ」

 

「指輪が戻って来てからと言うものの、あの時できなかった分今度は思い切り使ってやる!って言ってたのはどこの誰?」

 

「…俺、だけど」

「でしょ?」

 

「でもさ!悪いことに使わないだけいいじゃんかよ!何かと物騒なこの世の中、少しでも悪の芽を摘むことができるなら…」

「それで危ない目に遭ってたら本末転倒だよ?いくら普通の人間より強いとは言っても私は君が心配で…」

 

「…あ〜分かってるよ」

 

「その間は分かってないやつ!今まで何回君のそれを聞いたか…」

「えい」

 

「っ!?ちょ、あっ…さ、さ、桜く…!」

 

結衣の腕を掴み、倒れ込んできたところをギュッと抱きしめてやる。そして彼女の耳元に口を近づけ…

 

「心配してくれてありがとう、結衣」

「〜ッ!?!?」

 

「でも大丈夫。絶対油断しないようにしてるし…心配してくれるから、どんな事があっても無事に帰るんだって気になるんだよ?」

 

「ぁ…うぁ…」

 

優しい声色で囁きながら彼女の頭を撫でてやるとジタバタしていたのが急にしおらしくなった。

 

「だから、お説教はおしまい。さ、ほら立って…」

「えぇい!」

 

ゴッ!という鈍い音と共に頭部に走る衝撃。

結衣の放った頭突きが俺に炸裂し、椅子ごと後ろに倒された。

 

「っ〜!もう、バカ!!」

 

結衣は耳を塞いで顔を真っ赤にしながら自分の席に戻ってしまった。

 

よし、お説教の時間をかなり短縮できたぞ。

こうして付き合いだしてから気づいたことだが結衣は真面目に硬く生きて来たぶん意外と押しに弱い。こういうのが意外に効く。

 

…その代償がすっごいけど。

思ったよりクッッッッソ痛え。

 

「ま〜たあの2人は漫才してるぞ」

「それに懲りない桜も桜だけど…」

 

「木之実君って真面目キャラだと思ってたけど、意外と女誑し…?」

 

なんか人聞きの悪い台詞が聞こえたぞ?

いや、こんな事するのあの子にだけだし。他の女子には絶対言わんし。そう、敢えて言おう。

 

「失礼だな…純愛だよ」

 

 

*****

 

彼女の少し後ろを行きながらの下校。

結局今日は全く口を利いてもらえなかった。

それでも自然と帰りが一緒になる辺り怒っては無さそうである。…けどこれ以上無言になるのは流石に堪える。

 

「結衣〜」

「…」

 

「結衣さ〜ん?」

「…」

 

「────ゆい」

「っ!?」

 

スパァァン!といういい音が鳴りそうな勢いで結衣の平手が頭部に炸裂。思ったより強くて頭を抱えて悶える。

 

「オ゙ォ゙…痛ってぇ…!」

 

「き、急に耳元はやめて!なんかゾワゾワする!」

 

「えぇ〜?でも結衣さん、お好きでしょ?」

「もう1発行っとく、桜くん?」

 

「これ以上馬鹿になったら進路に支障出るからやめてお願いグーでバーンはやめてくださいお願いします!!」

 

平手どころか今度は笑顔で拳を振り上げて来たので即座に謝る。付き合い始めてだいぶ経つがどうしても結衣には勝てないのだ。

 

「…学校ではやめて。みんなの目があるし…」

「今更では?俺らって同じクラスになる前から何かと一緒にいるし」

「それは委員会活動でだし、ただの同級生だった時でしょ?それとこれとは話が別なの!それに…」

「それに?」

 

「……2人きりの時だけが、いい」

 

「────!」

 

拝啓 テガソード様。

貴方がくれた指輪を拾ったおかげで俺はこんなにも可愛い子とお近づきになれました。いや可愛いのは前から思ってたけどこうしてより親密になってからより可愛く見えます。弥栄。

 

「っ〜!あーもうホント可愛いな結衣〜!」

 

「わっ…!もう桜くん…」

 

「よーし!今度のデートは張り切っちゃうぞ〜!ちょっと良い店探しなおそっかな〜?」

「いつも通りでいいって…」

 

思わず抱きつく俺をやれやれと言った表情で剥がす結衣。なんだかんだありつつも、そうしてくだらない話をしながら俺たちは今日も帰路を行く。

 

そうして歩きながら俺は指輪を眺めていてふとある事を思い出した。

 

「そういえば結衣、結局どうするんだ?()()

 

「あ〜…これ?」

 

結衣は制服のブレザーのポケットからあるものを取り出す。火の文字が描かれた赤い獅子の姿のメカと白い陣幕や幟の描かれた、俺と似た金の指輪。

 

そう、俺の持つものと同じ『ユニバース指輪』そのうちの一つ、シンケンジャーの指輪である。

 

俺の指輪が戻ってきて少し経った頃、結衣の元に何故かこの指輪がやって来たのだ。

 

何故前回の指輪争奪戦に参加していなかった彼女の元に指輪が来たのか。テガソード本人に確かめるべく2人でテガソードの里を尋ねたところ────

 

 

*****

 

「へぇ〜!ウチの指輪、あなたのところに行ってたんだ〜!ウンウン、彼氏もセットでキラキラしてるって感じ!よきよき!」

「まさか緒乙の指輪が橘さんに渡ってたなんてね…こっちとしても驚きよ」

 

自称一河角乃さんとその妹さんだというギャル緒乙さんに出会ったのである。ちなみに、自称一河さんはガチの一河さんだった。

 

曰く、とある潜入調査の為にテガソードに頼んで顔やら声やらを変えてもらっていたのだが、元に戻せなくなってしまい現在に至るらしい。

 

それでいいのか?

でも本人的にも今の容姿気に入ってるらしいし本人がいいなら…外野がとやかく言うことじゃ無いか。

 

「とりあえず、一河さんに関してうんぬんかんぬんあったのは理解しました。それはそれとして、なんでシンケンジャーの指輪が結衣のところに?」

 

「ちょっと待って桜くん、一河さんだとどっちがどっちか分からないでしょ?下の名前で呼んでくれる?」

「あ〜…じゃあ、角乃さん?」

「なんで疑問形なのよ…」

 

「いや彼女以外の女性を下の名前で呼ぶのなんか変な感じして…あと彼女の前なので」

「いかにも異性慣れしてない男の子って感じね…」

「まあ、それが桜くんなので…というか私それぐらいのことで何か言うような女じゃないよ?」

 

「でもウブなのもめっちゃよくない?だってサクくんもゆいぴょんも初恋なんでしょ?それってちょー最高じゃん!」

 

「サクくん…?」

「ゆいぴょん…?」

 

「あ〜ごめんね2人とも。昔は違ったんだけど…これが今のうちの妹で…」

 

「いやいや!別に嫌とかじゃないんすよ!でも…そっか…そうだな。その通りだ」

「だね。そういうところも…好き、だし」

 

不意打ちを喰らって思わず顔が熱くなる。

2人して顔を赤くして、目線を背けながらあおいでいると…

 

「…んんっ!2人とも、話戻して良い?」

 

「あ、ああ大丈夫!大丈夫です!」

「そうだそうだ!私のところに指輪が来た理由を…」

 

『それに関しては、私から説明しよう』

 

声が響き、店の中心で鎮座していたテガソードのフィギュアが光ったと思うと、俺たちと同じくらいの背丈にまで大きくなって現れた。

 

「あらテガソード」

 

「こんにちは、テガソードさん」

「よお、久しぶり。…でもねえか」

 

『そうだな。指輪争奪戦のやり直しを宣言したあの日以来だ。それで、シンケンジャーの指輪が橘結衣の元に渡った理由、だったか』

 

「はい。なんで私の所に指輪が来たんだろうって…緒乙ちゃんだったんですよね?元の指輪の持ち主」

 

「そうそう!ウチってこれまでもう色々あって…ザックリ説明すんね?」

「私からも多少補足するわね?」

 

2人の話を要約するとこうだ。

 

かつて幼少期に行方不明になり、加えてなんらかの事故に遭って昏睡状態だったらしい緒乙さんはシンケンジャーの指輪のおかげで覚醒し今の緒乙さんになり角乃さん達の前に現れたが、その代償として角乃さんのことを忘れてしまっていた。

 

その後、敵に指輪を奪われたせいで再度昏睡状態に陥ったり、またしても行方不明…というか攫われていたらしいのだが、ブライダン・厄災クラディスとの戦いが一旦終わり、ようやく戻ってきた緒乙さんはとある親切な神様のお陰で目を覚ました。

 

そして姉妹2人はこれまでの失った時間を取り戻す為2人旅であちこち周っている最中なのだそうだ。

 

「で、ウチは元気になったしお姉ちゃんと旅の最中だし、指輪はもういらないなってなって…だからウチと同じくらいキラキラした人の願いを叶えるお手伝いをしてあげてって祈って指輪を手放したの」

 

「なるほど。だとしてもなんでこうピンポイントに結衣のところに来たんだろうな?ぶっちゃけ他にそういう人って沢山いそうなものだが…」

 

『恐らくだが…原因はお前にある。木之実桜』

 

「俺?」

「桜くんにですか?…どうして?」

 

『お前の持つ指輪…ゴーオンジャーは、シンケンジャーと密接な関係にある。あの時指輪の力とシンクロし、力が高められた指輪を持つお前の近くにいた橘結衣に引き寄せられた…と考えるのが自然だろう』

 

「俺の指輪が…指輪を呼んだ?」

「確かに。私たちゴジュウジャーもそうだけど、指輪持ち同士は何処か引かれ合う所があるから納得はできるかも」

 

「だから私が、次の指輪の持ち主に…」

 

『どうする、橘結衣。お前が戦いを望まないのであれば他の者に渡すのも良しとするが…』

 

「…少し、考える時間をください。その間、持っててもいいですか?」

 

『構わない。お前もいいな?一河緒乙』

 

「モチ!色々理由があるにしても、指輪がゆいぴょんを選んだのならウチは文句なし!」

「じっくり悩むといいわ。幸い今回はそこそこ時間があるみたいだしね」

 

 

*****

 

 

「あれからそれなりに経つけど、まだ決まってない感じ?」

「うん…ほら、私知っての通り色々固く考えちゃうじゃん?だから桜くんみたいにはどうしてもなれなくって…」

 

「別に俺みたいにならなくてもいいとは思うけど…というかほら、危ないし」

「それを自覚してるならあんまりああいう事はしないで欲しいな…」

「それを言われると耳が痛い…」

 

「でも、理由がどうあれこの力が私のところに来たのなら何かに使いたいとは思う。ハッキリとしてないけど…その答えを見つけたい。私を信じて指輪を譲ってくれた緒乙ちゃんにも報いたいし、ね」

 

「そうか。なら、俺は全力でその手伝いをするよ。指輪の戦士の先輩として…彼氏としてね」

 

「もう。カッコつけて…調子に乗りすぎないようにね?」

「調子なんて乗ってなんぼだよ。それを乗りこなすのが俺だし」

 

そう言いながら取り出した指輪を人差し指に嵌める。

 

俺の指輪の能力は『操縦(ステアリング)』。

あらゆる乗り物を乗りこなす能力だ。いや調子は乗り物じゃないけど…自分自身と解釈すればそれを乗りこなしてこそでしょ。

 

「さ、帰りながら次のデートプラン考えますか。リクエストはある?結衣」

「う〜ん…それなら桜くん。お願いがあるんだけど────」

 

 

*****

 

そうして数日後。

俺たちはとある海岸へとやってきていた。

 

今は海水浴シーズンでなくあまり人もいないが念を入れて少し離れた岩場の多い人目を避けた場所にしている。何故かというと…

 

「まさか結衣本人から特訓相手になって欲しいなんて言われる日が来るとは。本当にいいの?今回のデート…デート?がこれで」

「やっぱり、この指輪を持つ以上少しは戦えた方がいいと思うんだ。桜くんみたいに使うかはともかくとして」

 

「オッケー。でも無理はしないでよ?俺も加減はするから、怪我しないのが最優先でね」

「分かってる!」

 

「んじゃあ、始めるぞ」

「うん!」

 

外した指輪を回転させ、絵柄を変える。

右手に銀色のテガソードが現れると左手に持った指輪と共に交差させ…

 

「エンゲージ!」

 

《センタイリング!》

 

大きく腕を回し、結衣に手の甲を向けるようにして構えたテガソードにセット。顔の左横で手早く2回クラップしトリガーを押す。

 

《ゴーオンジャー!!》

 

すっかり着慣れた真紅のスーツが俺の身を包み、ゴーオンレッドに変身した。

 

「さ、結衣も。カッコよくね?」

「カッコよく?…できるかなぁ」

 

そうボヤきながらも結衣もポケットに入れていた指輪を取り出し絵柄を変える。顔に漢字の火が描かれた独特な姿の戦士が表れた。

 

「えっと…エンゲージ」

 

《センタイリング!》

 

俺の真似をしてテガソードの手の甲を相手に向けながら指輪をセット。

 

そのまま裏から左手で一回クラップ。

その後手早く『火』の一文字を書き顔の左横で2回クラップし横に一閃。燃える炎が彼女の身を包み、真紅の侍へと姿を変える。

 

《シンケンジャー!!》

 

 

「…どうかな?」

 

「指輪の戦士、シンケンレッドか…」

 

ペタペタと顔や体をあちこち触れながら変わった自分を確認する結衣を見ながらふと考える。

かつて緒乙さんと…ブライダンの1人ファイヤキャンドル?とやらが変身したという指輪の戦士。

 

テガソード曰く俺の指輪…ゴーオンジャーとは密接な関係にあるらしいけど…何処が?The・車のヒーローって感じの俺のゴーオンレッド、方やバリバリ和風、侍がモチーフであろうシンケンレッド。

 

どんな関係があるかは知らないが…俺の指輪に引き寄せられたって言葉は嘘ではなさそうだし…まあいいか。

 

「よしじゃあ…打って来な、結衣!」

「え、いきなり!?でも…」

 

「心配するな、俺もちょっとやそっとじゃ怪我しないよ。危なくなったらキッチリ避けるって」

 

「…分かった。じゃあ…行きます!」

「よし来い!」

 

そうして結衣…シンケンレッドは日本刀に似た武器を取り出すと、それを構えて真っ直ぐこちらに向かってくるのでこちらもマンタンガンをロッドモードに変形させ受けの姿勢を取る。

 

「やあっ!」

 

真っ向から振り下ろされる刀を受ける。指輪の力が乗っているせいか、そこそこ重い…!

上へ弾き、後方へ下がる。

 

続けて接近し、今度は左右から素早く振られる二撃を受け更にはもう一度正面から斬り込まれるのを鍔迫り合いになる形で受けた。

 

「っ…なんだ、結構やれるじゃん結衣…!本当にこれが初変身?実は俺に隠れてコッソリ使ってたとか?」

「あ〜…うん。実はほんの少しだけ…で、ちょっと殺陣の動画を見たりして勉強してたんだ」

「なるほど…そりゃ、納得!」

 

少しだけ力を込めて弾き、更に後ろ回し蹴りで刀を押し込むような形で蹴っ飛ばし距離を取る。う〜…力加減難しいな…

 

「…桜くん、もしかして遠慮してる?」

「え?いや、別に…」

 

「最初の攻撃。刀を弾いて下がるだけで反撃しなかったし、今の蹴りもぽんって少し弱かった。…私が女の子だから?」

 

「…初心者相手に本気は出せないよ。それに今回はただのトレーニングだし。万が一があって、結衣を怪我させたなんてなったら…」

 

そう。俺にとって結衣は、あの頃から変わってない。大切な人。大好きな人。守るべき存在。この子のためなら命を投げ出せる。

そういう類の運命の人。

 

それを自分の手で傷つける事になったらと思うと…怖くて仕方がない。

 

「…やっぱり優しいね、桜くんは。でも、私はそんな壊れ物扱いされるような弱い女の子じゃないよ?」

「────俺にとってはそうなんだよ。あの時から変わってない。不器用だけど真っ直ぐで、優しくて…だけど脆い部分がある。だから…」

 

「なら証明してあげる。少し、本気出すね」

 

そう言って結衣は左手に筆と携帯電話が合体したようなアイテムを取り出すと空中に黄色い線を描き出す。更には別で赤い線を描き────

 

「『塗装(ペイント)』」

 

それらはシンケンレッドの体に吸い込まれ炎のように燃えるオーラと雷の2種類を身に纏う。

そして、再び刀を構えると…

 

「…っ!」

 

目にも止まらぬ速さで急接近。防御が間に合わず刀の刃が俺の胴を捉えた。咄嗟にマンタンガンを振り抜くもロッドは空を斬り、横腹を背を燃えるように熱い刃に斬りつけられていく。

 

「速さなら…!」

 

こちらも加速し、なんとかシンケンレッドの速さに追いつこうと試みる。ロッドと刀の打ち合いになり、火花散り金属音が鳴り響く。が…

 

「っ!」

 

シンケンレッドはさらに能力を発動。

今度は紫色を描き出し、その線は今度は俺に吸い込まれていく。すると、猛烈な不快感、乗り物酔いにも似た感覚が俺の身を襲い動きを止めた。

 

「っ…うっ…」

 

腹の底から何かが逆流するような感覚に思わず口元を押さえその場に膝をついてしまう。久しく感じるその隙に、気づけば俺の首元には刀の切先が突きつけられていた。

 

「…私の勝ち、だね」

 

「油断したか…やるじゃんゆ…んっ!?」

 

咄嗟に変身を解除し口を押さえつつ急いで海の方へ。やばい、思ったよりこの能力しんどい…

 

「あ、やば…『塗装(ペイント)』!」

 

シンケンレッドが描く黄緑色の光の線が再び俺の中に吸い込まれていく。すると、直前まで俺の体を襲っていた不快感が綺麗さっぱり消えてしまった。

 

「っ…!はぁ…はぁ…あぁ危なかった…」

「ご、ごめんね桜くん…ついやり過ぎちゃった…」

「いやいや…煽った俺が、悪いから…」

 

シンケンレッドも変身を解除し、結衣が背中を優しく摩ってくれているおかげでだいぶ楽になった。これがシンケンレッドの能力か…緒乙さんと角乃さんから聞いてはいたが、バフにデバフにとかなり万能だな…。

 

「ごめん…ムキになっちゃって…」

「俺の方こそ…結衣をナメ過ぎてたな…そうだよ、君は優しい。それに…強い子だってのを忘れてた。そうじゃなきゃ、あの時危険を顧みず俺のとこに来ないよね」

「分かってるじゃん。…でも、心配してくれたのは嬉しかったよ。ありがと」

「結衣…」

 

そのままぎゅっと抱きしめられる。その柔らかさと温もりが体に僅かに残る不快感すらをも消し去っていくのが分かった。

 

「落ち着いた?」

「ほぼ大丈夫。…キスしてくれたら完治するかも」

 

「調子に乗らない」

「あ痛」

 

ピシッとデコピンを喰らわされ思わず額を押さえる。この前の頭突きといい張り手といい結衣って意外と力強いんだよな…痛って…額を摩りながら立ち上がると、ふいに結衣が耳元に口を寄せ…

 

「あとでね」

 

と同時に、頬に触れる柔らかな感覚。結衣は微笑むと纏めておいてある荷物の方へと歩いて行った。

 

「さ、行こ!この近くに最近流行りの喫茶店があるんだって!」

 

 

「────ふえ???」

 

ぶっちゃけ、この辺の記憶は朧げである。

脳細胞が、フリーズしてた。

 

 

*****

 

 

喫茶店を後にし、俺たちは町中を散策していた。この町はどうやら豊富な海産物が有名であり、漁業を中心に発展していった町だ。

 

ただ、それだけに様々な問題も浮き彫りになっていた。国内外から人が増え、人が増えればゴミが増え…不法投棄や近隣の工場から出る排気ガスや、排水による海の水質汚染などが問題になっているらしい。

 

「そういやさっきの海岸も、ちらほらペットボトルとか落ちてたな…」

「一応拾ったけど…こういうのってキリがないよね」

 

「人間がいる以上ゴミや諸々は避けられない問題とはいえ…なんとかならないもんか」

「…今考えても仕方ないよ。私達がそういう事をしない事。まずはそれから!」

「だな。さて、次は何処行く?」

「それならココかな?ガラス工芸品が有名みたいで…」

 

などと会話に興じていると、耳に響く爆音とガラスや物が壊れる音。そして人々の悲鳴。

 

「っ…結衣!」

「行くなって言っても行くでしょ?」

「ああ。悪いが結衣は待ってて…」

 

と言おうとする口に当てられる彼女の人差し指。結衣はそのまま首を横に振ると…

 

「私だけ仲間はずれ?…もう、守られるだけじゃないよ。私は」

 

「……無理はするな、命大事に、危険だと思ったらすぐ逃げろ。これを厳守で!」

「もちろん!」

 

ったく…最近おとなしいと思ったが、結局悪の組織ってのは何処もこんなか!?ブライダンの野郎ども覚悟しやがれ、今度こそこの力でお前らを根絶やしに…!

 

などと考えていたが、俺の予想は見事に外れる事になる。何故ならそこにいたのは鐘型の頭をした奴ら…アーイーでは無かったのだ。

 

紫色の体に黒い手足にプロテクターが付き銀のクローを持ったもの。ネジのような形状の頭部に車のマフラーのような武器を持つもの。

 

黒い胴体に銀の頭部は穴が幾つか空いただけの無機質な見た目のもの。銀色の体にパソコンのような画面とキーボードの口を持ちコンセントのようなデザインの槍を持つもの。

 

そして…一際目立つスクラップがそのまま人型となったようなもの。

 

種類は違えどいずれも何処か機械的な人型の怪物達が町や人を襲っていたのだ。

 

 

「ブライダン…じゃない!?」

「別の組織…なのかな?」

「とにかく今はアイツらを…結衣、俺が数を減らす!町の人の避難誘導頼める!?」

「分かった、私もすぐ合流する。気をつけて!」

 

結衣の指輪の能力で赤と緑の力が付与され、風を体に、火がテガソードに纏わされる。

 

そのまま勢いよく駆け出し、槍持ちの奴が若いカップルに振り下ろそうとしたのをテガソードで受け止め、小脇に抱えて蹴り飛ばし、テガソードで追撃。

 

ウィーンといういかにもな機動音?声?を上げながらナイフを持ち俺に向かってくる穴あき頭の機械兵3体をそれぞれ斬り伏せ、紫色のやつがクローから放ってくるビームを前方に転がって避けながら嵌めていた指輪を外し、回転させ絵柄を変える。

 

「エンゲージ!」

 

《センタイリング!》

 

指輪をセットし、流れる音楽に合わせて紫の敵の攻撃を避け斬り伏せクラップ。接近して来たネジ頭の敵の胴体を突き刺しそのまま投げてもう一度。

 

槍を構えて突きの体勢で接近してきたのを捌きそのまま頭を叩くように一回。更に反対から来たスクラップ兵を蹴り飛ばしもう一度クラップ!

 

スーツを身に纏い、後から出て来たメットをスクラップ兵にぶん投げつつ怯んだところを蹴り飛ばし返ってきたところでメットオン!

 

《ゴーオンジャー!!》

 

 

「行くぜ!」

 

右手にテガソード、左手にマンタンガン(ロッドモード)の変則二刀流スタイルで駆け出す。

 

穴あき頭4体と紫色の兵3体がそれぞれの武器から放つビームをマンタンガンで叩き落としながら接近し、紫色兵のクロー攻撃を避け、もう一体のを受け止めるとテガソードで斬り払う。

 

ナイフを持ち切りかかる穴あき頭を蹴り飛ばし紫色兵にテガソードとマンタンガンを叩きつける。ロッドモードからガンモードに切り替え、弾丸の雨を浴びせると一体はそのまま爆散。

 

「ゴーオンスラスト!」

 

再びロッドモードに切り替えたマンタンガンを蹴り飛ばした穴あき頭の一体に突き刺し、そのまま接近してもう一体もブッ刺し引き抜いた後テガソードの一閃。穴あき頭2体を撃破した。

 

「まだまだ!」

 

そのまま高速回転し、残った紫色兵2体と増援のスクラップ兵数体に向けてテガソードとマンタンガンの乱打。蓄積したダメージがその身を打ち砕いた。

 

「うげぇ、まだまだいる…バイク乗って来るんだったかなぁ…」

 

今日は遠出の為、同乗する結衣の負担を考えて電車で来たのが裏目に出た。あの時みたいにライディングで片付ける戦術は使えない。

 

槍持ちにネジ頭、さっき見た種類の奴もちらほら残っている。1人じゃ少ししんどいかもな…

 

「結衣が来るまでどうにか耐えるしか無いか…しょうがねぇ、我慢比べだ!スクラップども、もうひとっ走り付き合いやg」

 

 

「火炎の舞!!」

 

などとカッコつけた台詞を吐いた瞬間。

残った機械兵達は横から飛んできた炎の斬撃によって焼き斬られてしまう。

 

飛んできた方角を向くと、そこには炎を刀身に纏った刀を振り抜いた体勢のシンケンレッドが。彼女は俺を視認するとそのまま駆け寄って来た。

 

「桜くん!お待たせ!待った?」

 

「あ、うん…待ってない。待ってないよ…」

 

「なんで落ち込んでるの?」

「いや、別に…カッコよく決め台詞言ったのに出番取られて凹んでるとかないから」

「それ答え言ってるようなもんだよ…?」

 

まあ、何はともあれ一件落着!残った奴らは今結衣が片付けてくれたし、俺たちもさっさとずらかるだけ…

 

そう思った瞬間だった。

 

 

突如として凄まじい瘴気が周囲を覆い尽くす。

空気が、水が、澱み汚されていく。それと同時にこれまで感じたことの無いとてつもないプレッシャーを感じていた。

 

「桜くん…これ…!」

「ああ…あの手の数がいる奴らは下っ端って相場が決まってる。そいつらを倒したとなると…ボスキャラのお出ましだ!」

 

やがて瘴気は、組み上がる機械のように一つの形を成していく。

 

ロボットのような機械の体に排気パイプや排水管、肩から黒煙を吐く煙突を生やし、工場そのものが人型を成したような姿の赤い一つ目の怪物。

 

そいつはエキゾーストパイプのように先が枝分かれした形状の杖を地面に突き立て、名乗りを上げた。

 

「我は深淵なる厄災 クラディス 与えられし名は『公害のポリュシオン』」

 

「厄災…クラディス!?」

「それって確か、竜儀さんが言ってた…!」

 

かつてテガソードが封じ、一度は復活したものの、ゴジュウジャーの面々によって倒されたという世界を滅ぼす厄災、クラディス。だがその親玉は倒されたって話じゃなかったか?

 

「親玉や他の幹部連中は軒並み倒されたって話じゃなかったか?今更ノコノコと出てきて仇撃ちのつもりかよ?」

 

「疫病・戦禍・飢餓…そして死。それらはこの世に人間が生き続ける以上決して無くなりはしない。故に我らは不滅、何度でも蘇る。この我…公害もまた然り。あの方が蘇ったあの時、この我もカタチを得た」

 

カタチを得た?蘇ったとかでは無く?

…そうか!

 

疫病・戦争・飢餓…それらは俺らが生まれるよりも前、古くから人間と切っても切り離せない関係。でも公害は文明が発達して初めて生まれた問題だ。

 

つまりアイツは概念としては比較的新しめの奴って事になる。生まれて間もないのなら、そこまで強くは無いはず!

 

「…結衣、やるしか無い。俺たち2人でコイツを倒す!」

「私たちだけで!?…でも、そうだね。なら私も覚悟を決めるよ!」

 

俺はロードサーベルを、結衣は刀…シンケンマルと言うらしい剣を構え2人で向かっていく。

 

二方向から絶えず振り下ろされる剣を、ポリュシオンはその持っていた杖を振り回し捌いていく。長物相手には間合いを詰めろってなんかで見た記憶がある。それなら俺たちが有利なはず。なのに…!

 

「ハァッ!」

 

横凪に振られる杖が俺たち2人を吹っ飛ばし、アスファルトを砕き地面に転がした。流石にさっきまでの奴とは比べものにならないか…!

 

「こうなったら…!」

 

結衣は刀の鍔の部分にセットされていたディスクを回転させる。するとシンケンマルは赤く巨大な剣のような武装にその姿を変えた。

 

「烈火大斬刀…!あっあっ!?」

 

それを持ち上げ、振り下ろそうとするがその刀身は重力に引かれそのまま地面へと沈み込んでしまった。

 

「っ…!お、重い…!」

 

そりゃそうだ…指輪の力のバックアップがあるとはいえ、結衣はただの女の子だ。あんな大きな武器いきなりは扱えない…!

 

「っフハハハ…!自らの武装も満足に使えぬとは…あの女、貴様の足手纏いになっているぞ?」

 

「っせぇ!結衣が扱えないんなら、俺が…!」

 

烈火大斬刀を引き抜き、勢いをつけて持ち上げる。っ…コイツ意外と…!俺でも手に余るぞこんなの…!

 

「この野郎っ!!」

 

勢いをつけなんとか振り回すも、どちらかと言うと俺の方が振り回されているようだ。大ぶりな攻撃は当たるわけもなく、ポリュシオンには容易く避けられてしまう。

 

「こちらは多少扱えるか。しかし、当たらなければどうという事はっ!?」

 

ヤケになった俺はハンマー投げの要領で烈火大斬刀をぶん投げる。思わぬ攻撃に不意をつかれたのか、その攻撃は直撃し吹っ飛ばす。

 

「ごちゃごちゃうるせえ!当てりゃいいんだろうが!」

 

「っ!貴様…」

 

ポリュシオンはその体の煙突からオーラと共に大量の黒煙を撒き散らしこちらの視界を潰しに来た。その煙は周囲を歪ませ、空だけでなく水を、地面をより黒く汚していく。

 

「そんなもんで…!」

 

だがこうも視界を遮られては見えるものも見えない。まずはこの煙幕をなんとかしないと…そうだ!

 

「だったらさっさと払うまで!サーベルスピン!」

 

ロードサーベルを持ち、そのままその場で高速回転。発生した風で煙幕を消し飛ばし…

 

「&クラッシュ!」

 

姿が見えたポリュシオンを前方に回転しながら叩き斬る!体に生えたパイプ数本諸共にその体に大きく傷をつけた。

 

「っ…なるほど…こちらは多少できるようだな」

 

「生憎だったな!結衣に比べりゃ場数は踏んでる。簡単に倒せるとは思わないこった」

「そうか…では、多少本気を出した方が良さそうだ…!」

 

 

互いにそれぞれの得物を持ち、全てが汚れた空間の中睨み合う。そして再び両者が激突する…その時だった。

 

突如として俺とポリュシオンの間の空間が歪み、やがて渦を巻き、引力を持ち始めた。まるで大きな穴のようなそれは、俺たちを吸い込まんとしている。

 

「っ!?なんだ、これは…」

 

「我の力が、空間をも歪めたというのか!?いかん、このままでは…!」

「させるかよ!」

 

その場から離脱しようとするポリュシオンだったがそうはさせまいとロードサーベルを突き刺しロッドモードのマンタンガンを地面に刺しアンカーにする。だが、穴の引力は強まるばかりで長くは持ちそうに無かった。

 

「桜くん!」

 

「っ、来るな結衣!お前まで巻き込まれる!」

「でも…!」

 

「お前は離脱して、テガソードの里に行け!誰でもいいからゴジュウジャーの人に伝えて協力を仰ぐんだ!新しい厄災が現れたって!」

 

「桜くんは…!」

 

「俺は大丈夫…!いつも、そうでしょ…?」

 

メットの下で見えないが、そう言って不敵に笑って見せる。その瞬間、俺は奴諸共その穴の中に吸い込まれていくのだった。

 

 

「桜…くん…桜くーん!!!」

 

 

*****

 

 

「っ…うっ…!ここは…」

 

俺が目を覚ますと、変身は解けており、そこは先程までいた場所とは全く別の場所だった。

 

何処かの街中みたいだが…抜けた先がブラックホールみたいな底なし異空間やら全く別の異世界とかじゃ無かっただけよかった。それに幸いにも指輪もある。何処かで落としてなくて良かった…

 

「いや、だとしてもだな。ここが同じ世界の別の場所って確定した訳じゃないし…まずはこの辺りを見て回ってみよう。幸い文明レベルは現代と同じだし…ちょっと古い気もするけど」

 

 

ポリュシオンの奴も見当たらないし一先ずは安心していいだろう。そんなわけで、俺は街へと繰り出すのだった。

 

そして俺は、衝撃の事実を知る事になる。

 

まず一つ、あの人もこの人も…みんな何故かガラケーを使っている。今時珍しいな…幸い充電の残っていたスマホを使っていると物珍しい表情で見られたので、一旦これはしまっておこう…電波繋がらないし。

 

まあ幸い俺はどちらかというと現金派だったんで電子マネーが使えなくて大変…なんて事は無かった。

 

二つ目。

電気屋でテレビに映っていたニュース。総理が常夏総理では無く、普通の人だった。

 

あの人辞めたなんてニュースあったっけ?いや前に一度指輪の戦士としての装備が銃刀法に引っかかってってなってたけどあの後再選したんだよな?

 

そして3つ目。これが一番デカい…というか、俺を驚かせた事実No. 1かもしれない。

 

本屋で立ち読みしていた雑誌をパラパラと捲っていると…そこに書かれていた数字は…なんと『西暦2008年』

 

 

「2008…年…!?」

 

ガラケーばかりの街中、電子決済使用不能。というか使えるという表記すら見当たらない。そして今見たこの数字…信じたくはないが、どうやら真実らしい。

 

 

「俺…過去の世界に来ちゃった!!??」

 

 

ここは西暦2008年。

俺は今より10年以上前の過去に飛ばされてしまったのである!!

 

*****

 

「はぁ…」

 

沈んだ気分のまま、無意識オートパイロット状態の俺は気付けば何処かの公園まで来てしまっていた。

 

そこには大きな池があり、家族連れやカップルなどがボートに乗って楽しんでいる。

 

「…どうしよ」

 

まさか人生で指輪の戦士になって戦う以上の超常現象に遭う事になるなんて思わなかった。まさか過去に飛ばされるとは思わないじゃん?

 

これならまだファンタジーの方がマシだったかもしれない。今はなんとかなるにしても時間が経てばそうも行かなくなる。

 

「何処か拠点になる場所とかも探さなきゃだし、そうなると金もいる…けどバイトしようにも住所云々が多分無理だし…!」

 

やべえこれ詰んだ…?

まさかこのまま知ってるけど知らない世界で野垂れ死にとかないよな!?やべぇやべぇどうしよう…!

 

考えようとするも考えれば考えるほど分からなくなる。そんな時には決まって────

 

 

トラブルが起きるものである。

 

 

突如として池から水が噴き上がり、ボートに乗っていた客が落水。それを起点に次々と水飛沫が上がっては人が空に舞い上がっていく。

 

「なんだ!?まさかアイツが…」

 

更には水の中から多数の人型の怪物が。しかもそいつらはさっきまで戦ってた中にいたあのスクラップ兵と同じ姿をしていた!その兵たちは公園に来ていた人達を襲い始めて…

 

「野郎!」

 

悩み事は後回しだ!俺はソイツらに向けて駆け出し、人々から引き剥がすと、殴る蹴るでスクラップ兵達を相手する。

 

「なんでコイツら、まで!俺と同じで飛ばされてきた?いや、あの時のは倒したはず…だったらコイツらは…っぶね!?」

 

などと考えていると、俺の背後から何かが飛んできた。間一髪で避けたが、足元が何かでぬかるんでたせいで転倒。これは…なんだこれ油!?しかも飛んできたのはボートを漕ぐためのオールだった。

 

「避けられた!?お前、ただ者じゃないボート…!」

 

飛んできた方を見ると、そこには両手にそれぞれオールを持ち、体に…というか体そのものがボートで赤と緑のライトの目に肩に救命用の浮き輪、背中にエンジンを背負いスクリューのような足が生えた怪物がいた。

 

「ボートの化け物!?厄災にはこんなのもいるのかよ…地味な奴だな」

 

「厄災?何のことでボート?オイラは害水目の蛮機獣ボートバンキボート!」

 

「バンキジュウ?ボートバンキ?…んだよハズレか」

「ハズレとは失礼な。まあいい、お前みたいな人間如き、コイツらに任せるでボート。ウガッツ!」

 

ウガッツ…それがコイツらの名前か。そう呼ばれたスクラップ兵たちは、それぞれ「ウガッツ!」「ウガ!」など声を上げ武器を構えてこちらに襲いかかる。

 

「まあいい、今ちょっと機嫌が悪いんだ。サンドバッグくらいにはなれよ!エンゲージ!」

 

《センタイリング!》

 

ウガッツ達を切り裂きながら縦横無尽に動き回りクラップ。そしてトリガーを押し、俺は真紅の戦士ゴーオンレッドに!

 

《ゴーオンジャー!!》

 

 

「お前!ゴーオンジャーだったのか!?」

 

「あ?ゴーオンジャー?まあ当たらずとも遠からずってところ…かな!」

 

マンタンガンを連射し、ウガッツ達を撃ち抜いていく。火花と共にパーツを散らし奴らは粉々になった。

 

「ゴーオン…スラストッ!!」

 

更に正面から襲ってきた数体を光をまとったロッドモードで突き刺し爆散。これで残るはアイツだけ!

 

 

「あとはお前だけだ、ボートバンキ!」

「ウガッツ達をいとも容易く…だが、これはどうかな!?喰らえ、オイルウェーブ〜!!」

 

「さっきのはコイツのせいか!」

 

ボートバンキは背中のエンジンから黒いオイルを放出、地面に撒き散らしてくるがそれを軽々ジャンプして避け、ロッドモードによる攻撃を叩きつける。

 

「まだまだ!」

 

マンタンガンを左手に持ち替え、右手にテガソードを再装備。そのままボートバンキをめった斬りにする。

 

「ガッ!?ウボッ!?」

 

「これで、フィニッシュ…!」

 

「そうは行かんでボート!スピードラーン!!」

 

トドメの一撃を加えようとした瞬間、ボートバンキの姿が消える。俺の攻撃は空を切り、逆に背中から攻撃を喰らってしまった。

 

「っ!?なに!?何処から…」

 

更には横から、反対から。加速したボートバンキは反応が追いつかないほどの速さで俺を襲ってきている!

 

「どうだ!ここはオイラのフィールド!お前如きじゃ手も足も出ないボート!ボボボボボ〜!!」

 

「クッソが…っうぉととととと!?」

 

なんとか反撃しようとするも、オイルで汚れた地面で足が滑って転んでしまった。滑って転んで、赤いスーツが黒く汚れてしまう。

 

「って…クソ!足元が…!」

 

なんとか立ち上がろうとするも、ついた手すらも滑ってマトモに起き上がることすらできない。

 

飛沫を上げながらさながらサメ映画のサメのようにボートバンキが迫る。

 

「これで終わりだボート〜!!」

 

「っ!やべぇ…!!」

 

ガンモードにしたマンタンガンを連射するも、ボートバンキは止まることなく突っ込んで来る。

 

クソ、ここまでか…!?結衣にも会えず、厄災だってまだ残ってるはずなのに…こんなところで…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこまでだ蛮機獣!!」

 

 

「ボートォォォォ!?」

 

その瞬間、何処からか浴びせられる銃撃にボートバンキは打ち上げられ倒れる。なんとか助かったけど、一体誰が…?

 

「────嘘、だろ…!?」

 

振り向くとそこには青、黄、緑、黒、そして────赤。同じ銃を構える五色の色とりどりの俺と似た戦士達がいた。

 

しかも赤色のは俺とほぼ全く同じ姿。違うのはぱっと見ベルトだけだ。

まさか、あの人達は────!

 

 

 

「来たでボート…ゴーオンジャー!!」

 

 

*****

 

 

第二章 「先輩アラワル」

 

 

 

よぉお前ら、俺様の名は熊手真白。

つい最近ほぼ神改め真の神になった男だ。

 

ブライダンとの決着が着き、更には世界の理を書き換え、厄災の親玉レクスを倒した。だが、厄災そのものが無くなった訳ではなく、世界は相変わらず沢山の幸福と少しの不幸を抱えながら回り続けている。

 

そう、つまり俺様が不要になる世界はまだまだ先って事だ。今日も今日とて俺様はベアックマやグーデバーンと共に世直しに奔走している。

 

そして、良い世直しをするには良い休息が必要不可欠だ。そんなわけで今日も今日とてすっかり行きつけと化したこの場所の門を開く。

 

「邪魔するぜ、お坊ちゃん!」

「熊手様の降臨クマ〜!」

 

「熊手真白。今日も来たのか?」

「休息にはここがうってつけなんでな。とりあえずいつもの、頼むぜ」

「神とは意外と暇なのだな。まあ良いだろう」

 

厚めに焼かれたふわふわのパンケーキ、そして紅茶…どっちにも俺様こだわりの高級蜂蜜をたっぷりとかけて…!よし、完璧だ。

 

さて、まずは紅茶の方をいただくとするか…

 

 

「竜儀さんいますか!!?」

 

などと思い一口頂いたのも束の間、何者かが椅子とテーブルを薙ぎ倒すかの勢いで店に飛び込んできて思わず紅茶を吹き出しちまった。

 

「エッホ!ゲホッ…!んだいきなり!?」

 

「なんだクマ!?熊手のティータイムを邪魔するなんて…」

 

「クマのオモチャが、喋ってる…というかあの、どちら様で?」

「そいつは俺様のセリフなんだが…?」

「クマはオモチャじゃないクマ!」

 

「おや、橘さん…そんなに慌ててどうしたんです?というか、木之実少年の姿が見えないようだが…」

 

「その桜くんが…桜くんが…!えっと…なんかよくわからないけど…町を汚した謎の敵と一緒に吸い込まれて…!見たことない敵の集団とかなんかもうよく分かんなくて…!」

 

「落ち着け嬢ちゃん。まあこの際俺様に紅茶吹き出させた事は不問にしてやるからとりあえず落ち着け」

「何があったかは知らんが、熊手の言うとおりだ橘さん。まずは落ち着いて、とりあえずこれをどうぞ」

 

そう言って坊ちゃんは紅茶の注がれたもう一つのティーカップを橘って嬢ちゃんに渡す。それを受け取り茶を飲み終えると、ひとまず落ち着きを取り戻したようだ。

 

「ありがとう…ございます」

「それで、木之実少年に何があったんだ?」

 

「桜くんが…厄災クラディスって名乗った敵と戦ってた時に…」

 

…待て、この嬢ちゃん今なんつった?厄災だと!?

 

「おい嬢ちゃん!それはマジなのか!?」

「え!?あ、はい…あなたは…」

 

「俺様の名は熊手真白。この世に新たに生まれた神だ!覚え崇めて損はないぜ?」

「私たちと同じ指輪の戦士の1人、ゴジュウポーラーだ。もっとも、神としての格はテガソード様の方が上だがな!」

 

「え?神様…?というか貴方も指輪の戦士なんですか!?」

 

「ああ。それより嬢ちゃん」

「橘です。橘結衣」

「橘…ああそうか、お前さんがシンケンレッドの指輪を継いだっていう新たな指輪の戦士か。テガソードから聞いてるぜ」

 

「あ、はい。色々ありまして…ってそれは今どうでもいいんです!」

「だな。結衣っつったな、どう言う事だ?厄災って…」

「はい、順を追って説明すると….」

 

橘結衣から聞いた話を整理すると、コイツと彼氏の指輪の戦士ゴーオンレッド…木之実桜は修行兼デートがてら訪れた町で、見たことのない機械の兵士達…厄災関連となるとモリスだろう。

 

そして自らを『公害のポリュシオン』と名乗る厄災の怪物に遭遇し戦闘になった。そして、木之実桜がポリュシオンと戦っている時、空間が歪み2人は諸共吸い込まれていったと…

 

「まあこんな具合か?しかし、指輪の戦士になって日が浅くマトモな戦闘経験も無いのによく生き延びたな…」

「はい…桜くんが助けてくれて…でもどうしたらいいのかもう分からなくて…もしあの時に死んじゃってたら…!」

 

「決めつけるには早いだろう。一河曰く木之実少年は指輪の戦士としての才はかなりのものだったと聞いている、そんな少年が簡単に死にはしないだろう。しかし…お前が厄災の気配に気づかないとはな、熊手真白」

 

「言い訳したくはないが…恐らくそいつは厄災としちゃ生まれたてで、力が他の連中より劣っていたんだ。レクスの野郎が一度蘇った時、奴の力で世界の厄災が活性化された。そうしてやっと形を得たんだろう。俺様でも気づかないレベルではあったがな…」

「熊手を出し抜くなんて、思ったよりやり手だクマ…!」

 

全くだ。生まれたてとはいえ、まさかこの神を出し抜くとは、やってくれるぜ厄災め…!

 

「公害か…確かに人類と、文明の発展とは切っても切り離せない理だな」

「でも、なんで桜くん達はあんな事に…」

 

「奴は周囲の環境を汚染する力を持っていたらしいな。恐らくその力が空間にも作用して時空を歪ませた…仮説を立てるならそんな所だろうな。で、奴が生きているとして何処に行ったかが問題になるな…」

 

今回は俺様達だけじゃ手に余る案件になりそうだな…仕方がない、アイツらに協力を仰ぐか。

 

「お坊ちゃん、他の連中は?」

 

「遠野はリゾートバイトで遠方に、百夜もアリーナツアーの真っ最中だ。禽次郎さんは試験期間、一河は知っての通り旅の途中だ」

 

「お前さんもこの店のフランチャイズ化計画で忙しい身だったな。…仕方がない。この世直し、俺様が請け負ってやる!」

 

「熊手さん…!」

「だが、心当たりはあるのか?木之実少年の行き先は…」

 

「無い訳じゃないが…確信には至ってねえ。テガソードと…ブライダン連中にも声をかけてみるか。おい、結衣の嬢ちゃん」

「え?あ、はい…」

 

「俺様と共に来る気はあるか?正直言って危険な案件だ、素人にゃ厳しい。それでも…お前は彼氏の為に戦えるか?」

 

「────もちろん。桜くんを救い出す、ただ待ってるだけは嫌です!」

「決まりだな。お前ら、着いてこい!」

 

「熊手待つクマ〜!あ、パンケーキはテイクアウトで頼むクマ」

 

そうして持ち帰り用のパックに包まれたパンケーキを手土産に俺様達は店を出た。例え小さいといえど厄災案件だってなら俺様の出番だ。

 

仕方がねえ、いざ世直しと洒落込むか!!

 

 

*****

 

 

「来たでボート…ゴーオンジャー!!」

 

俺の前に現れた五色の戦士達。しかも内1人は俺…ゴーオンレッドと瓜二つの姿をしていた!

 

ただ妙だな…何故五色揃ってるんだ?以前竜儀さんから教わった通りなら、五色揃ってるチーム…戦隊はゴジュウジャーだけで、他の指輪の戦士…俺達のようなユニバース戦士は、どれも赤の戦士だけって話のはず。まあその話も人伝らしいが…

 

「池どころか公園までこんなドロドロに汚して…許せない!」

「これ以上みんなの憩いの場所を荒らす真似は、許さないっすよ!」

 

「一気にカタをつけるぞ!」

「だね!思いっきり行こう…ってアレ?」

 

「ヨッシャ!いくぜみんな!…ん?」

 

 

「「「「「……………」」」」」

 

 

「あの…何か?」

 

 

 

「「「「「走輔が2人いる!!!??」」」」」

 

 

「どういうこと!?いや、走輔ここにいるよね!?」

「ああ!確かにオレ達は5人一緒にここに急行してきて…走輔、兄弟なんていたっすか!?」

 

「いやいや!俺は一人っ子だぜ!?なんでゴーオンレッドが2人いるんだよ!?まさかガイアークが偽物を作りやがったのか!?」

「あり得るかも!この前炎神の偽物を作ったこともあるんだし!」

 

『でも走輔、アイツからは確かにお前とよく似た力を感じるぜ。しかも、偽物っていう割には真っ当な感じの力だ!』

 

「だが、だったら何故蛮機獣と戦っていたんだ?仲間割れか?」

 

蛮機獣?ガイアーク?…なんのことだ…?いや蛮機獣は明らかにあのボートバンキって奴だな…ガイアーク?は恐らくコイツの上の組織の事だろう。悪の組織が生み出した怪人…と考えれば納得がいく。

 

というか5人とはなんか別の声聞こえたな…?向こうのゴーオンレッド…ソウスケ?って人と喋ってたの誰だ?

 

「よく分からんが…お前ら纏めてやっつけてやるでボート!!」

 

ボートバンキは再び両手のオールをブーメランのように投擲して攻撃して来る。

 

「っ!避けろ!」

 

なんて言うまでもなく、5人はひらりとオール攻撃を避けて、持っていた銃…マンタンガンによる攻撃を放つ。武装も同じなのか…

 

「行くぜ!」

 

もう1人のゴーオンレッドはマンタンガンをロッドモードに切り替え、そのまま乱打を繰り出す。ゴーオンスラストによる突き攻撃でボートバンキを怯ませると、それに続くように青、黄の攻撃。更に緑と黒が距離を取って射撃を撃ち込む。すごい…なんてチームワーク…!

 

「ウボボ!?おのれ…」

 

「一気に行くぜ!ロードサーベル!」

 

「カウルレーザー!」

「ガレージランチャー!」

 

レッドはロードサーベルを、青と黒の戦士はそれぞれ大型ランチャーとレーザーガンを取り出した。なるほど、レッド以外の戦士にもそれぞれ固有の武器があるんだな…

 

「「「ゴーオン!!」」」

 

青と黒が集中砲火を浴びせ、ボートバンキが怯んだところをレッドの斬撃が襲う。ボートバンキもオールで応戦するが、そのパワフルな斬撃に対処が追いついていない。

 

「早輝!範人!」

 

「オッケー!レーシングバレット!」

「ブリッジアックス!」

 

緑の戦士が取り出したのは名前の通り橋をモチーフにした大斧。黄色の方は…なんだあれ!?ミニカー?そんなんでダメージなんて与えられるのか…?

 

 

「ハァッ!ブン!バン!!」

 

独特の掛け声と共に緑の戦士は斧を振り回してボートバンキを切りつけていく。そして、ボートバンキの右腕を拘束すると…

 

「早輝!」

「オッケー!バレットクラッシュ!」

 

黄色の戦士があのミニカーのモーターを起動。左腕を滑らせるとそれは一気に敵に向かっていき、縦横無尽に動き回りながらボートバンキにぶつかっていく。しかもダメージかなり入ってる!見た目より全然すげえなアレ…

ボートバンキは吹っ飛び、地面に倒れた。

 

「ボボッ!?おのれよくも…!」

 

「このまま一気に決めるぜ!」

 

「そうは行かんでボート!オイルウェーブ!」

「っやばい!アレは…!」

 

ボートバンキはさっき俺が喰らった地面にオイルを撒く攻撃を繰り出してきた。地面がオイルに塗れ、全員ツルツルと滑ってしまう。

 

「うおおお!?」

 

「これは、オイルバンキの!?」

「ツルツルする〜!連!モップ無いの!?」

「生憎今日は持ってないっスよ!」

 

「滑るのはもうあの時でこりごりなのに〜!」

「なんてこった…こんな時に…うおおっ!?」

 

あ、黒の人が転んで真っ黒に…いや元からか。

っ…この…マンタンガンを刺してなんとか…!

 

「これでお前らは動けない!纏めて始末してやるでボート!!」

 

ボートバンキはスピードを出して俺達の周囲を周回し始め、俺達に何度も突撃してくる。さっきと同じだ、スピードで撹乱し攻撃を仕掛けてくる。でも…

 

「ボボボボボ!これで終わりだボート!!」

 

来た!やっぱり直線で仕留めに来やがったな。自分のスピードを過信している証拠だ。距離なら対処できる。あとはタイミングだ…4…3…2…

 

「沈没しやがれー!!」

 

────ここだ!

 

「見切った!!」

 

ロードサーベルを取り出しすれ違いざまにぶった斬る!!ロードサーベルの一閃はボートバンキの背中のエンジンにクリーンヒット。

 

火花を散らしながらボートバンキは地面を滑り強制停止させられた。

 

「ボボボボ!?そんなバカな…」

 

「ハッ!どうだ!」

 

「もう1人のゴーオンレッド…なかなか油断できないボート…ここは一旦入渠だボート!」

 

そう言うとボートバンキは地面に沈んでいき、その姿を消してしまった。

 

「なんとか…凌いだか…あーしんど…」

 

「ったく…あの野郎逃げやがった!」

「でも、あのままだったらやられちゃってたかもだし結果オーライじゃない?ありがとうね!」

 

「だね。助かったよ、もう1人の走輔!」

「いや、コイツがまだもう1人の走輔と決まったわけじゃないだろ」

 

「でも、これで分かったっすね。彼は俺たちの味方。信用していい人物だって」

 

 

そう口々に言うと、彼らはメットを外して素顔を晒した。

 

青の人はすごく温厚そうな青年。なんというか包容力すら感じるほどの柔らかい表情だ。

 

黄色の人は声から分かっていたが紅一点。

キラキラした明るい笑顔がなんとも可愛らしい。まあ結衣ほどじゃないけどな!

 

緑の人は…なんというか楽観的な雰囲気を感じる。黄色の人とはぱっと見歳が近いのかな?

 

黒の人は一転してキリッとしたクールキャラって感じだ。実は警察官だったりするのかな?

 

 

そしてもう1人のゴーオンレッド…ソウスケって呼ばれてた人。

 

…すごい髪型してる。具体的に言うと某戦闘民族の強化形態みたいな尖った髪型。声の感じ的にも熱血漢って感じの人だな。

 

「ところで、君は何者なんすか?なんでゴーオンレッドに変身できてるんすか?」

「そうだぜ!ゴーオンレッドは世界でただ1人、この江角走輔だけだぜ!」

 

さて、信じてもらえるかどうかは分からないけど…話すしかないか。少なくとも彼らは敵じゃないみたいだしな。俺もメットを外し素顔で彼らと向き合った。

 

「走輔…じゃないね」

「当たり前だろ」

 

「初めまして皆さん。俺は桜、木之実桜。訳あってゴーオンレッドやらせてもらってます」

 

 

*****

 

ぐぬぬ…!こんなの想定外でおじゃる…まさかゴーオンレッドがもう1人いるだなんて!

 

「ただいま戻りましたボート…!」

 

「よくぞ戻ったでおじゃるボートバンキよ…!」

「ケガレシア様!ゴーオンレッドがもう1人いるだなんて聞いてないでボート!」

「わらわも聞いてないでおじゃる!なんなんじゃあやつは!キタネイダス!?」

 

「私に聞かれても分からんゾヨ!今は亡きヨゴシュタインを葬った憎きゴーオンレッド…!それが何故2人もいるゾヨ!?」

「それよりも御二方!ここに戻る途中妙な拾い物を致しまして…!」

 

拾い物?一体何を拾ってきたと…そう言ってボートバンキ配下のウガッツ達が引きずって来たのは…なんでおじゃるコレは?蛮機獣のように見えてそうではない…だが、何か近しいものを感じるでおじゃる。

 

「これは…なんゾヨ?」

「キタネイダス、其方が作ったのではないでおじゃるか?」

「こんなものを作った覚えはないゾヨ。ただ…非常に心惹かれるものがあるゾヨ…」

 

そうして眺めていると、その者の一つ目が赤く輝いて…目を覚ましたでおじゃる!?

 

「「うおお!?」」

 

「ここは…なるほど、別の次元に飛ばされたか」

 

「おお、お前何者でおじゃる!?」

「まずは自分から名乗るのが礼儀では無いのか?」

 

「わ、わらわはガイアーク三大臣が1人害水大臣ケガレシアでおじゃる!」

「同じく、害気大臣キタネイダスゾヨ」

 

「我は深淵なる厄災 クラディスの一角公害のポリュシオン。ガイアーク…とはなんだ?」

 

「我らはヒューマンワールドを我が物とするべく大気を汚し!」

「水を濁らせ…!」

 

「「…」」

 

「そうだったでおじゃる。ヨゴシュタインはもう…」

「分かっていても、受け入れていても、1人足りないというのはやはり寂しいものゾヨ」

 

「ふむ…」

 

すると公害のポリュシオンと名乗ったその者は、わらわ達2人に近づくとその頭を掴んで…な、何をするでおじゃる!?

 

「なるほど、お前達の言うもう1人とはコイツのことか?」

 

そうしてポリュシオンが隣に手をかざすと鉄屑が組み上がり一つの形を成していく。その重厚感ある体格、ガイアーク随一の剛力無双。

 

「…ここは…我は一体…」

 

「「ヨゴシュタイン!!」」

 

「お前達…」

 

「生き返ったのでおじゃるな!」

「また会えて嬉しいゾヨ!」

 

「勘違いするな。その者はあくまで我の力、そしてお前達の記憶から再現した模造品に過ぎない。お前達の知る者と同じ記憶を持ち同じ見た目でも別の者だ」

 

「そういうことナリ。我は我であって我でなく、それでも…この奇跡の再会を今は祝うナリ」

 

「感謝するゾヨ、ポリュシオン!」

「なんと礼を言っていいか…」

 

「かまわぬ。どうやら我がここに流れ着いたのも何かの運命のようだ。ガイアークよ、其方らの目的のため我が力の一端を貸そう」

 

「ならば再び!」

「我らガイアーク三大臣の力を結集させるでおじゃる!」

「うむ。ゴーオンジャー…この機会、存分に利用させてもらうナリ!」

 

「ボートバンキ!我ら三大臣の力も其方に託す!ゴーオンジャーに目にもの見せてやるでおじゃる!」

 

「かしこまり〜!!」

 

公害のポリュシオン…何者か分からぬが、利用価値はありそうでおじゃる。見ておれゴーオンジャー!今日という今日は覚悟するでおじゃる!

 

 

*****

 

5人に連れられるがまま、俺は気付けば彼らの活動拠点であるキャンピングカーに案内された。ギンジロー号というらしい。

 

「はいどうぞ!」

 

黄色の人…ゴーオンイエローこと早輝さんから手渡されたマグカップを手に取る。中身はホットミルクか…この状況で心を落ち着かせるにはうってつけだな。どれ一口いただくか…

 

「ああ、ありがとうございます…あっま!?」

 

「ええ?そうかなぁ…?わたしはこれくらいがちょうどいいんだけど…」

「早輝の基準じゃ甘すぎるっすよ。彼を糖尿病にする気っすか?」

 

「いえいえお構いなく!俺も甘いの大好きなんで。…まあちょっとアレかもですが」

「そう来ると思って、こっちもついでに。甘さ控えめプレーンクッキーっす」

 

「お、お菓子付き!いいんですか?」

「もちろん。でも、みんなで一緒に食べながら話も聞かせてもらっていいっすか?」

 

「ええ。そういう約束でしたしね」

 

「やったーおやつだ!」

「連、俺らにはコーヒー頼む」

 

俺と早輝さん以外の面々はホットコーヒーを淹れ各々テーブルについた。

 

「さて…それじゃあ桜くん。早速だけど君はなんでゴーオンレッドになれるんすか?」

「ああ、俺もそこが気になって仕方がねえんだ。なんでゴーオンジャーでもないお前がゴーオンレッドになれてるのか…」

 

「話すととてつもなく長くなりますけど…聞きます?」

 

「長い話を聞くのは慣れてるっす。ゆっくりでいいから、聞かせて欲しいな」

 

「…じゃあ」

 

そうして俺は語り始めた。

竜儀さんから聞いたユニバース大戦、テガソードのこと、俺が戦って来た指輪争奪戦のこと。

 

そしてこちらからも幾つか質問をした。

何故ゴジュウジャー以外の戦隊が存在するのか、奴らは何者なのか。それらを青の人…ゴーオンブルーの連さんと話を進める。

 

そうして分かったことをざっくり纏めると。

 

1.この世界ではユニバース大戦が起きていないらしいということ。戦隊もゴーオンジャー以外の組織が存在する。(つまりここは過去の世界というだけでなく、全く別の並行世界だということ)

 

2.あのボートバンキやウガッツという戦闘員。奴らの名前は『蛮機族ガイアーク』

この世界…ヒューマンワールドを汚し尽くし、自分達の物にして支配しようとしているということ。

 

3.ユニバース大戦が起きていない以上厄災の事も同じく知らないとのこと。

 

つまり彼らは正真正銘、この指輪の力のモデルとなった存在…話に聞く『オリジナル』だ。

以前竜儀さんからその存在を少しだけ聞いたことがある。

 

加えてこちらの事情も話す。

別の世界から来た事、厄災の敵公害のポリュシオンを探しているという事。

あと帰る方法を見つけたいという事。

 

諸々の事情を話し終えると、みんな目を丸くしていた。

 

「つまり桜は…別の世界から来た人間」

「まあ、炎神達も別のブレーンワールドから来てるから今更って感じではあるけど…」

 

「他の戦隊の存在しない世界…パラレルワールドってやつか」

「そうなるっすね。ゴーオンレッドがもう1人いる理由も納得がいくっす。あくまでも俺たちの知るゴーオンレッドとは別物だと」

 

走輔さんと早輝さん。それに連さんと黒の人…ゴーオンブラックの軍平さんが口々にそう言う。軍平さんは元警察官らしくそれもあってか飲み込みが早くて助かる。

 

「一応信じてもらえた…ってことでいいんでしょうか…?」

 

「もちろん!君が悪意を持つ人間じゃないのは今ので充分理解したっすよ」

「うんうん!それに、私たち桜くんに助けられてるしね」

 

「つまり今回はガイアークに加えて、その厄災って敵も見つけなきゃならねえってことか」

「そいつを倒して、それで、桜君を元の世界に帰す!」

 

「っし!決まりだな!」

 

「皆さん…!」

 

「よし!ならみんな、当面の目標は決まりっす!あのボートバンキをぶっ倒し!」

「ついでに厄災も倒す!」

 

「それで、桜君を」

「元の世界に送り返す!」

 

「やってやろうぜ、みんな!」

 

『おう!!』

 

「もちろんお前にも協力してもらうぜ、桜!」

「もちろんですよ!同じレッドとして色々勉強させてもらいます、走輔先輩!」

 

「お、おお…走輔先輩か…いい響きだぜ」

 

『ったく…あんま調子に乗りすぎるなよ走輔?』

『せやで、アンタホンマに危なっかしいとこあるからな?』

 

テーブルの上に乗せられたケータイ…変身アイテムのゴーフォンというらしいそれから立体映像でデフォルメされた炎神達が姿を現す。

 

「うおお本物の炎神!こっちがスピードルで…こっちはべアールVか!」

 

『お、オメェオレたちのこと知ってるのか?』

 

「えーとバスオンか。なんとなく、朧げにだけど…炎神のことはこの指輪の記憶から読み取って知ってる感じで」

 

『なるほどな、まあええわ!改めて、よろしく頼むでサクラ!』

 

『ワーオ!こりゃ楽しいことになりそうだね、アミーゴ!』

『俺達と共に戦うに相応しいか、見定めさせてもらうぞ』

 

「えーとこの2機は…」

 

「そうか、桜くんは以前の戦いでエンジンオーに乗ったことがあるらしいけど…この2人のことは見てないんすね」

 

『ボクは炎神バルカ!よろしくね、サクラ!』

『ガンパードだ。以後よろしく頼む』

 

緑の人…ゴーオングリーンこと範人さんの相棒はやけに陽気なタイプだな。反対にこっちのガンパードはハードな感じがイケてる…シブいな。

 

「ああ。よろしく、みんな!」

 

こうして俺は、オリジナルのゴーオンジャーの先輩達と行動を共にする事になった。

 

待ってろよ結衣、アイツらぶっ倒してすぐに帰ってやるからな!!

 

 

*****

 

 

神様にして指輪の戦士だという熊手さんに連れられやって来たのは、この世の何処でもない場所。見上げると山のように、多種多様な巨大なロボが積み上がっていて…曰くここは『ロボの墓場』というらしい。

 

かつてあったテガソードが厄災を封印した戦いユニバース大戦。その時テガソードに力を託し力尽きたロボ達がこれだ。

でもこんな場所になんで私を…?

 

「テガソード!いるか?」

 

『やはり来たか熊手真白…それに、橘結衣?何故ここに…』

 

「緊急事態だ、同席を許せ。コイツの彼氏…ゴーオンレッドが厄災と戦闘になった挙句、別次元に飛ばされやがった」

 

『やはりか。微弱ではあるが時空の揺らぎと共に観測された厄災の気配…その事だな』

 

「ああ。ヤツが何処へ行ったか、テメェなら分かるんじゃねえか?」

 

『何処か別の世界ではあるんだろうが…並行世界の数は膨大だ。私1人では時間がかかり過ぎて困難だ…』

「そんな…!じゃあ桜くんは…」

 

 

「お待ちなさい、お嬢さん。テガソードは1人ではと言いました。なら、私たちが加われば難しいが普通、もしくは簡単になると思いませんか?」

 

そこに現れたのは、二本角を生やし、白薔薇の散りばめられたドレスを着た女の人と鐘の頭の…アーイーだっけ?それに赤がベースの燕尾服の男の人…って事はこの人達、前に桜くんが戦ったらブライダン?

 

「よぉお嬢さん。それにローソクオサルもいたか」

「誰がオサルだ!オレにはなぁ、ファイヤキャンドルって名前があんだ!」

 

「まあまあファイヤキャンドルさん、そう怒らずに…初めましてお嬢さん。私、ブライダンテクニカル隊長『慈愛のブーケ』。以後お見知り置きを」

「同じく!ブライダン特攻隊長『不敗のファイヤキャンドル』!お前か、シンケンレッドの指輪を受け継いだっつー戦士は!どうだ、姉ちゃんいっちょオレと手合わせを…」

 

「悪いがそいつはまたにしろ。聞いたろ、緊急事態だって」

「そうですよファイヤキャンドルさん。この子は愛する人の為にわざわざこんな所までお越しくださったのです。それを無碍にするのは慈愛の名において見過ごせません」

「…ケッ、しゃーねえなぁ」

 

ファイヤキャンドルって人はどうやらバトルジャンキーな所があるみたい。桜くんと会わせたら案外気が合うかも…?

 

「ごめんなさい、キャンドルさん。その代わりと言ってはなんですが今度彼氏紹介しますから…」

「例のゴーオンレッドか!相当な強者らしいな、そいつは燃えてくるぜ…!」

 

「はいはい、後にしてください。テガソード、我々ブライダンの技術とあなたの戦隊に関する力、それらを掛け合わせればこの子の思い人を探すのも容易くなるはずです。我々も協力いたします」

 

『無論、ワレも力を貸そう』

 

そこに現れたのは、テガソードによく似た純白のロボ…この人は?

 

『助かる、テガジューン』

 

「では女王様、ノーワンワールドに戻り早速作業に取り掛かります」

『うむ。ワレもテガソードと話を終えたらすぐに向かう』

「はい!キャンドルさんは…」

 

「オレも行くぜ。そっち方面じゃ役には立てねえかもだが、厄災相手だってんなら戦いだろ?んならオレの出番…」

「あの、ファイヤキャンドルさん!」

「あ?…なんだ姉ちゃん」

 

「結衣です。橘結衣」

「ユイ?…で、なんだ?」

 

「戦うのは、私がやります!」

「はぁ!?オイオイオイそりゃあねぇぜ!オレも厄災にはひでぇ目遭わされてる、お返ししねぇと気がすまねぇんだ!」

 

「それでもです!あの時、私が未熟だったばっかりに桜くんが身代わりになって…あの時巻き込まれていたのは私かも知れなかったのに…だから今度は私が!」

 

「で、でもよぉ…」

 

「譲ってあげてください、ファイヤキャンドルさん」

「ブーケ嬢…」

 

「愛しい人の仇を取りたい気持ち…私には分かってしまうんです。一度火がついたら止まらない…燃えるような想い。覚えはあるでしょう?貴方にも、私にも」

 

ブーケさんやキャンドルさんにも私と似たような経験が?それは気になるけど…今はそんな場合じゃないか。それを聞いたキャンドルさんは仕方ないとばかりに溜息をつき手を上げた。

 

「わーったよ。なら姉ちゃん、今回はテメェに譲ってやる」

「!ありがとうございます!!」

 

「ただし!!」

 

「ただし?」

「条件がある。見たところ姉ちゃん、戦いには慣れてないだろ?」

「…はい、残念ながら」

 

「そんな状態で彼氏を助けに行っても犬死にするだけだ。だから!」

 

『打倒厄災!!』と書かれた鉢巻をギュッと結び何処からか取り出したロウソクのついた棍棒を突き立てた。

 

「オレがお前のコーチになってやる!これからノーワンワールドで、オレや部下達と猛特訓だ!」

 

その声に周りにいたアーイー達も同じハチマキを頭に巻き、次々と歓声を挙げるかの如くキンコンと鐘の音を響かせる。

 

「いいよな、熊手真白!」

「…仕方ねえ、嬢ちゃん!俺様達がアイツの行方を見つけるまで、そのオサルに特訓つけてもらえ。そいつはバカだが、戦士としちゃかなりの実力者だ」

 

「バカは余計だろバカは!テメェこの神気取り!だいたいテメェはいつも一言余計なん…」

「はいはいファイヤキャンドルさん、時間が惜しいので彼女の案内よろしくお願いしますよ。では女王様、我々もお先に」

 

『ああ、任せたぞ。ブーケ、ファイヤキャンドル』

「…おう、任せとけ!」

 

「しっかり扱かれて来な!お嬢ちゃん!」

「…はい!」

 

 

強くなる。桜くんを…大事な人を助ける為に!待ってて桜くん、今度は私の番。強くなって、胸を張って君を助けに行くから!!

 

 

*****

 

 

『ボートバンキは船。つまり何処か港のある場所に出現するはずっす、みんなで手分けしてこの辺りにある港を張るっすよ!』

 

と連さんに言われ俺達はそれぞれチームに分かれて行動する事になった。

 

1.早輝さん・範人さんチーム

 

2.連さん・軍平さんチーム

 

3.走輔さん・桜チーム

 

ちなみにチーム分けはこんな感じ。

 

 

「…来ないな」

「反応があったらボンパーから連絡があるはずだ。だからそれまで待とうぜ」

「…っすね」

 

とりあえずスマホでも見て時間潰す…あ、電波入らねえんだった。…写真でも見るか。

 

「…あ」

 

ふと目に入ったのは結衣と一緒に撮ったツーショット写真。制服姿でいつかの帰り道に撮ったんだっけ。…やばい、なんかちょっと…心に来る…会いたいなぁ…結衣

 

「ほれ!」

 

その時頬に何やら冷たい物が押し付けられ、振り向くとそこには同じ缶をもう一つ持った走輔さんがいた。

 

「走輔さん…」

 

「ちょっと休憩しようぜ。こうも張り詰めてたらいざって時に実力発揮できねえぞ?」

「…ありがとうございます」

 

走輔さんから缶を受け取りタブを開けて中身を一口。…爽やかなオレンジの香りが鼻を抜けていく。

 

「…なぁ、桜。お前何の為に戦ってたんだ?」

「…はい?」

 

「よく分かんねえけど…指輪の戦士ってのは自分の願いのために戦うんだろ?どんな願い叶えたかったんだ?」

 

「…俺は、最初はブライダン…当時敵対してた組織を倒す事。大切な人を守るために戦うことが願いでした。でも、俺の力じゃ全然上手くできなくて…結衣1人守るのが精一杯だったんです。多くの人を守るなんてできなかった。でもそれでいいんだって、今はそう思ってます。

 

身近にいる、少ない大切な人を守ることが俺の望みだって。それで一度は指輪を手放して、他の人に託したんです。でも、争奪戦はやり直しされる事になって、今は…」

「今は?」

 

「今は…何の為に戦えばいいんだろ?いや、偶に出る強盗退治に力使ったりしてるけど…ぶっちゃけ言うと分からなくなっちゃって。どうしたらいいのかなって…」

 

最近いざ改まって考えてみるとそう思うことが増えた。聞けばブライダンとは和解し今は共存の道を模索しているのだという。

 

なら俺の願いはどうなる?アイツらを倒す必要は無くなった。厄災も残っているとはいえそう頻繁に出るものじゃない。そうなると俺は何の為にこの力を使えば…

 

「う〜ん…そうだな…俺は、お前がどんな戦いをして来たのかは詳しく知らねえから偉そうな事は言えないけど…そのままでいいんじゃねえか?」

「そのままで?」

 

「ああ。お前はその…彼女の結衣ちゃんや友達を守るために戦って来たんだろ?だったら良いじゃねえか!充分立派な願いだぜ!」

「そうですかね?めちゃくちゃ小さな…世界を守る為に戦ってるヒーローの走輔先輩達と比べたら全然小さな…」

 

「桜。実は俺達もな、最初から世界を救う為に戦ってたわけじゃないんだぜ?」

「え、そうなんですか?」

「ああ。あの時はな…」

 

そうして走輔さんから語られた、ゴーオンジャー結成秘話。

 

走輔さんは当時、プロのカーレーサーだったらしい。だがある日レースが行われたサーキットがウガッツ達に襲撃され、そこにいた連さん(送迎バスの運転手)早輝さん(販売員さん)の3人はただの人間でありながら、人々を守る為に戦っていた。

 

そこを水先案内ロボのボンパーと炎神達に見込まれたのだとか。

 

『正義の味方になってほしいんだけど』

 

そう言って変身アイテムのゴーフォンを渡された時はそりゃあ驚いたのだとか。

 

「きっかけはそんなんもんだった。最初はそりゃあ戸惑ったさ、でも今は自分達なりに正義の味方をやれてんだ。だから桜もいいんだよ。理由がどうあれ、大事なもんの為に戦う事。ヒーローに必要なことなんて、それだけでいいんだ」

 

「走輔先輩…」

 

「なーんて!アッハハハ!走輔先輩なんて言われたから偉そうに説教しちまったけど、ちょっと俺の性に合わないな!悪い!聞き流して…おわぁぁぁ!!??」

 

走輔先輩が開けた缶から勢いよく中身が吹き出す。ああもうそそっかしい先輩だな…そう思いながらも取り出したハンカチで拭いてやるのだった。

 

すると突如走輔さんのゴーフォンに着信が。

スピーカーモードにしたそこからボンパーの声が響いた。

 

『ボンボン!ボートバンキの反応出現!連と軍平が応戦中だよ!早輝と範人も向かってる!』

 

「桜!」

「はい!」

 

何はともあれ、今は目の前の事に集中だ。

俺たちは送られた座標へと走るのだった。

 

*****

 

 

第三章 「正義ノシカク」

 

 

 

「ハァッ!ブン!バン!」

 

「なんなのコイツら!?ウガッツ以外にも変なの混ざってる!」

「恐らく桜くんの言ってた厄災の奴じゃないっすか!?」

 

「ウガッツだけでも面倒だってのに…」

『一体残らず撃ち抜け、軍平!』

「分かってる!」

 

変身して現場に急行すると、既に4人がウガッツ及び穴空き頭や紫に黒のプロテクターの厄災の機械兵達と交戦中。各々武装を手に沢山いる戦闘員達を撃破していっている。

 

「見つけたぜボートバンキ!」

「ボート…?いや、待ってくれ走輔先輩!アイツなんか…すごく見た目変わってません?」

 

「その通り!三大臣様、そしてポリュシオン様の力を得て、オイラは…いや我は生まれ変わった。今の我はセンカンバンキ!もはや貴様らなど敵ではない!」

 

船のような外見は変わらず、頭部が戦艦の艦橋になり、左右に巨大なアンテナが。

 

両肩の主砲やより硬さを増したと一目でわかる重装甲。背中のエンジンに加えてミサイル発射機のような大型兵装がつき、両脚はアンカーとキャタピラが一つになったような構造で、胸部にはガイアークの紋章が刻まれている。

 

「ボートから一気に戦艦かよ…面倒な強化されやがって!」

 

「それがどうした!俺達6人いりゃボートだろうが戦艦だろうがマッハで沈没だ!行くぜ!」

「あ、ちょっと走輔先輩!」

 

ゴーオンレッド(走輔さん)はマンタンガンにスピードルの炎神ソウルをセット。ロッドモードに変形させセンカンバンキに向かっていく。俺もそのあとを追い、2人で協力して攻撃を仕掛ける。

 

ロッドによる乱打を繰り出すも、ボートから戦艦になったおかげか重装甲でほとんど効いてる様子がない。

 

「かって…!」

「半端な攻撃は効かねえって事かよ!」

 

「当然だ!我の装甲はガイアークナンバーワン!そう簡単にこの守りを破れると思うな!」

 

背中の発射口が開き、中からミサイルが放たれ周囲の機械兵達をも巻き込み、俺達を吹き飛ばさんと降り注ぐ。

 

「っ!あの野郎自分の仲間ごとかよ!」

 

「我の道行を塞ぐものは例え誰であろうと容赦せん!三連装汚染砲!てぇ!!」

 

加えて肩の主砲から砲撃が放たれる。

咄嗟にガードするも受けきれずに吹っ飛びその衝撃波は周囲に伝播。地面がひび割れ腐食し、海水は濁り汚れ空気は澱んでいく。

 

「くっそアレただの大砲じゃねえ!」

 

「このままじゃアイツを倒す前に港が大変な事になるっす!」

 

「でもまだ数がかなりいる!」

「ウガッツもだが、他の雑魚が多い…!」

 

「とにかく数を減らしてこう!それしかないよ!」

 

イエローがレーシングバレットとマンタンガンの二段構えで応戦、ブラックもカウルレーザーとの二丁で一体ずつ撃ち落としていく。

 

「よし!走輔、範人、桜くん!俺達はセンカンバンキを!」

 

「「「了解!!」」」

 

ダブルゴーオンレッドはロードサーベルを、ブルーはガレージランチャー、グリーンはブリッジアックス。それぞれのゴーオンギアを手にセンカンバンキに向かおうとしたその時だった。

 

何処からか放たれた電撃が俺達を襲う。

突然の奇襲に倒され、地面を転がされた。

 

「そうは行かんナリ!」

 

 

「っ…なんだ今の!?」

「この声…まさか!」

 

「あり得ないよ!だってアイツは…」

「ああ…走輔が倒したはず…何故お前がここにいる!ヨゴシュタイン!!」

 

そこにいたのは大柄な機械の怪人がもう一体。センカンバンキにも劣らない重厚な鉄の体と槍を持っている。

 

「走輔先輩…アイツは…?」

「害地大臣ヨゴシュタイン…!俺が前に倒した奴だ!」

「大臣…幹部クラスのお出ましかよ…!」

 

「もはや我は大地のみにあらず、ポリュシオン様の力をもって死から甦りし存在…害地改め害死大臣ヨゴシュタイン!ゴーオンレッド…貴様に復讐する為、地獄の底から蘇ったナリ!」

 

「へっ!何度蘇ってこようが知ったことか!何度でも地獄に送り返してやるぜ!行くぜ桜!」

「はい!ダブルレッドの力、見せてやる!」

 

ダブルゴーオンレッドはロードサーベルを手に(俺は左手にサーベル、右手にテガソード)でまずはヨゴシュタインに向かっていく。

 

俺が二刀流で攻めにかかり、ヨゴシュタインの方も手に持っていた槍でこちらの攻撃を捌きながら隙あらばこちらを突き刺そうと仕掛けてくる。

 

だがリーチがある分攻撃そのものは大振り。

なんとかガードはできているが流石に幹部クラスとあってか生半可な攻撃が通用しない…!

 

「っ…野郎!」

「コイツ前より強くなってる…!」

 

「今の我にはあのお方の力も宿っている…その程度では我は倒せんナリ!」

「やべっ…!」

 

するとヨゴシュタインは極小の弾丸のようなものを放ってくる。ロードサーベルで弾いてガードに成功するも、その攻撃を受けたロードサーベルは変色し、まるで銅像のようになってしまった。

 

「っぶねぇ…!なんだ今の!?」

 

「あの攻撃を喰らうと銅みたいにカチコチになるっすよ!」

「前に走輔もそいつにやられたんだ!」

 

センカンバンキと戦いながらブルーとグリーンが教えてくれる。マジかよ武器はおろか人までこうなりかねないってことか!?

 

「武器さえ封じればこっちのものナリ!」

「冗談!まだあるんだよ!」

 

テガソードを手にヨゴシュタインを斬りつける。だがロードサーベル程出力が出ていないのかあまりダメージが通った感覚がしない。

 

「フン…こっちのゴーオンレッドは大した事ないナリ…フンッ!」

 

「ぐああっ!?」

 

「桜!!」

 

槍の一振りをモロに喰らい吹っ飛ばされる。

加えて電撃攻撃まで浴びせられてしまい、変身が強制解除されてしまった。

 

「さぁ、残るは貴様らだけナリ…!センカンバンキよ、纏めて吹き飛ばすナリ!」

 

「かしこまり〜!全砲門開け!一斉掃射!!」

 

ミサイル、主砲、機関砲。センカンバンキに搭載されたありとあらゆる火器が戦場に降り注ぎゴーオンジャー+俺を襲う。

 

大火力攻撃を喰らい機械兵が幾らか巻き添えになりながらも俺達に大ダメージを与え、全員が変身解除されて地面を転がった。

 

「っあ…!みな…さん…!」

 

「桜…大、丈夫…か…!?」

 

「なんて火力…これが厄災の力なの…!?」

「今まで戦ったどの蛮機獣よりも遥かに強力っす…!」

 

「もう…動けな…」

「諦めるな…!みんな、立つんだ…!桜を…元の世界に帰すんだろ!?」

 

「そうだ…俺は…帰るんだ…結衣のところに…みんなの所に…!」

 

「元の世界に帰る必要は無いナリ、指輪の戦士…何故ならゴーオンジャー諸共ここが貴様の墓場となるからナリ!!」

 

ヨゴシュタインの槍にエネルギーが集まっていく。それが放たれれば俺達はジ・エンド。

ひとたまりもないだろう。

 

だが全く体が動かない。これだけの数が集まってなお敵わない、あの時以上の絶望が俺を支配していた。

 

やっぱ、俺じゃダメだった。走輔先輩達みたいになれない…ヒーローには成りきれないんだ…心が折れかけていた時、耳に響く声が。

 

「…桜…おい桜!!」

 

「走輔…先輩…?」

 

「まさか、もう諦めた訳じゃねえだろうな…!?」

「でも、こんな強敵相手にこれだけ束になっても…」

「ふざ…けんな!!」

 

「先輩…?」

 

「お前、ゴーオンレッドなんだろ!?俺と同じ力を持ってるんだろ!?だったらどんな理由があっても諦めてんじゃねぇ!最後の最後までマッハで突っ走る!それが俺、それがお前!ゴーオンレッドなんだ!!」

 

「最後の…最後まで…」

 

響く叱責の声。

自分だってボロボロなのに、なお俺を励ましてもう一度立ち上がれと言っている。

 

そうだ。成り行きがどうあれ、理由がどうあれ俺はこの力を手に入れた。ならそれに恥じない戦いをしないと、先輩達に申し訳ない!

 

「突っ走る…最後まで…!」

 

『そうだ桜!あの時俺もお前から感じ取った!走輔に負けないくらい、真っ直ぐで熱い心を!だから立て!立って、オレ達と戦え!』

「スピードル…!」

 

「立ち上がる必要は無い。ここで貴様らはくたばるナリ!そして、ガイアークと厄災の時代が幕を開けるナリ!!」

 

 

ヨゴシュタインの槍にエネルギーが集まり、それが俺達に向けて放たれる。それが直撃し跡形もなく消し飛ぶ…はずだった。

 

 

「「「「させるか!!」」」」

 

《フィニッシュナックル!!》

《シンケンジャー!フィニッシュ!!》

 

金銀白赤、四つの光が俺達に当たるはずだったその攻撃を消し飛ばした。何が起きた?いや、今シンケンジャーって…まさか!!

 

「────お待たせ。迎えに来たよ桜くん!!」

 

そこにいたのはシンケンレッド。

しかもあの重く持ち上げるのにも苦労していた大剣を傍に突き刺しながら3人の戦士と共に立っていた。

 

「結衣…結衣なのか!?」

 

変身解除し、彼女が駆け寄ってきて俺を抱きしめた。何色にも染まっていない長い黒髪と柔らかな、でも何処か凛々しさが増している。でも間違いなく結衣だった。

 

「ごめん、待たせちゃって」

「…会いたかった。ずっと…会いたかった…!」

 

「ったく…ほんの短時間でここまで成長させるとはな。あのオサルも大したもんだぜ」

 

「どうにか間に合ったね、アニ!」

「ああ。突然空からこの神と女の子が降ってきた時は何事かと思ったが…」

 

それに加えて、白熊と金銀の戦士が変身解除し俺達のところにやって来た。

 

金の戦士はフライトジャケットを身に纏い金と黒の混じった髪色の男性。一方銀の戦士は女性だった。早輝さんよりも大人びた印象で、金の戦士と色違いのジャケットだ。アニって事は兄妹なのかな?

 

白熊の戦士は…派手なローブを黒のジャージの上から羽織っている。右手には特徴的な指輪から察するに俺達の同類か?

 

「待たせたなテメェら、救いの神の降臨だ!」

 

「神…?結衣、この人は…」

「熊手真白さん。私たちと同じ指輪の戦士で、神様なの」

「指輪の戦士の神様…いや、でもなんでここに…!?」

 

「テガソードとブライダンの力を結集させ、テメェの持つ指輪の気配を辿ってな。神といえど時空を越えるのは苦労したんだぜ?

『この代金は高くつくクマよ?』

 

「クマの人形が喋った!?」

「ごめん桜くん、そのくだりもうやったんだ…。それとこっちにきた時にこのお二人と会って、協力してもらえる事になったんだ」

 

「お二人も…ゴーオンジャー?」

 

「半分正解半分外れ。答えはそうね…コイツらと戦うなら教えてあげる!」

「さっさと立て。事情は知らんが…曲がりなりにもゴーオンレッドなんだろう、ボウズ」

 

よく分からないけど…今はどうでもいいや!これだけ助っ人がいりゃ…そして何より結衣が、大好きな人がそばに居る!

 

「それなら俺は…誰にも負けねぇぇッ!!!」

 

右手に嵌めた指輪が輝く。

赤く、赤く、炎のように燃えている。

 

走輔先輩の側にあったスピードルのソウルが、そして走輔先輩自身も胸から赤い光を放ちそれに共鳴するように赤く光っている。そしてその光は俺の指輪に集まっていき…色が金色から赤く染まった指輪へと変化した。

 

「指輪が…赤く…?」

 

「あれはあの時と同じ!オリジナルの存在が指輪と共鳴し、限界を超えて高めやがったのか!?」

 

感じる。あの時と同じ…いや、それ以上に力が高まっているのを!今ならアイツらを倒せるかも…いや、倒せる!

 

「走輔先輩!皆さん!!」

 

「ああ…みんな、まだやれるよな!?」

 

「当然!充分休憩できたっすよ!」

「まだまだ行けるよ!」

 

「僕達だってまだ負けてない!」

「ああ。先輩としちゃ、カッコ悪いところ見せられねえよな!」

 

「そう来なくちゃ。アニ、私たちも!」

「ああ」

 

「さて、もう一働きするか!嬢ちゃん、行けるな!」

「はい!桜くんや…皆さんと一緒なら!」

 

ゴーオンジャーの先輩方、金銀の戦士の2人。神様と結衣。9人の戦士が並び立つ。

 

「みんな!俺達の力見せてやろうぜ!!」

 

『おう!!』

 

 

『チェンジソウル!』

「センタイリング!」

 

『セット!』

 

「「エンゲージ!!」」

 

《センタイリング!》

 

先輩達+2はチェンジソウルを俺と結衣はリングをテガソードに、神様はナックルのような武器セットする。

 

そして先輩達、そして俺は反撃開始を告げるように同時に高らかにその言葉を叫ぶ!

 

『レッツ!ゴー・オン!!』

 

先輩達はそれぞれのアイテムにチェンジソウルを、俺は銀のテガソードにセンタイリングをセットすると熱いソウルがその身を包み戦士の姿へと変身する!!

 

『メットオン!!』

 

《ゴジュウポーラー!!》

 

《シンケンジャー!!》

 

そして神様と結衣もそれぞれポーズを取りナックルを掌に、テガソードで火の文字を書くと、それぞれ氷と炎に包まれ戦士の姿へと変わった!

 

出会うはずのない奇跡。

時空を越えて戦士達はここに集い、俺達は自らの名を宣言する。

 

「マッハ全開!」

「キブン爽快!」

 

「「ゴーオンレッド!!」」

 

「ズバリ正解!ゴーオンブルー!!」

 

「スマイル満開!ゴーオンイエロー!!」

 

「ドキドキ愉快!ゴーオングリーン!!」

 

「ダッシュ豪快!ゴーオンブラック!!」

 

 

「「「「「「正義のロードを突き進む!」」」」」」

 

「「「「「「炎神戦隊!ゴー!オンジャー!!」」」」」」

 

 

「ブレイク限界!ゴーオンゴールド!!」

「キラキラ世界!ゴーオンシルバー!!」

 

「「テイクオフ!ゴーオン・ウイングス!!」」

 

「シンケンレッド!橘 結衣!!」

 

「世直しゴッドネス!ゴジュウポーラー!!」

 

 

「行くぜ!」

 

走輔先輩の掛け声で全員が一斉にヨゴシュタインとセンカンバンキに向かって行く。

 

同時にウガッツや他の厄災の機械兵達も増援が出現し、俺達はぶつかり合った。

 

「雑兵は俺様達に任せろ!金と銀、手伝え!」

「仕方ない、今回は奴らに花を持たせてやるか」

「行くよ、アニ!神様と君も!」

 

「桜くん、こっちは私たちに任せて!」

 

「ああ、頼む!」

 

*****

 

ゴーオンウイングス、そう名乗った兄妹は私が5体倒す間にその倍近くの戦闘員を倒している。聞いた話によると、彼らはゴーオンジャーの人達とは違い訓練を積んだエリート戦士なのだと言う。

 

「よそ見すんな嬢ちゃん!俺様達もやるぞ!」

「は、はい!」

 

キャンドルさんのコーチのおかげでこの刀の扱いもだいぶ慣れてきた。

 

一体、二体、背後から襲われる気がしたので刀を背に回し受け止め刀を振り、確実に機械兵達を仕留めていく。すると今度はキーボードのような顔にコンセント型の槍持ちの敵が。刀じゃちょっと部が悪い…ならここは!

 

「烈火大斬刀!」

 

シンケンマルを変化させ大型の剣に。

あの時は重さのせいでマトモに持てなかった。でも今は違う!

 

「ふん!やああっ!」

 

足で蹴り上げ、勢いをつけて打ち上げ振り下ろす。蹴り上げて押し込む、薙ぎ払う。

 

重くて扱えないのなら逆にそれを利用してしまえばいい。これが私の考えた戦術だ。

 

「ハッ!やるじゃねえか嬢ちゃん!中々どうして飲み込みが早えな!」

 

アッパーでネジ頭の兵士を打ち上げ、左手のベアックマから放たれる光線で兵士達を薙ぎ払う。気づけば兵士達はかなり減っていた。

 

「よっしゃ!締めにかかんぞお前ら!」

 

《フィニッシュナックル!!》

 

「「アテンション!ウイングブースター!」」

 

「トリプターソウル」

「ジェットラスソウル」

 

「「セット!ブーストアップ!」」

 

『行くぜアニキ!』

『私の牙からは逃げられない』

 

「「ゴーオン!!」」

 

ゴジュウポーラーが敵を凍結させウイングスの2人が撃ち抜き…

 

「ペイント!からの…豪火剣乱!!」

 

烈火大斬刀を振り回しての連続攻撃で焼き砕く!機械兵達は瞬く間に爆散してしまった。

 

「よーしその調子だ!ゴッドネス軍団!アイツらの邪魔させんなよ!」

 

「…何故奴が仕切っているんだ」

「まあ…神様だからじゃない?

 

「すみません…うちの神様が」

 

桜くんは…大丈夫かな?

 

*****

 

「フン…数が増えたところでどうなるナリ!」

「どうにかなるさ!みんながいるんだ!!」

 

ヨゴシュタインは槍から再び電撃を放ってくるが俺はそれをものともせず一番槍で突っ走る。

 

「っるぁあ!!」

 

「ぐぅ…!なに!?」

「まだまだ!」

 

左の拳がヨゴシュタインに突き刺さる。よろめいた隙を突いてテガソードでの二連撃、膝蹴りから回し蹴り。赤いオーラを纏った蹴りはヨゴシュタインを大きく吹っ飛ばした。

 

「なんだこれは…先程とは比べ物にならない力…何故ナリ!?」

 

「俺たちも続け!」

 

走輔先輩の合図でゴーオンジャー達もそれぞれの固有武器を持つ。

 

ブルーとイエロー、ブラックの支援砲撃。グリーンが切り込み、更に俺達ダブルレッド。この指輪がパワーアップしたせいか、ロードサーベルが銅化も解けているどころか強化されている。今なら行ける!

 

「ぬぅぅ…センカンバンキ!」

 

「やらせはせん!一斉砲撃!」

 

センカンバンキが一斉に主砲やミサイルを放ち砲撃を仕掛けてくる。撃ち落とそうと身構えるが…

 

《mission6!full power!!》

 

ロケットのような形状の短剣を持ちかっ飛んで来たウイングスの2人がなんとミサイルを全弾撃ち落としてしまった。

 

「遅いな」

「そんなミサイル効かないわよ!」

 

主砲の攻撃もゴジュウポーラーの左手に収まっていたあのクマと結衣の炎を纏った斬撃が撃ち落としてしまった。

 

「そんなバカな…!」

「センカンバンキのガイアークナンバーワンの火力をいとも簡単に…!」

 

「火力ナンバーワンだろうが硬さナンバーワンだろうが関係ねえ!勝つのは俺達だ!行くぜ!」

 

走輔先輩のロードサーベルと、その他4人の武器が合体。巨大なバズーカ型アイテムへと変形合体した。

 

「「「「「ポールポジション!スーパーハイウェイバスター!!」」」」」

 

「桜、お前が決めろ!」

「はい!スピードルソウル、セット!!」

『いつも以上に全開で行くぜ!!』

 

『ターゲットロック!!』

 

走輔先輩からスピードルの炎神ソウルを手渡されるとガレージランチャーの背部が開き、そこにスピードルソウルをセット。ロードサーベルのゲート部分が開き、ヨゴシュタインとセンカンバンキを捉える。

 

『ゴーオン!!』

 

トリガーを引くと射出されたレーシングバレットがカウルレーザーのカウルを装着。スピードルの赤いオーラを纏い二体に向けて突っ走る。

 

『ぶっちぎるぜぇぇぇぇぇぇ!!!!』

 

マッハを超える速さと火力。

2人分のレッドの力を纏った攻撃が2体の機械を撃ち抜いた。

 

「馬鹿な…一度ならず二度までも…この我が破れることなど…ありえん…ありえんナリ…!」

 

「申し訳ありません皆様…!力及ばず…我らは…!!」

 

その火力に耐えきれず2体は大爆発。

ヨゴシュタインの方は木っ端微塵に砕け散った。

 

「よっしゃああ!!」

 

「やったぜ桜!」

「先輩達のおかげですよ!」

 

「ダブルレッド、カッコよかったっすよ!」

「だね!熱さ2倍で大勝利!」

 

「やったね!これで強敵撃破!」

「ああ、だな!」

 

*****

 

「そんな…ヨゴシュタインまたしても…」

「いや…まだゾヨ!ヨゴシュタインは破れても、センカンバンキはまだ…およ?」

「どうしたでおじゃるキタネイダス?」

 

「ポリュシオン殿は…何処へ?」

 

*****

 

「やるじゃねえか、お前の彼氏」

「ええ。これが桜くんなんです!」

 

「走輔にも負けず劣らず…なかなかいいと思わない?」

「だな。やや荒削りだが…悪くない」

 

「さて、決着も着いたことだしあとは」

 

帰るだけなどと言おうとした瞬間、突如として強烈なプレッシャーが俺達を襲う。空間が歪みそこから現れたのは…

 

「逝ったか、我が僕達よ…」

 

「ポリュシオン…!」

 

「だがまだ終わりではない。その力、最後まで我のために使うがいい!!」

 

するとセンカンバンキやヨゴシュタインの残骸がポリュシオンに吸収されていく。するとその体は、みるみる超巨大化していった。

 

「おいおいお約束かよ!!」

「あんな大きなのどうするの!?」

 

 

「あとは俺達に任せろ!ボンパー!」

 

『炎神キャスト、転送!』

 

ギンジロー号のボンパーの操作でアタッシュケースが転送されてくる。その中には炎神達の体がミニカーサイズで収められていた。

 

 

『炎神ソウルセット!ゴー!!』

 

ゴーオンジャーとウイングス達はそれぞれの相棒、そして他の炎神にもソウルをセット。すると炎神達もその状態から巨大化していった。

 

炎神達はこの世界では大きいままではいられずキャスト(肉体)とソウル(魂)に分けることで存在を保っている。そしてキャストにソウルを再装填することで10分間だけ元のサイズで行動することが可能になるのだ!

 

『G12フォーメーション!炎神合体!!』

 

「出番だグーデバーン!」

 

《アウェイキング!》

 

ゴジュウポーラーもナックル型アイテムを分離すると大きなリングに乗り込み、現れた巨大なナックル型メカが変形したロボと合体する。

 

12の魂と7つの心。2柱の神が一つとなり全ての悪を制し砕く究極の王と巨神が降臨する!

 

『エンジンオーG12!チューンナップ!ゴーオン!!』

 

「リングイン!人神一体!グーデバーン!!」

 

並び立つ2体の巨神と機械仕掛けの怪物。

取り残された俺と結衣はその光景にただ息を呑むだけであった。

 

「G…12…?」

「三体合体だけじゃ無かったんだね。あのロボ…」

 

「貴様らを倒しこの世界もあの世界も我がものとし、人間共を滅ぼし尽くす!」

 

ポリュシオンの放った黒いビームが2体の巨神を直撃する。エンジンオーの方はともかく、グーデバーンと呼ばれた方はややダメージを負っていたようだ。

 

「チッ…あの厄災、なんか妙なエネルギーを取り込んでやがる…!生まれたてだってのにこの強さはどういうこった!」

 

「恐らく、蛮機獣が持つビックリウムエナジー…あれを取り込んだせいで余計に力を増しているんだろう」

「けど負けるか!後輩達が見てるんだ!ここでカッコ悪いところは見せられねえぞ!!」

 

エンジンオーは恐竜炎神の腕でそれぞれパンチを繰り出し、更に蹴りを叩き込む。グーデバーンもそれに続きラッシュを繰り出すもポリュシオンは健在だった。

 

恐らくあのエンジンオーは俺が乗ったそれより遥かに強いんだろう。だが、それでも決めきれない…せめてもう一押しあれば…

 

「っ…俺もエンジンオーが呼び出せれば…!」

「できないの?今の桜くんの指輪、力がすごいんでしょ?」

「やってるけど…多分別の世界にいるせいで呼び出せないっぽい。あの時とは違うんだ」

「そんな…!」

 

ええい、こうなりゃもうヤケだ!神頼みでもなんでもしてやる…

 

ん?神頼み?…そうだ!

信じる者は救われる。竜儀さんのその言葉を信じてみよう。

 

俺は大きく息を吸い込み、その名を叫んだ。

 

「テガソードォォォォ!来ぉぉぉぉい!!」

 

「いやいや桜くん…熊手さんがあんなに苦労して来たのに流石にそれは…」

 

すると、ポリュシオンの力で汚染され黒く覆われた空が金色に光る。そこから現れたのはなんと巨大な黄金の右手…巨神テガソードだった。

 

「「本当に来ちゃった!?」」

 

『探したぞ、木之実桜!』

 

「マジで来るんだ…」

 

『マジだ。厄災相手であれば私の出番、手を貸そう』

 

すると俺の前に金色の装飾が施された青い剣が突き刺さる。これを使えってことか?更には俺の右手の銀のテガソードが、脈打つように光を放っていた。

 

「まさかこれ…」

『指輪の力が限界を超えて高まっている。今のお前なら、最大の私すら乗りこなせるはずだ!』

 

「────よーし!ぶっつけ本番だ!『操縦(ステアリング)』オン!」

 

 

《アウェイキング!》

 

銀のテガソードに左手を重ねると光が収まり、人差し指部分を展開!更に突き刺さっていた剣を空に掲げる。

 

すると巨神サイズの青い大剣が飛来。

テガソードは人型に、青い大剣は分離し装甲へと姿を変えた。

 

《アライジング!》

 

テガソードは剣の装甲を身に纏いその姿を変えていく。すると俺の変身も解け、服が白と黒、金の装飾が施された衣装に変わっている。乗り込んだ青いリングがテガソードの頭部に変形。

エンジンオーと似たようなコクピットだ。

 

「リングイン!超越・擬似人神一体!」

 

手に持っていたテガソードのフィギュア(こちらは金ではなく銀)を置きコンソールと融合。戦士と神が一つになる時、両の手に剣を携え、全てを凌駕する最後の巨神が大地に降り立つ!

 

「リョウテガソード!!」

 

《リョウテガソード!降臨!!》

 

「桜…なのか!?」

 

「おいおいマジか…ただの指輪の戦士がテガソードに乗れるとはな」

 

「行くぜ神様!ゴーオンジャーの先輩達!一気に決めるぜ!!」

 

リョウテガソードが先陣を斬る。

両の手の剣で二撃を叩き込むと、更に蹴りを叩き込む。

 

それに勢い付けられたのか続いてエンジンオー、グーデバーンも各々の拳でポリュシオンを叩き、その鉄の身体を砕いていく。

 

「っグゥ…!まだだ…こんな所で…終わる訳には…!」

 

「いいや終わりだ!この世界に不幸の居場所はねぇ!」

「目覚めたばっかで悪いが、再び眠ってもらうぜ!」

 

グーデバーンが変形、ナックル状態になると加速しポリュシオンに突っ込んでいく。

 

「俺様鉄拳!ブリザードクラッシャー!!」

 

《ポーラー!グーデフィニッシュ!!》

 

冷気を纏った拳がポリュシオンを貫く。

その身体が凍りつき限界を示すようにスパークを放っている。

 

「決めろテメェら!」

 

「ああ!決めるぜ走輔先輩!みなさん!」

「ああ!これで終わりだ!!」

 

『貰ったぜ!最終コーナー!!』

 

リョウテガソードの両肩の黄金の手が開き青いオーラを、エンジンオーは燃える炎のようなオーラをその身に纏い二体の巨神は厄災を滅ぼす正義の一撃を撃ち放つ!!

 

 

「テガソード!」

「エンジンオー!」

 

 

凌手駕(リョウテガ)グランプリ!!!!!』

 

雄叫びと共に2体の巨神の一撃がポリュシオンを貫く。鉄の体はひび割れ弾け火花を放ちながら崩れ落ちた。

 

「我が望みは叶わず…口惜しい…!!」

 

悔しさを滲ませる台詞を吐きながらポリュシオンは爆発。今度こそ砕け散り消え去った。

 

『チェッカー・フラッグ!!』

 

 

*****

 

ポリュシオン、そしてセンカンバンキを倒した事で汚染された街や港はしだいに元通りになっていった。ポリュシオンが厄災として半端な覚醒状態だったのが幸いしたのかこの世界への影響は然程大きくはないだろう、というのが熊手さんの見解だった。

 

だが、良いニュースがある一方悪いニュースもある。

 

ポリュシオンが起こしたアクシデントの時空の歪み。アレまでも元通りになりつつあり、すぐに帰らないと揃ってこの世界に閉じ込められかねないとのことだった。

 

「つー訳だ。すぐ帰るぞテメェら」

 

「余韻もへったくれも無いな…神様どうにかできません?せめてお別れパーティーとか…」

「そうですよ。まだ大翔さんや美羽さん達、それにゴーオンジャーの皆さんとも私全然話せてないし…」

 

「残念ながらこればっかりはな。今回は相当無理して別世界に飛んで来たんだ、その代償みたいなもんだ」

 

「…そっか。なら仕方ない、な…」

「桜くん…」

 

まだ話したいことがいっぱいある。聞きたいことが、教わりたいことが。色々な感情が胸の奥から込み上げてくる。

 

「桜」

「…先輩?」

 

「これ、持っていけ!」

 

走輔先輩から手渡されたのは大きめの紙袋。

許可を取り開けてみると…中に入っていたのはゴーオンジャーの皆さんが着ているものと同じジャケットだった。

 

色は赤く、英語で

FEEL REFRESHED

UNIVERSE WARRIOR

SAKURA

 

と刻まれていた。

右肩や背中にあるそれぞれのナンバリングの代わりにテガソードのマークが刻まれている。

 

「いつの間に…」

 

「テガソード様と熊手様そして俺の合作っす。まあ走輔のやつの予備を少し弄っただけだからそう手間は掛かってないっすよ」

 

「俺達からのプレゼントだ!」

 

「例え遠く離れても、私たちはずっと一緒!」

「世界が違くても」

「この戦いでできた絆は、本物だ」

 

「お前は俺達の仲間、ゴーオンジャーのメンバーだ!!」

 

「皆さん…!」

 

流れる涙を拭いながらも早速ジャケットを羽織ってみる。…うん、我ながらよく似合ってる。実は憧れてたんだよな、先輩達のアレ。

 

「おお!似合ってる!馬子にも衣装だな!」

「走輔、それはマイナスの意味っすよ?」

 

「わぁ、カッコいい!」

「ああ。走輔より似合ってるんじゃないか?」

「なんだと軍平!」

 

そうわちゃわちゃしていると、空からテガソードが降り立った。

 

『時間だ、行くぞ3人共』

 

「ああ。グーデバーン!」

 

俺と結衣はテガソードに、熊手さんはグーデバーンに乗り込んだ。

 

「それじゃあ皆さん、お世話になりました!!ガイアークとの戦い、負けないでくださいね!!」

「皆さん、どうかお元気で!」

 

「ああ!またな3人とも!今度会えたらまたゆっくり話そうぜ!」

「今度は最高に美味いオムレツご馳走するっす!」

「おでかけとかも楽しいかもね!」

 

「それなら僕も僕も!」

「また会えたら鍛えてやるさ」

 

「今度は時間があるといいな」

「だね。みんなまたね!!」

 

『今度はマシンワールドにも遊びに来てくれよな!』

『また会おうぜ、兄弟!』

『ホンマおおきにな!』

 

『グラシアス!アミーゴ!』

『いずれまたな!』

 

炎神達、ゴーオンジャーとウイングスの先輩達の言葉を背にグーデバーンの開けた次元の裂け目へ飛び込む。

 

声が消えるまで、俺は手を振り続けたのだった。

 

 

*****

 

あれから数日が経過した。

赤く染まった指輪の色は元の金色に戻ってしまい力も戻っていた。あれはどうやらオリジナルがいたあの時限定のものだったらしい。

 

たった1日…いや、下手したら1日にも満たない出来事だったはずなのに、やけに濃密な事件だったな…

 

「俺も、ゴーオンジャーか…」

「よかったね、桜くん」

 

結衣が俺の隣に腰掛ける。

今日はあの日の埋め合わせにと、とある自然公園に訪れている。結局デート中止になったしな。

 

「なんというか、すごい成長できた気がする」

「成長?」

 

「指輪の戦士として、ヒーローとして」

「本家の先輩に会えたんだもんね。でもそれをちゃんと活かさなきゃだよ?」

「分かってるって!」

 

すると、結衣がもたれかかり俺の肩に頭を預けてきた。久しく側で感じる温もりと柔らかな香りが俺の鼻腔をくすぐる。

 

「…結衣?」

 

「心配、したんだよ」

「…うん」

「特訓も頑張ったんだよ?」

「チラチラ見てたよ。バッサバッサと大立ち回り、カッコよかった」

 

「────ならさ。ご褒美、ないの?」

 

上目遣い+潤んだ瞳+ほんのり赤い頬=critical

 

普段あまり見せない結衣のその表情が俺に突き刺さる。顔が熱くなるもその意図はよく理解できた。

 

「…いいの?」

「…ん」

 

結衣は目を閉じ体をこちらに預けてくる。

彼女の肩を抱き、呼吸を整える。

 

ゆっくりと、目を閉じながら唇を近づけ────

 

 

 

 

 

 

る瞬間、俺達の間を炎が通り抜けて行った。

 

 

「アッツァァ!!?」

 

「なになになに!?」

 

 

「キャーッキャッキャ!見つけたぜゴーオンレッド!姉ちゃん、約束を果たしに来たぜ!」

 

そこにいたのは赤の燕尾服を着て先端が蝋燭のようになった棍棒を持った男。

 

「キャ、キャンドルさん!?」

「だ、誰だテメェ!?」

 

「その姉ちゃんのコーチだ!今度戦わせてもらうって約束をしてたんだよ!」

「あ、あの紹介するとは言ったけど戦わせるとは…」

「オレにとっちゃ同じさ!さぁ勝負だゴーオンレッド!」

 

「はぁ…ファイヤキャンドルさんたら…人の恋路を邪魔すると馬に蹴られて死ぬらしいですよ?ごめんなさい結衣さん、うちの同僚が…」

「ブーケさん…ああいえ、私はいいんですが…」

 

「ハッ!誰だか知らねえが面白い!手合わせ願おうか、蝋燭男!」

「どれだけ強いか、見せてもらうぜ!」

 

 

俺の戦いはこれからも続いていく。

正義のソウルをこの身に燃やして、ダーティーな敵をブチ抜いて、俺はもっと強くなる!

 

 

「エンゲージ!!」

 

 

Fin.

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