Hi, 画面の前のみんな!
みんなご存じ、アキバレッドことノーマン・レッドウッドです!
え、ついさっき来たばかりだって?
それじゃあ、もう一度自己紹介から始めるね!
ボクはノーマン・レッドウッド、スペシャルパーフェクトデリバリー・通称「SPD」にしてアキバレッドのリングを持つ戦士なのさ!
この世界には君たちの世界と違って、センタイリングっていう不思議な力を持った指輪が50個以上存在するんだ。で、全ての指輪を集めると好きな願いをかなえられるっていうわけ!
で、ボクの友達の一色せつながその一つ「ゼンカイジャー」のリングを持っているんだけど……せつなはこれまでの指輪争奪戦には無かったリング……「バンガイリング」っていうものが生まれたらしいんだ。ボクの持つ「アキバレンジャー」や「スパイダーマン」のリングもそのバンガイリングのひとつっていうわけ。
おっと、そろそろボクの友達のことも説明しないとね。
まずは一色せつな!
ボクのいきつけのカフェのオーナーで、「ゼンカイジャー」のリングを持つ戦士なんだ。
これまでに行われている指輪争奪戦に参加した、いわばセンパイってわけ!
お次はマリア・ミッキー・マーチン。
ボクと同じくバンガイリングの戦士で、彼女は「忍者キャプター」のリングを持ってるんだ。彼女とボクは二人ともせつなのカフェの常連で、色々あって指輪を集めることに協力しているんだ!
続いては
「ジャッカー電撃隊」のリングを持っている、ハイスクールガールだよ!
なんでも、前の指輪争奪戦で同じくジャッカーの指輪を持っていたお兄さんが大けがしちゃったからその仇を探しているらしいんだ。
最初は僕たちと敵同士の関係だったけど、何だかんだ色々あって僕たちと協力するようになったのさ。
あ、それと「怪傑ズバット」のバンガイリングも持ってるよ! ワザマエ!
最後は
エレメンタリースクールに通ってるのに「ファイブマン」のリングを持っている戦士なんだ!
この子の場合は一回目はお父さん、二回目はお兄さんがファイブマンのリングの戦士だったんだけど……二人の代わりに夢をかなえるために戦ってるんだ!
同じ目的を持ってた明日香とコンビを組んでいたんだけど、明日香と同じくうんぬんかんぬん色々あって僕たちの仲間になったってわけさ!
「キョーダイン」のバンガイリングも持っていて、ペットのワンチャンをスカイゼルとグランゼルに変身させて戦うんだよ!
さて、以上の五人でこれからお送りするのが今回のエピソードなんだけど……あんまり楽しいお話じゃないんだよね。それでもいいなら聞いていってほしいな。
タイトルは……そうだなあ……
『その稲妻は、ひどくくすんだ赤色で』
ある日の商店街。
ゴジュウウルフこと遠野 吠は、アルバイトの面接に向かうために履歴書を片手にバイト先へと走っていた。
「やっべぇ、遅刻しちまう……このバイトに受からなかったら金欠で家賃も払えなくなっちまうぞ……!」
そんな吠の前に、ゆっくりと足を進めてくる存在があった。
全身を赤と白を基調にしたスーツに身を包み、同じく赤いマスクをかぶり赤いスカーフをたなびかせる姿は……まるで、戦隊ヒーローのパブリックイメージをそのまま具現化したようだった。
マスクの造形はどことなくデンジマンを思わせるが、本来デンジメカがあるはずの額には稲妻を模したマークが刻まれていた。
「なんだ、お前は……? 前の指輪争奪戦じゃ、そんな戦士いなかったはずだが……」
吠が疑問に思う中、「それ」は稲妻の形に両手をクロスさせながら構える。
臨戦態勢と判断した吠は、テガソードにゴジュウウルフのリングをセット・変身する!
「エンゲージ!」
そのまま二人は駆け寄り、吠はテガソードによる斬撃を繰り出す。だが、相手は巧みにいなしながら拳で的確にゴジュウウルフを攻撃していく。
「ちっ……少しはやるじゃねえか!」
相手の強さを認めたゴジュウウルフは、ウルフデカリバー50を召喚・そのまま時空の裂け目に入りワープしての斬撃を繰り返す。
これにはさすがの相手も避けきれず、ダメージが入っている様子だったが……何度目かの時空の裂け目からの攻撃に対して、相手が出現場所を読んでいたかのように右ストレートを繰り出す。
「ぐあぁっ!」
たまらずによろけてしまうゴジュウウルフだが、相手はそのままゴジュウウルフの首根っこをつかんで顔面に右ストレートを執拗に当てていく。
「あっぐっ……はぁっはぁ……」
さすがに顔面に何度も攻撃を当てられてはゴジュウウルフもよろけてしまうが、相手は意に介さずゴジュウウルフの左手首を力を込めて握りしめる。
「やめ……ろっ……! あぁっ……!」
そのまま力を籠め続けていると……ばきっ! という何かが砕ける鈍い音と共にゴジュウウルフの変身が解けてしまう。
「はぁっ、はぁっ……て、てめぇ……!!」
左手首をかばいながら相手を見上げる吠だったが、相手は吠を蹴り飛ばし、馬乗りになって吠の顔面を執拗に殴り続ける。
がすっ! ばきっ! という鈍い音が響くなか、吠は抵抗できず殴られ続けていた……
薄れゆく意識の中、吠が最後に見たのは「誰かが来たのを察して立ち去る相手」と「急いで駆け寄って二代目! しっかりしろ二代目! と叫ぶ熊手真白」だった……。
「……それで、大丈夫なの? ゴジュウウルフの様子は」
駄菓子喫茶「すけるとん」。
オーナーである一色せつなは常連客(自称)の熊手真白にブラックコーヒーを差し出しながら問いかけた。
「ああ、さすがに無事ってわけじゃないが……左手首骨折、それと肋骨が何本か折れているくらいだ。しばらく病院通いすることになったが……まあ、命があるだけマシってところだな」
真白は懐から持参の蜂蜜をコーヒーにかけながら、ゆっくりとコーヒーをすすりながら答える……口ぶりはともかく、心配そうな表情は浮かべていた。
「だが、あんな戦隊は見た事がない。俺様が参戦していた指輪争奪戦にも……もちろん、前回の指輪争奪戦の時にもな」
「こんな時、ノーマンだったら知ってるんだろうけど……そういえばノーマン、来ないわね。いつもだったら騒がしくしゃべりながら入ってくる頃合いなのに」
心配そうにノーマンの定位置であるカウンター席を見ながら、せつなは妙な不安に襲われていた。
時はすこし遡って……。
ノーマン・レッドウッドは夕暮れ時の道を、喫茶「すけるとん」へ駆け足で向かっていた。
「よりにもよってこんな日に残業だなんて……アンラッキーにもほどがあるよ!」
愚痴りながら歩みを進めていると、ふと夕日が沈んでいくのが目に見えた。
だが、その日の夕日はいつもとは違っていた……。
いつもだったら鮮やかで美しい夕日が沈んでいく姿が見えるのだが……今日はいやにくすんだ、暗い赤色に見えたからだ。
「……?」
何かがおかしい、と思っていると……ふと目の前に、赤いスーツを着た男がゆっくりとこちらに歩いてくるのが目に入った。
彼は知る由もなかったが、遠野 吠と戦った相手と同じ存在だった。
自然と威圧感を放つそれを目の前にして、ノーマンはその姿に逃げることも、立ち向かうこともできず……ただ茫然と「それ」が近づいてくるのを見つめるしかなかった……。
せつなの耳に、ノーマンが重傷を負って病院に担ぎ込まれたと知ったのはそれからしばらくしての事だった……。
数日後。
放課後、友達と別れて家路につく一人の小学生……朝田星梧……ファイブマンの指輪の戦士……は、帰りのホームルームで先生が言っていたことを反芻していた。
「数日前から、無差別に人を襲う通り魔が出没しています。みなさん寄り道せずにまっすぐ帰りましょう」
先生は無差別、と言っていたが……彼にはわかっていた。襲っているのが無差別などではないことを……。
うつむきながら歩いていると、目の前に見知った年上の女子高生……ジャッカー電撃隊の指輪の戦士である馬場明日香の姿があった。
「星梧、聞いてるでしょ? 赤い通り魔の話……」
「うん、先生もクラスのみんなも噂していたよ。襲われたの……みんな指輪の戦士なんでしょ?」
入院しているノーマンから預かったスパイダーマンのリングを見せながら、星梧は心配そうに明日香を見つめる。
「……そう、アレはどういうわけか……指輪の戦士ばかりを狙っている。だけど、あるはずのテガソードが右手に無かったらしいわ」
「じゃあ、指輪の戦士じゃないって事? ますます分からないよ、だったら何が目的で……」
二人が話しているところに、ネオマクーの戦闘員・クラッシャーが現れ二人を取り囲んでしまう。
「……この話はあとにしましょう。星梧、手伝って」
「言われなくても……ジョー、リュー!」
悟朗の呼び声にどこからかコーギー犬が二匹飛び出し、悟朗の足元でうなり声をあげる。悟朗の飼い犬であるジョーとリューの兄弟犬である。
「エンゲージ!」×2
センタイリングをセットし、明日香がスペードエース・悟朗がファイブレッドに変身する。
「バンガイリング、セット!」
悟朗がバンガイリング「キョーダイン」をセットすると、どこからともなくグランゼル・スカイゼルが現れジョーとリューを抱きかかえて胸部に収納……目が光って生気が宿ったかのようにファイブレッドの横に並ぶ。
「キョー!」「キョー!」
雄たけびのような声を上げながら、キョーダインはクラッシャー相手に殴りかかっていく。それに続くようにスペードエースとファイブレッドもクラッシャーをテガソードで撃退していった。
スペードエースの背後から攻撃を仕掛けるクラッシャーの存在に気づき、慌ててファイブレッドが
「明日香、後ろ!」
それに答えるでもなく、スペードエースは悠然と能力を発動させると……別のクラッシャーと入れ替わってしまった。
仲間を攻撃してしまい困惑しているクラッシャーの側面から、スペードアーツでクラッシャーを射抜くスペードエース。
ジャッカー電撃隊の指輪の力「
「こっちは心配しないで、あんたは自分の事に集中なさいな」
ひらひらと手を振りながら、クラッシャーとの戦闘に戻るスペードエース。
それを見ていたファイブレッドはため息をつき
「まったくもう……! ちょっとは感謝してほしいよ、せつな姉ちゃんみたいに!」
愚痴を吐きながらも、Vソードとテガソードの二刀流でクラッシャーを切り払う。
「あぁもう、うっとおしい! 「
ファイブマンの指輪の力「
「キョー!!!」×2
勝利の雄たけびを上げつつ、ポーズをとるキョーダイン達を尻目に一息つくスペードエースとファイブレッド。だが……
「……!? ファイブレッド、どうやらメインゲストの登場みたいよ」
スペードエースが顔を向けた先には、ゴジュウウルフやアキバレッド……そのほかの指輪の戦士たちを倒した赤いスーツの「それ」が悠然と向かってきていた。
「あれが……ゴジュウウルフやノーマンを倒した……」
ただ歩いているだけにも関わらず、むせかえるような殺気を放ちながら向かってくる「それ」にたじろぐスペードエースとファイブレッド。彼らを守るようにキョーダインが立ちふさがり
「キョー!」
先制攻撃とばかりにスカイゼルがパンチを仕掛ける。だが、その拳は「それ」の右手で受け止められ……そのまま力を込めてスカイゼルの拳を粉々に握りつぶしてしまう。
「キョー!」
グランゼルが助けるためにジャンプキックを繰り出すが、そのまま右ストレートでジャンプキックを相殺……するどころか、グランゼルの右足を破壊してしまう。
身動きが取れなくなったキョーダインの頭をつかみ、そのまま力を込めて握りつぶそうとする「それ」を目の前にして、ファイブレッドはたまらず
「グランゼル! スカイゼル!」
止めようとして走り出したと同時に、キョーダインの頭が砕かれ……体がどさっと地面に落ちてしまう……そして、胴体が開かれ中にいたジョーとリューがよたよたと歩きながら
「きゅーん……きゅーん……」
早く逃げて、と言いたげに鳴きながらファイブレッドの足元に倒れこみ……意識を失ったのかぐったりと倒れてしまった……。
「…………スペードエース、ジョーとリューを……せつな姉ちゃんたちのところに連れて行って。ここは僕が食い止めるよ」
「……! 馬鹿言わないで、あんた一人でかなう相手じゃ……」
「うるさい!! ……僕の家族を……兄弟を傷つけられたんだ、僕がやらなきゃ……!」
普段からは考えられない怒気に驚いたスペードエースは、ジョーとリューを抱きかかえて
「……分かったわ。すぐに戻ってくる、無理はしないで」
離脱したスペードエースに一瞬顔を向けるが、目の前で怒り狂う相手を無視することは出来ないのか……ゴジュウウルフと対峙した時と同じく手を稲妻のようにクロスさせ臨戦体勢をとる。
「……いくぞ!!!」
テガソードとVソードを怒りにまかせながら振るい、愛犬たちの仇を撮ろうとするファイブレッド……だが、決定打を浴びせるには至らず……両手を掲げて上段から斬撃を浴びせようとしたところをがら空きになった胴体に蹴りがはいり……それがとどめとなり、ファイブレッドは倒れてしまう。
「ま、まだだ……僕は、まだ戦える……!」
変身が解けても立ち向かおうとする星梧だったが、逆にここで「それ」に異変が起こった。
今まで戦っていた相手が子供だったことを知らなかったのか、ショックを受けたかのように後ずさり……「こんなはずじゃなかった」と言わんばかりに首を振ったかと思うと、悟朗をそのまま置いて逃げてしまった……。
悟朗は相手を追いかけようとしたが、思ったよりダメージを負っていたのかその場にひざまずきその背中を見送るしかなかった……。
赤いスーツの「それ」は、しばらく走って誰もいないことを確認してから変身を解除した……そこには、髪をぼさぼさに伸ばし、くたびれた服を着た60代くらいの初老の男だった。自分がしたことに恐れおののいているような顔をし、取り返しのつかないことをしようとしていた自分を責めるように泣きながらその場に崩れ落ちていると……どこからともなく、緑と金の海賊のような服を着た男が現れた。
ドン・ドッゴイ、犯罪結社ネオマクーの首領である。
「おやおや、どうしたんだい? サンダーレッド。ここまで順調に指輪の戦士を倒してきたのに……まさか怖気づいたわけじゃないよね?」
くすくす笑いながらしゃがみこみ、サンダーレッドと呼ばれた男を見下ろすドッゴイ。サンダーレッドと呼ばれた男は怒りの表情を向けながら
「聞いていた話と違うぞ! あんな……あんな子供が相手だったなんて俺は聞いていない!」
ドッゴイにしがみつきながら、男は泣きそうな表情を浮かべ
「俺は……俺はただ……もう一度、ヒーローに……子供たちを守りたかったのに……それをお前は……!!!」
取り乱す男をなだめるように、ドッゴイは微笑みながら男のほほをなでる。
「落ち着いて、サンダーレッド。君は立派なヒーローさ……欲望のままに戦って、戦って……すべてを踏みにじって……果て無き闘争を望んだ極悪人のゴジュウウルフ……それを叩きのめしたのは君だ、そうだろう?」
魅入られたようにドッゴイの顔を見つめる男に対し、ドッゴイの背後から現れた白と青の道化師のような衣装を着た男が現れる。
ドン・ドッゴイ直属の道化師・ワルスギーである。
「ドンのおっしゃる通りです! この調子でほかの参加者たちをリタイアさせ、指輪をすべてあなたの手に収めれば……この世界は平和となりますとも! さっきのチビ……失礼、お子様もあれだけ手ひどくやられてしまえば戦う気などいっさいナッシング! 尻尾を巻いて逃げ出すことでしょうとも」
「そ、そうだ……俺は、この戦いを終わらせるんだ……そうしたら……」
「そう、そうしたら君の仲間……ブルーにイエロー、グリーン……そしてピンク♪ 四人とも僕が呼び出してあげる。君をこの世界に呼び出したようにね」
「本当か……本当なんだよな? あいつらと、もう一度会えるんだよな!?」
そのまま微笑みを浮かべながら、肩を優しくたたかれたサンダーレッドは……少しずつ平静を取り戻していった。
「もちろん! われらネオマクーは約束を違えることはありませんとも! あなたがかつて所属していた組織とは大違い!」
ドンとワルスギーの微笑みと優しい言葉を受け、サンダーレッドはすっかり落ち着きを取り戻し……感謝の表情を浮かべていた。
だが、彼には知る由もなかった……その微笑みの裏には、邪悪な笑みが隠されていたことを……。
それから数日が立ち喫茶「すけるとん」では星梧の手当てをするせつなと……それを心配そうに見つめる明日香、それにリューとジョーが心配そうに星梧の足元で見上げていた。
「もう、せつな姉ちゃん心配しすぎだよ。ノーマンに比べたら大したけがじゃないし……いててっ!」
傷を消毒されてさすがに染みたのか痛がる悟朗に対し、せつながたしなめるように
「こらっ、意地を張るんじゃないの! ……それにしても、改めて二人の話を聞いてると確かに妙ね。戦っていた相手が子供だと気づいたとたん、戦意を失ったっていう事でしょ?」
「うん、僕が子供だってそもそも知らなかったみたいだった……悪い人じゃ、ないのかな?」
星梧の疑問に答えるかのように、ノーマンが扉を開けて入ってきた。幸い骨折は免れたようだが、手当てしたとおぼしき跡が痛々しい。
「お待たせ、ちょっと往歳教授のところに行ってたら遅れちゃったよ……」
心配そうに見つめるマリアたちをよそに、ノーマンはカバンの中から一冊のノートを差し出す。
「僕やゴジュウウルフを襲った犯人が分かったよ。彼は……戦隊ヒーローの一人だよ」
困惑するせつな達をよそに、ノーマンは言葉をつづける。
「知っての通り、センタイリングはゴジュウジャーのリングを除けば49個。でも、センタイリングに含まれなかった戦隊もあったんじゃないかっていうのが戦隊学の間では長年話題になっていたんだ」
よくわからない、という表情でせつなが話しかける。
「戦隊なのに、センタイリングになっていない……ってこと? そんなの、ありえるの?」
「そうだよ、ノーマン。テガソードが戦隊の力をそれぞれリングに変えたのがセンタイリングっていう事じゃなかったの?」
星梧の言葉に優しく微笑みながらうなずいて
「そう、それが大前提だった……でも、それはあくまでユニバース大戦に参戦した戦隊の力をテガソードがリングに変えたっていうのが分かった今……ユニバース大戦に参戦しなかった……あるいはできなかった戦隊もあったんじゃないか。いや、あったに違いない……そう考えるのが自然っていう考えが主流になりつつあるんだ」
ノーマンの言葉に、明日香が怪訝そうに
「じゃあ、アンタやゴジュウウルフたちを襲ったやつも……そのユニバース大戦に参加しなかったっていう戦隊の一つっていうこと?」
明日香の言葉に深くうなずき……ノートのページをめくると……一つのページを指さした。
「稲妻戦隊サンダーファイブ……これが、僕たちを襲撃した正体さ」
指さしたページには、ゴジュウウルフやノーマンを襲った戦士と……同じデザインの色違いのスーツを着た四人の合計五人の姿が映った写真が貼ってあった。
「……! 間違いないよ、僕や明日香を襲ったのは真ん中の赤いやつだ!」
星梧の言葉に合点が言ったように、ノーマンが深くうなずいて
「稲妻戦隊サンダーファイブ……大戦隊ゴーグルファイブとほぼ同時期に活躍したとされる戦隊だよ。ただし……活躍した時期は半年程度とされているんだ。つまり、半年で倒すべき悪の組織を壊滅させたっていう事だね」
「半年!? そんな短い期間で悪の組織を壊滅させられるの?」
「確かに、かなり短い期間だね……大体1年単位、どれだけ短くてもジャッカーの9ヶ月が最短と言われている。でも、それはあくまで【センタイリングとして記録された】戦隊の話ってだけさ。最近の研究で分かったんだけど、3か月や半年程度で倒すべき悪の組織を壊滅させた戦隊っていうのも多かったんだ」
ノーマンは説明をつづけながら、ノートのページをめくっていく。
「倒すべき悪の組織を倒したサンダーファイブは、彼らの所属する本部……正式名称はどの文献にも残っていない……に、こう言われたらしい。君たちからサンダーファイブの力を取り除き、一般人として生きる代わりに平穏な生活を保障する……。五人とも、喜んだだろうね。そりゃそうさ、戦いの果てにようやく平穏が訪れる……人並みに幸せな生活が送れる……こと、彼らにとってはそれは最大の願いでもあった……」
ページをめくるたびに、サンダーファイブと思しき少年少女たちが過酷な特訓……下手をすれば虐待とすら言いきれるほどに……を受けている写真が延々と見せられていく。
絶句するせつな達の様子を見ながら、ノーマンが渋い顔をする。
「そして、来たる当日……五人に渡されたのは「サンダーファイブとしての力を消し去る効果のある睡眠薬」……その言葉を信じて、五人は錠剤をのみこんだ……その結果が……」
最後のページにのっていたのは、床に倒れて苦しみ悶える五人がそれぞれ大写しになったものと……倒れこんで動かなくなったサンダーファイブがうつされていた。
「睡眠薬と言われて飲んだ錠剤は、実は劇薬……それも、長い間苦しむような類の毒薬だったんだ。おそらく、彼らが今まで受けた所業が表ざたになるのを恐れたんだろう……こうして、サンダーファイブという存在は闇に葬られた……っていうわけさ」
あまりの事実に誰一人言葉を発することができない中、いつからいたのか真白が続ける。
「いわゆる口封じ、ってやつだ。よっぽど自分たちがやってきた所業を知られるのが怖かったんだろうな……ついさっき、二代目の見舞いに行ってきたんだが……妙なことを言っていた」
「そうクマ、仮にも指輪争奪戦を勝ち抜いたゴジュウウルフが手も足も出ないなんてありえないクマ。そう熊手が聞いたら……」
「……そいつから、怒りのほかに……悲しみの……涙のにおいがしたんだそうだ。まるで、泣きながら戦っているみたいで……本気になれなかった、ってな」
皆が沈痛な面持ちでうつむいていたところに、マリアが血相を変えて店の中に飛び込んできた。
「ミンナ、大変! あの赤いやつが現れたって!! しかも、ネオマクーと一緒に!!」
静まり返った商店街を、ぼろぼろの服とぼさぼさにのばした髪……そして、無精ひげを生やした男がさまよっていた。
彼は……サンダーレッドは歩きながら昔の事を思い出していた。
全てを終わらせたあの日、本部の職員たちに渡された錠剤……「睡眠薬に、自分たちから超人的な力をすべて消し去る成分を組み合わせたもの」と説明された……を一粒ずつ手渡され、笑いあいながら日常に戻った時のことを話し合っていた。
カレーを腹いっぱい食べたい、と笑っていたイエロー。
レッドみたいに強くなりたい、と言っていた親友のグリーン。
世界を見て回りたい、と静かにつぶやいたブルー。
そして……「恋がしてみたい」と微笑んでいたピンク。
レッドはどうするのか、とグリーンに聞かれ……脳裏に浮かんだのは、仲間や組織には秘密に付き合っていた彼女に堂々と会いに行きたい。そう答えようとしていたところに、職員から錠剤をのむように促された。
飲み込んだ瞬間、体中を激痛が走り……息が詰まって倒れこんでしまった。そのあとの光景は今でも脳裏に焼き付き……最期の言葉も耳にこびりついていた。
「苦しい、くるしい」と職員に縋り付こうとして蹴り飛ばされたイエロー。
「俺たちをだましたのか」と詰め寄ろうとして倒れこむブルー。
「こんなの嫌だ、あんまりだ」と泣きじゃくっていたグリーン。
「レッド……助けて」と自分に抱き着いて……そのまま力尽きたピンク。
倒れていく仲間たちを前に、苦しみの中……悲しみと怒りに満ちた雄たけびを上げ……そのまま意識を失ったこと。
「……俺たちが、あんなに必死になって戦って……平和を勝ち取ったはずだったのに……」
自分が目覚めた時、ドン・ドッゴイ……ネオマクーという組織のボス……が言っていたことを思い出した。
「あなたが安らかに眠っている間に、戦隊ヒーローの名は地の底まで落ちたんだ……戦いに明け暮れ、自分たちの欲望をかなえるために蹴落としあう……正義とはほど遠い存在になってしまった」
悲しそうにつぶやくドン・ドッゴイに同意するように、奇妙な道化のような恰好をした男……ワルスギーと名乗っていたか……はこう続けた。
「今やあなた様こそ、戦隊ヒーローに唯一ふさわしい存在となったのです! 正義のために戦い抜き、闇に葬られたがために欲望にけがされなかったあなた様こそ! 真の戦隊ヒーローなのです! さあ、センタイリングを持つまがい物を倒し! 指輪の力でよみがえらせるのですよ! あなたの大切な仲間たちを!!」
そうおだてられ、何人かの戦士たちを倒していったが……どういうわけか、心は晴れなかった。
確かに「アイドルに恋人をとられた腹いせ」だったり「日本一の検事になる」だったり……挙句の果てには「自分が会社を乗っ取って社長になってやる」とろくでもない夢を持つ人間ばかりだったが……どれも根っから悪人ばかりとは思えなかった。
(俺は……あいつらに利用されているのか? いや、そうなんだろう……だとしたら……俺は、いい面の皮じゃないか)
結局は誰かの都合のいいように使われていただけだったのだ。そう確信していたところに……ドン・ドッゴイがクラッシャーとワルスギーを引き連れ現れた。
「……来たか」
サンダーレッドが稲妻のように腕をクロスさせ変身し、ドン・ドッゴイはクスクス笑いながら
「残念だけど、サンダーレッド。君はもうお払い箱にさせてもらうよ……指輪の戦士を倒してくれたのはいいけど、君の体のほうが時間切れみたいでね」
「……やっぱり、俺の約束を守るつもりは無かったみたいだな」
「そりゃそうでしょう! 死にぞこないの老いぼれをわざわざ蘇らせたんですから、感謝してほしいものですなあ! ねえ、ドン?」
「ワルスギーの言う通りさ、せめて最後のご奉仕をしてから消えてもらわないとね」
ドン・ドッゴイが指さした先にいたのは、こちらに向かってくるせつな達五人……そして、二匹の姿だった。
「じゃあ、さようなら……死にぞこないのゾンビさん♪」
クラッシャーたちを残し、ドン・ドッゴイとワルスギーは異空間のゲートを開けて去ってしまった。
ゆっくりとせつな達に向き直り、サンダーレッドは戦闘態勢をとる。
「これが最後の戦いだ……! 俺を倒して見せろ……!」
サンダーレッドの放つ闘志に身構えつつ、せつな達はテガソードにリングをセットする。
「エンゲージ!!」×5
【変身シークエンス】
一色せつな
1. テガソードを握る右手のひらのほうを見せながら、左手をハンドルを回すようなしぐさをしてハンドクラップ1回
2. その場で一回転してハンドクラップ2回
3. 右腕を前に突き出してハンドクラップ1回
4. 右腕で円を描いてからハンドクラップ2回、その後変身
火忍キャプター7
1. 右手を胸の前に持ってきてハンドクラップ1回
2. その場で左に1回転、左手を前にしてハンドクラップ2回
3. 右手を顔の前に持ってきてバイザーを下げるようなしぐさをしてハンドクラップ1回
4. 右に一回転して右手を胸のあたりに構え、その後右手を円を描くように回してハンドクラップ2回、その後右手を斜め上に構えて変身
アキバレッド
1. 右腕を斜め上に構え、左手を斜め下に構え回してハンドクラップ1回
2. 両手をそれぞれ右・左と大きく回してからハンドクラップ2回
3. 右手を上に高く掲げ、そのままハンドクラップ1回
4. 右手を大きく回して円を描き、ハンドクラップ2回。その後変身
スペードエース
1. 右手を上にかかげて右斜め下、左斜め下の順番に切り払ってハンドクラップ1回
2. 右方向に一回転しながら横一文字に切り払って2回ハンドクラップ
3. 右手を大きく回して円を作りハンドクラップ1回
4. 左手を胸の前に、右手を上に掲げてハンドクラップ2回。その後変身
ファイブレッド
1. 右手を右上から斜め下に向かって振り下ろし、ハンドクラップ1回
2. 今度は右手を左上から斜め下に振り下ろしてハンドクラップ2回
3. 右手を上にかかげ、円を描いてハンドクラップ1回
4. 両手を大きく前に突き出し、そのままハンドクラップ2回。その後変身
いざ掴め! ナンバーワン! フレェェェェェェェェェェ!!
「どんな時でも全力全開! 海超え山超え時も超え! 三回転んで三度起きる! 七回転んでも8回起きる! 一色せつな、ゼンカイザー!!」
「走るスピード音より早い! 七つのニンポが闇を裂く! ワタシこそが最強忍者! マリア・ミッキー・マーチンis……火忍キャプター7!!」
「さて、パワーレンジャーといえば元々戦隊シリーズにいなかった戦士を作り出すことでも割と有名なのはみんなも知ってるよね? 有名どころだとライトスピードレスキューのタイタニアムレンジャー、救急戦隊ゴーゴーファイブで言うところのライナーボーイ……マックスソーラーゾードを操る戦士なんだ。他にもジャングルフューリーのスピリットレンジャー3人、ゲキレンジャーで言うところのマスターの魂を悪用してつくられたけど光堕ちした戦士たちだよ。このスピリットレンジャーっていう概念は後にキョウリュウジャーにも逆輸入されているのはみんな知ってるよね。じゃあ次回は「パワーレンジャーがディズニーランドのパレードに出演したのは本当なのか」について解説していくからね! お相手はノーマン・レッドウッドこと……アキバレッド!!」
「私が歌うは地獄節! 私が吹かすは恨み風! 兄の無念を背負いこんで、女十七涙を捨てます! 復讐果たす茨道、私が一人でいくものよ! 馬場明日香! スペードエース!!」
「家族のきずなで結ばれた、熱い炎を今燃やす! 家族の夢をつかむため、スクラム組んで銀河を駆ける! 朝時星梧、ファイブレッド!!」
襲い掛かるクラッシャーに対し、ファイブレッドがキョーダインのバンガイリングをセット・ジョーとリューをスカイゼル・グランゼルに変身させる。
「キョー!」×2
クラッシャーを蹴散らしながら、サンダーレッドに肉薄していく5人。さすがに5人を相手にするにはサンダーレッドも分が悪いのか徐々に押されていく。だが……!
「!?」
ゼンカイザーたちの攻撃を退け、サンダーレッドと同じデザインのスーツを着た……青・黄・桃・緑……の四人が立ちふさがっていた。
「みんな……どうして……!?」
まさか、ドン・ドッゴイがよみがえらせたのか……? いや、それはあり得ない。
あの性悪な男が、わざわざ自分のためにこんなことをするとは思えなかった。
他の四人は言葉を発さず、深くうなずいてレッドの両脇に立ち……両腕を稲妻状にクロスさせる。
それに応えてサンダーレッドも同じように稲妻状に腕をクロスさせ、名乗りを上げる。
「稲妻戦隊! サンダーファイブ!!!」
クラッシャー達がサンダーファイブを援護しようとゼンカイザー達に襲い掛かるが……
「お前らの相手はこのゴッドネス熊手だ!」
ゴジュウポーラーがクラッシャー相手に拳を振り上げ、蹴散らしていく。
「ゼンカイザー、お前たちはサンダーファイブに専念しろ! 雑魚は俺様が相手してやる!」
そのままゼンカイザーたちはサンダーファイブに向き直り……そのまま戦闘に突入した!
「ここまで全然目立ってなかったカラ、いっぱい頑張るヨ! ニンポNo.5! メタリックニンポ!」
両手に歯車のようなチャクラムを作り出し、サンダーブルーに投げつける火忍キャプター7。だが、サンダーブルーはあっさりとはじき返してしまい効果がない……ように見えたが。
「それはオトリよ! ニンポNo.2! スプラッシュニンポ!」
サンダーブルーの足元から水柱が勢いよく噴き出し、そのまま空中に浮き上がらせてしまう。
「ニンポNo.1! サンダーニンポ!!」
落雷を直撃してしまい、そのまま地面に落下、倒れこむサンダーブルー……よろよろと立ち上がるものの
「これでトドメ! ニンポNo.7! バーニングニンポ!」
テガソードの刀身に炎をまとわせ、そのまま切り払うと……たまらずそのまま倒されてしまった。
「OH……まさか大スクリーンを前にして「超力戦隊オーレンジャー対鳥人戦隊ジェットマン」が見られるなんて夢みたいだよ……まさか小田切長官が三浦参謀長の後輩だったってオリジナル設定出してくるなんて思わなかったよ……」
アキバレンジャーのセンタイリング「妄想」の力でありもしない作品の妄想をしているところを、サンダーイエローが殴ったり投げ飛ばしたりと好き放題に攻撃をしていた。だが……
「テトラボーイとタックルボーイのツープラトンアタック! 今度はバスターオーレンジャーロボとグレートイカロスのツーショット……あぁ、こんな映像が見られるなんて夢みたいだよ……」
どれだけ攻撃しても全くダメージを受けることないアキバレッドに対して、さすがに体力が尽きたのか息を切らせてしまうサンダーイエロー。
都合よく妄想から覚めたアキバイエローがモエモエズキューンによる連射をサンダーイエローに浴びせ、そのまま倒してしまう。
「……しまった! クライマックスの二大戦隊の巨大ロボ並び立っているシーンを見てなかったぁぁ!!」
……ただし、本人も悲痛な叫びをあげていたが。
一方、サンダーピンクとスペードエースの戦いも佳境を迎えていた。
サンダーピンクがスペードエースに殴りかかると、そのままスペードエースは指輪のスキル「入換」手近なクラッシャーの位置を入れ替え……クラッシャーにサンダーピンクの攻撃が当たってしまう。
戸惑っているサンダーピンクを尻目に、スペードエースは離れた位置からスペードアーツを構え
「スペードアーツ・アトム撃ち!」
そのまま攻撃を加えてそのまま接近、テガソードで切りつける。
「悪いけど、あなたの強さ……ここでは三番目よ。二番目が私、一番は……」
そのままテガソードで切り払い、サンダーピンクを倒して一言。
「私の兄さんよ……!」
サンダーグリーンとファイブレッドの戦いも、一進一退の展開を迎えていた。
「サンダーレッドの時は後れを取ったけど、今度は負けないぞ!」
怒りに我を忘れていたサンダーレッド戦とは違い、今度はファイブレッドがサンダーグリーンに対して優勢に戦えていた。
Vソードとテガソードの二刀流で巧みに斬撃を繰り出しつつ、サンダーグリーンの蹴りを回避しつつ
「スカイゼル、グランゼル! 「結合」!」
キョーダインの二人がファイブレッドとスクラムを組んで、そのままサンダーグリーンを突き飛ばしてしまう。
ふらふらと立ち上がったサンダーグリーンに対し、キョーダインがそのままファイブレッドを投げ飛ばし……その勢いできりもみ回転しながら突進、サンダーグリーンを撃破した。
残るはサンダーレッドとゼンカイザーのみとなっていた。
「サンダーレッド、あなたの事は調べさせてもらった……私はあなたとは戦いたくない、だって……戦う理由が……!」
「悪いが、お前には無くても俺にはあるんだ……! この体が消える前に、お前たちの力を……戦隊の力が健在だっていう事を証明してみせろ!」
的確に格闘を仕掛けてくるサンダーレッドに対し、ゼンカイザーは指輪のスキル「転移」を使用してのワープやギアトリンガーでの射撃で対抗する。だが、サンダーレッドも負けじと渾身の力で飛び蹴りや右ストレートで対抗していく。
その様子は、先輩が後輩に対して手合わせを行っているようにも見えた。
そんな中、街を行く人々が段々と足を止めていった……どうやらサンダーレッドの様子に気づいたようだった。
「おい、あれ……まさか、見間違いじゃないよな?」
「サンダーレッド……サンダーレッドだ!」
「ブルーにイエロー達もいるぞ!」
「懐かしいなあ……何十年ぶりだろう!」
口々に人々がサンダーファイブに対して称賛の声を浴びせてきた。まるで、昔あこがれていたヒーローとの再会を喜ぶかのように。
「サンダーレッド! まけるなー!!」
「がんばれ! サンダーレッド!!」
「サンダーレッドがんばれー!!」
今では40代や50代になった大人たちが……子供の時に応援していた時と同じようにヒーローの勝利を願って声援を浴びせていく。
「これは……俺たちへの……?」
サンダーレッドは信じられない、という面持ちで歓声を聞いていた……同時に、力尽きたと思っていたブルー達4人もレッドに近寄り……まるで「彼らの期待に応えよう」と言いたげに深くうなずいた。
「……あぁ、行こう……! 我らは
(BGM:轟け! 稲妻戦隊サンダーファイブ)
ギアトリンガーの銃撃をものともせず、まるで戦車のように突進・そのままつかんでゼンカイザーを投げ飛ばしてしまうサンダーイエロー。
「決まった! 霊峰稲妻落とし!! サンダーイエローの必殺技だ!」
群衆の歓声にポーズを決めるサンダーイエロー!
ふらふらと立ち上がったゼンカイザーに、今度はサンダーグリーンが肉薄・勢いよくパンチの連打を浴びせていく。
「サンダーグリーンの得意技! ライトニングピストンパンチだ!」
サンダーグリーンの右ストレートを浴びてよろけたところに、サンダーピンクの延髄蹴りが背後から命中する。
「サンダーピンクのライトニングソバット!」
さらに間髪入れずにサンダーブルーの手刀がゼンカイザーののど元に命中、そのまま倒れてしまう。
「サンダーブルーの十八番! 雷電霞切りだ!!」
ふらふらと立ち上がるゼンカイザーに対し、サンダーファイブは最後の大技に入ろうとしていた。
「行くぞ! 必殺、ライトニングボンバー!!」
五人が空高く飛び上がり、そのまま五色の球状の稲妻になってゼンカイザーに命中! そのままゼンカイザーは限界とばかりに倒れてしまった……。
「やったー!! サンダーファイブの勝利だ!!」
「サンダーファイブ! サンダーファイブ!!」
サンダーファイブ! サンダーファイブ!
サンダーレッドが気づいた時には、仰向けに地面に倒れこみ……ゼンカイザー達に見守られているところだった。
「そうか……あれは、幻だったのか……」
そう、今まで見ていたのはすべてサンダーファイブの見ていた幻だった……。
実際はサンダーブルー達は現れず、孤軍奮闘したもののゼンカイザーたちの攻撃に耐えきれずに倒され……意識を失っていたのだった……。
「強いな、お前たち……これなら、安心して任せられる……」
息も絶え絶えになりながら、段々と自分の体が消えていくのを感じるサンダーレッド。だが、不思議と恐怖は無く……安堵したような気分になっていた。
「あぁ……これでやっと……みんなのところに戻れる……だが……」
もう一度だけ、彼女に会いたかった……俺が愛した魔法使い……
そうつぶやき、サンダーレッドの姿はまるで幻のように消えていった……。
(EDテーマ:ビリビリBe-lie-ving)
喫茶「すけるとん」。
あれから、せつなの心には妙なもどかしさというか……やりきれなさが残っていた。
(サンダーレッド……人々から忘れられた戦隊……)
自分たちは、彼を救うことは出来なかったのだろうか。そう思っていたところに扉があき……客が入ってきた。そのままカウンターに座り
「ホットコーヒーをもらえるかね?」
いつも素っ頓狂な注文をする常連に慣れていたところに、真っ当なホットコーヒーの注文が入ったことに一瞬戸惑いつつもコーヒーを淹れお客の前に差し出す。
「うん、いい豆といい淹れ方だ。さすがはゴッドネス熊ちゃんのおすすめなだけはあるね」
ここでゴッドネスの名前が出たことに驚きつつ、顔をあげると……今まで意識していなかったが、まるで魔女のようないでたちの初老の女性が座っていた。
「はじめまして、アタシは魔女ベルバラ……サンダーレッドの件、解決してくれてありがとうね」
にこやかに笑いながらコーヒーをすするベルバラ。カップを置くと懐かしそうに笑いながら
「ドッゴイの企みを聞いた時はどうしてやろうかと思ったけどね……あれでよかったんだろうね。あのままじゃ、無念と悲しみに満ちたままだったろうに……あんたたちのおかげで、安らかに眠らせてやることが出来たよ」
いたずらっぽく笑いながら、嬉しそうに言葉をつづけるベルバラ……まるで、昔の恋人との思い出を語るようだった。
「サンダーレッドとは、ちょっといい仲だったからねえ……会うことは出来なかったけど、かえってよかったのかもね。いくら魔女の中ではお嬢さんっていう年だって言ったって、老けた顔なんて見せたくないからねぇ」
コーヒーをすすりながら、物思いにふけりつつベルバラはつづけた。
「世の中には、いろんな物語の終わり方がある。全てが解決して勝利の栄光をつかみ取る終わりもあれば、勝ったはいいけど守り切った故郷を離れなければならない終わり……そして、サンダーファイブのように……人々から人知れず忘れ去られる終わり……」
「そんなの、我慢できなかった……一度は愛した男の終わりが、手酷く裏切られて苦しみながら涙に濡れて……命を失う終わりなんて、耐えられなかった……。あの極悪人の企みに手を貸したのはそれが理由さ。せめて、彼に……サンダーレッドに、幸せなエピローグを作って……エンディングを迎えさせたかった。愛した男のために道理を捻じ曲げた、私のエゴさ。でも、いいだろう? 世の中には悲しい物語の終わり方ばっかりあふれかえっているんだ、ご都合主義といえども……ハッピーエンドがひとつ増えたってさ」
ひとしきり話した後、それまでしんみりした表情をしていたベルバラはにかっと表情を明るくさせ
「それにしても、あの後のドッゴイの顔ときたら……愉快ゆかい、手下どもは数を減らしちまうし、結局サンダーレッドが回収した指輪はジゴマや摩天楼たちが元の持ち主に返してきたし……サンダーレッドを生き返らせた揺り戻しが、こんなもんですんで良かったと思ってほしいねえ♪」
ベルバラは、そのままコーヒーを飲み干して……代金代わりにリングを置いて去っていった。
「それはアンタにあげるよ。その指輪、あの真っ赤な狼ちゃんと戦うのに役に立ってくれるだろうよ……さて、不愉快な職場に帰る前にテガソードのところに顔出してやろうかね♪」
カウンターに置かれたリング……サンダーファイブのリングを見つめながら、せつなはほっとしたようにつぶやいた。
「サンダーファイブ……よかったわね。戦隊として、認められたみたいだよ」
せつなの目には、一瞬リングが「ありがとう」と答えるように光ったのが見えた……。
終