魔女と挑む聖杯戦争   作:ミクモ

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以前はR18に触れるだろうとしていましたが、分けさせて頂きました。
R18版は新設しましたので、気になる方はそちらもお読み下さい!
前書きにある注意書きを読んだ上で、読者様のご判断で読んでいただく形になります。

大きく変わる設定があればその都度、補足や幕間等で説明も含めて進めていきます。
読者の皆様に置かれましては、ネタバレにならない程度でお応えできたらと考えていますので、感想にでもメッセージを送って頂ければなと思います。

~補足事項~

トネリコについて

将希によって召喚されたトネリコはブリテン異聞帯のトネリコではありますが、一度目の救世の旅で命を落としたトネリコになります。
fgoのトネリコと少し誤差がありますが、今後の展開までお待ちください。



第3節 魔術工房

第3節 ~ 魔術工房 ~

 

将希とトネリコが正式に契約を結んだ後、2人はアトラムの魔術工房で他に救助者がいないか探して回る事になった。

 

「ここは魔術師の工房、活動する上での拠点として作られた場所です。

何があるか分からないですし、侵入者対策がしてあるかも知れません。

無闇に物に触らず、私から離れないようにしてください。

いいですね?」

 

そう言いながら外していた手袋を付けつつ、彼女は言う。

それに対し将希は頷きながら返事をした。

どんな罠があるか分からない以上、彼女から離れず周囲の物に触れないように気を付けながら付いていく。

 

「この箱は何も無し...っと、これは身体強化の魔術礼装で...」

 

初めは、トネリコと一緒に将希も真剣に探していたが今は一通り探し終えて、工房にある魔術礼装の無力化...もとい物色をしていた。

 

「これは使えそうですね、あとこれも!

他にもいっぱいあります!」

 

と言いながら、使える魔術礼装?と言うのをトネリコさんが何処からか持ってきたのか、白い布袋に入れていく。

 

「そんなに漁って大丈夫?

なんか怪しい液体とかあるけど?」

 

いきなり爆発とか嗅いではいけないものとか無いかな...と考えていると、彼女は笑いながら作業を続けた。

 

「これくらいなら大丈夫です!

戦利品は後々になって効いてきます。

あの時の物があれば!...なんて事になったりしますから。

浅ましいかも知れないけど、大事ですよ。」

 

そう言って、作業を続けていた手がピタリと止まり、まじまじと彼女は小瓶に入ったピンク色の液体を見つめる。

 

「何だろこれ?...うわぁー、これは使えないですね。

最低です。」

 

ポイっと別のところに避けて他の物を吟味、物色していた。

将希はトネリコが触っているのが何なのか分からないので、戦利品に夢中になっている彼女を見ていた。

しばらく続けると彼女はおもむろに立ち上がって振り返り、

 

「これくらいあれば大丈夫でしょう!

戦利品、確保です!」

 

ニコッと笑いながらご満悦のご様子だった。

思った以上に良い収穫だったらしい。

ただ、まるで子供が想像するサンタさんのような状態になっている。

モリッと効果音が付き添うなくらいに膨らんでいる袋。

いよいよ格好も合わせて職質待った無し...

そこは勢いで何とかなるとして、荷物を彼女に持たせる訳にはいけないと感じ、ここは自分が持つよと言う。

彼女は嬉しそうに笑い、お礼を言いながらこちらに袋を預けてきた。

袋を預けた彼女が後ろを振り向いて歩きだす。

手に持っていた杖が霧散したかのように消えた。

消えた事に将希が軽く驚いていると、

 

「それなら私はあの棚の本を」

 

と言って後ろにあった本棚から本を2冊程抱え始めた。

あれ?むしろ余計に荷物量増した?と言う疑問はさておき、聞きたかったことを聞く。

 

「子供たちと彼を預ける場所って分かるの?」

 

「はい、この土地に教会がありますよね。

そこに今回の聖杯戦争の監督役がいるようなので、そこにお任せしましょう。」

 

どうして分かるんだろう、彼女はここの出身ではないのにと思いつつ聞いてみる。

 

「任せられるなら良かった!

ここの土地勘とか無い筈なのに、どうして知ってるの?」

 

「あー、それはですね。

サーヴァントとして召喚される際に、この現代の知識とかをある程度共有されるんです」

 

「それは便利な機能だね」

 

「はい、と言っても何でも知っている訳ではありませんけどね。

大雑把にこう言うもの...と言うような感じです」

 

どうやら、あまり具体的では無いらしい。

そんな会話をしながら階段を下り家から出る。

 

 

扉を開けた途端、冷たい風が外から家の中へ吹き抜けて行った。

いつも以上に空気が新鮮だと感じたのは、今日の出来事があったからだろう。

魔術工房にいる時はカーテンから差し込む月明かりで夜になっているとは思っていたが、既に月が上っていた。

季節柄、まだ気温が低いので夜空の星達が鮮明に見える。

星空を見ながら何度か白い吐息を吐いた後、路上に出ておおよその現在地を確認する。

冬木教会には歩いて40分程の距離だろうか。

バスを使えば早く行けるだろうけど、もう出てないかもしれない。

冬木教会に行く為のルートを考えながら、トネリコさんの方向へ歩いているとカラスの鳴き声がした。

そこには、しゃがみこんでカラスに餌付けをしているトネリコさんがいた。

 

「え、カラスですか?」

 

カラスは既に懐いているらしく、彼女が指で円を描くとカラスもその場でクルッと右から左へ回転して鳴いた。

彼女はフフッと笑いながらこちらを向く。

 

「はい、冬木教会へ子供達の件と拘束している彼のこと、併せてご挨拶もしようと思いまして」

 

「そうだったんだ。

てっきり、直接行くのかと思ってたよ」

 

「直接は行くのは止めておきましょう。

他の陣営に目をつけられる訳には行きませんから」

 

確かに、よくよく考えれば追跡されたりしたら大変だ。

ましてや待ち伏せに遇う可能性もある。

自分の安易な考えに平和ボケし過ぎたと、こめかみを手で押さえる。

 

「そうだね。後はカラスさんが伝えてくれるの?」

 

「はい、この子がお利口さんで助かりました。

お使いが終わったら直ぐ帰って来てくれるので、離れた場所から確認します。

それが終わり次第、場所を移動しましょう」

 

念の入れように驚嘆する。

そこまで考えがいかなかった。

 

「うん、それならうちの家に行かない?

もう夜も遅いし、少し歩くけど家に誰もいないから...」

 

と言った所で言葉が詰まった。

ん?

何か自然と出た言葉だけど、状況次第で家に女性を連れ込む男性の誘い文句みたいな発言をした...強ち間違っていないかもだけど、と思い変な誤解をされないように次の言葉を考える。

隣から彼女のクスクスと笑う声が聞こえてきた。

 

「学生さんなのに、オマセさんなんですね?

直ぐ女性をお家に連れ込むなんて...」

 

「ちょっ、違う違う!」

 

違わないかもだけど、と慌てて否定する将希を見て面白かったのか、冗談ですよと笑いながら彼女は立ち上がった。

 

どちらにせよ、トネリコさんと離れる訳にはいかない。

 

「将希さんから離れる訳にはいきませんので、お家にお邪魔しますね!」

 

笑顔で言われては上手く返せない。トネリコさんはちょっとズルいな~と内心思いながら

 

「ーッ、分かりました。

なんかこちらの事読まれてるみたいで悔しい」

 

と溢すと少し驚いた顔をしたが、それでは...とカラスに向き直り

 

「ではカラスさん、場所はお伝えした通りです。

一度きりのお使いですが、宜しくお願いします!」

 

そう言って飛び立つカラスを見送った。

バサバサッと夜空に飛んで行くカラスを見て手を振る。

 

「それでは、移動しましょう!

途中、カラスさんが戻るのを確認できる位置までは道案内をお願いします」

 

「分かった!

けど、トネリコさんの格好。だいぶ目立つと思う。

槍と杖は消えてるけど鎧があるし...」

 

「そうみたいですね。

なら、こうしましょう!」

 

そう言うと、彼女は杖を出現させて唱えた。

 

『 惑わす、ケルピー 』

 

すると、2人をベールのような何かが覆った。

何が起きたんだろうと聞いてみる。

 

「これは、、、?」

 

「姿形を変える魔術です。

と言っても今は、他の人から見たら周辺にいそうな一般人にしか見えませんが、先程の格好で歩くより溶け込んでいる筈です。

少し驚かれるかも知れませんが...」

 

と、ここで会話が途切れる。

どうしたんだろう?と彼女を見つめると不意に

 

『ここからは念話で話しましょう』

 

と実際にトネリコさんが話した訳でもないのに、声を聞いたような気がした。

自分の思い込みかと考えていると続けて語りかけてくる。

 

『思い込みではありませんよ。

私と将希さんの間だけの念話です。

私を意識しながら、言葉を伝えるイメージを持ってみて下さい』

 

『えっと...こんな感じ?』

 

『そうです!その調子!

これなら距離が離れても会話ができます。

場所を移しながら、聖杯戦争で知っておくべき事も含めて念話で話しましょう...

 

それと、エスコートお願いしますね?』

 

そう言いながら、彼女は左手を差し出してきた。

急なイベントに心拍数が上がる。

これは手を繋いで歩こうと言うことだろう。

工房の中でも手を握ったし、大丈夫だと心を落ち着かせる。

さっきのも魔力を使うだろうし、拒否する理由もない。

こちらの反応を伺いながら、クスッとしている。

動揺する姿を見て楽しんでいるのだろうか、悪戯好きな悪い魔女様だと思いつつ、負けじと冷静を装って右手で握り返す。

 

『喜んで、魔女様』

 

肌寒い季節だからか彼女と繋いだ手からじんわりと熱を持ち始めた。

うん、普通に恥ずかしい。

カウンターになら無いどころか自爆した。

慣れないことをするものじゃないな、顔が赤くなったのを彼女にフフっと笑われながら荷物を担いだ。

工房があった敷地を出て、帰路につく。

色々と聞きたい事もあるが、これだけは聞いておきたかった事を聞く。

 

『そもそも聖杯戦争ってどういうものなの?』

 

『簡単に言うと、願いを叶えるとされる聖杯を所有する為に、7組の陣営が最後の1組になるまで争います。

7組の陣営と言うのも...』

 

こうして、トネリコさんと念話で聖杯戦争に関することや魔術の事を教えて貰いながら住宅街を歩いていった。

帰宅途中の階段を上りきった辺りでトネリコさんから呼び止められる。

 

『ここで一端止まりましょう。

カラスさんが家に着くのを確認します』

 

停止の合図を受けて、後ろを見ると比較的高台にあるお陰で冬木市の半分程が見渡せた。

自分では見えないが、トネリコさんからは先程までいた魔術工房があった家を識別できるらしい。

目良すぎやしないか。

すごいとしか言えない。

 

「良い眺めですね!

街の灯りが星みたいです!」

 

隣を見ると、手すりに両手を掴んで身体を前のめりにしたトネリコさんが感嘆の声をあげている。

街灯りが彼女の瞳に写って、輝いていた。

街灯の灯りで横顔が鮮明に見える。

綺麗だなと改めて感じているとトネリコさんが目線を動かした。

何かしら動きがあったらしい。

先程までの笑みは無くなり、工房があった方向をじっと見ている。

途端に、彼女は呟く。

 

「案の定ですね。追跡されていたようです。

離れていて正解でした」

 

そう言って彼女は将希の方を向く。

振り向き様に見たその顔には、安心したと言う表情ではなく、少し悲しそうな表情。

目があった時には、さっきまでの悲しそうな表情から笑顔に変わっていた。

 

「さあ、行きましょう!

夜も遅いですし、冷えます。

教会に連絡が届いたのを確認し終わったら、なんだか安心してお腹空いちゃいました!」

 

晩ご飯時はとっくに過ぎており、空腹過ぎて感じなくなっていた事に気付く。

彼女に言われて、自身が忘れていた空腹感が戻ってきた。

 

「そうだね!

お昼から何も食べてなくて、お腹空いてるの忘れてたよ。

帰ったらご飯食べようか」

 

そう言って家がある方向へと歩きだす。

もちろん、魔力の補給をしながら。

慣れる気配はまだなくて、その度に心拍数が上がるけれど。

その後も念話を通して、話の続きをしながら歩いた。

 




『惑わす、ケルピー』

姿形がはっきりとしない、馬の姿(白馬だったり黒馬とも)をしていることが多いとされるが、人になったりと伝承が多いのを基に作られた魔術。
相手から見ると、特に気にならない通りすがりの人と言う形で記憶に残りづらい。
認識阻害の面を持つ。
術者のなりたい姿(と言っても馬や人)になることができる。


これにて魔術工房編が終わりましたが、まだ初日は終わっておりません。
長すぎるかなと少し気にしておりますが、お気に入りしてくれる方が以前より増えていて嬉しいです!

あと、R18版のアトラム・ガリアスタの幕間で誰もアンチコメント来てなかったことに驚きました。
前書きで注意書きさせて頂いたのもありますが、読んでくださる方のモラルがあるお陰です。
ありがとうございます!
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