ビビるくらい男尊女卑の世界で俺がハーレム築き上げるまでの物語   作:rikka

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012:待て、巣のアイコンがあるからといって気軽に右クリックしてはいけない。君が狩ろうとしているのは狼か? なら引き返せ。今すぐだ。

「これはもうバンダナじゃなくて布切れだな。一つ6Catなら買い取ってやるよ」

 

 なん……だと……?

 

「待て待て、それじゃ元手すら稼げないんだが!?」

「そりゃ試作品レベルなんてそんなもんだ。元を取りたきゃさっさと腕を上げるんだな」

 

 なん……だと……?

 

「で、どうするんだ? 一応形にはなっているから、自分達でとりあえず使ってみるっていうのもあるが……」

「……四つだけ残して、あとは全部買い取ってくれ」

「あいよ。代金の126Catだ」

 

 いかん、いきなり計画が頓挫してしまった。

 スタックの空いてる小屋を三つ確保して寝所、倉庫、そして作業所にそれぞれ仕立てて早速生産――まずはイヌ達に買い集めさせた布を使ってバンダナを作ってみたのだが……。

 

(まさか材料費すら回収できないとは……)

 

 いや、段々慣れてきている実感はあった。

 最後の方では、より少ない素材で上手くバンダナ――の、形をしたものは作成できた。

 

 とりあえずせめてものバックとして小銭を受け取り、家に戻る。

 金自体は十分あるから、別に心配はないのが幸いだ。

 すでに倉庫用の小屋には銅鉱石とは別にいつもの食料容器を作り、三分の一ほどはミートラップを始め買えるだけの食べ物を保管している。

 

 その上で十万貯金があれば当面の間は問題ない。

 とはいえ――

 

「しばらくの間はまたイヌ達頼りだなぁ」

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

「というわけで、スマン。食費も含めた基本資金は俺が銅鉱石で稼ぐから、イヌ達にはその間に布の回収を頼みたい。食料に関しても、道中の弁当として多めに持って行って構わないから」

「いえ、それは構わないのですが……」

 

 で、さっそくのグループ会議である。

 全員分のベッドが揃った寝床になる小屋に集まり、今後の方針を決めなくてはならない。

 

「代替わりによる我々女性のみでの外出はどうなったのでしょうか?」

「ああ、ブリスターヒルに戻った時にパラディンや審問官から話を聞いて確認してきた。結果、推奨はしないがホーリーネーション市民で、かつ主人の命令によるものならば問題ないということだ」

 

 先日一人でブリスターヒルまでノンストップで走って戻り、倉庫に大量に残っていた食料を大放出して男連中の好感を稼いできたわけだが、その時に必要な情報もしっかり収集しておいた。

 

「だから、巡回に出てる審問官から取り調べを受けるかもしれないが教典を持っていれば大丈夫だ。全員、手荷物に加えているな?」

「はい。身の安全のためにと旦那様から買い与えて頂いたものです。常に肌身離さず所持しております」

「私もだ。スウィフも当然忘れていない」

「そりゃ、手荷物検査の時にこれがあるとないで門番の態度全然違うしさぁ……」

 

 よしよし、それでいい。

 微妙に大きくてかさばるが、この地域での身分証明としてはこれがかなり大きい。

 これから大きく動きそうなブリスターヒルからも少し離れるし、とりあえずは安全だろう。

 

「それと、資金稼ぎなのですが旦那様」

「ん?」

「今一度、この周辺に巣食うボーンドッグや河蜥蜴(リバーラプター)の狩猟に出たいのですが、許可を頂けませんか?」

 

 ん? 狩猟?

 

「別に構わんが、大丈夫なのか?」

「はい。これまでの活動で河蜥蜴(リバーラプター)相手ならば群れ相手でも、最悪でもせいぜい誰か一人が骨折するか、頭蓋に強い衝撃を受けてしばし倒れ込む程度で全て狩り尽くせるようになりました」

 

 それは大丈夫っていうの?

 俺は疑問に思ったがとりあえずお口にチャックした。

 

「そこで、ここらで狩りの頻度を高めて旦那様の資金稼ぎの一助になるよう、『生皮』を出来るだけ回収しておきたいのです」

「あぁ……生皮は金になるな。後々防具作成でも使うかもしれんし」

「はい。それと、もう一つ」

「ん?」

「……その、いつまでも主人の食事を作らない女と見られてはまたもや審問の対象に成りかねません。ですので……」

 

 ……???

 あっ、お、おう。

 

「申し訳ありません旦那さま。都合のよろしい時で構いませんので、調理設備を用意していただきたいのです」

「……悪い。今まで買い食いするのが普通になってたから、そっちの問題をすっかり忘れていたわ」

 

 マジゴメン。

 急いで調理場作るわ。一応設計図はもうあるし……。

 

 あっ。

 

 やっべ、今ある小屋三つはそれぞれ、寝床に倉庫、そして衣類作成とその専用倉庫……。

 

 どこに作る???

 更に小屋を買うか?

 

 いや、バンダナ販売がせめて元を取れるレベルにならないと、大きな買い物は少し怖い。

 一応銅の単価が鉄鉱石よりも高いからそこまで心配しなくてもいいとは思うが一応……。

 

 …………。

 

 仕方ない。

 

 イヌ達が河蜥蜴(リバーラプター)じゃない、肉が取れる獲物の狩猟を安定して行えるようになるのに合わせて、手狭になるが倉庫の小屋の一角に建てるか。

 銅鉱石の保管庫があるけどまだスペースはあるし、ちょうどあそこには食糧保管庫も作っているから都合がいい。

 

 ……衣類作成の技術が上がって金策として成立するレベルに成ったら、銅鉱石の保管庫空っぽにして撤去しないとなぁ。

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

「イヌ、本当にこのまま進むのか?」

「ええ。少々危険な地ではありますが、危険生物の群れに出くわさないよう警戒しながらならば、比較的安全に一番近い村にはたどり着けるハズです」

 

 その後、イヌ達は主にシェク領スクインを主な布地の仕入れ地として、ハブを経由してスタックとスクインを往復するのが主な仕事となる。

 

 道中、すっかり敵として見られるようになったダスト盗賊団や逸れ狼との戦闘をこなして腕を上げながら主人のズゥが欲する布地を可能な限り買い集めてスタックへと運び込んでいた。

 

 そして布地が集まる度に、銅鉱石を掘る手を止めたズゥがツルハシを置いて、手を水で清めてから衣類の作成に入りバンダナを量産する作業に没頭する。

 

 作業を繰り返すうちに手慣れてきたのか、質はもちろん布地の消費もわずかとはいえ減り出し、このままいけばすぐに元手を取り、更には十分な稼ぎを生み出すレベルになるだろうと。

 

 それゆえ、資材調達を命じられたイヌ達にとって、他に資材を購入できる場所は喉から手が出るほど欲しく、そして貴重な物だった。

 

「しかし、まさかハイブの村を目指すとは」

「人食い蜘蛛とギャングがウロウロしているスワンプよりマシです」

「でもここ、ビークシングが出るんだよね……。あの人食い首長竜」

 

 三人が足を踏み入れた地域は、オクランの加護の届く地ではまず見ない不思議な木々に覆われ、赤い酸の雨が降り注ぐ過酷な環境だった。

 

 イヌ達はズゥが試作したバンダナでその頭部を守りながら、足を止めず真っ直ぐ目的目掛けて走り続けている。

 

 ハブから見ればほぼ真西。

 スタックからは南西。

 

 ヴェインと呼ばれる、ホーリーネーションの民からすれば禁忌に等しい地の一つを。

 

「少なくとも、こちらの方が足場はハッキリしている。向こうでは地面がこれ以上にぬかるんでおり、場所によっては剣が碌に振れない程だからな」

「ええ。無論、旦那様の意向によってはあの地へも足を運ぶことになるかもしれませんが」

「う゛え゛え゛ぇぇぇぇ~。蜘蛛は苦手なんだよなぁ。もう見た目からしてさぁ」

「シェク王国の奥地へ踏み込むのを拒否したのは、だからですか……」

「沼地とは違う人食い蜘蛛が出るんだったか。なるほど、それで」

 

 幸い、地面は湿っている程度だ。

 時折赤い酸の水たまり――否、酸溜まりが出来ているが、中に浸かるような真似をしなければ問題ない。

 

 これがスワンプという土地ならば、すぐさま深いぬかるみに足を取られ、あるいは沼地の水量によって体が思うように動かせず戦う事が困難だったろう。

 

「ともあれ、ご主人様のために布地を多く確保するというのは賛成だ。周りからしても、主人が必要とする物の調達というのは分かりやすい勤労の姿だろう」

「ええ。旦那様はいざという時には我々を連れてハブに、場合によってはそれこそスワンプを越えて都市連合勢力圏に逃げるつもりがあるようですが、まず我々がそのような事態に陥らないように気を配らなくてはなりません」

「……ぶっちゃけ、走り回るのがちょっと疲れるけど、それ以外はいい暮らししてるよねアタシ達。ほぼ毎日お肉でも野菜でも好きなだけ、お腹いっぱい食べられるし」

 

 そのまま真っ直ぐ走っていた時、突然先頭を走っていたイヌが手を上げる。

 全体は素早く静止し、その場にしゃがんで姿勢を低くする。

 敵からの視認率を下げるためだ。

 

首長竜(ビークシング)?」

「いや、筋肉猿(ゴリロ)だ」

 

 イヌの言葉を証明するように、赤い木々を掻き分けて白い巨体が現れた。

 まるで巨大な猿のような外見。

 ここにズゥがいれば『ゴリラ変異種』と名付けただろう極めて危険な獣がそこにいる。

 

「……見つかったって感じじゃないね」

「アイス、スウィフ、そちらの大木の陰に行って」

「了解」

「あいよ」

 

 ここは異郷の地。

 酸が降り注ぎ、人を襲いその肉を食らう恐ろしい獣たちが闊歩し、そしてその環境に慣れた特異(・・)な特徴を持つ種族が住まう場所である。

 

 白い異形が歩いていくのを遠目に確認しながら、決してその目に留まらないようにイヌ達は潜みながらジリジリと移動する。

 

「後方警戒。ここで首長竜(ビークシング)なんかに襲われたらひとたまりもない」

「了解」

 

 現在唯一のクロスボウ使いであるズゥがいる時は彼が指揮を執って動いている。

 その過程で、例えば盗賊団のたまり場を襲撃する時等でズゥが見せる効率的な指示による動きを、三人は少しずつ体に染みつかせている。

 

「イヌ、君から見て左斜めにわずかに明かりを確認。地図ともおおよそ一致する。恐らくハイブの村が近い」

「……あのゴリロをやり過ごしながら移動しましょう。確実に察知される圏外に出たら駆け込みます。周囲の警戒は怠らず、急速に動く物が見えたら報告を」

「了解」

「あいよ」

 

 後に、スタックに住む高名な防具職人として名を馳せる事になる男の、その配下である女達は主人によく似て勤勉だった。

 

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