「ーーまぁ、かかってきなさいな。そこから話をすることにしますかね。」
俺がそう言ったと同時に、目の前の少女ーー吸血鬼がこちらに向かって飛びながら突っ込んでくる。少女の背中にある色とりどりの宝石のようなモノが輝き、幻想的な光を発する。その姿は、思わず見とれてしまうほど綺麗だった。……だが、意識を切り替えよう。相手の見た目は幼い女の子そのものだが、発せられている妖力は尋常ではない。妖怪の中でもトップクラスの実力者と言えるものだ。気を抜くと間違いなくこちらが殺られてしまうだろう。
ーー想像してたより、速い。
俺は自分の両目に妖力を集中させる。俺は身体能力が低い。だからこうして自分の中のなけなしの妖力を両目に集中させ、反応を早めなくてはいけないのだ。故に、戦う時自身の体の周りをなんの力でも覆っていない。どんな攻撃も一つでも当たったら致命傷、直接死に繋がってしまう。そんな大きな危険を背負ったまま戦わなくてはいけないのだ。相手の少しの挙動だって見逃せない。
俺は目を凝らして少女を視る。
少女は俺との距離が半分になった瞬間、空気が吸い込まれていく音と共に自らの右手に何かを出現させた。
それは焔の剣。いや、それは剣ではないだろう。確かにあれは剣の形を炎で型どっているが、あれは『焼き』払うためのもの。『斬り』払うという本来の剣の役割には程遠い。少女はその焔の剣モドキで俺に攻撃するらしい。少女が目の前で大きく腕を振りかぶる。その動作と共に空気はまた大きく音をあげた。灼熱の業火を体現しているそれからは、他を圧倒する強い力を十分に感じられることができた。そして、俺はそれを見て、
ーー俺の刀なら斬れる
そう、確信した。
普通はそうは思わないだろう。少女がもつあの焔の剣モドキは、通常なら何でも燃やしてしまう。それは普通の刀も例外ではない。容易く刀の刀身を呑み込んでいくだろう。
だが、俺が使うならきっと、刀だって耐えてくれるはずだ。
そんな何の理論もない、非現実的なことを信じる。それが俺。俺はこの長い時を『斬る』という行為と共に過ごしてきた。その年月は未だ色あせることなく、真っ直ぐなものだ。だから、例え俺の持つモノが刀とは言えなくても、例え持つモノがそこら辺に落ちてる細い木の棒だったとしても、『斬る』ことが出来ると思えるのなら、炎だって『斬る』ことが出来るーー!!!
「……あれ?」
だが、鞘から刀を引き抜こうと柄に手を伸ばしても、手に掴むのは空気ばかり。
…あっ、あれ?おかしいな?いつもはここら辺に刀の柄があるのに…
そう思い俺は少女から視線を外し、自らの左腰にあるはずの刀に目を向ける。そしてーー
あ、あれー。何か刀ないアルネー。
……し、しまったあああああ!!!
そういえば刀白玉楼に放置したままだったぁぁあああ!!!
俺はその事実を、今この場で、今更思い出した。
…え、え?嘘でしょ?なにこれ笑えない。何が「まぁ、 かかってきなさいな。そこから話をすることにしますかね 」だよ。何かっこつけてるの?逆でしょ。正しくは「すいません、かかってこないでください。間に合ってるんで」だろ?いや、これも若干何か違うけど。
でもこれ無理じゃね?何かさっきまで妖力がうんぬん言ってたけどさ、それ以前の問題っすよ。いきなり王手だよ。始まり早々チェックメイトだよ。
何で自分で自分を追い込んだの?俺。いいんだよ自分を極限まで追い込んで覚醒とか。今そういう空気じゃねえから。今は仕事を完璧に遂行させる感じだから。
…今から謝ったら許してくんないかな?無理だよね。だって俺めっちゃ威張りまくってたもん。余裕ぶっこいてたもん。相手はの女の子は怒り心頭だよね……いや、でもいけるか?相手はまだ幼い少女だぞ?可能性は五分五分じゃない?ワンチャンあるんじゃない?……いける、いけるぞ!これはきっといける。誰がなんと言ってもいけるね。ハッハッハ、大丈夫。俺のコミュニケーション能力は伊達じゃない。何せあの友達少ないアリス(笑)と会話できるんだぜ?すごいだろ?これは俺が唯一自慢できることだからね!……でも、アリスちゃん本当にまともに会話する相手いないんだから。困ったもんだよね。全く。今度誰か他の知り合いでも連れていってあげようかしら。うん。それがいいな。
…って今はそんなこと考えている場合じゃない!!現実逃避するな俺ぇ!!!話合いに持ち込むなんて無理に決まってるだろうが!見なさいよ今の現状を!特に会話すら多く交わしてない相手が全力で向かってきてるのよ?あの子やばいって。頭のネジ何本かとんでるって。絶対戦闘民族だって。
やっべー、本格的に不味いなこりゃ。目の前の少女は正気じゃない。少し戦いながら徐々に落ち着かせる算段だったんだけど……こりゃ、無理でごさる。詰みでこざる。ほら、見ろよ?少女の目を。ありゃあ完全に異常ーーー
俺は彼女の目を見て動きが完全に静止する。思考すら完全に止まってしまう。
それは少女の視線が恐ろしかったからではない。そして、彼女が明らかに異常者の目をしていたからではない。それは、彼女がーー
「ーー何でお前、自分が狂ってるふりをしてるんだ?」
彼女が、明らかに「自分の意志」で偽りの自分を演じていたからだ。
◇
博麗 霊夢は緑の華人服を着た妖怪を倒した後、ゆっくりと歩きながら館の中を進んでいた。
隣にいた魔理沙はいつの間にかどこかにいってしまったらしく、自分の話し相手もいなくなってしまったため少々この異変に対して面倒だという気持ちが大きくなっていった。
「はぁ、退屈ね…」
「あら、私は貴方達が来てとても忙しくなってしまったのだけど?」
そんな時、突然背後から自分の言葉に返答する声が聞こえた。霊夢は慌ててお祓い棒を構え、振り返る。自分が声が聞こえるまで相手の存在に全く気づかなかった。霊夢はそのことを不思議に思った。気配を消し自分の後ろに立つことができる者など今までいなかった。きっと今、自分の目の前にいる変わった服を着た銀髪の女は強者だろう。それを認識し気を引き締める。
「…へぇ。あんた人間なのね」
「ええ。この館の主、レミリア・スカーレットお嬢様に使える人間の従者、十六夜 咲夜よ。よろしく」
そう言い、目の前の女は頭を下げた。霊夢はそんな彼女に言葉を返す。
「ご丁寧にどうも。私は博麗 霊夢。博麗神社の巫女よ。それで、あんたに聞きたいことがあるんだけど」
「なにかしら?」
「その服は何?」
霊夢はお祓い棒で咲夜の服を指す。咲夜はそれを聞き、ああこれ?と言った後言葉を続ける。
「これはメイド服と言う物よ」
「へぇ……」
「なに?気に入ったの?」
咲夜は霊夢の反応を見てそう言った。だが、霊夢が獰猛な笑みを浮かべ出したのを見て戦闘体制に入る。
「ええ、とても気に行ったわ。……冥土服なんて、これからあんたをぶっ倒すのにピッタリじゃない!」
「…はぁ、…その冥土じゃないわよ」
そして博麗 霊夢と十六夜 咲夜による戦闘がーーこの幻想郷での「スペルカードルール」による戦闘が始まった。
◇
「ーー地下の結界が安定しだしたわ」
白玉楼にて、八雲 紫はそう呟いた。
紫は今まで早く伝蔵に刀を届けなくてはと焦っていたが、その必要はないことを知りホッと肩を下ろした。伝蔵は自分で剣術以外は全く出来ないと言っていたが、それは謙遜だったらしい。まったく、心配するこちらの気持ちも考えてほしいものだ、と紫は思った。
「も、もう仕事を終えたのですか!?流石伝蔵さんです!」
さっきの紫の呟きは妖夢に聞こえていたらしい。妖夢は伝蔵の仕事を終える早さに、驚きと尊敬の態度をあらわにしている。
紫はその妖夢の様子を見て小さく笑みが零れる。妖夢が紫の前で見た目相応の態度をとることは今までなかった。前までは自分の意思を殺して幽々子の従者を演じていたが、妖夢は伝蔵が来た日から少しずつ変わっていった。妖夢は自分のことを、伝蔵を通して前向きに捉えていけているように感じる。
(彼の剣の指導は滅茶苦茶だけど、それ以外の指導は上手くいっているのね)
と、紫は漠然とそう思った。伝蔵が意識してそうしようと努めているとは到底思えない。だが、結果として妖夢には確実に変化が表れている。今まで伝蔵に頼んだことが間違いだったかも知れないと思っていたが、そんなことはなかった。剣は鍛えずども、心は育っている。これからどのように妖夢が成長していくのか、将来が楽しみになってきたな、と紫は未来に思いを馳せた。
「紫様、アレですか?伝蔵さんはなんちゃら拳法とか使える感じなのですか?」
……良い方に育っているのよね?と紫は妖夢の将来が少し不安になった。
◇
ーー何でお前、自分が狂ってるふりをしてるんだ?
まさにフランが炎剣で攻撃を加えようとした瞬間、伝蔵がそうフランに問いかけた。
その言葉を聞き、フランの動きは伝蔵のすぐ前で静止し、剣は振り上げたままの状態で止まった。
「…ナンノコト?」
フランは狂人の笑みを浮かべながら、愉しそうにそう言う。その姿は誰がどう見ても破壊を楽しむ異常者の姿だった。まるで壊しても楽しければいいと思っているかのような、その先に悲しむ者がいても知ったことかと本気で思っているかのような、そんな姿を体現していた。
だが、伝蔵はそんな彼女の目を視る。表情や言動などは気にかけない。ただ彼女の目を見続けていた。
そんな伝蔵の視線に堪えきれなくなったのか、フランは彼の視線から逃れるために横に目を逸らした。伝蔵はそんなフランの様子を見た後、自分の右手で後頭部をかきながら言葉を紡ぐ。
「…ハァ、それがお前の答えだった、ってわけか」
そう伝蔵は言った。フランはそれを聞き、小さな声で、この世の誰よりも小さな声で、叫ぶように言う。
「………あなたに…貴方に何がわかるの…?」
伝蔵にその声が聞こえたのかは分からない。彼はフランがその言葉を言った後、その場に座りこみ胡座をかいた。
これからのフランの独白を待っているかのように、ただ真顔でフランを見つめていた。フランはそんな彼に、今までの生きてきた年月分の怒りをぶつけるかのような、強い口調で言葉を続ける。
「わたしは、わたしは何だって壊せた!命の価値なんて、そんなの、すべて同じのように感じてた!だって、この手を開いて、閉じただけで、全部壊れたんだから!
……でも、全ての命の価値が…同じなわけがなかった……ーーー私はね、お姉様が大好きだったの。」
フランは今までの強い口調とは逆に、優しい口調になり、言葉を続けた。
お姉様は何でも出来たとか、お姉様は誰よりも優しかっただとか、そんな、何処にでもある妹の姉自慢。それはとても暖かみのある話だった。それを聞いている伝蔵は、自らの両目を閉じ、黙って自慢話に耳を傾けている。
「ーー小さい頃から閉じ込められてた私にね、お姉様だけは優しく接してくれたの。しっかりと私の話を聞いてくれていてね。絵本だって読み聞かせてもらってた……嬉しかったなぁ。こんな私でも、生きてていいんだな、って実感出来てた」
そう、笑みを溢しながらフランは言葉を続けていた。だが次の言葉を続ける瞬間、その笑みはなくなり、悲しみの表情を顔に浮かべ始める。
「ーーでもね、それとは反対に、私は自分の両親が大嫌いだった。……私を視る目が、嫌いだった。まるで、何でお前が生まれてきたんだって、何でお前はまだ生きているのかって、そんなことを、常に私に伝える、そんな目が大嫌いだった」
だからね、とフランは言葉を一旦そこで区切り、一呼吸してから言葉を続けた。
「ーー壊したんだ。あいつらの「目」を。……「目」っていうのはね。景色とかそういうものを認識する方じゃなくて、モノの中で最も緊張している部分のこと。そこに力を加えると、どんなモノだって簡単に壊れてしまうの。…私の能力だったらそれが簡単に出来るの。だからね、一瞬で壊しちゃった」
フランがそう奇怪に笑って言った。だが、伝蔵は黙ってその話を聞き続けている。いまだに両目を閉じ、表情も変えずに。フランはそんな彼の様子に構わずに言う。
「でも、問題はその後だった。それを知ったお姉様が、初めて私に怒りながら言ったの。何てことをしてくれたんだって。……そこで初めて分かったんだぁ。私にとっては、あいつらの命の価値なんてどうでもいいモノなんだけど。お姉様にとっては、凄く大事なモノだったんだって。ーーだから、私は今こうしてずっと地下にいるの。もう、お姉様の大事なモノを壊さないように。」
それが彼女が今この地下にいる理由。別に彼女の能力を使えばこの地下の魔法の結界を破ることなんて容易いだろう。『壊す』ことこそが彼女の得意分野なのだから。でも、そうはしなかった。彼女はそんなことはせず、おとなしくこの場に閉じ込められることを選んだ。自分の姉の、大事なモノ壊さないように。
「私が正気じゃないふりをしてれば、自然と私の周りから全てのモノが離れていくから。だから、演じていくことにしたの。……だって私にはわからないんだもの。お姉様の大事なモノなんて、判断出来ないんだもの」
そして、彼女はそこだけは狂っている。いや、狂ってしまったのだ。親に大事なことを全く教わらなかった彼女は、その感性だけは磨くことができなかった。自分以外の世界を視ることができなかった彼女は、相手の心を見通す能力が欠如してしまったのだ。
そんな彼女に、自分は何と言えばいいのだろう?伝蔵は目の前の少女のことを考える。どうすれば、彼女は救われたのだろう。
自分がもし昔に彼女と会っていたとしても、きっとどうすることもできなかった。この少女の『親』には決してなれないのだから。本当の意味で、彼女を救うことは出来ない。それは今だってそうだ。今彼女に同情したって、「苦しかったな」なんて優しい言葉をその後に続けて慰めたって、きっと彼女には届かない。きっと、彼女の心には浸透していかない。だから、伝蔵はそこを考慮したうえで、彼女のことを深く考えたうえで、両目を閉じたまま、だが確かに広角をあげて笑い、
「ーーんなもん、壊せばいいじゃねぇか」
そう、言った。フランはその言葉を聞き一瞬呆けるが、すぐに怒りの表情を浮かべ言う。
「っだから!そんなことしたら、お姉様がまた泣いてしまうから!そんなことは!!できないっ!!!」
「そうか?俺は簡単な話だと思うけどね?お前が何かを壊しちまって、それが姉ちゃんの大事なモノだったとしたら、もうお前は同じモノは壊せないだろう?」
何を言ってるんだこの男は、とフランはさらに怒りを覚える。だってーー
「一つだって、同じモノなんてない!壊してしまったら!もう元には戻らない、だから壊せないんだろう!!だからーー」
「ああそうだな。まさにその通りだ」
伝蔵はフランの言葉を途中で遮り、そう言う。さっきと変わらず笑みを浮かべながら、だが眼は開き、フランの目を見ながら言う。
「壊しちまったらもう元には戻らない。だから壊しちまったら悲しいと思うし、怒りもする。まさにその通りだ。……でもさ、そんなの、簡単な話だったのさ。お前のその悩みはさ、本当に、本当に簡単な方法で解決出来たんだ」
伝蔵は笑みを止め、フランを哀れみながら、悲しみながら、言葉を続ける。そう、簡単な話だったのだ。目の前の少女は、そんな簡単な話を両親から学ばなかった。だから、こんな遠回りな道を進むことを選んでしまった。全く別の方向に歩を進めてしまったのだ。伝蔵はそのことを哀れみ、少女の両親に怒りを覚えながら、言った。
「ーーお前は壊す前に、姉ちゃんに聞くだけで良かったんだ。これが壊していいモノか、悪いモノなのかを。……それだけでお前は、救われていたはずだったのに」
きっとそういうこと。子供が両親から最初に教わる、最も大事なこと。分からないことは誰かに聞く、そんな、簡単なこと。
伝蔵はそう言った後、立ち上がり少女に背を向けて、この部屋の出口らしき扉に向かって歩き出す。
「まぁ、俺が言えるのはこれだけだ。後は自分でどうすればいいか考えな。」
そう言い伝蔵はこの場を去っていこうとする。フランはその姿を見て何も言えずに、ただ俯いていた。
「ーーああ、それと」
そんな彼女に対して、伝蔵は言う。
ーーー少し、お願い事があるんだがーー
◇
「……何か不気味だな」
霧雨 魔理沙は地下に通じてるらしき階段を進んでいた。
霊夢と別れた後、彼女は紅魔館の中をなんの目的もなく箒に乗り飛び回っていた。すると偶然、この館の隠し通路のような小さな道を見つけたのである。好奇心が強い彼女はその階段を何の恐怖も抱くことなく降りていた。
だが、魔理沙はこの通路の終点らしき扉の前に立ち、怖くなった。
ーーこの扉の向こうにはナニカがいる。そう彼女の直感が告げていた。そして、それが危険なモノだということも無意識に理解してしまっていた。
しかし、それでも退かないのが霧雨 魔理沙だ。彼女は自分の頬を両手で叩き、気合いを入れてから扉のドアノブに手を飛ばす。その瞬間、
ーーガチャ、ガチャッ
「ひっ」
ドアノブが向こうから回されたらしい。彼女の手によってではなく、ドアノブが動いた。
向こうにいるナニカがこちらに来ようとしている。だが、鍵がかかっているせいでこちらには来れないようだ。そのことに魔理沙は安堵し、息を吐く。しかし、
ーーガキッ
「ーーーえ」
ドアノブが、壊れた。
この向こうにいるナニカは自分が今扉の前にいることがわかっている。だから、このタイミングでわざわざ鍵を壊してまで来ようとしているのだ。彼女は恐怖に包まれる。そして一歩後ろに後退するが、それまでだった。
扉が開きだした。
魔理沙は瞳に涙を浮かべてしまっていた。まさかこの向こうにいるのがここまで危険な奴だとは思わなかった。自分のために扉の鍵を壊してまで来るその執着心。まともな相手だとは思わない。もしかしたら殺されるかもしれない。そんなことが脳裏をよぎる。ああ、しまったなぁ、こんなことになるなら、好奇心に身を任せるんじゃなかった、と彼女が一種の諦めに入った瞬間、目の前の扉を開けた者の姿を彼女の瞳が捉えた。
ーー小麦色に焼けた肌に、黒く短めに切られた髪。黒を基調とし、所々に赤が散りばめられた浴衣。そんな人間の形をした男は、こちらを見てから、言う。
「……え?何で俺が出てきたら泣き出してるの?傷つくんですけど」