愛城恋太郎のことが大大大大大好きな院田唐音   作:しろっこにー

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最後は唐音の一人称でお送りします。


それではどうぞ。


最終話「べ、別に恋太郎のこと、大大大大大好きなんて思ってないんだからねっ!!!」

 

 

 

 微睡んだ意識の中、頭の上に感じた心地いい重みが彼氏の手で撫でられているからだと気づき、瞼を開ける。

 

 

 

 

「おはよう唐音」

 

 

 

 

 結局、彼氏の寝顔は拝めなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 寝落ち勝負は私の負け、悔しいが寝顔を二度も見られてしまった。寝起きにかましてきた優しい笑みが勝ち誇っている様に見えたから頬っぺをつねってやった。ふん、次は負けないんだから。

 

 

 それから一緒に顔を洗って歯磨きもして着替えも済ませ、朝ご飯も二人で作った。目玉焼きにハムと味噌汁、そんな凝った物ではないけれど、晩御飯を一緒に作り損ねたと言うのもあって嬉しい。

 

 

 作ってる途中に恋太郎からまたダーリンって言って欲しいと言われたけど、どんだけ気に入ったのよ……。まぁ言ってあげたんだけど、ニッコニコな顔で撫でてくるし。なんかホント、同棲ってこんな感じ何だろうなって……。

 

 か、勘違いしないでよね? 恋太郎と一緒なら何でも嬉しいってワケじゃないんだからねっ! ってそんな事を考えて帰り支度をしていたらスマホを忘れかけるし。恋太郎のスマホの横で充電しっ放しだったわなんて確認したらしっかり充電100%だし。

 

 

 なんかちょっとだけムカッときた。お前は100%だろうがこっちはデートが終わっちゃう一歩手前だぞ馬鹿たれ。今日は充電が無くなるまで使い切ってやる八つ当たりなのは分かってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

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 そんなこんなで荷物もまとめ終えた、忘れ物がないのを確認して玄関を出る。晴れ晴れとした青空だ雲ひとつない。一個くらい無いのかよなんて考えてしまうのは、この玄関の中が恋しい所為だろう。わざとに忘れ物をしてしまおうか、でもそんなのかっこ悪いわよね。

 

 

「それじゃ、また学校でね恋太郎」

 

「家まで送らなくて良いの? むしろ俺が送ってあげたいんだけど……」

 

 

 過保護かっ。手まで握りおってからに。昨日の夜、散々慰めてくれたのはお前だろう。まぁそういう所が好きなんだけどさっ! 名残惜しさを振り切る勢いってあるじゃん。ほら青空が私達を祝福してくれているぞ。良きデートであった。100点満点青空満天よ。でもそうね、お家デート中ずっと意地悪してきた彼氏にお灸を据えても良いわよね? ちょっとからかってあげるわ。

 

 

「なによ? アンタまさか寂しいとか思ってるの? ふん、私の彼氏何だからシッカリしなさいよね?」

 

「ごめんでも…………。 滅茶苦茶寂しいです」

 

 

 キュンッ!!! ちくしょうやめてくれ、子犬が悲しそうな時にクゥーンって鳴くような顔は今の私には悔しい程効く。そんなに寂しいなら、その握ってる手を家の中まで引っ張ってけよ。今日は日曜日だし学校は明日からだからもう一泊いけないこともないんだからねっ。まぁそんな事しないのは分かってるし、そういうの正直に言ってくれる所も好きよバカッ。

 

 

 だから彼氏の手を引っ張ってキスをした。ちょっと乱暴かなって思ったけど、私の彼氏には丁度いい塩梅だろう。

 

 

「か、唐音!?」

 

 

「嫌とかじゃないわよ? でも今日は一人で帰りたいからさ、それに怖くないって言ってくれたのはアンタでしょ?」

 

 

「そう……だね。分かったよ。ありがとう唐音。気をつけてね」

 

 

「うん、私こそありがとう……ね。それじゃっ」

 

 

 手は離れた。これで終わり。24時間デートが終わった。踵を返して歩き出す。心做しか右手で握っているキャリーの音がちょっとだけ低い音を出している。何歩かな、結構歩いたかな……。 まだ恋太郎いるのかな? 

 

 

 

 

 

 

 おもむろに立ち止まり、振り返った。

 

 

 

 

 

 

「ぁ…………」

 

 

 居た。私が振り向いたからか、控えめに手を振ってくれている。目の内側がキュってなるのを下唇を噛んで誤魔化して手を振り返す。そしてまた歩き出す。

 

 もう振り返らない。だって私が見えなくなるまで居てくれるだろうし、そしたらきっと私は今向いている方とは逆の方へ駆け出して行くから。だからこのまま……。

 

 

 

 

 

 

「はぁぁぁぁぁ……」

 

 

 

 

 

 

 曲がり角を曲がった。ため息もつく。終わってしまった二人っきりのお家デート。やっぱり私も寂しいよ恋太郎……。

 

 

「でも……。楽しかったかな」

 

 

 首元のチョーカーを撫でる。てっきり花園家の恥晒しの差し金だと思ったら、彼氏が私の為に買ってくれた贈り物。

 

 

「…………んふっ」

 

 

 多分今、誰にも見せたくないくらいニヤニヤしてる。だってさ、これを選んでる時の恋太郎の頭の中って私の事だけで一杯だったんだよね? そんなの最高じゃないっ。恋太郎の人生っていう貴重な時間をその時だけでも私だけで埋めつくせたってだけで幸せすぎるっ! 

 

 

「私の全部が恋太郎の物……。〜〜〜!!!」

 

 

 愛されてる。ちょっと縛られているくらいに愛されているのが心地良い。もうこの気持ちを誰でもいいから語り尽くしたい。このプレゼントを見せびらかしたい。今なら電柱に話し掛けていた彼氏の気持ちが分かる気がする。なんか傍から見たら奇人なんだけど、そんな彼の事を大好きな自分も奇人だからまぁ問題ない。

 

 

「はぁ…………」

 

 

 デートを思い返すと吐息が漏れるくらい胸がまた温かくなってきてきた。クジ引きで当たりを引けて、勢いでお家デートって言って。最初は緊張もしてたし素直になれなかったけど、段々甘えられるようになって……。 まぁちょっと口には出せない甘え方もしたけど……。 むしろそればっかりだった気が……。

 

 最後は泣いちゃったけど、いっぱいキスもしてくれて、でも寝落ちする前のアレはずるかった。猫耳なんてつけてないのに、その、襲う? みたいになりかけたし何なら襲おうとしたら「この創作ってタグがR-15までしかついてないんだ」とか3を足せよこのデコスケ野郎とか思ったけど……。

 

 

 

「またしたいな」

 

 

 

 恋太郎の言葉を思い出す。

 

 

 ──夢みたいな時間を一緒に作っていこう──

 

 

 うん、もっともっと作りたい。私も恋太郎と一緒に……。 もちろん、恋太郎ファミリーでもね。あ、そういえば胡桃にお礼言っておかないとっ! 

 

 

 スマホを取り出して胡桃に返事を書く、充電は100%。今度はムカッとはしなかった。

 

 

 

 時折流れる風に頬を撫でられながら、院田唐音は帰路に着く。

 

 

 

 足取りは軽い、キャリーの音も子気味の良いリズムを刻み始めた。気持ちは前向きだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「『話を聞かせてもらおうじゃないか、ブラザー』」

 

「どうだったんですか? どうだったんですか? 恋太郎君との同棲はっ?」

 

「当事者から直接聞くのが効率的」

 

「私もその、聞きたいです……」

 

 

「だぁぁぁっ! もうっ! どんだけ気になるのよ!?」

 

 

 

 休み明けの登校日。案の定、皆んなから質問攻めの嵐にあう。通学路でも校門前でも、下駄箱から廊下まで、他の彼女達と出会い頭に開口一番「デートどうだった?」のビックウェーブ。乗るしかねぇってか!? 「新装開店のパチ屋見たいだな! だっはっは!」とか言って百八先生も止めてくれないし。唯一止めてくれそうな生徒指導の季鞠先生も「ダメよ。でも気になっちゃうじゃない……」って何でウチの高校は碌な先生がいねぇーんだ!? オイ魚群予告って何だよ!? パチンコ行った事ねーよ!? こっちは未成年だよ! こらっ! もっと先生らしい表情を保て! なんかエロいぞ!? タグはR-15だからな!? 

 

 

 

 

 登校したばかりだと言うのにもうヘトヘトだ。放課後が億劫だな、とか考えてため息をつきながら自分の机に鞄を置く。するとどうだ、サングラスをかけた静が私の目の前を陣取る。髪の毛云々の時につけてたヤツじゃんまだ持ってたの? とか静にツッコミを入れていたら。両サイドを凪乃と羽香里、愛々に囲まれた。時計をチラッと見るがHRまでまだ時間がある、四面楚歌逃げられない。

 

 

「『おうおうおうっ』『姉ちゃん』『素直に吐いた方が楽になるぜ?』」

 

「何これ、尋問?」

 

 

 静、もっと選べる言葉があっただろう。ってちょっと愛々、そのカツ丼のあみぐるみは何よ? そんなタイムリーな物を作るんじゃないわよっ。

 

 

「勿体ぶらずに早く言ってほしい」

 

「そうですよ唐音さん。私達だって恋太郎君とデートしたかったんですから、お話だけでも聞いて妄想させてくれても良いじゃないですかぁ」

 

 

「せ、急かさないでよ。あとそっちのピンクは盛るなっ! アンタの母親のせいで私がどんだけ恥ずかしい目に……はっ!?」

 

 

 しまった。私達にとって彼女が絡んだ話が文字通りピンク色に、強制的にタグに3を足すのも辞さない物になるであろう事を失念していた。周りを囲む4人の目が獲物を見るハンターの目が如く輝いている。

 

 

「ま、まさか唐音さん……!」

 

「恥ずかしい? 詳しく」

 

「あーんなことやこーんなことしちゃったんですかぁ!?」

 

「『盛り上がってきたなぁ!?』」

 

 

「べ、別に………!!!」

 

 

 失言。取り返しのつかない、逃げ道を敢えて塞ぐ、塞ぐつもりもなかった背水の陣。不味い、四体一では多勢に無勢。凄まじい勢いで迫ってくる圧力にたじろいでしまう。なんて圧力、乳の……。って見せつけて来るなぁ!! 大物引っ提げてこっちに来るな! 絶対言わない! 言ってたまるかこんちきしょー!! 

 

 

 

 

「べ、別に恋太郎の上に跨ってちゅーしたり猫耳つけて猫ちゃんごっこして発情しかけたりプレゼントくれたりお昼ご飯作ってる恋太郎に抱きついてちゅーしたりお互いにあーんとかしたりダーリンとか呼んだりゲームしてる時にキスしたり手作りのクッキーあげた時に恋しくなってクッキーゲームしたり布団に抱きついて寝落ちしたらそのまま一緒に寝るまでキスしてくれたり気づいたら至る所で恋太郎とイチャイチャしてたりなんて私はしてないんだからねっ!!! ………………ってびゃああああああああああああああああああああああああ!!!?」

 

 

 

 

「しゃあおらぁ! これこれぇ!」

 

「計画どおりっ」

 

「『私達の勝利だっ』」

 

「さすが唐音さんです! あ、プレゼントって鞄につけてるリボンですか? 可愛いっ」

 

「はっ、これは……。チョーカーですか!? きゃー! 束縛愛じゃないですかぁ!」

 

「独占欲の意味合いもある」

 

「『おいおいおい』『おーいおいおい、こいつぁ堪んねぇな?』」

 

 

 

 

 仲良くハイタッチをかまし、唐音の鞄につけているリボンもといチョーカーを愛でる恋太郎ファミリー一年四組の集い(一人は轟沈)。

 

 

 くっそがぁぁぁ!!! 全部言っちまったよっ! 昨日の私は何処に行った!? もうやだお家に帰りたい。このまま母なる海の底まで沈んでいきたい。猫でも良い、のほほんと暮らしたい。恋太郎養って……。

 

 

 だがHRはまだ始まらない。それを知ってか知らずか今度は深掘りしようとしてくる四人。そこへ恋太郎が現れる。

 

 

「皆んなおはよう〜! ごめん彼氏磨きで朝フルマラソンしてたら道に迷ってフルフルマラソンになって遅くなっちゃった! あとHRはなしだって担任の先生から皆んなに伝えてくれって、一時間目は理科で移動教室だから移動しよっか……唐音大丈夫?」

 

 

 

「おはようようございます恋太郎君、唐音さんはそのっ」

 

「おはよう愛情恋太郎。大丈夫具合が悪いというわけでない」

 

「『おはよう恋太郎君、実はかくかくしかじかなのだ』」

 

「恋太郎君おはようございます。という訳なので私達は先に理科室行ってますね」

 

 

「わ、分かった……。俺もすぐ行く……よ」

 

 

 挨拶も手短に、事情も踏まえつつ。彼女達やクラスの面々が理科室へと移動していくのを見やる恋太郎。教室には恋太郎と私だけになった。

 

 

 やっと解放された。いや真の開放はこれからだろう。私は今日一日中こうやって派手に爆発してしまう事だろう。分かった、逃げられないならもう腹を括るしかない。括ってやるわよ。でもその前にどうしても馬鹿彼氏に八つ当たりでもしないと気が済まない。

 

 

「か、唐音?」

 

「遅いっ」

 

「ご、ごめん。俺も予想はしてたんだけど……」

 

「じゃあもっと早く来なさいよー! ばかばかばかっ!」

 

「朝イチ羽交い締めっ!」

 

 

 何がフルフルマラソンだ。ギリギリを攻めたようなネーミングをつけてる暇があったらさっさと登校してきなさいよ! クソ恋太郎ー! 意地悪っ! と、しっかり彼氏の首を決めてあげるが必死にタップしてくるので渋々離してやる。

 

 

「はぁ……はぁ……。はは、はははっ」

 

「な、何笑ってんのよ……」

 

 

 彼女に羽交い締めされて喜ぶな。こっちが傷心中だと言うのに。

 

 

「いやぁ、やっぱり俺、唐音が大好きだなって」

 

「は、はぁっ!?」

 

 

 何がどうしてそう思った。突然告白してくる彼氏に顔が熱くなる。

 

 

「あ、鞄につけてたんだね。ありがとう」

 

「流石に学校じゃあれかと思って……。これなら大丈夫かなって」

 

 

 

 

 紐タイプのチョーカーだったのもあり、鞄に結んでおこうと思っただけ……。

 

 

 

 

「べ、別にアンタが……んむっ!?」

 

 

 私のいつも通りの照れ隠し。さっきも皆んなの前でぶちかましてしまった口を恋太郎に指で制される。あの日の朝みたいに。意地悪で茶目っ気な笑みで。

 

 

「別にアンタがつけてて欲しいって言ったから仕方なくつけて上げてるんだからね。合ってるよね?」

 

 

 合ってる、ムカつくほどに正解。でも恋太郎、クラスの皆んなはもう移動してて教室には私とアンタしかいないわ。二人っきりなら私にだって分があるのよ。

 

 

 

 

 

 大正解を教えてあげる。

 

 

 

 

 

 

「…………ぶっぶー」

 

「えっ!? ごめん俺もまだまだだね。反省してまたフルマラソン……んっ!?」

 

 

 恋太郎の唇に人差し指を添える。ふん、させるかボケっ。また走り出されても困るんだわ。質問攻めされるのが決定している私を誰がフォローしてくれんのよ。今回は言わば共犯なんだから、大人しく隣にいなさいよね。だから……。

 

 

 添えた指を彼氏の唇の上で薄くなぞった後、満面の笑みを浮かべ自身の唇を重ねた。

 

 

 思わぬ反撃に呆気にとられ、頬を真っ赤に染める恋太郎へ唐音が言葉を紡ぐ。

 

 

 

「正解は……。 アンタの事が大大大大だーい好きだからつけてるだけなんだからね。分かった?」

 

「わ、分かりました……」

 

 

 これからも一緒に、夢みたいな時間を作ってくれないと許さないんだからね。恋太郎。

 

 

 

 

 

「ほーら、理科室行くわよ恋太郎」

 

 

 

 

「そうだね。いこっか」

 

 

 

 

「…………んっ」

 

 

 

 

 

 

 彼氏の手を引っ張り教室を出る。

 

 

 

 

 その仲睦まじく手を繋ぐ二人の背中を、唐音の鞄につけられた黄色いリボンが見つめていた。

 

 

 

 

 窓から差し込む光に照らされながら。あたたかく、燦々と、二人の夢を見守るように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 愛城恋太郎が大大大大大好きな院田唐音。~完~








読んで頂いた方ありがとうございました。見切り発車でれんからの二次創作を書き始めましたが何とか締められて良かったです。


書いている内に、自分の未熟な部分が多々見受けられて悔しい限りですが、次回の新しいお話の糧とさせて頂きたいと思います。


良かったらご指摘やご批判、評価や感想をいただければ幸いです。ですがUAなど確認して見てくれている人が確かにいて下さると実感できて嬉しかったのも事実です。


本当にありがとうございました。またそのうち書くであろう次回作も見ていただければ嬉しいです。
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