愛城恋太郎のことが大大大大大好きな院田唐音   作:しろっこにー

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短めですがキリがいいので上げます。引き続き楽しんで頂けたら幸いです......!


第4話 「唐音ガールと恋太郎ボーイがツンデブリットでランデブーでストリートデース」

 

 

 

 

「(れ、恋太郎とキス、唇柔らかい、好き好き好き恋太郎大好きぃ!)」

 

 

 朝から積もりに積もった想いが一気に形を成し、唐音の中で歓喜の鐘を鳴り響かせる。そして今日はまた一段と唇から伝わる愛情の格別さに身体が震え立つ。

 

 

「(もっと欲しい、恋太郎ともっとちゅーしたい!)」

 

 

 彼氏の家で二人っきり、誰にも邪魔されないという状況が唐音のシナプスを焼き尽くしていく程の興奮を生み出す。そしてそれは彼女の根源的な感情を消し飛ばすまでに至る。今この時を持って、彼女の中にあるブレーキという単語は弾けとんだ。

 

 

「恋太郎ぉ……」

 

 

「唐音……!?」

 

 

 先程までツンとした雰囲気を纏わせていた少女は恍惚とした表情で恋太郎を見つめる。予想してなかったその潤んだ瞳に恋太郎の胸も高鳴る。

 

 

「一回だけ?」

 

 

 なんて可愛い催促だろう。この瞬間に恋太郎はツンデレの極地を目の当たりにする。だがここで狼狽える恋太郎ではない。彼女の全てを受け止めると宣言したのだ。男に二言は無い。

 

 

「ううん、唐音が望むなら何回でもしてあげるよ」

 

 

「じゃあまたギュッてしてっ」

 

 

「うん」

 

 

「ちゅーして」

 

 

 恋太郎は再び彼女の唇を塞ぐ。さっきより長い時間重ね合わせる。互いの息遣いが耳になだれ込んでくる。キスで消費するカロリーは2〜3キロカロリーだそうだが二人の交わいはそれを優に超えているだろう。

 

 

 そんな可愛いくも積極的な少女の愛情表現に彼氏も感極まり、おもむろに彼女の口へ舌を差し出す。

 

 

「ひゃっ」

 

 

「あ、ごめん」

 

 

「大丈夫、ちょっとビックリしただけだから。だから、わ、私もそれ、したい」

 

 

 顔を退かれた事に一瞬後悔と罪悪感が押し寄せてきたが、戸惑いと好奇心が混ざりあった彼女の言葉に恋太郎は救われる。

 

 

「恋太郎っ」

 

 

 ほっとしたのも束の間、唐音は恋太郎の頭の後ろに手を回し、抱き寄せてキスをする。

 

 

「不意打ちされたお返し」

 

 

「じゃあまたお返ししないとね」

 

 

 今度はもう拒まない。唐音は恋太郎の舌を受け入れ自身のも差し出し、絡め合わせる。彼氏の艶やかな感触と、熱と息遣いは彼女の背徳感と劣情を掻き立たせるには充分過ぎる程に濃密であった。

 

 

「恋太郎、これ凄い大好きぃ」

 

 

「俺も大好きだよ唐音」

 

 

「ん、恋太郎、恋太郎ぉ……!」

 

 

 彼氏とのちょっぴり背伸びをしたキスに、言葉になり切れない唐音の甘い悲鳴が部屋全体に響く。

 

 

 それでも、もう一回、もう少しと、暫しの間互いの気持ちを深め合う恋太郎と唐音。大人の階段を一つ登った少年少女にブレーキなんぞ野暮である。

 

 

 

 

 ーーーーー

 ーーーーー

 

 

 

 

「(あびゃあああああああああああああああ!!!?)」

 

 

 私は今、余りの恥ずかしさに愛城家のトイレの中で崩れ落ちている。結論から言えば私のツンデレが恋太郎に屈した。そして気づけば大人のキスをおねだりしていた。以上......じゃないわよっ! 私は羽香里みたいに脳みそフラワーパークじゃねーぞ!? 花園家でもないのに何でこうなったのよ! え? 誰が系列店だって!? 即刻閉店だおらぁ!?

 

 

「ち、違う。元はと言えば、うぅ〜! 馬鹿恋太郎ぉ!」

 

 

 そうよ、アイツのせい! 朝から笑顔で迎えに来てくれて荷物も持って私に優しくしてくれてカッコよくて、なんか腕まくりして男らしい所を見せつけてきて、初めてのお泊まりデートで緊張してる私を抱き締めてくれて、デリカシーないとかちょっと言い過ぎかなって言葉も素直に聞いてくれて、普段ならしてこない様なからかい方をして来て……でもそんな事されて悪い気持ちにならない寧ろ良い? とか思ってたらいっぱいキスしてくれて、何なら大人の階段登っちゃうキスもしてきた良い匂いがするアイツのせい! 私は悪くない! 断固として被害者! 容疑者はアイツ! 犯人は恋太郎!! 

 

 

 って何が「恋太郎はとんでもない物を盗みました。貴女の心です」だ!? ちくしょー! 持っていかれた! 持っていかれちまった!! 返してくれよ私のたった一つの心臓なんだよー!!

 

 

 助けて胡桃ー! 妹ー! あんた達なら理解ってくれるでしょ? 二人っきりは不味いって......どんな顔して出て行けば良いのよ!? いや落ち着け私、凪乃が言ってたわ。心を落ち着かせるには円周率を唱えると良いってーー。

 

 

「えっと円周率は3.1415……あ、恋太郎の誕生日って5月だったわよね? プレゼント考えておかないと、まぁ恋太郎なら何でも喜んでくれるだろうけど……ふん、別に喜んで欲しいから上げる訳じゃな院田唐音しっかりしろー!?」

 

 全然落ち着かないわよ! てか何桁も覚えている訳あるかっ! 凪乃の馬鹿ぁぁもう知らない! 度台私には無理なのよ! 素直になってもまたこうしてトイレで打ちひしがれるに決まってる。折角のデートなのに時間を無駄にしてしまっている。

 

 

「ホントに何してるんだろ.。正直になるだけなのに、皆んな出来てるのに何で私だけ……ん、LINE?」

 

 

 そう言えばスマホをポッケに入れたままだった。通知が一件。胡桃からだどうしたんだろう? 今日は家でペタマックス10個食べるとか言ってたけど。って相変わらず食いしん坊よねあの子。っとそれは置いといてLINEのメッセージを確認しないとね。えぇっとーー。

 

 

『こんにちは唐音先輩、恋太郎先輩とデート中にごめんね? でも居ても立ってもいられなくて書きました。私も唐音先輩程じゃないけど素直じゃない所があるから。お家デートなんて唐音先輩凄く緊張してるかもしれないけど頑張ってね! 恋太郎先輩と二人だけなら何時もより素直になれると思うよ? 後輩の癖にお節介かもしれないけど……ファイトだよ先輩!』

 

 

「く、胡桃ぃ〜」

 

 

 やばい泣きそう。胡桃だって恋太郎と二人でデートしたかっただろうに、心配してくれてエールまで送ってくれるなんて良い後輩が持てて嬉しいよ胡桃。今度一緒にご飯食べに行こうね? 

 

 

『ありがとうね。頑張る』とだけ返信しておいた。ごめんね胡桃、今の私にはこれが精一杯なのよ。私達の彼氏はやばいわよ本当に馬鹿、好き。

 

 

 深く息を吸い、大きい溜息をつく。後輩に気を遣われた事はちょっぴり情けないがお陰で元気が出た。初心に帰ろう。朝家を出た時だって楽しもうって決めたじゃない? ペースは崩されたけどブレちゃ駄目。恋太郎にいっぱい、いぃーーーっぱい甘えてやるわ! 覚悟しなさいよ恋太郎……! 私だって真っ直ぐに素直になれるんだからね?

 

 

「院田唐音ファイト、うおー」

 

 

 自分に小さくエールを送る。トイレに閉じこもるのはもうお終い。頑張れ自分、私だって恋太郎の彼女なんだからっ! 

 

 

 

 ーーーーー

 ーーーーー

 

 

 

 唐音に『お、お手洗い借りるわよ!』と言われ一人になって暫く、俺はベット横に背中を預けてぼんやりと天井を見ていた。理由は明白だ。唐音が可愛すぎる。いや彼女皆んなが年中無休世界で一番可愛いと言い切れるが、今日の唐音は普段にも増して魅力的だ。改めて彼氏として誇らしい。幸せにしてくれて感謝しかない。

 

 

「ツンからのデレ、分かっているつもりだったけど」

 

 

 甘く見ていた。俺の初めての彼女の一人、付き合いも長いし沢山の時間を共有した。理解もしていた。でもそんな自負すら彼女の前では露ほども及ばなかった。ツンデレ女の子の『デレ』の最高到達点を垣間見た。恐るべき才能である。

 

 

 さっきまで熱烈に求められていたせいか頭が回らない。デレという熱に充てられたせいだろう。以前羽香里と唐音、静ちゃん凪乃と五人でプールに行った時にもその片鱗はあった。正直あの時以上かもしれない。じゃなかったら彼女にあんなもキスしなかっただろう。洗面所でも違和感を感じていた彼女の雰囲気。それが今現実となり全力全開で特攻してくる。ツンデレじゃ無くなる薬を飲んだ訳じゃない。100%の天然物だ。流石の破壊力こっちがどうにかなってしまいそうだ。

 

 

 だがきっかけが分からない、花園家のピンク色な空気に充てられたワケでもない。ここは俺の家......はっ!? そうか今日はお家デートで二人っきり、唐音がツンとしてしまう時は他の彼女もいた。でも今は俺一人。俺ですら今日という日に浮かれてしまい、彼女が言葉を発する前に指で口を塞いだり、からかい気味な発言が出てしまったんだ。好きな子にちょっかいをかけたくなる現象。それが唐音のツンデレに化学反応みたいな物を起こしたのかもしれない。

 

 

 いずれにせよ、全部ひっくるめて受け止めるのが彼氏の務め。それに原因の一端は俺にもある。何より唐音に楽しんで欲しい、喜んで欲しい。良いデートだったって言って貰えるように身を粉にするまでだ。

 

 

 それにしても遅いな唐音、余程我慢してたのか。彼氏の家でお手洗いを借りるのが恥ずかしい女の子もいると聞くし、知らない内に我慢させていたのかもしれない。もしそうであれば気付けなかった事に対して謝らないとな......。それとも具合が悪くなった? 頭はまだぼんやりとしているが様々な事を想定しておく。

 

 

「た、ただいま……」

 

 

 思案していると唐音が帰ってきた。顔色を伺うが具合は悪くなさそうだ。若干赤みが刺しているのは恐らくさっきのキスの所為だろう。俺の顔も多分赤くなっている。しかし備えがてら声をかけておくに越したことはない。

 

 

「おかえり、遅かったけど大丈夫? もし体調とか悪くなったら直ぐに言ってね。いくらデートでも唐音の体調が一番だからさ」

 

 

「だ、大丈夫よありがとう。でも具合ならそうね、ちょっと悪い、かも……」

 

 

 なんて事だ良くない方の想定が当たってしまった。何を舞い上がっていた愛城恋太郎っ! 彼女の頬が赤いのは熱がある証拠だ。それを浮かれおってからに、彼氏失格の烙印を押されるぞ!? だがそれは絶対に避けねばならない今すぐに看病しなければならないっ! 

 

 

「それなら直ぐに安静にしとかないと! 待ってね今薬取ってくるから」

 

 

「薬なら、あるわよ」

 

 

 急いで薬を取ってこようと腰を上げた瞬間、彼女に両肩を掴まれベットに押し倒される。勢いそのままに、お腹と腰の間に跨ってきた。そしてムスッとした表情に、何処か色気を滲ませる彼女の顔が俺を見下ろしている。

 

 

「か、唐音?」

 

 

 一瞬の出来事に脳が追い着かず、彼女の名前を呼ぶだけに留まる。

 

 

「別に、恋太郎のせいで具合が悪くなったから薬代わりのキスで責任とらせるだけなんだからね……」

 

 

「(ツンデレと見せかけた純粋なデレ!?)」

 

 

 

 一先ず体調が悪い訳では無い事に安堵した。がしかし新たな問題に直面する。

 

 

 まるで長年に渡って忌み嫌うだけだった、自身の中に眠る強大な存在と和解したかのようなカタルシスが身体を貫く。これがハイブリットならぬツンデブリット!? 新時代!? 何て勝手に新しい属性を開発していると彼女の唇が迫ってくる。まずい想定外だ。ツンデブリットには信号も無ければブレーキも搭載していない! 目的地まで一直線! 

 

 

 だが彼女が望むのであれば抗う術も、退けることも無い。責任を持って彼女の処方箋になる事を誓おう。世界を統べる程の可愛さに恐れるな愛城恋太郎。このパンデミックを救えるのは今この瞬間において俺だけだ! 最初から英雄何てものは存在しない。新しい時代を切り開き続けた者達が英雄と呼ばれるのだ。さぁ切り開こう。目の前で金色に輝く光と共に。

 

 

「恋太郎、んっ」

 

 

 恋太郎、金色に輝く光との本日何度目かも忘れたキス、薬と言い張るには余りにも甘く、二人の間に糸を張る程に刺激的であった。随分と甘酸っぱいパンデミックである。

 

 

「具合はどう?」

 

「まだ悪いかも……」

 

「なら落ち着くまで看病してあげないとね」

 

「さ、最後まで診てくれないと許さないんだからね?」

 

「勿論だよ。ほらおいで唐音」

 

 

「……! ばーかっ」

 

 

 悪態まじりで唐音は恋太郎に抱き着いた。大きな身体のぬくもり、肺の中を愛情でいっぱいにしてくれる匂い、金髪の髪を優しく梳いてくれる大きな手。

 

大好きな男の子の手厚い看病に、唐音はギュウッと抱き締める力を強めた。




序盤ながら、お気に入り、ご感想くれた方ありがとうございます。100カノ好きで唐音好きな人に刺さってくれれば嬉しいです。

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