愛城恋太郎のことが大大大大大好きな院田唐音   作:しろっこにー

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可笑しい......当初の予定より長くなっている......!?

土日に続き更新出来たらなと思います。

ここすき、感想等頂けたら嬉しいです。


第6話「唐音様のおツンデレ様がそろそろ無くなりつつあります」

 

 

 

 

 

 

「(にゃあああああああああにやってんだ私はあああああああああ!!!?)」

 

 

 

 正気に戻った内心は暴れ狂っていた。素直になろうとは決意した。そして未だかつて無いくらいストレートに好意をぶつけている。それはもう襲う一歩手前ほどに......。彼氏を誘惑していた自分を思い出しまた顔が熱くなる。

 

 

「(だって、だってだってだってぇ! カッコよすぎるじゃん! 私の猫耳彼氏ちょーカッコイイじゃん! 転びそうになった時に直ぐ助けてくれるとか惚れ直すじゃんっ!!)」

 

 

 転げ落ちる身体は抱き抱えられたが、恋には堕ちてしまった。ふと助けてくれた時の恋太郎が脳裏をよぎる。無防備に服の襟を掴み、はためかせる彼氏の姿。綺麗な地肌と鎖骨が唐音の脳内を行ったり来たりする。エロかった。そりゃ襲う。

 

 

「(お、おおおお落ち着け私! こんな呪物つけてるからスケベになるのよっ! )」

 

 

 頭につけていた猫耳を布団に投げつける。そしてチョーカーも外そうと手をかける。

 

 

「あー唐音それはつけてて欲しいかな?」

 

 

「な、何でよ?」

 

 

 何故止めるんだ彼氏、今しがたお前を襲いかけた雌猫がつけていた呪いの装備だぞ。どうせ猫耳と一緒に羽々里から渡された物だろう。発情した猫に仕立てあげられたこの怨みを祓わないと気が済まない。このまま星の彼方まで投げ飛ばしてやるっ。

 

 

「それ唐音に似合うかなって思って買ったんだ」

 

「え、羽々里から渡されたんじゃないの?」

 

「いやいや! 俺が買ったんだよ。窮屈なら外しても良いんだけど」

 

「恋太郎が私に……」

 

「我儘だけど、可愛いからつけてて欲しいなって」

 

「分かったわよ。し、仕方ないわね」

 

「ありがとう唐音!」

 

 

 首に伸ばした手を引っ込める。呪いの装備どころか彼氏のプレゼントだった。なら星の彼方まで投げ飛ばすわけにはいかない。恋太郎が私の為に時間を割いて買ってくれた品物というだけで胸の内が優しく包まれる。邪気は祓われた。

 

 

「(でもそれはそれで…….)」

 

 

 邪気は消えたが何故プレゼントにチョーカーを選んだかに悶々とする。とはいえ「さってお昼ご飯作らないとね!」と何かを誤魔化すように頭をポンポンと撫でてきて一階へと降りる恋太郎、答えてはくれないようだ。煮え切らない感情で彼氏の背中を睨みながら後に着いていく。

 

 

 

 ーーーーーーー

 ーーーーーーー

 

 

 一階に降りた恋太郎と唐音はリビングへ向かう。前回遊びに来た時は恋太郎の部屋だけ使っていたのでリビングを見たのは初めての唐音。恋太郎の両親はどちらも教師をしていると聞いていたが教鞭を執る人間の気質故か、家具やインテリアの色合いに纏まりがあり統一感がある。

 

 

 台所を見やる。トイレや洗面所に入った時も思ったが水周りが綺麗だ。対して院田家は大所帯なのでどうしても掃除が行き届かない場所があり正直散らかっている。それに慣れてしまっている唐音にとっては些かこの空間は落ち着かない。

 

 

「(恋太郎と一緒に住んだらこのくらい綺麗にしとかないとって事よね?)」

 

 

 ウチの息子の花嫁ならこれくらいはして貰うぞ? と両親に無言の圧をかけられているかのような錯覚を覚え内心狼狽える金髪の花嫁(仮)。

 

 

「ふ、ふん分かったわよ。望むところなんだからねっ!」

 

 

「急にどうしたの?」

 

 

 まだ面識のない彼氏の両親に宣戦布告する唐音をよそに、恋太郎は台所へ向かい昼食の準備に取り掛かる。

 

 

「今日のお昼は唐音のリクエストで唐揚げを作るからね」

 

「べ、別に名前に因んで唐揚げが好きなわけじゃないんだからねっ!」

 

 

「そこまで言ってな……ってそういう事か。でも自分の名前と同じ読みがついてる食べ物って親近感湧くよね。俺だったらほうれん草とかかな? やっぱり美味しく感じるよ。唐音はどう?」

 

 

「え、ま、まぁ美味しいけど」

 

「なら尚更しっかり作らないとね」

 

 

 全方位全肯定花婿(仮)は伊達じゃない。そんな軽口を叩きながら恋太郎は冷蔵庫を開けてラップが掛けられているボウルを取り出す。

 

 

「実は朝の内に下ごしらえはしてたんだ、あとは衣をつけてカリッと揚げるだけ」

 

「出来る彼氏っ!」

 

 

 ちょっと置きすぎちゃったけどねと若干の愚痴を挟む彼氏。用意周到とはまさに今の彼に当てはまる四字熟語だろう。そして淀みなく調理に取り掛かる。

 

 

「お米はもう炊いてあるし、唐揚げだけだと寂しいから中華スープも作るね」

 

「う、うん。ありがと?」

 

「ふふ、どういたしまして」

 

 

 言葉を交わしながらも恋太郎の手は止まらない。揚げ油を入れた鍋を加熱させながら新しいボウルを取り出しそれに片栗粉と小麦粉を入れ唐揚げの衣を作り始める。その手際の良さに感嘆しつつも、横で眺める唐音にふつふつと焦燥の念が芽生え始める。

 

 

「れ、恋太郎」

 

「ん?」

 

「私も何か手伝うわよ?」

 

「じゃあ俺が火傷とか包丁で手を切らないように見守ってて欲しいな」

 

 

 隣で眺めているのも何だか居た堪れない、家では家事もする方だ。恋太郎に任せっきりの状況が歯痒いのだが返ってきた言葉に少しムッとする。

 

 

「何よそれ、私だって料理くらいしてるわよ」

 

 

 てっきり一緒に作るのも良いかな何て寝る前に妄想してたのが恥ずかしくなってきた。それに彼氏のこなれた調理作業に少し嫉妬に似た感情もある。

 

 

「腕がなるよって言った手前ね。なら晩御飯は一緒に作ろうか。お昼は任せて貰うよ」

 

「むぅ、わかった……。でも意外、男の子ってあんまり料理得意じゃないイメージあったから」

 

「大好きな人に手料理を振る舞える男になりたいって母さんに頼んで昔から料理を教えてもらってたんだ。母さんに感謝だね」

 

「だ、だいすきな……」

 

 

 サラッと言わないで欲しい。お前の大好きでこっちがどれだけ舞い上がってしまうかいい加減に分かって欲しい。

 

 

「だから俺、今凄く嬉しいんだ。夢が叶ったよ」

 

「わ、私は別に何もっ」

 

「ううん。俺は唐音には沢山幸せを貰ってる。でもそうだな、唐音がそう言ってくれるならテーブル拭くのお願いしても良いかな? それが終わったら食器出してくれない? 布巾はそこにあるのを使ってね。食器は俺の後ろの棚にあるから」

 

「わ、分かった!」

 

 

 恋太郎に指示をされてテーブルを拭きはじめる。彼氏の手伝いができて一安心だが家で自然と行っていた行動が今日は何だか新鮮だ。同棲している男女はこんな感じなのだろうかと思考を巡らせる。彼氏の家でお昼の準備、共同作業二人三脚、これはもう同棲という名の夫婦練習? け、結婚っっっ!? 湧いてでた感情に引っ張られ視線が台所へ向く。

 

 

 静かにそっと見つめる。同い年の少年が私の大好きな食べ物を作ってくれている。そんな男の子に先程言われた言葉を思い出し、胸が心地よく締め付けられる。どうしよう滅茶苦茶ハグしたい。

 

 

「ん? なぁに唐音」

 

「な、何でもないわよっ」

 

 

 台所にいる彼氏と視線が重なる。どうやら見つめすぎてたようだ。誤魔化すようにテーブルを拭き終え、恋太郎の背後にある棚から食器を取り出す。

 

 

「ありがとね」

 

「別に、大したことしてないし」

 

「ああ、俺の彼女は何て謙虚なんだ」

 

「謙虚のハードルの低さよっ」

 

「そんな事ないよ、例えば飼い猫にお手って言ってお手してくれたら凄く嬉しいでしょ?」

 

「あーそれは可愛いっ……ん?」

 

 

 一瞬の静寂、どうやら吾輩は猫のようだ。名前は院田唐音。

 

 

「にゃーにゃーにゃー!!!」

 

「お手ならぬ、おハグゥー!!!」

 

 

 猫は激怒した。必ずこの好き好き大好きクソ彼氏の背骨を折ってやろうと。でも滅茶苦茶ハグしたかったのでWinWinです。

 

 

「唐音ごめん、本当はもっとハグされてたいけどお昼作らないと」

 

 

 料理中に彼女からハグされるなんて最高に幸せまっしぐらなシチュエーションだが優先順位という物がある。

 

 

「ふーん? ふぅーん?」

 

 

 なのだが、後ろから聴こえるのは拗ねている様な彼女の声。

 

 

「唐音?」

 

 

 恋太郎が後ろを向くと、もの欲しげな瞳で彼氏を見上げる猫がいる。どうやらお手以上の物をご所望な様子だ。ご所望通りの事をしないと離してあげないとばかりに腰に腕を回されている。

 

 

 目は口ほどに物を言うとはこの事か。その拗ねた瞳に優しく笑みを返し、恋太郎は顔を近づける。油がはねる音にかき消される程度に二人の間でちゅっと音が鳴った。今日の唐揚げは一段と美味しそうだ。

 

 

 

 ーーーーー

 ーーーーー

 

 

 一丁上がり。今日のお昼は恋太郎お手製のご飯が進むぞ唐揚げと、ほうれん草と卵の中華スープ。レモンは無い。向かい合って座る二人は両手を合わせる。日本人が食事をする際のお決まりの所作だ。

 

 

「この世の全ての食材に感謝を込めていただきますっ」

 

「何でトリコなのよ。い、いただきます」

 

「はい唐音あーんっ」

 

「思い立ったが吉日っ!?」

 

 

 いただきますから一秒の出来事。これが美食屋の行動力恐るべし。せめて心の準備をさせて欲しい。ええい、ままよとやけくそ気味に頬張る。

 

 

「あ、あーんっ……んー!」

 

「どう美味しい?」

 

 

 カリッとした食感を越えた先に溢れる肉汁と肉の底まで揉みこまれた調味料の味が唐音のほっぺたに電流を走らせる。美味い。彼氏の愛情も染み込んでてなお美味し。

 

 

「美味しい」

 

「ほんと!? 良かった嬉しいよ」

 

「ほら恋太郎、あーんっ」

 

「はわわわわわわわ!!?」

 

「落ち着けやっ」

 

 

 目には目を、テンパる彼氏の口へ唐揚げを突っ込む。

 

 

「銀河一美味いっ」

 

「お前が作った唐揚げだぞ?」

 

「唐音があーんしてくれた唐揚げはもう唐音味と言って良いと思うんだ」

 

 

 こんの彼女好き好き大好きモンスターめ。面と向かって恥ずかしい事を堂々と言いおってからに。しかし今日は恥ずかしい事を朝から大分やらかしている所為で言葉が出てこない。

 

 

「うん、ホントに美味しい。唐音と食べるご飯最高だよっ」

 

 

「まぁ、私も好き、かな」

 

 

 ひとつ屋根の下でテーブルを挟んで向かい合う彼氏とのお昼。お家デートの定番にして王道。妄想の中だけだった理想が紆余曲折在りながらも次々と現実になっている。自然と笑みが零れてしまう。あー子の言葉を借りるならエモい。

 

 

 口直しに中華スープを飲む。鶏ガラの風味が喉を伝い胃の中に広まっていく。ホッと心が温まる、これも美味しい。作り方は恋太郎の横で見ていたし手軽に再現出来そうだ。家でも作ろう。

 

 

「こうして一緒にご飯食べてるの何だか夫婦みたいだね?」

 

 

「ふぶっ!?」

 

 

 奇襲、効果は絶大だ。危うく吹き出すところだったぞこの野郎。

 

 

「唐音大丈夫?」

 

 

「げほっ……けほっ、いきなり変な事言わないでよ」

 

 

「嬉しすぎてつい、すいません」

 

 

「いや、私こそごめん、変ではないわねだってーー」

 

 

 一応プロポーズされてるし…….までは言えなかった。何だろう、以前言われた時と雰囲気が違い過ぎて言葉が続かなかった。二人きりというこの状況がそうさせているのか? 脳裏にチラついた二人という単語にまた湯気が立ちそうだが一先ず置いといて、変な事、と言ってしまった事を撤回したいのだが良い台詞が浮かばない。何かないか? 急げ唐音、こういうのは瞬発力が大事だ。プロポーズだと少し重みがあってしっくりこないし恥ずかしい。

 

 

 別な言い方、恋太郎と夫婦になったら呼び方とかも名前じゃなくてあなたとか? いやぁ柄じゃないボツ。ん? カタカナ? ああ、これなら大丈夫かな? 

 

 

 

 

「だってそのうん、そう、私のだ、ダーリンだし……」

 

 

 

「だっ!?」

 

 

 

 手をもじもじとさせながら紡がれた米国式特攻兵器ダーリン、恋太郎の心臓を居抜く。

 

 

 

「ん? ダーリン……。はっ!!?」

 

 

 

 自爆っ。気づいた時には遅かった、恋太郎の顔がみるみる赤くなる。焦ったあまりとんでもない単語を口にしてしまったようだ。彼氏の反応に自身も頭のてっぺんまで熱くなっているのが直感で分かる。

 

 

 

「さ、冷めないうちに食べよっか?」

 

 

 

「う、うん」

 

 

 

 恋太郎の言葉に黙々と食事を再開し完食。味はよく覚えていない。そのかわり少しずつ素直になれている自分にちょっぴり嬉しくなる唐音であった。





唐音のツンデレが段々と柔らかくなって来たっ!?

いや恋太郎と二人っきりなら仕方ないよね?

え? 元からそんなにツンデレしてないって?

細けえ事は気にするなっ!
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