愛城恋太郎のことが大大大大大好きな院田唐音 作:しろっこにー
短いけど何とか更新出来て良かった......。でも今回はちょっと蛇足。
良かったら高評価、ここすき、ご感想よろしくお願いいたします。
お昼ご飯も食べ終え、恋太郎が使った食器を洗い、それを唐音に渡し拭いてもらう。先刻のダーリン発言が尾を引いているが故に口数は少ない。彼女の狙ってない素直な愛情表現に恋太郎もどんな言葉を切り出そうかと思案する。だが心配するな恋太郎、これは諸刃の剣という物。洗った食器を拭く彼女の頬っぺも真っ赤っかだ。似た者同士と言ったところか、そう思うと途端に嬉しくなってしまうのもカップルの特権だ。素直にいつも通り愛をぶつければ良い。
「ねぇ唐音」
「ん?」
「もう一回言って欲しいな、ダーリンって」
彼氏の言葉にピクリと身体が跳ね、首元のリボンを揺らす唐音。耳まで赤くなった彼女は視線だけ恋太郎に向ける。そして下唇を噛みながら数秒彼氏を見やると、視線を下に逸らしポツリと呟いた。
「………ダーリン」
これがあの院田唐音なのか? これがツッコミ担当、身体を張る要因の彼女の姿なのか? そこはツンデレを発動させて照れ隠しに手が出てしまう所だろう。だが今日の彼女は一味違う。ツンデブリットで自分の気持ちを伝えたいと奮起している健気で可愛い彼女なのだ。国宝級の可愛さ、殿堂入りは確定です。
「ぎゃわいい、ぎゃわいいよ。俺のマイハニー」
「日本語可笑しくなってるわよ、もうっ」
彼女の可愛さに感涙しながら恋太郎は食器を洗い終える。食後は歯磨き、彼女達の前では清潔に、彼氏の務め義務である。
「ご飯も食べたし歯磨きしてくるね」
「私も、あっ……ねぇ恋太郎っ」
名前を呼ばれて振り返ると彼女の唇が目の前まで来ていた。避けられる訳もなく重なる唇。
「か、唐音?」
「別に、私が好きな食べ物を食べた彼氏ってどんな味がするかなって思って無いこともないけどねっ」
「そ、そっか。 お、美味しかったかな? (なんか胡桃の影響入ってる!? うわぁんもう可愛さが成層圏を越えちゃうよぉぉぉ!!!)」
「ま、まぁ、悪くないかも」
そう言いながら口元に手を添える目の前の彼女に恋太郎の情緒は成層圏を突破する。
「汐らしさ天の川銀河っ!! この可愛さ太陽系で比類するものなしっ!!」
「私は恒星かっ!?」
神様、俺はこんなに幸せで良いんでしょうか……。いやあのクソ神ではない。次会ったらはっ倒すとは恋太郎の本心である。
「唐音、君は俺の太陽だっ!」
「せめて人で在らせてくれっ」
猫だの太陽だの銀河だの私の彼氏は彼女を何だと思っているか、褒めてくれているのは理解するがツッコミするこっちの身にもなって欲しいと唐音は軽く溜息を吐く。だが、からかわれ気味なさっき迄と打って代わり、今はこちらが主導権を握っている。彼女の言動を噛み締めてキュンしている目の前の恋太郎がその証拠だ。
「(何だがコツを掴んだ気がするわっ! これが素直になるって事よね? やばい滅茶苦茶幸せすぎるっ!!)」
そして彼女、院田唐音も過去最高の感動に震え立つ。今まで出来なかった事が、二人だけの空間と言う条件付きではあるものの、包み隠さず出せている。正直者は馬鹿を見るとは誰が作った言葉か、ははは見ろよ? 現状得しかしていないぞ? そんな言葉は宇宙の彼方にポイッだ。高らかに笑いたいくらいだが彼氏とのお家デート歯を磨かないという選択はない。
「ほら、歯磨きするんでしょ? さっさといくわよ」
「イエス、マイギャラクシー!」
「いい加減地球に帰って来いっ」
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歯磨き中に頭を撫でられたり愛でてくる彼氏の横腹に彼女も軽くこずいて返すなど、最早どこでもイチャつき始めてしまう二人。洗面所で二人を映す鏡も何処か赤みを帯びているのは気のせいか。歯磨きを終えて部屋に戻る。時計を見ると正午を半分過ぎた頃、唐音が自宅を出て4時間程が経っていた。
って事は……。恋太郎とあと20時間も一緒に居られるっ!
これがクジ引き勝者の特権よと心の中でガッツポーズする唐音。独り占めしてるのにちょっぴり罪悪感が湧いてくるがこれは公平な勝負の結果。存分に楽しむのが他の彼女への礼儀と言うものだろう。ましてや普段皆んなと居る時よりも心に正直になれている。ツンデレ因子も今日は大人しめだ。まぁ朝早々に恋太郎に屈したと言ってもいい。心が躍るこの瞬間を簡単に手放してなるものか。
「唐音は何かしたい事ある? なければ一緒にゲームしない?」
そう告げる彼氏は「唐音としたいゲームがあるんだ」と言い、家庭用ゲーム機を取り出す。
「別に恋太郎と一緒なら、何でも良いわよ」
「……唐音、もしかしてツンデレじゃ無くなる薬とか飲んでる?」
唐音のあまりの純白さにさすがの恋太郎も疑いの色を見せ始める。
「何よっ、飲んでないわよ。 が、頑張るって言ったじゃん……」
「だぁぁぁ!! 眩しいっ!! 眩し過ぎるよ唐音ぇ!! 目が、目がぁぁぁ!!」
「私は飛行石か!?」
恒星の次は蛍石ってかっ。変な韻を踏むんじゃない、せめて一貫性を持たせろ。纏めてバルス、目がヘルス。眼福ってか馬鹿彼氏。
「ほらゲームやるんでしょゲーム。えーと何これ100カノペダル? 自転車?」
恋太郎が取り出したゲームソフトを確認する唐音。パッケージにはロードバイクに跨る美少女達の一枚絵、タイトルには<100カノペダルGLORY>と書かれている。
「対象年齢15歳、開発元は……。ほ、本気グループ……!?」
本気グループ、本気が売りの文字通り本気な会社である。そのグループが営業している施設やイベントを利用参加したことがある恋太郎ファミリーだが殆どが波乱万丈である。平和な結末になった試しが唐音本人の経験と他の彼女達からの体験談ではまず出てこない。そんな会社が作ったゲーム、悪寒を感じる。
「ゲームショップに行った時に一目惚れして買っちゃったんだ。主人公がロードバイクに乗る彼女達を育成してレースに出場させるってのが大筋のストーリー何だけどギャルゲーとは思えない位ストーリーが良くってさ! 特にこのパッケージ裏の女の子! ちょっと詩人に似てるでしょ? その子がね滅茶苦茶健気で可愛くて頑張り屋さんでさ?」
「分かった分かった、落ち着きなさいよ。ちょっと早口のオタクみたいになってるわよ?」
どんだけ感動したんだ。まぁ彼氏がこんなに褒めるくらいなら良い作品なのだろう。
「でも私ロードバイクとか乗ったことないから分からないわよ?」
「そこもチュートリアルとかで説明してくれるし、ゲームメニューに用語解説も入っているから初心者でも大丈夫! それにね、そんなの気にならないくらいの熱さと青春がこれにはつまってるんだっ! 特にこの女の子! 胡桃に似てるでしょ? この子がね自分の実力の低さに落ち込むんだけど支えてくれる先輩達の言葉で覚醒する所とかマジで熱いんだよっ!! その先輩達も凄く魅力的で……!」
「だぁぁもう分かったわよっ! そんなに言うならやるわよ!」
感動しすぎだろう、そんなに面白いのか? まぁ会社の名前通り本気で作りましたと言った所か手抜きのゲームでは無さそうだ。百聞は一見にしかず、実際にプレイするのが早いだろうとコントローラーを握る唐音。
「(まぁよくある熱血スポ根的な奴でしょ? 恋太郎には刺さる要素があったんだろうけど……。 うーん、ちゃんとしたスポーツなんて野球の試合とか市民運動会くらいだし、自転車競技でそこまで感動するかな?)」
半信半疑で電源を入れゲームスタート。opは疾走感溢れる曲だ。女の子達がロードバイクに股り疾走する映像とマッチしてちょっとカッコイイ。そして<100カノペダル!!>というタイトルコールと共にメニュー画面へ。ストーリー前のチュートリアルをこなす。
恋太郎の言った通り、ゲームに登場する女の子達が用語解説やゲームのシステムを丁寧に簡潔に説明してくれる。後ろで流れているBGMも気分を高揚させてくれるアップテンポなメロディだ。そして何気にフルボイスである。
「ちょっと面白そうかも」
「でしょ? ワクワクするよね! でもまだ序の口だよ? とりあえず最初から選べるストーリーやろっか? まぁ途中で飽きたら止めても良いしさ」
「わ、分かった」
言われるがままにストーリーを進める唐音。確かに面白そうではあるが本音としては彼氏とイチャついていたいのが乙女心というもの。
「今やってるストーリーだとこの女の子をレースで倒すってのが目的なんだけど滅茶苦茶強くてさ」
「ほ、ほぅ?」
「それで彼女達から6人選んでこの子を倒すために育成するんだけどオススメはこの子かな?」
「(……まぁいっか)」
しかしながら、隣で年相応にはしゃぐ彼氏の楽しそうな顔に毒気が抜かれてしまった。せっかく薦めてくれたゲームだし。と唐音は恋太郎に助言を貰いつつストーリーを進めていく。
〜〜〜〜〜1時間後〜〜〜〜〜
「えーーーー!? ここでリタイヤしちゃうの!?」
「そうなんだよ、初めて見た時俺も驚いてさぁ」
〜〜〜〜〜また1時間後〜〜〜〜〜
「うわぁ、ちょっとこの子カッコよすぎ……。 パイセンっ!!」
「後輩ちゃんに厳しくも優しさも兼ね備えた喝を入れる姉御肌な先輩の走りがカッコよすぎるぅぅぅ!!」
〜〜〜〜〜更に1時間後〜〜〜〜〜
<ゴォォォォルッ!!! 一番最初に頂上に辿り着いたのは○○高校ーー!!!>
<やったっ! 届いたよ私達の……ジャージッ!!>
立ちはだかる苦難と困難を乗り越えた乙女達の感動のフィナーレ。
そしてエンディングへーー。
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「ぐすっ、何よ、結構良いじゃない……」
エンドロールを見る唐音の目から熱いものが頬を伝う。
「やっぱり一番最初のストーリーが最高に良いかも……。 ぐすんっ」
隣の彼氏に至っては物語のクライマックスから号泣していた。ティッシュを取り出し二人で鼻を噛む。
「こんなに感動すると思わなかったわ」
ストーリーに粗さはあったがそれを感じさせない勢いに感情移入が止まらず、最後なんて泣きそうになりながらプレイしていた。良い意味で女の子らしからぬ熱いストーリー構成に拍手を贈りたい。
「このストーリーを見た時、市民運動会で唐音達がリレーした時の事思い出してさ。凄く熱くなったんだ。思いを託して繋いでいく。そして最後に託された子が皆んなの思いに背中を押されてゴールする。皆んなが俺の為に……凄く嬉しかった。だから唐音も気に入ってくれるかなって薦めたんだ」
「そうね、気に入った」
今も時折思い出す。恋太郎の為に皆んなで走り抜いたリレーの事を。あの時感じた高揚感がこのゲームにも重なる。だからこんなに感動したんだろう。もう一つ気づいた事が唐音にはある。それは心の底から恋太郎ファミリーが大好きだという想い。それを気づかせてくれたこのゲームに感謝したい。たまにはやるじゃん本気グループ。
「またこのゲームがしたくなったら言ってね」
「うん、それに皆んなにも教えてあげないとね。ん?」
気づけばエンディングも終わっていたのだが、突然ムービーが流れ始める。
「ああこれは実績解除の特別エンディングムービー。あっ!!」
「ん? ……ぁ」
恋太郎が声を上げると同時にストーリーに登場した女の子が主人公にキスをする場面が流れる。さすがギャルゲー、ちゃんとやる事はやってる映像にちょっと対抗心が芽生えた唐音。
「ふーん。 恋太郎的には良いゲーム何だっけ?」
「こ、これはオマケみたいなもので、俺は決してやましい気持ちとかそう言うのは......それにこの映像ってゲーム内の特定の条件を達成しないと見れないからさ、プレイしたのは俺じゃないし?」
「じゃあそこまで頑張った私にもご褒美あって良いんじゃない?」
恋太郎の肩に頭を凭れさせおねだりする金髪乙女。答えは分かりきっている。
「それはつまり、分かったじゃあーー」
「遅いっ、んー」
「ん!?」
画面の女の子は自分から主人公にキスをしていた。なら私も負けない。今日の私はちょっと強いわよ? とは唐音の負けん気が故の先手必勝キスであった。ゲームの女の子達が主人公に好意があるのと同様に、唐音も恋太郎が大好きだ。
「(恋太郎好きっ、好き好きすきっ♡)」
「(唐音好きっ、好き好き好きっ♡)」
大切な誰かの為に必死になれるのって良いよね。
「ちなみに彼女達の可愛くてカッコイイ勇姿が気になった方はぜひ原作の97話から99話の市民運動会編をチェックしてくださいっ」
「台無しだよっ!!!? 私の勇気を返せっ!!!」
コミックス12巻に収録されています。
100カノの本気グループ絡みのネタ大好き(何だったら名前だけで笑えてしまう)という理由もあって本気グループのネタを考えていたら何故か無駄に凝った設定が出来てしまった。何故こんな事に......これも本気グループのせいなんだ。
早めに投稿頑張ります。本気グループよ俺にもその本気分けてくれぇ。