とある正義の心象風景   作:ぜるこば

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詰め込み感が否めない。



十でなく

夜は遅く、人気もなしのアパート前で対峙する三人。人払いの結界でも張ってあるのであろう、およそ見渡す限りの範囲には人の気配すら感じられない。

衛宮士郎とて流石に相手が人払いの結界を張ることまで予期していた訳ではないが、それでもこの場所まで上条とインデックスを引っ張ってきたのには理由があった。

一つは、この場が一番場慣れているということだ。インデックスが小萌先生のアパートに世話になってからというもの、衛宮士郎はその周辺の土地勘を念入りに頭に叩き込んでいた。いつかこういう事態が来る場合に備えての当然の対処であったが、それがそれなりに功を奏したと言える。

そして、もう一つは距離的な問題だ。ただ単純に遠く離れた場所まで引っ張っていく時間がなかった事もそうだし、あくまで相手方を騙しつつ――――インデックスの内部に直接『幻想殺し』を叩き込む事ために場所を移しているという事を極力悟られたくなかったという事もある。明らかに人気の無い所までインデックスを連れて行っては、上条達が何か企んでいる事を神裂たちに早々に看破されてしまうであろう。

……誤算であったのは神裂たちの動きの早さだ。まだ午前零時を迎えるには間があり、少なくともアパートに入るまでは手は出してこないであろうと衛宮士郎は予想していたのだが、想像以上に神裂たちに警戒されていたようだ。結果として、今こうしてぎりぎりの状況で、衛宮士郎が単独で魔術師二人を相手にしなくてはならなくなった。

稼ぐ時間は一分か二分か。重症の人間が、さらに重症の人間を背負って階段を上っているのだ。ただ二階に上がりインデックスを部屋に連れ込むだけといっても、それだけは掛かるであろう。この近距離でそれがきついのは当然、むしろ無謀かもしれなかった。

 

 

 

 

『ぶっとばしてやれ』

上条のその言葉が終わってから一秒と経たないうちに、戦線は目まぐるしく動き始める。まず始めに動きを見せたのは聖人、神裂火織であった。

彼女はしゃがみこんで脚をぐぐっと縮ませると、まるでバネのようにしてその全身ごと跳ねる。一直線、只真っ直ぐに衛宮士郎の頭上を跳び越すことで、上条に迫らんとする神裂。それはまさしく、音速を超えた弾丸の如く。

そうして発射された身体は、しかし突如として神裂の目の前に現れた黒い無骨な塊によって進行を妨げられた。その正体は、ひたすらに巨大な岩の斧剣。

神裂が跳ぶか跳ばないかの瞬間、彼女が何をするかを察した衛宮士郎が、その右手を高々と掲げつつも投影したものである。前方に振り下ろす勢いで投影したそれは、両者の重量差も手伝って、ごきりと鈍い音を響かせながら神裂の動きを止めた。

神裂とて当然斧剣ごと切り伏せようとしたが、ここは空中、足元の踏ん張りも効かず方向転換も出来ない。そしてなにより、第五次聖杯戦争を通して彼のギリシャの大英霊が振るったその武器は、たとえ名刀であったとしてもそんじょそこらの刀剣では切れはしない。聖剣、魔槍、たとえ何の魔力がなくとも、数々の英霊の象徴たる宝具と真正面から切り結ぶ事すら可能な斧剣だ。

振り下ろす重力に任せた、しかし鋭い一撃は、神裂を刀ごとステイルのいる位置に弾き飛ばした。そして衛宮士郎はそのまま斧剣も投げ打つ。神裂と一緒に着弾した斧剣は、コンクリートの地面を大きく抉りながら爆風のような風を起こした。ぶわっと土煙を起こし、辺りに風と共にコンクリの礫が散らばる。

もちろん衛宮士郎は追撃の手を休めない。斧剣を振り下ろした右腕をその反動で体の前でクロスさせながら、さらに暗器であるダークを投影。弓のように反らした腕から、三本のダークを爆心地へと放った。その名の通り真っ黒に染められた短剣は、闇夜では視認する事も困難だ。

だが放ったダークは、いずれも土煙の中から飛び出してきた剣閃によって弾き飛ばされる。そうしてその後を追うようにして、紅い焔の剣が衛宮士郎に向かって飛来してきた。

飛んで来たそれを半身を逸らすことで避けた衛宮士郎の目の前に次に現れたのは、刀を構えたままこちらに切りつけてくる神裂の姿。当然、衛宮士郎は干将・莫耶で彼女を迎えうつ。

 

 

 

 

(まずいことになった……)

神裂の猛攻を双剣で凌ぎながら、衛宮士郎はそう考えていた。この現状、実は衛宮士郎が想定していた中では相当に部の悪い事態である。

そもそも一対二という不利な状況から始まったこの戦闘。万全の魔術師二人に対し、衛宮士郎側は守るべき手負いが二人もいるのだ。そうした場合、今このように一対一の状況を作られるのは非常にまずい。

何故かとい言えば、

『シロウ! ステイル=マグヌスの方が階段に!』

そう、こういった事態が起こりうるから。セイバーの切迫した声に、衛宮士郎は一瞬目だけでその場を把握した。衛宮士郎が神裂に足止めされている間に、ステイルが上条を止めようと足を進めているのだ。

(くそっ、このままでは!)

  直ぐにでも追いついてしまうであろう、舌打ちする間も惜しい現状。長々と考える暇はない。ここでインデックスが、上条が捕まったら全てが終わる。なんとしても、何に変えても今この一瞬を守らなければならない。

 そんな今を打開するために衛宮士郎が取った行動とは、

「ぐぅっ!!」

  呻きと共に、血飛沫が、宙を舞う。胸から噴き出したそれは、当然ながら衛宮士郎のもの、そして、

「こ、の……、部外者がぁ!!」

 階段の手前でガクンと膝を折りながら、吼える様にして叫ぶステイル。彼の脚からは、真っ赤な血が流れ出ていた。その傷口には、鈍く輝く黒鍵。ステイルの脚を縫いとめるようにして、それは地面に深々と刺さっている。

 そう、衛宮士郎はほんの一瞬だけ神裂火織から完全に意識を外して、ステイルの脚に向かって黒鍵を投げつけたのである。黒鍵には返しこそないものの、前のめりに大きく倒れこんだ体勢で、背後から脚に刺さった剣を抜くのは至難の業だ。これで、ステイルの動きは止められたはずである。

 もしも相手が上条一人なら、ステイルも炎剣を背後から投げつければいいであろう。だが上条はインデックスを背負って階段を上っているのだ。しかも彼女の『歩く教会』は既に機能を果たしておらず、上条を攻撃すればインデックスにも被害が及ぶ事は必至。

 インデックスを傷つける事を良しとしないステイルは、彼女ごと上条を攻撃できはしない。ステイルに残された行動は、何とかしてコンクリの地面に刺さった黒鍵を抜くことだけである。

 しかしこうして何とかステイルの足止めには成功したものの、その代償は軽いものではなかった。神裂ほどの達人を前にして、彼女から一瞬でも意識を逸らした事の対価。それは衛宮士郎の胸についた深くはなくとも、決して浅くもない傷。

 その切れ目からはどくどくと血が流れ、衛宮士郎の服が鮮血で染まってゆく。せめて彼が聖骸布か鎧でもつけていればマシであったものを、ここに来るまでの道中で上条を引っ張るようにして歩いてきた衛宮士郎にそんな時間はなかったのだ。

 動けば動くほど血は止め処なく流れ続け、地面には紅い水滴が飛び散る。だがそれでも、それでも衛宮士郎は剣を振るうことをやめはしない。それどころか神裂には、今の衛宮士郎が先日よりも鬼気迫るような雰囲気を持って自分に向かってきているように感じた。

 しかし神裂とて譲れないものがあるのだ。インデックスに掛ける彼女の熱意も、並々ならぬもの。自分がどれほど嫌われようが、今の彼女にはこうする事でしかインデックスを助ける方法を知らなかった。そうして彼女もまた、衛宮士郎に気圧される事なく刀を振るい続ける。

 

 

 

 

 まるであの夜の焼き直しであるかの如く、両者の剣閃は絶え間なく辺りに響き渡った。いや、もしかするとあの時よりも更に激しい金属音の円舞曲(ロンド)

 永遠に続くかのように感じたこの二度目の剣舞も、だが片割れが崩れる事でその均衡は傾く。

 崩れたのは衛宮士郎、傾いたのは神裂のほう。

 血を流しすぎたのか、衛宮士郎の体のバランスがほんの少し、ほんの一瞬だけぶれたのだ。そしてその一瞬を、神裂は見逃さない。

 今度こそ衛宮士郎の動きを完全に止めるべく放たれた一撃は、とっさに防御した衛宮士郎の莫耶を遥か後方へと吹き飛ばし、その手にさらに大きな隙を作った。

(勝った!)

 内心、神裂がそう思ったのも無理はない。二刀流の使い手がその片方を手放すという事は、それすなわち敗北といっても過言ではないのだ。

 しかし神裂が次の瞬間目にしたのは信じられない光景であった。

「なっ!!」

 なんと、確かに衛宮士郎の手から弾き飛ばしたはずの莫耶がいつのまにか、再びその手に納まっているではないか。まるで何事もなかったかのように二刀で切りつけてくる衛宮士郎に、流石の神裂も不意をつかれる。

 緊急回避で後ろへと飛びのいたは良いものの、その莫耶に左腕を浅く切られてしまっていた。

(馬鹿な! 確かに片方、弾き飛ばしたはず……!)

 だがその弾き飛ばしたはずの莫耶も、なぜかどこにも見当たらない。

(こいつ、もしかして今何らかの魔術を使った?)

 忘れてはいけないが、神裂もまた魔術師だ。目の前で起こった現象にどんな魔術が行使されたかなど、幾らでも予測できる。ただ妙なのは、そこに直前まで一切の魔術的兆候がなく、魔力も殆ど感じなかったという事か。

 答えとしては単純で、衛宮士郎がただ跳ばされた莫耶を消して再投影しただけの話なのであるが、種を知らず、別世界の魔術師である神裂にはそんなことは分からない。

 思わず苦い顔をした神裂であるが、それでも未だに彼女が有利なのは一目瞭然だ。一矢報われたとて、たかが浅い傷が一筋。それに対して衛宮士郎のほうは、いよいよ全身血塗れになってきている。そんな現状で神裂が苦い顔をしているのは、別に理由があった。

「……この状況で、あなたはどうしてそんなに余裕の表情でいるのです? ――――既に結果は見えていると思いますが」

 単純に考えれば、このまま戦闘が進めば衛宮士郎はいつか倒れる。だがそれにもかかわらず、彼の顔には先程からずっと薄い笑みが張り付いているのだ。警戒心を崩さない神裂の疑問の声に、衛宮士郎はふっと口の端を上げて答えた。

「確かに、もう決着は見えているな」

「……でしたら何故?」

「ただし」

 衛宮士郎はそこで一息つくと、アパートの方へと向き直る。

「我々の勝ちだ」

「――――ッ!?」

 衛宮士郎の言葉が終わるか終わらないかの瞬間、突如としてアパートの二階の側面から、巨大な光の光線が迸った。既に戦闘が始まってから、ちょうど二分が経過していた所であった。

 

 

 

 

「始まったか!!」

 まるで何かが起こることを予測していたかのように、光の柱が出てきた小萌先生の部屋に向かって走り出す衛宮士郎。時間は充分稼いで、後は上条とインデックスのアクション待ちであったのだが、まさかこんな規模の罠が仕掛けられていたとは思いもしなかった。

 後ろで何か叫んでいる神裂やステイルは無視して、全力で部屋の前まで跳ぶ。そうして扉を切り倒した衛宮士郎が見たのは、魔法陣を眼前に浮かべながら極光の光線を発しているインデックスに、それを『幻想殺し』で何とか防いでいる上条の姿。

「当麻! 簡潔でいい、状況を説明してくれ!」

「あの魔法陣に右手を突っ込んだら、こんなふざけた攻撃してきやがった! なにが魔術は使えないだ、クソッ!!」

 悪態をつく上条だが、その顔はどこか笑っているようにも見える。それは突破口をつかめたからか、インデックスを救えるかもしれないという希望が見えたからか。

「よくわかんねえけど、今のインデックスに『幻想殺し』を叩き込めれば……!」

 そこまで言って上条は、苦しげに歯を食い縛る。この謎の光線に、『幻想殺し』の処理が追いついていないのだ。じりじりとゆっくり、しかし確実に何かが浸食してきている気がする。

『あの魔法陣さえ壊せれば…… セイバー、対魔力まかせで突っ込めるか?』

『…………厳しいかと。私には元々の竜の因子による対魔力も備わっていますが、それでは対応できそうにありません』

 セイバーの答えに、衛宮士郎はそうかと返す。確かにこれほどの魔力の奔流、たとえ対魔力がAであったとしても厳しいであろう。

(だとすると残された手は……)

 そうして衛宮士郎がある武器を投影しようとした矢先、ちょうど衛宮士郎の後ろから神裂とステイルの声が聞こえてきた。

「なんだ――――これは!」

「そんな、ど、『竜王の殺息(ドラゴン・ブレス)』だなんて…… いや、それよりどうしてあの子が魔術だなんて!!」

 そろって驚愕の声を上げている二人だが、衛宮士郎には一々反応している暇はない。上条の後ろを回りつつ部屋の反対方向に移動しながら、手元の干将莫耶に加えて、聖骸布の外套、そしてライダーの釘剣を投影した。

 衛宮士郎が直接攻撃できないのなら、上条が『幻想殺し』を叩き込めるようにサポートすればいい。インデックスの法衣を狙って、衛宮士郎は釘剣を投擲する。体狙いでなくあくまで服狙いの一撃は、インデックスの服の端を針を通すかのように射抜いた。

 ライダーの釘剣はその所有者の意思が命ずるまで、貫いたものから決して抜けることのない。衛宮士郎は服ごとインデックスを引くことで、光線の狙いを上条から反らそうとしたのだ。

 しかし、

「ちっ!」

『どうやらあの魔法陣は、インデックスの『眼球』と連動しているようですね』

 それをインデックスは、首を上条のほうに向けたままで、ぐるんと不気味な動きで身体だけを動かすことで回避した。インデックスを注視していたセイバーの分析に、衛宮士郎は舌打ちをする。

 そもそも光線の規模が大きすぎてどこまで被害が出るかわからない以上、あまり派手にインデックスをひっくり返すは出来ないのだ。方向転換程度の軽い力で引っ張ったのが逆にあだとなってしまったらしい。

 インデックスを観察しつつ、衛宮士郎が釘剣を抜いて次点の策を模索していると、その耳に上条と神裂、ステイルの言い争う声が聞こえてきた。光の柱が唸らす轟音で良く聞こえる訳ではないが、魔術師二人が上条のその言葉に明らかに動揺しているのが分かる。

 いくら超能力があるとはいえ、ただの一般人である上条の言葉が、今まで幾度となく修羅場を潜ってきたはずの魔術師を確かに揺さぶっていた。

 

 

 

 

 ――――それの、それのなんとおかしな事か。こんな状況なのに、衛宮士郎は何だか急に笑いたくなってしまった。つくづく変な奴だと、衛宮士郎はそう思う。衛宮士郎自信が感じている事ではあるが、上条の言葉は、やけに迫り響くのだ。

 言葉だけでない、その行動もまた、上条の持つ何かを後押ししている。上条の行動原理はよくわからないが、彼に関わると、やってやる、出来ると思えてしまうから妙なものである。

「――――手を伸ばせば届くんだ。いい加減に始めようぜ、魔術師!」

 そして上条が、叫んだ。その言葉に魔術師達が息を呑むのが、衛宮士郎にもわかる。だが同時に上条の右手から、グキリと妙な音が聞こえた。

「――――――当麻!」

 このままでは、持たない。衛宮士郎の背筋に走る悪寒。考える間もなく、衛宮士郎はインデックスの足元に釘剣を突き刺す。こうなったら被害がどうこうと言っていられなかった。上条がいなくなってしまったら、そもそもインデックスを止める手立てがなくなってしまうのだ。

(せめて真後ろに倒れてくれれば……!)

 そうすれば被害は最小限だが、倒れる方向までコントロールできるわけではない。そうしてついに光線が右手を弾き、ぐらりとよろめく上条の眼前に迫った。もはやどうしようもなく運に頼らざるを得ない状況であるその時、

「――――――ッ!!」

 神裂火織が、何かを叫んだのが聞こえた。同時に、空中を煌く何かが走り、インデックスの足元が逆三角形に切り裂かれる。『七閃』。神裂の操る鋼糸が、インデックスの足場を崩したのだ。足場さえ綺麗に切り取れたならば、インデックスを狙った方向に倒すのも容易い。

 衛宮士郎がすかさず釘剣を引けば、その狙い通り、インデックスは後ろ向きに倒れた。同時にインデックスの『眼球』と連動している魔法陣も、がくんと上方向に逸れる。光の柱はアパートの壁と天井を真っ二つに切り裂き、空高く、雲をぶち抜く勢いで立ち上がった。

『なんという出力……!! シロウ、インデックスにアレを振り回させては……、』

『わかっている。数秒も持たないかもしれないが、盾で防ぐ!』

 まさに竜の息吹の如き、想像以上の火力。インデックスが体勢を立て直す前に、衛宮士郎が『熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)』で時間を稼ごうと準備する。そしてインデックスが倒れているうちに彼女に迫らんとする上条。

 だが彼女が首だけを巡らせて、上条に再び襲い掛かからせた光の柱を防いだのは、聳え立つ炎の巨人であった。

魔女狩りの王(イノケンティウス)!」

 上条を守るかのように両手を広げて光の柱を受け止めるその姿は、まさに巨人。幾度となく再生を繰り返しながら、十字架のように立ちふさがる。

 魔術師達の意思を汲んだ上条は、ただひたすらにインデックスへと走り寄った。しかし脅威はまだ去ったわけではない。『竜王の殺息(ドラゴン・ブレス)』が破壊した天井が、その破片を白く輝く羽に変えて舞い降りてきているのだ。

 アレに触れれば何が起こるか、到底予測もつかない。上条に襲い掛かるそれを、今度は衛宮士郎が打ち落としてゆく。釘剣を振るい、時には干将・莫耶でなぎ払う。

 いまや、この部屋にいる全ての魔術師が、上条のために動いていた。神裂と衛宮士郎で羽を落とし、ステイルが光の柱を防ぐ。今この時だけ、彼らの動きは一つに集約されている。

 数秒か、数十秒か。ついに上条が、インデックスの手前までその身を辿り着かせた。あと少し、もう手を伸ばせば彼女に届く、そんな距離まで。だが何もかもが上手くいっているわけではなかった。

「――――警告、第ニニ章第一節。炎の魔術の術式を逆算に成功しました」

 インデックスの言葉と共に、突如として光の柱の色が赤黒く変わり始めた。そしてみるみるうちに、魔女狩りの王(イノケンティウス)の勢いが衰えてゆく。

 同時に上条の頭上に降りかかる羽の量が、いよいよもって衛宮士郎にも処理しきれなくなってきた。上条がその右手を使えば全て消せるかもしれない。しかし光の羽から打ち消そうにも、魔女狩りの王(イノケンティウス)がそこまで時間がもたないのだ。

 そして止まらない衛宮士郎の悪寒。彼の長年の感が告げている。心眼を使わずともわかる、この先の結果を。後にも引けないこんな状況で、上条当麻だったらどうするか。数週間だが、共に日々を過ごした衛宮士郎にすらわかる。

 衛宮士郎の中でふつふつと何かが煮え立つ。

 不安? 絶望? わからない、わからないが、今のこの様子からは、嫌な予感しか感じない。

 必死に羽をさばく衛宮士郎。だが間に合わない。

 上条の手が、インデックスの魔法陣に伸びた。

 焦ったように何事かを叫ぶ神裂。

 そして上条が、頭上に舞い落ちる羽を無視して、魔法陣を、裂、い、た…………。

 

 

 

 

「当麻――――――――――!!」

 衛宮士郎が吼える。確かに、確かに上条の右手――『幻想殺し』は魔法陣をあっさりと引き裂いた。そしてただそれだけで、インデックスは動きを止め、光の柱も消失した。しかし、上条は、彼自身は。光の羽にまみれ、ソレからインデックスを庇うように倒れこむ上条。

 衛宮士郎は釘剣で二人の服を同時に縫いとめると、これ以上羽が降りかからないようにその場所から引っ張った。

「当麻、インデックス! しっかりしろ、二人とも!!」

 インデックスと上条を引き離し、その鼓動を確認する。どちらも正常に動いているようだが、まるで意識がない。インデックスはまだしも、上条はあの羽を浴びたのだ。どういう状態にあるのか、衛宮士郎には見当がつかない。

「おい、魔術師! どうなっている! あの羽はなんだ!!」

 三人がいるほうへと寄ってきた神裂とステイルに、衛宮士郎は大声で尋ねた。だが帰ってきたのは、無情な答えだった。

「わ、わかりません。あれは伝説にある聖ジョージの一撃と同義で……」

 焦っているのか、安心しているのかわからないような表情で、神裂がぽろぽろと言葉を漏らす。衛宮士郎はステイルの方へと顔を向けたが、彼もまた首を横に振った。ぎりりと衛宮士郎は歯軋りをすると、上条とインデックスを抱えて立ち上がる。

「…………一時休戦だ、魔術師。私は二人を病院に連れて行く」

「馬鹿を言うな。そこのお節介はまだしも、その子はイギリス清教の一員だぞ。彼女はこちらが預かる」

 ステイルがずいと前に出て睨んでくるが、衛宮士郎はふんと鼻を鳴らして答えた。

「お前らはイギリス清教の上層部にまたインデックスを預けるのか? せっかく彼女が呪縛から逃れたのに?」

「…………彼女の力は個人で守り通せるものじゃない。その子を守るには、組織の力が必要なんだ!」

 面と向かって睨み合う両者だが、そこに神裂が割って入った。

「二人とも、そこまでで良いでしょう。今は時間が惜しいはず。……私たちも同行します。急いでその病院に案内してください」

「な……!」

 ステイルが驚いたような顔をして反論しようとするが、神裂はそれを抑える。

「病院に行ってからでも、話し合いの余地はあるはずです。我々もこのことをイギリス清教に報告しないといけません。それに……」

 そこまで言って神裂は、上条のほうをちらりと見た。ぐったりとした様子で衛宮士郎に抱えられる上条を見て、ぎゅっと口を引き結ぶ。今までどんな事があったにせよ、この少年がインデックスを救ってくれたのは事実。

 そんなインデックスの恩人を、見殺しに出来るほど神裂たちだって冷酷ではない。結局、衛宮士郎の言うとおりに、二人とも病院へ運ぶ事へとなったのであった。

 

 

 

 

 それからはまさに怒涛の勢いで時間が過ぎて行った。前日まで上条が入院していた、カエル顔の医師がいる病院までついた彼らは、二人を救命に担ぎこみ、精密検査を依頼。そこでインデックスそして他二人の魔術師が学園都市のIDを持っていないことがばれてしまったわけだが、なぜかそのことについてはお咎めがなし。

 さらにインデックスの精密検査が終わり、何の問題もないことがわかると、神裂とステイルはさっさと学園都市を出て行ってしまったのだ。

 別れる前に衛宮士郎が、イギリス清教は一体どのような判断を下したのかと尋ねると、

「……保留、といった所でしょうか」

「保留だと?」

 すやすやと眠るインデックスの寝顔を見ながら、神裂火織はそういった。ここはインデックスの病室。医師のいない間に、彼らなりにインデックスを調べたのだが問題は特になかったそうだ。明日には目が覚めると思うけどね?とは、あのカエル顔の医者の談。

 二人の魔術師は既に身支度を終え、インデックスが目覚めてその様子を見たら、直ぐに帰るつもりらしい。

「イギリス清教の表向きとしては、直ぐに連れて帰って来い、ということですが、実際はしばらく様子見でしょう」

「その間、彼女はこの学園都市に預けると?」

「全く気に入らないけどね。ま、許可さえ出ればさっさと奪い返しにくるんだけど」

 神裂とステイルの声に、衛宮士郎はふむと腕を組む。正直な話、そういう展開を衛宮士郎は予想していなかった。

 必要のない戦闘も回避できるし、別に不満がある訳ではないが、ただ相手の意図が読めないのが不安ではあった。イギリス清教のトップと学園都市のトップとの間でどのような話し合いが行われたのかは想像がつかないが、少なくとも衛宮士郎にはメリットが思いつかない。

 まさか情にほだされた訳ではあるまい。組織の上に立つものとして、情に流されるなんてものは欠点にしかならない訳で、この二つの組織の長がそんな性格だとは、衛宮士郎は考えていない。

 つまり、何かしらのメリットが両者にあるはずなのだが……、

『ダメだな。全く思いつかない』

『……私たちもこの世界に来て日が浅いですし、なにかしら未知の部分が関与しているのでしょう。また情報が集まってから考えたほうがよいかと』

『そうだな……』

 セイバーの言葉にとりあえず衛宮士郎はそれについて考えるのを止めたが、頭の片隅に違和感は残ったままだ。突然黙り込んでしまった衛宮士郎に眉を顰めながら、神裂は話を続ける。

「それではインデックスに対する事の詳細の説明は、あなたに任せてもよろしいでしょうか?」

「……構わない。元よりそのつもりだ」

「それと……」

 そこで神裂は一旦言葉を切ると、衛宮士郎を真っ直ぐ見つめた。

「――――あなたは一体、何者ですか?」

「…………」

 衛宮士郎は答えない。ただ、神裂のその目を見返している。

「自慢ではありませんが、私は聖人です。倫敦でも十指に入る実力があると自負しています。……その私とまともに剣で戦うなど。そんな人物がこの極東に、しかもこの学園都市にいるという情報はありませんでした」

「……世界は広いという事だ」

 衛宮士郎はただそれだけ答えるが、今度はステイルが横から口を挟んだ。

「イギリス清教への報告ついでに、君のような人物について調べるよう頼んだんだ。――――結果は、『該当なし』。それだけ力のある魔術師の癖に、どこの記録にも情報がないんだよ。随分と妙だとは思わないか?」

 まあ調べる時間も条件も少ないから、取りこぼしがあったのかもしれないけど、と言い訳をするように続けるステイルだが、その目はじっと衛宮士郎を見ている。黙りあう三人。

 しばらく沈黙が続くが、互いを探り合うような雰囲気の空間を破ったのは、カエル顔の医師であった。

「そこの若白髪のキミ、もう一人の患者の診察結果がでたんだけどね?」

「……すぐ行く」

 未だにこちらを見つめている二人を無視して、衛宮士郎は医者の後についていく。白い廊下を黙って歩きながら、衛宮士郎はセイバーに話しかけた。

『だいぶ、不信がられてしまったな』

『仕方ありません。魔術師と関わった以上、シロウが注目を浴びてしまうのはどうしようもない事です。……漏らした情報は必要最低限に留められていますし、今は事件が解決した事を喜ぶべきでしょう』

『……当麻の容態次第ではあるがな』

 

 

 

 

 そんなやり取りをしながら、診察室に入る二人。医者が椅子に腰掛けるのを待って、衛宮士郎もまた座る。

「まず、この画像なんだけどね?」

 医者が手元のタブレットを操作すると、断面図――――おそらく脳のものが大きな画面に浮かび上がってきた。

「結果から先に言うと、彼の記憶は『破壊』されてしまっているね?」

「…………………………………なに?」

 意味が、分からない。

 呆然とする衛宮士郎に、医者は言葉を続けた。

「だから記憶喪失じゃなくて、記憶破壊っていうのかな? エピソード記憶って知っている? 人の『思い出』を溜め込む記憶なんだけど?」

 知ってるも何も、衛宮士郎はつい先日、脳に関する書籍を片っ端から読み漁っていたのだ。当然、その言葉にも聞き覚えがある。

「そこが完膚なきまでに破壊されているね? 脳細胞ごと死んでしまっていると言っていいかな?」

「……脳細胞ごと、死んでいる? では、当麻の記憶は……」

「うん、もう二度と戻らないと断言していいね?」

「――――――馬鹿な」

「ん?」

 カエル顔の医者の冷静な声に、衛宮士郎はぼそりと口を開く。そうして立ち上がり、カエル顔の医者の襟元をがっと掴んだ。

「そんな馬鹿な話があるか!? 当麻は必死に、必死にインデックスを救おうともがいたんだぞ!! その結果が記憶喪失? インデックスを記憶の縛りから助け出したのに、自分が逆に記憶喪失になるなんてそんな馬鹿な話が……!!」

「残念ながら、あるんだね?」

 いきなり大声を出して掴みかかってきた衛宮士郎にも動じず、医者はピシャリと告げる。どこまでも冷静に、ただ淡々と医者は事実を告げた。

「実際、なんでこんなことが起こったのかよくわからないんだよね? 脳みそに直接スタンガンを当てるくらいしないと、こうまではならないと思うけど?」

『……シロウ、落ち着いて下さい。今は彼の話を聞かなくては』

『………………』

 セイバーにも諭され、衛宮士郎はゆっくりとその腕を下げる。そのまま医者を椅子に下ろすと、深々と頭を下げた。

「……すまない。少し、動揺してしまった」

「まあいいけどね? ここは防音だし、患者さんの家族を冷静にさせるのも、医者の役割だからね?」

「…………」

 再び椅子に座った衛宮士郎は、医者に向かってぼそりと尋ねる。

「……本当にないのか? 記憶を回復する方法は?」

「残念だけど、ここまで破壊されちゃったら流石に無理だね? ただまあ、他に異常がないのが不幸中の幸いかな?」

「――――そうか、」

 他に異常はない。……ただ記憶を失っていることを除いたら。しばらくしたら目が覚めると思うよ?という医者の声をバックに衛宮士郎は診察室を立ち去った。そしてそのまま、無言でインデックスの病室に戻る。するとそこには、何故か魔術師二人の姿はなく、意識が戻ったインデックスがいるだけであった。

「インデックス? 起きたのか?」

「あ……」

 インデックスは衛宮士郎に気付くと、そのままベッドから飛び起きて、衛宮士郎に尋ねる。

「とうま! とうまはどうなったの!?」

「当麻は……」

 はやるインデックスの声に、言いよどむ衛宮士郎。果たして真実をそのまま伝えるべきか。だがいずれ、いずれわかってしまうことでもあるのだ。ならば、早いほうがいい。

「……診察室に行くといい。そこにいる医者が、当麻の容態について教えてくれる」

「わかった! 診察室だね!」

 衛宮士郎の返事を聞くや否や、病室を飛び出すインデックス。彼女も本来は病み上がりのはずなのだが、想像以上になんともないらしい。病院内はお静かに、と書かれた張り紙の前を、全速力で駆け抜けるインデックス。

 衛宮士郎はその様子を見ながら、ため息交じりで病室の扉を閉めた。そんな衛宮士郎に、セイバーが話しかける。

『……シロウが説明すれば良かったのでは?』

『そこは、な……』

 衛宮士郎は切れ悪く答えながら、何となく部屋を見渡した。おそらくあの魔術師たちは、インデックスが元気であることを確認した後にすぐ帰ったのであろう。既に影も形も無い。

 

 

 

 しばらくして衛宮士郎のところに看護婦が一人やってきて、インデックスは既に退院手続きが済んでいること、そして上条当麻が目を覚ましたことを伝えにきた。

『どうします? 直ぐに会いに行きますか?』

『……いや、まずはインデックスと会った方がいいだろう』

 インデックスが病室を出て行ってからそれなりに経っているが、衛宮士郎はまだ彼女と顔を合わせていない。上条が記憶喪失と聞いて、彼女は一体何を思うのか。それは衛宮士郎も心配する所ではあった。

 上条がいるという病室の前まで衛宮士郎が歩くと、中から何か騒がしい声が聞こえてきた。そしてナースコール。明らかに上条のものと思われる叫び声の後に、病室の中からインデックスが出てくる。そしてそのまま、何故か怒り顔の彼女は、衛宮士郎には気付かずにすたすたとどこかへ行ってしまった。

「…………?」

 頭に疑問符を浮かべながら衛宮士郎が病室に入ると、そこには上半身をベッドからずり落とした状態で、頭を抱えている少年が一人。まあ言うまでもなく、上条当麻その人であるわけだが。

「……なにをしているんだ、当麻」

 そんな上条の様子を見て、呆れ声を出す衛宮士郎。上条の方はというと、病室に入ってきた衛宮士郎に気付いたのか、身体を起こして、よおと笑いかけてきた。

「誰かと思ったら士郎か。心配掛けちまったな」

「全くお前はいつも…………、む?」

 今、彼は何と言ったか?

 士郎とそういわなかったか? 

 記憶がないはずの人間が?

「当麻……? お前、今……」

 驚愕に顔を染めながら尋ねる衛宮士郎に、上条はニヤニヤと笑いながら答える。

「俺が記憶喪失のハズだって? へへーん。さっきもインデックスに言ったけどよ。俺の右手はどんな魔術でも打ち消しちまうんだぜ?」

「そうだ。だが、あの時、当麻は確かに……」

「だ、か、ら」

 言葉を続けようとする衛宮士郎に対して、上条がそれを遮るように声を上げた。

「ようは、その『光の羽』の魔術が俺の頭に触れたとしても、それが脳に届くまでの間に力を打ち消しちまえばいいわけだろ?」

「…………」

「そのダメージも魔術の力なら、この『幻想殺し』で砕けちまうって寸法よ!」

 ドゥーユーアンダスタン?とひらひらと右手を振ってみせる上条だが衛宮士郎は動かない。

 しばらく手を振っていた上条だが、衛宮士郎の様子がおかしいので、あれ?と手を止めてその顔をそっと覗き込む。

 すると、

「クックック……」

「ん?」

「はは……、はははははははは!!」

 突然、衛宮士郎が大声で笑い出した。いきなりの笑い声に、思わずビクッと身体を震わせた上条だったが、衛宮士郎はそんな上条をがしっと抱え込むと、背中を笑いながら背中をばしんと叩いた。

「――ッッ! いってぇ!!」

「この馬鹿め、当麻の癖に味なマネを!」

 笑いながら叩く衛宮士郎に、上条はげほげほと咳き込見ながら答える。

「当麻の癖にって、ちょっと失礼じゃねえか?」

「くくく、いやすまない。はしゃぎすぎたな」

 上条を離した衛宮士郎は、腕を組みながら、ではと口を開いた。

「あとはお前が退院すれば、万事解決と言うわけか」

「そそ。……だからさ、インデックスと一緒に退院するまで待っててくれよな!」

 そんな言葉と共に、びっと親指を上げる上条。衛宮士郎は元気そうな上条の様子に、お前が退院したら、その日は豪勢な食事にしてやると約束しながら、ひとまずその病室を出て行った。

 さっき出て行ったインデックスを探さないといけないし、それに……。出て行くところで、例のカエル顔の医者とぶつかる。どうやら彼も、上条に話があるらしい。病室に入っていく医者を見ながら、衛宮士郎は廊下を歩く。インデックスはわりとすぐ見つかった。廊下でうろうろしていたので、さっさと病室に戻るよう注意する。

 そして衛宮士郎は、そのまま病院の外に出た。外で、すぅーっと大きく息を吸うと、それをゆっくりと吐き出す。空は目の醒めるような蒼さで、雲一つない。あんな事件があったのに、町並みにもちっとも変化がなかった。

 どこかでだれかが、隠蔽工作にでも走ったのだろう。この数日のニュースにも、それらしいものはないのは確認済みだ。そんな町並みを見ながら衛宮士郎は、セイバーに話しかけた。

『……当麻は、記憶喪失だ』

『やはり、そうですか……』

 悔しそうな、無念そうな。衛宮士郎自身よくわからない感情を、持て余したままに吐露する。

『あの夜のことは、良く覚えている。……上条がどう動いたか、思い描けるくらいにな』

『シロウは、目がいいですからね……』

 そう、彼は覚えている。上条の右手が、あの時どう動いたのかを。彼は見えている。上条の右手が、その頭に触れていないことを。上条の右手は、あの時確かにインデックスの魔法陣を打ち消した。

 ……そしてそのまま、上条当麻は地に伏したのだ。

『このまま、気付いてないふりを続けるつもりですか?』

『そのほうがいいだろう。――――何よりそれが、当麻の意思なのだからな』

 そういって衛宮士郎は、後ろに建つ病院を見つめる。その一室。今もまだ、上条当麻がいる病室を。事件は起こり、そして終わった。犠牲もあったが、それでも終わったのだ。いやむしろ、これからが忙しくなるだろう。

 衛宮士郎という存在の露呈、上条当麻の記憶喪失、インデックス。これからどうするか、考える事はたくさんある。

 だが、今はまず……

「とりあえず、当麻の退院祝いのメニューを考えなくてはな」

 そんな事を呟きながら、衛宮士郎は街の雑踏へと混ざっていくのだった。

 




14000字くらい?
いつもよりは多い感じですね
まあ、色々とあり申して、すいません
ていうか去年でFateのキャラ増えすぎですよ
30人くらい増えましたよね

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