みんなは「それおかしいよ」って言うんだ。こんなに可愛いのに、面白いのに、かっこいいのに、みんなは分かってくれない。見下して、馬鹿にして、酷い目に合わせるんだ。
私を馬鹿にしたっていい。なにも辛くない。でも、魔法動物たちは馬鹿にしないで! いじめないで! 私たちと一緒なのよ!
「じゃあ、見えてるのはルーナとパメラだけね」
「先生! セストラルが見たいです!」
「おっう…………いや、でき、なくは、ない、けど、ね〜〜〜〜?」
先ほどやってきた古くからの友人に「僕らの時と違う」と釘を刺されたばかりの魔女はアストリアの要望に体ごと頭を捻った。見せることはできる。その方法が大問題なのだ。神聖な学びの場であるホグワーツでスプラッターとは、褒められたものではない。なるべく、健やかな精神で育っていただきたい。
「ごめん、それはできないな」
「ええー!」
「だって、ね、私がアズカバンに行かなくちゃいけなくなるからさ」
事情を察したらしいジニーとアルゴ、分かっているのかいないのか、変わらぬ面持ちでこっくり頷くルーナとは違い、3年生のアストリアはまだ少し幼い。なんとか宥めるとセストラルの飼育エリアへ向かった。
「さあ、着いたよ……って言っても見えないもんなぁ。どうしたものか」
何も見えない空間を柵で円形に仕切った飼育エリアへと到着したものの、視界に入らないものをどう手伝ったらいいのか、アルゴ達は困り果てた。見える二人に手伝ってもらうか、と魔女が振り向くとすでに二人は柵の中に入って、セストラルたちに話しかけている。
「あ、そうだ! 君たち、レベリオは使える?」
「使えますけど、あれって『出現呪文』ですよ。『探知呪文』ではないです」
アルゴの訂正に魔女はきょとんとした。
「えっ、あれってそうなの? そういうものなの?? まあでも、いっか。ルーナとパメラが話しかけているあたりに集中して……レベリオ」
「レベリオ!」
「レベリオ……あっ見えた、かも!」
一瞬だけ視界が揺らめき、馬のような姿が青色に光った。すぐにその光は消えてしまったが、確かにそこにいることは分かった。
「ホントにいるのねー!」
「そうだよ、いるんだよ。……ちなみに、二人はどうして見えるようになったの?」
一瞬の感動に目を輝かせるアストリアに微笑むが、魔女は遠慮がちにパメラとルーナに尋ねた。
「ママとお別れしてから」
「お父さまがドラゴンにかじられた後」
二人は呆気からんと、少なくともそう見えるくらいにはあっさりと答えた。その様子に少々面食らった魔女だったが、そうかい、とだけ返して、他のセストラルの様子を見に行った。
「私、カークパトリックのこと、誤解してたかも」
「誤解?」
「うん、ほら。カークパトリックって、何も喋らないし、ずっと一人でいるから、他のスリザリンと同じような、純血を鼻にかけた嫌なやつだと思ってたの。でも、本当は魔法動物にしか興味が無いだけで、しっかりコミュニケーションは取れるのよね」
「僕も、びっくりしたんだ。授業で初めて話した時、本当に魔法動物が好きなのが分かって、嫌いじゃないなって」
セストラルについて教えているパメラと、それを真剣に聞いているアストリアを見て、ジニーがつぶやいた。アルゴもそれに頷く。
二人のグリフィンドールは、二人の「悪くない」と思えるスリザリンを見つけていた。
「グリフィンドールからしてみれば、スリザリンは傲慢で、嫌味で、理解できない純血に縛られているんだろう。でもね、スリザリンからしてみれば、グリフィンドールは傍若無人で、遠慮のかけらもない、奔放な自由人の集まりなのさ」
「先生!」
「私が生徒だったとき、グリフィンドールとスリザリンは、今ほどではないけれど、仲良し小好しではなかった。でも私にはどちらにも友達がいたんだ。ナティ、クレシダ、ルーカン、ヘクター、オミニス、セバスチャン、アン、イメルダ。今でも互いに梟を送り合うし、遊びに行ったりもする。聞いて驚くだろうね、ウィーズリーとマルフォイは、互いに認めるライバルだった」
魔女は言いながら、あの騒がしくて楽しい、最高の二年間を思い出していた。爆発騒ぎや森の大掃除など、先生の厄介になったことも少なくないが、それでも賑やかだった。
「パメラ・カークパトリックは、アストリア・グリーングラスは、本当に『らしい』スリザリンの生徒だよ」
諭すようでありながら、懐かしむような魔女の言葉に、ジニー・ウィーズリーとアルゴ・ブライアン=ブラックは、二人のスリザリンを見つめた。
うちのレガシーマルフォイは、薬草学と魔法薬学が得意です。