グリフィンドールとスリザリンの4年生は魔法生物飼育学を合同で受けていた。もっとも険悪なこの2寮は、顔を合わせれば罵倒や皮肉、仲間内で集まって愚痴や文句の投げ合いが始まる。
だが、そんな中でグリフィンドールの男子生徒とスリザリンの女子生徒が並んでハグリッドの話を聞いていた。足元や女子生徒の頭の上には何匹ものパフスケインが転がっており、男子生徒の方では猫が腕の中で安眠できる体制を模索している。女子生徒は落ち着いているが、男子生徒はどうにかこの不細工な猫、もといニーズルを落とさないように必死になって体を硬くしていた。
「いいか、お前さんたち。今日お前さんたちに世話してもらうこの魔法生物はパフスケインっちゅうんだ。誰かこいつらについて説明できるのはいるか?」
ハグリッドの呼びかけに応じたのは、頭にパフスケインを乗せたスリザリンの女子生徒__パメラ・カークパトリックだった。
「パフスケインはクリーム色の毛に覆われてる。小さな球状の動物で、投げられても抱きしめられても逆らわないの。ペットとして世界的に人気があるよ」
「正解だ、スリザリンに2点! じゃあ、カークパトリック。パフスケインの好みは知ってるか?」
「何でも食べる。でも、鼻くそが大好き。寝てる間に長い舌で食べる」
「スリザリンにもう1点だ! そのとおり!」
長い舌でどうやって食べるのかを説明された4年生たちは、どちらの寮の生徒も顰めっ面をした。何人かは、ウェッという顔をしてみせた。
「パフスケインってやばいな」
「ああ、やばい」
男子生徒たちはやばいやばい、と口々に言い、女子生徒たちはこんなに可愛いのに、と少々残念そうな顔をした。
「さあ、世話してみようか。二人一組で一匹ずつ、パフスケインを選んでね!」
いつの間にか背の低い金髪の少年になっていたもう一人の先生が、4年生たちに呼びかけた。ジニー・ウィーズリーは近くにいたグリフィンドールの女子と組んだ。アルゴ・ブライアン=ブラックは否応なしにパメラと組むことになった。腕の中のニーズルをなんとかしてくれそうなのは、こいつしかいないのだ。
「よろしく、カークパトリック……」
「うん」
「あれ、ミシェル伯爵? アルゴくんが気に入ったの?」
少年姿の魔女は、アルゴの腕の中のニーズルを見て、不思議そうな顔をした。ミシェル伯爵と呼ばれたそのニーズルは、うにゃあとひとなきして、船を漕ぎ始めた。
「ね、寝ないでくれ……!」
「良かったね、アルゴくん。ミシェル伯爵、いまだに私とお昼寝してくれないの」
「先生、ミシェルって女性の名前だよね。女の子なの?」
「いーや? 男の子だよ。でもねー、もうミカエルがいるんだよねー」
だからミシェルにしたの、と寄ってきたパフスケインに餌を与えながら、パメラの質問に答えた。
「ミカエルって、どんな子?」
「とっても綺麗なセストラルだよ。パメラはセストラル、見られる?」
「うん。ずっと子供の時から。今度、ミカエルに会わせてね」
勿論とだけ言うと、魔女はスリザリンの女の子たちに助け舟を出しに離れていった。
「で、どの子にするの?」
アルゴは、足元にいる5匹のパフスケインを見ながらパメラに尋ねた。もふもふと足を構い倒している1匹を、パメラは抱え上げた。
「この子。…………クミン」
クリーム色の毛に顔を突っ込んで匂いを嗅ぐと、確信を持った表情で世話をする子を決めた。ミシェル伯爵を支えるために両手が塞がっているアルゴの代わりに、パメラは世話を始めた。
「ブラッシングは、毛並みに沿ってだっけ?」
「ここは逆の方が良いみたいよ。ほら、目を閉じた。気持ちいいのよ」
「本当だ……にしても、マジでふわふわだな。絶対僕よりいい石鹸使ってるだろ」
学生時代の友達が調合し、発明した石鹸のレシピは大いに役立っており、亜麻色のボブヘアになった魔女は毎週末「パフスケインスーパーお風呂大会」を開催している。そのおかげで、魔女が飼育するパフスケインたちはもれなくもふもふで、ふわふわだった。
「餌もあげたけど……本当に鼻くそを食べるのかな?」
「実験してみる? アルゴ、ここで寝てみたら?」
「やっやだよ! 僕、枕が無いと眠れない」
お腹いっぱいになったらしいパフスケインたちは、日向ぼっこを始めた。未だ腕の中にミシェル伯爵を抱えたままのアルゴは、パメラに向き直った。
「カークパトリック、手伝ってくれてありがと」
「いいよ。今度、ミカエルを見せてもらおう」
ほんの少し、スリザリンとグリフィンドールの間に、友情が芽生えていた。
投稿が遅れた上に短くて、大変申し訳ございませんでした。
忘れていたわけじゃないんです。
ちょっと忙しかったんです。
次回、レガ主VSグリフィンドール! デュエルスタンバイッッッ‼︎