客人から教師へ、そして恩師へ。   作:品江四重

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見えない中で

 

 奪われた全員に杖を返すと、魔女はその姿を大きく変えながら話し始めた。

「よく聞いてね。いま杖を奪われたみんなは、何もしなければ戦場で死んでいる。ミス・グレンジャーも、呪文を的確に使えていたけれど、結局杖を奪われていた」

 ハーマイオニーが魔法薬学以外で注意を受けるのは初めてだったので、皆、「自分は何を言われるのだろうか」とびくびくしていた。

 

 「だから、何かをしようとしたミス・グレンジャーに1点をあげよう。問われてすぐ、冷静に答えた。そのおかげでミスター・ロングボトムは状況を打開する事ができた。彼には2点だ。注意深く観察し、呪文を使えていたからね」

 皆がきょとんとした顔をする中、もっちりふくふくの頬の少年の姿になった魔女は続ける。

 「ミスター・ウィーズリー。君は間髪入れず助けを求めた。プライドが邪魔して、助けられることも助けられない、なんてことだってあるからね。君はその状況を作らなかった。そして、それは問題を解決に導くことにつながった。グリフィンドールに2点だ」

 その後も数点をグリフィンドールに与えると、魔女は杖を取り出した。皆も警戒して杖を構え直す。

 「さあ、第二ラウンドを始めようか」

「エクスペリアームス!」「ディフィンド!」「ステューピファイ」「インセンディオ!!」「エクスパルソ!」「ボンバーダ!」「コンフリンゴ!」

 数名が同時に飛ばした呪詛を身を翻して避けると、懐から取り出したボールを地面に叩きつけた。ボンッという音と共にたちまち白煙が辺りに立ち込め、魔女の姿は見えなくなった。

 「ホメナム レベリオ! ……居た、見つけた! エイビス、サーペンソーティア、オパグノ!」

 ハーマイオニーがすぐさま「ヒト現れよ」を唱え、小鳥とヘビとをけしかけた。

 

 「良い連携だ! だが甘いね」

 あちらこちらを俊敏に転げ回りながら魔女は愉快そうに言った。ここまで有効打を与えられた生徒は一人も居ない。そうこうしているうちに、また魔女は白煙をぶちまけ、その中に消えていった。皆がまた出現呪文を唱えようとしていたとき、ハーマイオニーが悲鳴を上げた。

 「誰? 私に杖を向けているのは誰なの?」

「私だよ」

 その声は間違いなく魔女のものだったが、非常に冷たく、恐ろしいものだった。ハリーは、ヴォルデモートの声ほどではなくとも、恐ろしい声に感じた。

 「さあ、視界不良の中で人質に危害を加えること無く、私を倒せるかな?」

 ドカンと大きな声で宣言された「課題」の開始に、グリフィンドール生は警戒を解かぬまま考え始めた。首に杖を突きつけられ、迂闊に動けないハーマイオニーも、いつもより回らない頭をなんとか回し始めた。

 

 「うらめしや……」

「キャーーーーーッ!!」

 霧の中から突如現れた顔面蒼白の女はパーバティの杖を掴んでパーバティ本人に向けた。

「エンゴージオ」

「えっ? あ、ウソウソウソ!」

 みるみるうちにパーバティの左手が膨らんでいき、どしんと地面に落ちた。

「よし次、オーキデウス。次、オブスキューロ。ほい次、タラントアレグラ。おお、避けるか!」

「うわっ、杖が!」

「えええ、なにこれ! 見えない!」

 あちこちから悲鳴が上がるなか、間一髪、大きくのけぞることで呪文を避けたロンがハーマイオニーに叫んだ。

 「それは先生じゃないぞ、ハーマイオニー!」

 

 ハーマイオニーはやっと気づいた。なぜあちこちで先生の攻撃が行われているのに、私の首に杖が突きつけられたままなのか。自分に「双子呪文」を掛けたか? ちがう、生き物には掛けられない。

 「レラシオ!」

 背後で吹き飛んだのは、カボチャ頭のカカシだった。その手に持っていたのは葉っぱまでついた木の枝で、自分はこの枝を杖だと思い込んでいたと知ると、ハーマイオニーは猛烈な勢いで魔女に呪文を飛ばし始めた。

 「ミスグレンジャー! やーっと気づいたのかい、遅いぞ〜!」

「エクスペリアームス!」

「デパルソ。攻撃がワンパターンすぎるぞ、ミスター・ポッター! そうそう、組み合わせて使うんだよ。そこのお三方、これどうぞ」

 魔女はハリーの攻撃を捌きつつ、ネビル、シェーマス、ディーンの方へ大きめのボールを投げてよこした。

「か、噛み噛み白菜!」

 さっとネビルの顔が青ざめ、そのボール、もとい噛み噛み白菜をがっちり両腕で抱え込んだ。

「シェーマス、ちょっと、手伝って! 僕一人じゃ無理だ! エバネスコを!」

「えっと、こうだっけ? エバネスコ!」

 ネビルの腕の中で歯を鳴らしていた白菜というよりキャベツのような見た目の魔法植物は音を立てて消失した。

 

 「対処が早くていいね! ご褒美にもうみっつ」

「デパルソ! デパルソ!」

 続け様に放られた噛み噛み白菜のうち二つを弾いて魔女の方に投げ返すと、ハリーは失神呪文を飛ばした。

「いいね、みんな調子を取り戻してきたね」

 白煙もすっかり晴れ、視界良好となった鞄の中でグリフィンドール生はまた“あれ”をやろうと考えていた。

 そして、

「エクスペリアームス!」「ボンバーダ!」「ディフィンド!」「タラントアレグラ!」「インセンディオ!」「デューロ!」「コンフリンゴ!」「インカーセラス!」「グレイシアス!」

皆が一斉に魔女に呪文を飛ばした。

 

 チュドーンという轟音と共に地面がえぐれ、土煙が上がった。離れたところにいたユニコーンたちが一目散にその場から逃げていき、あのマンティコアのシャウラも大きく飛び退いた。

 

 土煙が収まった後、そこに魔女の姿はなかった。




お久しぶりです。ここ最近忙しすぎて忘れていました。
レガ主が放ってるのは煙玉です。

次回、反省会。
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