Vol.EX? 『魔神が救いし落ちた異邦人』 作:アルソック
前話を見ていただいた方、お久しぶりです。
今回は物語の導入のような話です。
…え?前回最後で「続きは書かない」って言ってただろって?
続きじゃないのでセーフって事で…。
今回も良ければご覧ください。
あ、そういえば前回及び作品のタイトルを変更しました。
神秘の世界に落ちる者
テレビでニュースが流れている。
『昨日夕方、○○市内で男子高校生が突然行方不明となり、警察が事件の可能性も含めて捜査を続けています。
行方が分からなくなっているのは、市内の高校に通う
警察によりますと、渡部さんは友人らと学校帰りに○○駅近くの飲食店を訪れていましたが、午後5時ごろ、『ちょっとお手洗いに行く』と伝えて店内のトイレに入りました。しかし、そのまま戻って来ない事を不審に思った同級生の一人が様子を見に行き、中に渡部さんがいないことに気づいたということです。
店の監視カメラには、渡部さんがトイレへ入る姿は映っていたものの、出てくる様子は確認されていません。
また、渡部さんの後にトイレを利用した客もいなかったということです。
店の従業員は『トイレには裏へ通じる扉もなく、人が消えるなんて考えられない』と話しています。
警察は、渡部さんが何らかの事件に巻き込まれた可能性もあるとして、周辺の防犯カメラ映像を詳しく解析するなど、行方を追っています。……次のニュースです……』
その後もニュースは続いていく……
<ある路地>
D.U.の中心から少し離れた所の通りにある路地で一人の少年が眼を覚ます。彼は辺りを見回して「何故自分がこんな所で寝ていたのか」という顔をする。彼の記憶では学校の友人たちや彼女と学校帰りに駅近くの飲食店に寄っていた筈だった。普通に考えて寝てしまっていたら友人たちや彼女がそのまま放置する事はないだろう。それに建物の内側に居た筈なのに薄暗い路地で寝ているのもおかしい。更に言えば、自分の知る限りでは周辺に路地は無かった筈だ。
しかしこのままでいるわけにはいかない。もし仮に自分の住んでいる所の周辺にこんな路地があるのなら早く自分の家に帰らなければならない。家族も心配しているだろうし、彼女も心配するだろう。何より警察のお世話になるのは面倒だ。
そう考えて彼は何か持っている物があるか確認する。スマホでもあればGPSを使って地図が見れる筈だ。そして確かにスマホはあった。あったが、電源は付かなかった。彼は落胆した。そうなると警察のお世話になるか、誰か探して地図か何か貸してもらう事になる。
誰でも良いから探そう、そう考えてゆっくり立ち上がった瞬間、
だが紛争地域にいるなら最悪だ。十中八九日本語は通じないだろうし姿を見られれば容赦なく撃ってくるかも知れない。軍隊がいればそこまで避難すれば良いが、そこまで無事に逃げられるとは思えない。
彼はゆっくり路地の出入り口に近づいた。銃声の主を見つける為に。そうして彼が路地を出て見たのは。
透き通るように澄み渡る青空と見知らぬ美しい街並み、そしてその景色を台無しにする銃撃戦であった。
<ヘルメット団side>
『連邦生徒会長が失踪した』
そんな噂が流れたのはいつだっただろうか。最初は信じる者は居なかっただろう。しかし現実に多くの自治区で混乱が発生しており、連邦生徒会はその対処に追われている。その一方で、連邦生徒会長が失踪した事を受け失踪の重大さを知る者達はチャンスとばかりに動き出した。
そして彼女達『ベリベリヘルメット団』もその情勢に乗り、連邦生徒会への日頃の不満を晴らす為、D.U.に存在する銀行を襲撃しそこに保管されている金品を強奪する計画を立てた。
そして迎えた計画の実行当日。D.U.全体の混乱により彼女達は計画通りに銀行を襲撃。混乱していた警備や職員を倒し金品を奪う事に成功する。後は合流地点で仲間がトラックで迎えに来るのを待つだけ———の筈だった。
倒した職員の1人がヴァルキューレに通報し、付近に展開していた警備局の部隊がヘルメット団を強襲する。ヘルメット団は奇襲を受けたものの仲間との合流地点を目指し撤退しながら警備局と応戦する。そしてヘルメット団が仲間との合流地点に到着すると、追手を断つ為警備局と本格的な戦闘状態に移行する。
しかしその辺の不良と同レベルの戦闘能力しかないヘルメット団と、日頃から訓練を行い様々な事件へと出動する警備局とでは部隊・個人ともに実力の差が存在する。その為ヘルメット団の団員は次々と倒されていく。
仲間が次々と倒されていくのを見て団員の1人が先頭にいるヘルメット団のリーダーに訴える。
「このままだとマズいッスよヘッドォ! このままじゃ全員ヴァルキューレのお縄に着いちまう!」
それに対してリーダーは叫ぶ。
「喋ってないで手を動かせ! アイツらがトラック回すまで耐えろ!」
とはいえ団員の言う事にも一理あるとリーダーは考えていた。ヴァルキューレの奴らも馬鹿ではない。今頃別働隊がこちらの側面や背後を狙って移動している頃だろう。このままでは全滅する。何か手を考えなければ……。
そう考えて周りを見渡したリーダーは
そしてリーダーはその策を、悪魔の様な手段を手に取った。どうせ自分たちはヘルメット団。社会から外れた集団だ。その程度なんて事は無いだろう。
リーダーはそう考えて、団員に指示を出した。
<ヴァルキューレside>
ヴァルキューレ警察学校に所属する警備局のある部隊の隊長は苛立っていた。連邦生徒会長が失踪した事による各自治区の混乱と行政の機能不全。続け様に起こるヘルメット団や不良の暴走。
(ふざけるな。何故こんな事になった!)
失踪した連邦生徒会長に言いたい事はある。だがそれ以上に。連邦生徒会には言いたい事がもっとある。なんだこの体たらくは。何故連邦生徒会長が失踪した程度でこんな事になる。連邦生徒会の連中は何をやっていた。どうやってこの事態を終息させるつもりだ。
連邦生徒会長はまだ良いだろう。会った事は数回しかなく、何を考えているのかさっぱり分からなかったが、それでもキヴォトスに対して必死に付き合っていた。それを見て、自分ももっと努力しようと思えた。だが、なんだこのざまは。我々は連邦生徒会長によっておんぶにだっこされていただけだと言うのか。
そんなこと、認められるものか。だったら、証明してやる。自分たちだけだったとしても、この事態を終息に導いてみせる。隊長はそう意気込むと、遮蔽から身体を出し、銃を構えて狙いをつけ、引き金を引く。するとヘルメットを被った1人が悲鳴を上げて気絶する。
今は戦闘中だった。ヘルメット団がD.U.の銀行を襲撃し金品を奪った。隊長とその部隊は丁度現場近くに居た為すぐに駆けつけ戦闘に入ったが、ヘルメット団の連中はしぶとかった。倒しても倒してもゾンビのように何度も起き上がり此方を攻撃してきていた。それが隊長の機嫌をさらに悪くする。しかし思考はとても冷静だった。
ここまでの戦闘で隊長はヘルメット団を率いるリーダーが誰か、目星がついていた。まだ立っているヘルメット団の中で1人だけ厳ついヘルメットを被り先頭で此方を撃っている者。あれがリーダーだろう。
「あの派手なヘルメットを被っている奴を狙え! 奴が連中の首領だ! 奴さえ倒せば連中は瓦解する!」
部隊の全員がヘルメット団のリーダーを撃とうとした時、ヘルメット団の残りの団員たちが動いた。奴らは一斉に此方に向けて何かを投げつけていた。それは小さな、筒のような物体で———
「ッ‼︎グレネード! 避けろーッ‼︎」
隊長のその指示が間に合ったのか、部隊の全員が物陰に隠れる。しかし投げつけられたその物体は炸裂音と共に煙を吹き出した。
「スモークグレネード⁉︎目眩しのつもりか……!」
煙幕で此方の視界を遮り、此処から逃げるつもりか。そうはいかない。隊長はすぐさま指示を出し部隊を2つに分ける。一つは横道を通ってヘルメット団の背後を取り、残った方はこのまま煙幕が消えたら即攻撃する。ヘルメット団の実力ならばそれで終わる筈だ。そうでなくとも挟み撃ちにされている状況で逃げ切れる訳がない。
そうして煙幕が薄れていくのを見て、隊長は部隊に攻撃準備を指示する。一斉に銃を構える音が響き、部隊に緊張が走った。
煙の向こうにヘルメット団のリーダーが被っているヘルメットが見え、隊長は攻撃を指示しようとした。しかし。
「全隊、こうげ——ッ‼︎攻撃中止‼︎撃つな──ッ!」
隊長の攻撃中止命令に部隊は戸惑った。さっきまでとは違う、切羽詰まった声。だが部隊はすぐに理解した。何が起こっているのか。
煙幕が消えて視界が露わになった時、そこにあったのは。
ヘルメット団のリーダーが
理解出来なかった。ヘルメット団がこんな卑怯な手段を使う事に。だがもっと驚愕したのは、『ヘイロー』の無い人間がいる事だった。自分たち生徒は『ヘイロー』によって肉体が頑丈になり、銃弾が当たっても大した怪我をしない。しかし『ヘイロー』がないならばそういった恩恵が受けられず弾丸が当たれば命の危機に晒される。
「ッ! き、貴様ァ……‼︎卑怯者がぁ……‼︎」
隊長は歯軋りした。この状況は此方に不利、いや最悪の状況であった。この状況で撃てば人質に当たる。もしも人質の方に当たってしまい、死なせてしまえば最悪だ。『銀行強盗犯を逃した挙句、人質を死なせた無能の隊長』と烙印を押されてしまう。今の階級から降格もあるだろうし処罰は免れない。
「へ、ヘヘッ……。この状態で撃つ勇気は無いよなぁ? だったら部隊に指示を出しな! 武器を捨てて下がれってよぉ! 従わなきゃ、コイツがどうなるか……」
ヘルメット団のリーダーはそう言って人質に向けた銃の引き金に指をかけた。人質の顔がどんどん青くなっていくのがわかる。
「私らはこんなもん屁でもないけどよぉ、コイツはそうじゃねえよなぁ? なぁどうすんだお偉いヴァルキューレの局員サマよぉ⁉︎」
そんな指示に従う訳にはいかない。ヴァルキューレの一員である自分がそんな脅しに屈する訳にはいかない。だが、しかし。
(命を守る為には……!)
隊長は苦虫を噛み潰したような表情で部隊に指示を出し、武装解除させ数歩下がらせた。
「ハ、ハハハッ! 天下のヴァルキューレも人質がいれば何も出来ないか!」
ヘルメット団のリーダーは勝ち誇ったように言う。隊長は反論出来なかった。事実、向こうに人質がいることで我々は攻撃する事が出来ない。攻撃して、もし人質に当たれば? その状況が目に浮かぶだけに攻撃する事を躊躇ってしまった。
その時、遠くからクラクションの音が聞こえた。音のする方を見るとヘルメット団のマークがペイントされたトラックが此方に向かって走ってきていた。ヘルメット団のリーダーは団員たちに指示する。
「オマエら、伸びてる奴らトラックに乗せろ! とっととずらかるぞ!」
その言葉に団員たちは倒されたヘルメット団員を背負い、トラックに放り込んでいく。さらに銀行から奪った金品を乗せ、そして最後に人質となっていた少年も引き摺り込んだ。ヘルメット団全員がトラックに乗り込むと、トラックが発進する。
隊長はトラックが遠ざかり小さくなっていくのを見ている事しか、出来なかった。そして隊長の視界からトラックが消えると、隊長は握り締めた拳を振り上げ、戦闘で発生した瓦礫に向けて叩きつけ叫んだ。
「クソッ……クソッ……クソォォォ‼︎」
ゆっくり書いてるとはいえ、上手く構成考えるのってすごく難しいね…。こんなのを何百話も書いてる人マジで尊敬する。
そしてこんな小説を読んでくださる方もいらっしゃるようで。
続きはいつ書けるかなー?