アニメ見て書きたくなりました。
因みに気づきましたが全盛期と衰退期の時期を思いっきり勘違いした為矛盾が発生しています。
全ては諦めてしまった事から始まったのだろう。
私が通っていたアビドス高等学校はキヴォトスにおいて最も歴史ある学校とされていた。70人もの生徒会長が乱立した混乱期を乗り越え全盛期を迎えた時には三大学校と言われるゲヘナ、トリニティ、ミレニアムにも匹敵する勢力を築き上げていた。私はそんなアビドスが好きだった。だから入学し、その栄華を肌で実感したかったのだ。
だが、それも唐突に終わりを迎えた。全盛期を築き上げた生徒会長の卒業。それと同時に起きた過去に類を見ない大規模な砂嵐。それによって町は砂にまみれ初めてしまった。それを何とかしようと当時の生徒会は頑張っていた者の、その全てがうまくいかず、一人、また一人とアビドスを去っていく者が続出した。
私も何度か転校を考えた物の、結局アビドスに留まり続ける事にした。きっと私が憧れた栄華を忘れられなかったのかもしれない。だけど、かつての栄華を取り戻す事は出来なかった。
アビドスの経済を支えるセイント・ネフティスの撤退によりアビドスの衰退は決定的な物となった。卒業後に知った事だがアビドスは莫大な借金をしており、それを返すこともままならず、それどころか土地を担保に更なる借金を重ねる始末だった。
だから私はアビドスを見限った。卒業後、私はカイザーコーポレーションに就職した。セイント・ネフティス撤退後に新たにやってきたその企業は良い噂を聞かなかったものの、卒業前からスカウトを受けていたこともあって就職した。就職後は順調にキャリアを重ね上げ、僅か20代で重役に上り詰める程になった。
そんな時だった。アビドス高校の話を聞いたのは。数が減少し、僅かな生徒しか残っていないそこを未だに守る愚者たちがいる事を聞いた私はアビドス高校に終止符を打つために代表取締役に直談判。出向という形でカイザーPMCの副理事となることが出来た。
PMC理事には「その武力に期待している」と言われた。私としてもこの力でアビドス高校に終止符を打てるなら望むところだが今の所私の力が必要な場面は来ていない。
一時期は無政府状態で治安が悪かったアビドスだが入学した小鳥遊ホシノという少女によって改善されてしまった。今ではたった5人しかいないアビドス高校を守ろうと躍起になっているがそれが理解できない。かつての栄華は無くなり、砂に埋もれるだけのアビドスを守って何になるというのか。このままではアビドス高校の栄華に泥を塗るだけだというのに。だけどそれも直ぐに終わりにする。
「理事。直ぐにでも終わりにしましょう」
「ふむ、私としてはもう少し様子を見ても良いと思うのだが? 黒服は小鳥遊ホシノに夢中なうえシャーレの先生までやってきている。時期が悪すぎる」
「だからこそです。何かしらの改善がなされる前に叩き潰すのですよ」
PMCに協力するゲマトリアとか言う組織に属する黒服が多大な支援をしてくれているのは分かっている。そしてシャーレという新たに発足した組織から派遣された先生が最近派遣されてきたことも知っている。そのせいで雇っていたヘルメット団だけでは対処できなくなったことも。
「落ち着き給え。新たに便利屋68を雇ったところだ。彼女たちの実力は高い。少なくともヘルメット団の時よりは確かな成果を持ってくるだろう」
「……私には理解できません。カイザーコーポレーションの目的が砂漠に埋もれている遺産という事は理解しています。アビドス高校を狙うのはその障害にならない為という事も。ですが! なおのことさっさとケリをつけるべきでしょう!」
少し前なら小鳥遊ホシノという規格外の戦力に注目されて下手な動きが出来なかったかもしれない。だが、それも過去の事であり、今が絶好の機会である事に変わりはない。
「分かっていないな。今の彼女たちは手負いの獅子と変わらない。一気に止めを刺そうとすればこちらを道連れにしかねない。だからこそそうならないようにゆっくりとじわじわと真綿で首を絞めているのではないか」
「……たとえ道連れにこちらに攻撃してきても私の力があれば……!」
「確かにその通りだ。お前の実力なら小鳥遊ホシノと互角にやりあえるだろう。だがな、それにはリスクが伴うのだよ。
聞き給え、お前もカイザーコーポレーションの重役である以上考えるべきは過去の栄華にとらわれる事ではない! 企業の利益を考える事だ! 何をすれば利益となり、何をしなければ不利益となるかを考え行動する! リスクを低く、利益を高く! それが企業という物だ」
「……失礼しました。少し、冷静になってきます」
「お前も
そんなことは分かっています。言われるまでもない。
アビドス高校を卒業して暫く経った頃、私のヘイローは消えた。実際に見えたとかそういうわけではなく、そう感じたのだ。ああ、私は今大人になったんだと自覚してしまった。
ヘイローに守られた肉体は他の大人と変わりない者になった。とはいえ銃弾程度なら痛いで済む程度にはまだ頑丈だが全盛期に比べれば大きく弱体化していると言える。
これが大人になるという事なのだろう。何かに守られていた子供から何物にも守られない大人へと。ヘイローの消失はそういう事だと理解した。理解させられてしまった。
「アビドスの生徒が侵入してきた?」
「正確には敷地外で発見しただけだがな。不法侵入と変わらないさ」
理事に呼ばれたからなんだと思えばそういう事か。ついにアビドス側が真相を知ったという事なのだろう。私たちが今いるこの基地は砂漠に埋もれた一角にあり、遭難者でもない限りここを訪れる者はいないはずだった。
そんなこの基地に初めての侵入者がまさかアビドス高校なんてね。
「行くぞ。子供たちに現実という物を教えてあげないといけないからな。お前もOGとして教えたいだろう?」
「……そうね。私も行くわ」
理事が私を呼んだのはそういう事だったわけね。私にとっても都合が良いしついていきますか。
ゲヘナ風紀委員会との戦闘の末に発覚した土地の権利に関する問題。それらがカイザーコーポレーションがかかわっていた事を突き止めたアビドス高校の生徒とシャーレからやってきた先生は真相を突き止めるべくアビドス砂漠にやってきていた。そこで発見したのが重武装と大量の兵士で守られたカイザーコーポレーションの子会社、カイザーPMCの基地だった。
運悪く発見され、一触即発の状態に陥ってしまった彼女たちだがそこに基地内より一代の車がやってきた。そこから降りてきたのは二人。ロボットのような見た目をしたスーツ姿の男と動きやすいミリタリー衣装に身を包んだ大人の女性であった。
「誰?」
「ほう? 私たちの顔を知らないと? その程度でよくもまぁここまで頑張ってきたものだな」
生徒の一人、砂狼シロコの疑問の声に男は嘲笑を以て答える。
「私はカイザーPMCの理事だ。ああ、隣にいるのはカイザーコーポレーションから出向してきている副理事の……」
「始めましてアビドス高校の生徒諸君。私は飛岩リコ。
「「「「っ!!??」」」」
OG。その言葉にこの場にいる4人の他に、ドローンで学校から様子を見ていた先生と奥空アヤネは驚愕した。まさかアビドスを苦しめる企業にOGがいるとは思っていなかったのだ。
「なんで!? カイザーコーポレーションが一体何をしてきたのか分かってて……!」
「全て理解している。アビドスの借金、そして土地の所有権についてもな」
「……全てを分かっててそちらにいるなんて」
「裏切り、とでも言いたいのか?」
黒見セリカの絶叫にも近い問いと、十六夜ノノミの現実を受け止められない声色の問いにリコは淡々と答えた。
「……正気じゃないね。アビドスをここまで食い物にしている彼らの一員になるなんて」
「正気? 私から言わせればお前たちの方が正気を疑いかねないがな」
「どういう事?」
「そうだろう? 最早栄華は過ぎ去り、過去の遺物と化したアビドス。復興も出来ず、経済すら破壊されつくしたここにしがみついて何になるというのだ?」
「それでも! 私たちはアビドスが好きだから……!」
「それが可笑しいと言っているのだ!」
生徒たちの糾弾にリコは怒りの感情を越えて叫ぶ。それはこの場の誰もを黙らせる圧があり、小鳥遊ホシノですら体を強張らせる程だった。
「最早アビドスにかつての面影はない! 砂に埋もれただただ終わりの時を待つだけのこの状態を維持して何になるというのだ! そんな状態を維持するなどアビドスの名誉を傷つける行為でしかない!」
「っ! そんなこと……!」
「あるのだ! あの輝かしい栄華に泥を塗る今の姿など必要ない! だから私はここにいる! アビドスを、あのアビドスを傷つけないうちに! アビドスを思い出の中に仕舞う為に!」
ただそれだけ。それだけの為に彼女はここまで歩んできた。そんな彼女の思いを補完するように情報収集を行っていたアヤメから彼女たちに通信が入る。
『検索出来ました。……彼女は全盛期のアビドスを支えた風紀委員長です』
「風紀委員長!?」
「ほう? 通信先で私の事を調べている奴がいるようだな。その通り、私は風紀委員としてアビドスの栄華を支え続けてきた。シェマタ生徒会長が築き上げたあの栄華を、活気にあふれたあの時代を少しでも守りたかった……!」
『……彼女は過激派に属し、数々の不良を再起不能にまで痛めつけ、アビドスの治安を守っていたとされています。銃を使わずにトンファーと手投げナイフだけで圧倒した彼女によって治安はキヴォトス内で最もいい状態となったと記載されています。その結果、付いたあだ名が
見たら最後。不良たちは二度とまともな暮らしを送ることも出来ない程に痛めつけられる事から名前と合わさって彼岸花の異名がつけられていた。まさにアビドス全盛期を支えた傑物であった。
「なるほどね。そんな人ならカイザーコーポレーションに組するのも理解できるね」
アビドスの生徒会副会長にして彼女たちアビドスは以降対策委員会の委員長を務める小鳥遊ホシノは厄介な相手だと警戒を強めた。それと同時に彼女と話し合いの余地もないことを理解できてしまった。
彼女は過去にとらわれている。今のアビドスを見限り、良き思い出の頃の状態でアビドスを終わらせようとしているのだと。明日を見ずに過去を見る。彼女はまさにそんな状態であった。
「こりゃぁ厄介な相手が敵に就いちゃったねぇ」
「……さて、話は終わったかな? まさか君たちがここまで来るとは予想外だったよ」
そんな状態の中で話を始めたのは理事であった。リコの思いを組みここまで黙っていた理事だがこれ以上は時間の無駄と判断したのだ。
「君たちは今カイザーPMCの私有地に不法侵入をしている状態にある。それは理解しているかな?」
「っ!」
「私としては取引相手にこんな事をされるとは思ってもみなかったよ」
そう言うと理事はスマホを取り出しどこかへと電話を始めた。突然の行動に困惑していると慌てたような声が通信先より聞こえてきた。
『た、大変です! 来月以降の金利が、さ、3000%も上昇しています!』
「な、何よそれ!」
「くっくっくっ。不法侵入をしてくるような危険な相手を信用できるわけがないだろう? 当然の措置というわけだ」
理事は楽し気に笑いながら言った。ただでさえギリギリな返済はこれで完全に出来なくなったことを意味していた。最早アビドス高校に出来る事は残されていない。
「そんな……!」
「これで理解できたかな? 今君たちの命を、誰が握っているのかをな」
「ふざけないでよ! そんな金利払えるわけないでしょ!」
「ならばされば良い」
セリカの言葉に反応したのはリコだった。彼女は先ほどまでの怒りの感情はなく、ただただ悲し気な様子で言った。
「これは元々借金を返せないアビドス高校の問題。生徒である貴方達が頑張る理由などどこにもない。貴方達の実力ならどこの高校も受け入れてくれるわ。だから……」
リコはそれ以上言わなかったが確かにこう言っていた。見捨てろ、と。
「それに、安心していい。もしどこの高校も受け入れてもらえないというなら我々カイザーコーポレーションが助けようじゃないか。キミたちの実力は高い。だから……」
リコの言葉は銃弾によって遮られた。そのことに鋭い目つきとなったリコは発砲した相手、小鳥遊ホシノを睨みつける。
「……慈悲はいらないってわけね?」
「悪いけど。アビドスと敵対する君の手なんていらないよ。そんなに今を受け入れられず、未来に進む勇気もないのなら、そのまま過去だけ見ていればいいさ」
普段のポヤポヤした雰囲気とは違い、かつて様々な高校に警戒されていた時のような鋭い雰囲気を出すホシノにリコも負けじと圧を放ち得物であるトンファーを両腕に持った。
「アビドス高校を廃校になんてさせない!」
「アビドス高校は必ず廃校する!」
アビドスへの思いは同じように強いが見ている方向が真逆の二人はそう言って相対するのだった。
オリ主紹介
学園:アビドス高校(卒業生)
部活:元風紀委員会
年齢:20代
身長:170㎝
誕生日:9月23日
趣味:アルバム確認
アビドス高校の衰退期に活動していた風紀委員長。銃を使わずにトンファーで接近戦を行う戦闘スタイルをしている珍しいタイプ。銃弾を避けて接近し、瀕死になるまで叩きのめす事を繰り返した結果異名として『リコリス・ラジアータ』がつけられた。
名前は彼岸花→彼岸→
リコはリコリス・ラジアータから