友人からの依頼で執筆

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答えはあれど名前はなく

「荷物置いてくる。」

放課後、僕は彼との下校中。同じ部活の友達同士だけれど、こうして二人で帰るのは珍しいかもしれない。

「うん、わかった。」

下校と言っても、僕の家は学校のすぐそばにある。

だから一旦荷物を置き、そして彼の家まで着いていくという形だ。

「あんまり待たせちゃ悪い、急ごう。一応スマホも持っていくかな。」

家に入って荷物を置き、小走りで彼のところへと戻る。

「おまたせ、待った?」

「そんな⋯⋯デートの待ち合わせじゃないんだからさ。」

彼が言う。それもそうか。

そのとき、ふと彼の顔を見た。

ふと、といっても話しているときに相手の顔を見ることなんて普通のことだ。

でもなんだか、そのときの僕にはそれが特別なことに思えた。

そして気付いたときには、スマホで写真を撮っていた。

「急にどうした、写真なんか撮って。」

「いや⋯⋯なんとなく?」

「なにそれ⋯⋯まあいいや、行こうぜ。」

自分でもその理由がわからず、彼の質問にもあやふやな返事をしてしまった。

とりあえず僕は、彼の言葉に従って歩き出した。

「最近どうなの?好きな人とは。」

僕の家から五分ぐらいは歩いただろうか、というところで彼はそう聞いてきた。

「いないって言ってるじゃん、しつこいよ。」

なぜか僕は好きな人がいると思われている。

ここ三ヶ月ほど、彼に限らずいろんな人に言われ続けていることだ。

「いやいや、そんなわけないでしょ。」

そう言い、高い声で彼は笑う。何がそんなにおもしろいのか。

そのときだ。

なぜだか、心がざわついた。

さっきもだ。さっき彼の顔を見たときも、心がざわついた。

でもさっきとは違い、僕にはその理由がわかった。

好きな人だ。好きな人がいないと言ったからだ。

理由がわかっても、疑問は残る。

だってこれはいつものことだ。

それなのに、なぜ─────

「おーい、どうした?」

あまりにも考え込みすぎていたようだ。彼に体を揺さぶられ、僕はハッとする。

「いや⋯⋯なんでも。」

「そう?ならいいけど。」

そこからも会話は続いたが、頭には入ってこなかった。

その後もなぜ?と考え続けていたからだ。

やがて彼の家の前にたどり着いた。

僕が疑問の答えにたどり着くのと同時に。

「じゃ、また明日。」

心がざわついた。三度目だ。今度は、逃さない。

「ねえ、あのさ。」

「ん、なに?」

僕が声を掛けると、彼は振り向きこちらを見る。

音が止まった。時間もだ。

彼の耳に、ほくろを見つけた。

「好きな人、君って言ったら、どうする?」


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