東方時空録   作:中津之麻

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異変が終わった後といえばあれですよね?
前回でもう分かっているも同然ですが...今回は宴です!

自分はお酒を飲んだことはないので分かりませんが、お酒って美味しいんでしょうかね?
自分の年齢で飲んだら、日常グッバイ(少年院行き)になりそうなので飲みませんが。

そんなことよりも、今回も投稿が少し遅れてしまいました。悩んだ部分があるとは言え申し訳ないです。


前書きはこれぐらいにして、それでは。


異変解決のお約束

がやがや、がやがや。妖怪や人外達の会話や酒瓶を鳴らす音、色んな音が混ざり合うことで、それらを聞き分けることが困難なほどのひとつの音を完成させる。

みんながみんな、思い思いに酒を飲み赤く火照っていたり、何か芸を披露している。

そんな賑やか過ぎる宴会が始まったのはもうちょっと後のことだ。

 

 

 

 

 

 

式と霊夢は一緒に守矢神社の大きな鳥居の下に降りた。そろそろ日が沈み、月が空に見え隠れしそうになってきた今、その守矢神社には先程博麗神社にいた人数の二倍は人が集まっていた。

 

 

「お、やっと来たのか!遅いんだぜ、霊夢がいないと始まらないからな!もうほとんど始められるぜ?」

 

 

降りてくる自分たちに気付いたのか、人混みをかき分けて魔理沙が前に出てきた。

流れに乗って付いてきたけど何が始まるんだろ?そう言えば宴会とか言ってたっけ?

式が半分楽しみに思っていると、霊夢が呆れ気味に言った。

 

 

「別に私がいなくても勝手に始めてればいいのよ。どうせ遅れるって分かってるんだし」

 

 

「そんな連れないこと言うんじゃないぜ。ほらほら」

 

 

何やらオヤジ臭い魔理沙が霊夢の背中に回り込んで押して行ってしまったので状況をよく理解していない式は、つられてそれについて行った。

歩きながら周りを見回してみると、そこにはいろんな式の知らない人や妖怪がたくさんいた。その中にはみんなが座っている中、一人だけせっせと働いている緑色の髪をした巫女服の女性もいたりした。

なんだろう?何故か霊夢の2Pに見える。

そんなしょうもないことを考えていると、いつの間にか霊夢たちを見失ってしまった。

 

 

「と言うか人(?)多い!」

 

 

そんなに広過ぎると言う程でもないこの敷地内にも関わらず、こんなにもすぐに霊夢たちを見失ってしまうとなるとここだけでも結構な人が集まっているようだ。

行くあてもないので、仕方なく奥に見える大きな神社に向かって歩くことにする。

 

 

「みなさーんそろそろですよ!」

 

 

そういう声が後ろの方から聞こえてきた。

もうすぐ始まるのか!

期待に胸が踊りそうになるが、1人空回りしても格好悪いのでここは平静を保つ。

改めて人をかき分けながら前へ前へと進んでいくと、神社の前に弾き出された。するとその近くに霊夢と魔理沙がいたのか二人の声が聞こえてきた。

 

 

「さあ早く杯を持って宴会を始めさせてくれなんだぜ!もう待ちくたびれた!」

 

 

「なら魔理沙がやりなさいよ、譲ってあげるわよ?」

 

 

「ほ、本当か?」

 

 

さっきまで霊夢にやらせようとしていたはずの魔理沙が、なぜか嬉しそうにしている。

杯ってたしかお酒を飲むための物だったような?どうしてそんなものを?

そんなことを考えていると段々と宴会というものの意味を理解してきた。

ま、まさか...お酒飲むの?!

結論に至ったのもつかの間、魔理沙が声を張り上げて言った。

 

 

「宴会だぜ!みんな呑むんだぜ!」

 

 

その声が全員に伝わると、全員一斉に何かに飛びかかるように、いろんな箇所に集まって行った。おおよそ検討は付くが、外の世界では未成年の式は恐る恐る霊夢達の所に行き、尋ねた。

二人は自分より年齢の低いはずだ。

 

「おーい、霊夢?魔理沙?その今飲んでるのって...何?」

 

 

「お、式か。何処に言ったかと思ったぜ。これか?これは紫にさっき『勝利の美酒よ』とかなんだかで貰ったんだ。紫いわく外界の物らしいから良く分からないんだぜ」

 

 

「いやそうじゃなくて...、もしかしてそれってお酒?」

 

 

「?もしかしなくてもお酒よ?何?もしかして式ってお酒飲めないの?」

 

 

霊夢がどうしてかきょとんとしながら言って来た。

もしかしなくても飲めません!というか呑んだことすらないし、引き籠っていても道は踏み外していません。

 

 

「飲めないと言うか飲んだことすらないんだよね...」

 

 

そういうと、それを聞いた二人はあからさまに「は?」と言う表情をして同時に「は?」と声を漏らした。その状態で二人は固まってしまったため、見られ続けている式は半分睨まれているような気分になる。

すると固まっていた魔理沙が動き出した。

 

 

「ほ、本当かよ!?式、人生半分は損してるぜ!?」

 

 

「え、半分も?」

 

 

「そうよ、こんな世の中お酒がないとやって行けないわよ」

 

 

凄くオヤジくさい、と思ったがそれは言わないことにしよう。

そこまで言われると少し飲みたいと言う気持ちも湧いてくるが、そこは自制心を持ち抑える。

すると魔理沙がお酒を勧めようとしてきたので、念のためと外の世界の事情を話してみることにする。

 

 

「なんと言うかね、外の世界では自分や魔理沙位の年の人はお酒を飲んだら駄目なんだよね。飲んだら捕まって少年院や刑務所に入れられるんだよ」

 

 

そんなことを言っても、案の定分からないようで二人は「なにそれ」と言わんばかりの表情をしてしまった。それも仕方ない、幻想郷に警察は無いのだから。

すると察しのいい霊夢が理解したようで、持っていたお酒を眺めながら言った。

 

 

「外にはそんなかなり厳しいのね。私は幻想郷の住人でよかったわ」

 

 

「そうだね」

 

 

便乗か、真意か、自分でもわからないがそう言ってみた。

 

 

「生憎幻想郷にそんな決まりはないぜ!さあ大人しく飲んでみるさ」

 

 

魔理沙が頬がへこむほど酒瓶を押し付けてきたので、少し離れて「後で飲むよ」と軽くあしらっておく。

すると突然、横の襖が開いた。

 

 

「皆さーん。神社に入っていいと諏訪子様からお許しが出ましたので、どうぞお入りください!」

 

 

そう大きな声で言ったのは、あの時の2Pに見えてしまった、緑髪女性だった。その声が全員に伝わると、前にいた人たちからこっちに流れ込んできた。

ええ!

式はその流れに押されて守矢神社に入った。

 

 

さっきまで外だったためその音も多少は小さかったが、今度は室内だ。音は反響して、小さくなることなく耳に入ってくる。一言で片付けるなら、五月蝿い、だ。

そんなことより式は引き籠りだ。大勢がこんなところに密集するなど生まれて初めて、そのため式は流れから開放された瞬間真っ先にその部屋の隅を確保してしまった。現状は角っこで体育座りである。

妙に落ち着いた気分になって来た所で周りを改めて見回すとそこには、人もいると思っていたがほとんど妖怪のようだ。そのまま眺めているといつぞやの椛と懐かしの文が目に入った。。

あの時から毎日新聞が届くようになったが本人とはあれから一度も会っていない。

そんなことを思い出しながら、いじられている椛とそれを撮っている文を見ていると不意に目があった。

 

 

「あやや、式さんではありませんか!どこか前と違う気もしますがお久しぶりです。ところで式さんも今回の異変の解決者だと聞いてるんですが、取材をしても良いですかね?」

 

 

文は当然近づいてきてそう言った。違うといえば目のことだと思うが、久しぶり過ぎて覚えてないようだ。

取材かあ、といっても昨日あんまり凄いことはしてないしなあ...自分じゃ役者不足かな?

そう思った式は文に断った。

 

 

「自分は何もしてないよ。やっぱり取材をするなら霊夢や魔理沙のほうが良いと思うよ?」

 

 

 

そう言うと文は少し残念そうな顔をした。が、直ぐに顔を上げ、手帳を広げてこちらに向き直った。心なしか記者魂が漏れ出しているような気がする。

 

 

「ですが!私も記者です!ここではいそうですか、と引き下がるわけには行きません!」

 

 

「そ、そんなことを言われても...」

 

 

正直何を言えばいいのか分からない。文の新聞のネタになるようなことを言える自身が式には無い。

ここで何も無いといっても文は諦めないだろう...

仕方なく式は記憶にあることをまとめ短く文に伝えた。

 

 

 

 

「...これで大丈夫?」

 

 

「はい、十分です!」

 

 

文はそう言って素早く写真を二、三回シャッターを切り、椛いじりに帰って行った。一瞬椛と目が合い、助けて!と目が言っていたが、とりあえずは見なかったことにしよう。

再度周りを見回すと、今度は魔理沙やこの神社の巫女と思われる緑髪の女性、その他の人達(式の知らない人達)が何やら楽しそうに話をしていた。

楽しそう、そう思ったが今更輪に入ろうとも思わない。まさにボッチ。

隅を陣取って約一時間、食べ物を拝借しながら悲しく座っていると、頭の上から声をかけられた。

 

 

「こんな隅に座って何をしているのかしら?」

 

 

聞いたことのある声だ。式は顔を上げて声のした方に目線を向けると、そこには昨日の異変の首謀者であるレミリア・スカーレットが式を見下ろすように立っていた。

 

 

「いや、別に意味は無いけど...」

 

 

「そう、まあ何でもいいわ。私はただお礼を言いに来たの」

 

 

「お礼?」

 

 

「そう、フランのことはとても感謝しているわ...昨日からたった一日しか経っていないのに、フランは前までの狂気がまったく感じられないどころか、私に笑顔で話しかけて来たわ。七条式、あなたのことをね」

 

 

式は単純に嬉しく思った。

 

 

「なら仲良く出来てるんだね。良かったよ」

 

 

「ええ、そうよ。後はお礼ね、ありがとう。本当に感謝しているわ」

 

 

「これからもフランと仲良くやって言ってくれれば、それで十分だよ」

 

 

式がそう微笑むと、レミリアは何も言わずさっきの位置に戻っていった。それを見送るように目で追うとその奥にいたメイド服の銀髪の女性が嬉しそうな表情をし、そして微笑みかけられた。

 

 

 

 

 

 

「しきー、ここに居たかあ。探したぞお?」

 

 

今度は、誰にも気づかれぬよう机の端の座布団に座っていた式に声をかけたのは、お酒を飲んですっかり酔いが回ってしまった魔理沙だった。魔理沙は既にふらふらだが、それを支えるように隣に一人の女性が立っていた。

少し火照っている魔理沙が笑い口で話し始めた。

 

 

「そう言えばだいぶ前にしょおかいするって言って、ヒック、しょーかいしてなかったな。いい機会だし、紹介しておくぜ。ヒッ、こいつがあの時言ってたアリスだぜ」

 

 

「アリス・マーガトロイドよ。よろしくね」

 

 

式は数秒見惚れていた。それは魔理沙や霊夢のような可愛さがあるからではない。ただ単純に綺麗だったからだ。

 

 

「し、七条式です...」

 

 

「それじゃあなー。宴会は楽しまなきゃ損だぜ?」

 

 

そう言って去ろうとしたふらふらな魔理沙をアリスは肩を貸して運ぼうとしたが、ふらふらしていたり、こけそうになったりでどうにも危なっかしい。式は立ち上がり、魔理沙に肩を貸した。

 

 

「自分が運ぶから、お酒飲んで来たらいいよ?」

 

 

そう言うとアリスは一瞬訝しげな顔をしたが、直ぐに元に戻り溜め息をつきながら言った。

 

 

「私は別にいいわ。そもそも飲みに来たわけじゃないのよ...そう言うあなたは飲まないの?」

 

 

「いや、飲んだこと無くて...」

 

 

そう言うと、アリスは目を見開いた。何でみんなそんな反応をするんだ。飲むほうがおかしいんだけどな。と感じつつ、魔理沙を担ぎながら歩いていると、魔理沙の席は直ぐに見つかった。魔理沙をゆっくり下ろし、座らせる。

すると魔理沙は少し力が抜けたように「えへへ、ありがとなんだぜ」と言った。

普段魔理沙がえへへとは言わない。人格が変わるなんてお酒って怖いね。

お酒への敬遠をしていると、魔理沙より酒に強いのか酔っているが自我のある霊夢が話しかけてきた。

 

 

「式、あんたまだお酒飲んでないの?」

 

 

「いや、飲まないよ?」

 

 

「そんな意地を張らなくてもいいのよお?」

 

 

少しは酔っているようだ。霊夢は杯に酒瓶を傾け酒を注ぐと、それを戸惑うこと無く自分に向かって差し出してきた。

 

 

「え?何これ」

 

 

「今日は異変解決の祝いの席よ?飲まないと話にならないわ??」

 

 

飲めという威圧が凄い。

この世界ではお酒を強要されるのか!

そう思った式は少し怖くなった。一度も飲んだ事のないし、外界であれほど止められているお酒を飲むことにはとても抵抗があり、体が拒んでいるのが分かった。式はその意識に従い、霊夢に断ることにした。

 

 

「ごめん。実は自分お酒飲めないんだよね」

 

 

苦し紛れの嘘である。そんなことを知ってか知らずか、霊夢はさらに「ん」と杯を前に突き出した

 

 

「この私のお酒が飲めないっていうだと?この異変解決者であるこのわたしの!?」

 

 

「ええ...」

 

 

「そうだぜ式い。今日ぐらいは飲んでおいたほうがいいぜえ?飲めばきっと酒の良さが分かるからさ」

 

 

話を聞いていたのか魔理沙は式の肩を掴み、体重を掛けながら言った。それからはお酒のにおいが放たれ、嗅覚を刺激したが何故か嫌なにおいではないと感じてしまった。

酒飲み二人に囲まれもはや逃げ道はないと感じた式は、溜め息をつきながら言った。

 

 

「これだけだよ?これ以上飲まないよ?」

 

 

そういうと霊夢と魔理沙は嬉しそうな表情をした。

 

 

「式ならそう言ってくれると思ったぜ!」

 

 

魔理沙は霊夢から杯を奪い取り、式に手渡した。

 

 

「さあ、飲むんだぜ?」

 

 

魔理沙の目は、もう逃げられないぜ?、と言っているようだった。式は大人しく杯を口元まで持って行き、一気に喉に流し込んだ。

それでも流れきれずに残ったお酒が舌を刺激し、想像を超える味が脳に届けられた。そのせいで式は思わず声を漏らしてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい...しい...」

 

 

お酒にあったのは式が考えていたようなものではなかった。苦味を生かし、調和させ、その香り、風味がさらなるうまみを引き出させた。式の否定的な考えが大きな衝撃を生み、よりいっそう美味しく感じられた。

その言葉を聞いた二人はさっきの表情とは違いにやっとし始め、それを見た式はお酒のせいで体が温まったはずなのに何処となく寒気を感じた。

 

 

 

 

その後は二人は波に乗ったように、急に式に酒を勧め始め、式はすっかりお酒にはまってしまった。

 

 

 

がやがや、がやがや、そんな音が鳴り止まない賑やか過ぎる宴会は朝日が顔を見せ始める手前まで続いた。

 




いかがでしたか?楽しんでいただければ幸いです。


強引な部分もあり、もっと努力をしなくてはと思いました。


今回だけでは書ききれませんでしたので、次回の後日談みたいなので書くつもりです。(フランが出ていない)

後書きもこれくらいにして。

それでは


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