『禍憑の祓い手 ― 神祓府玖番隊・赤嶺左内の記録 ―』   作:サモア リナン

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ややコメディ寄り


第一話 俺が隊長!?嫌だー!ん?これは、、意外と。

(まがつきのはらいて ― かんばらいふ きゅうばんたい・あかみねさないのきろく ―)

 

人に憑き、物に宿り、時に世界すら喰らう存在──

その名は、禍憑(まがつき)。

 

人知を超えた脅威を祓うため、国家が総力をあげて設立した超巨大組織、神祓府(かんばらいふ)。

その戦闘部隊のひとつ、玖番隊に新たな隊長が任命される。

 

──で、その人選が。

 

「えっ、俺でいいんですか?」

 

名家出身でもなく、平民でもない。

いわゆる“ほどほど貴族”な出自の地味系青年、赤嶺 左内(あかみね・さない)。

 

戦闘力:上の中。

性格:温厚。

存在感:薄め。

 

上層部の評価も

「まぁ、優秀っちゃ優秀。ミスしないし……うん、可もなく不可もなく」

と、まるで学級委員長の通信簿レベル。

 

──なのに、現場じゃやたらと重宝されていた。

 

「おい、あいつまた禍憑封印してね?」

「しかも強化再生してた奴だぞ、どうやって封じたんだ……」

「え、特別強くはないのに……あいついないと現場回らなくね?」

 

他部隊のエースたちが口をそろえて言うくらいには、頼られていた。

 

その正体は──異世界からの転生者。

 

中世ヨーロッパ風のファンタジー世界で、かつて“勇者の相棒”として魔王を討伐した経験を持つ男。

現代の陰陽術と言霊と、異世界の魔術詠唱をミックスした独自の術式を構築。

しかも、身体能力強化の技法も三つ持っている。

 

氣功、シン呼吸、経脈路──。

 

異能と体術を組み合わせた、誰にも真似できない戦闘スタイルで戦場を駆ける!

 

──でも、基本使ってない。

 

なぜなら、「使うとバレるから」。

「色々とめんどくさい」から。

 

なのに、なぜか来た。

 

「隊長昇進の推薦状──!?」

 

「え、いや別に……上に行きたいとかないんだけど……」

 

──ダメだ、来なさい。

 

九十五歳の大ベテラン前任隊長から「ようやく譲れる」と涙され、

周囲の先輩や同期たちからは「まぁ、そりゃお前しかいないよな」と納得される謎の支持率。

 

「なんでだーっ!」と叫びながら就任した隊長職だったが──

 

いざ始めてみたら。

 

討伐任務も封印作業も、部下の得手不得手を見て的確に振り分けるだけ。

簡単な書類をパパっと仕上げて、報告書を添削して、

ちょっと手ごわい禍憑が出たら自分で片づけて、

たまに訓練で一緒に汗を流すくらい。

 

「……あれ? 意外と楽……」

 

今ではすっかりウキウキで、日々の隊長業務をこなす左内であった。

 

副官:「普通、隊長業務ってそんな簡単にできませんよ……?」

部下:「あの人、やっべぇ(語彙力喪失)」

 

上層部:「いやもう、最長老がいなくなってくれればそれでよかったし……」

 

上と下で食い違う評価、無自覚すぎる才能、

地味だけど確実に結果を出していく、異世界帰りの“ほどほど貴族”隊長。

 

誰もが驚く“地味無双”な和風バトルファンタジー、今ここに開幕!

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