「は?負けたいんだが?」   作:天野ミラ

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過去、こんなエピローグを送った物語があっただろうか……


75.は?負けたいんだが?

 第三の魔王が討伐されて、数日が経った。

 季節は春というのには早く、まだまだ寒さの厳しい冬……されど少しずつ暖かくなり始めた2月の事。

 

 依然として冬の寒さが身に染みる今日この頃、炬燵で暖まるのは好きなんだけど……それはそれとして楽しみにしていた1日だ。

 

「お邪魔しますわよ?」

「ふへへ、こっちこっち。おいで~?」

「うわ、本当にやる気なんですのね。まあ良いですけれど……」

 

 自室に備えた小さめの炬燵の()から、金髪の彼女を手招きする。

 中から……そう中からだ、炬燵と聞いて今日はどうしてもやってみたかった事に手を伸ばす。

 

 炬燵の中で、美少女たちの足蹴にされたいと年々思っていたのだ。

 

「ほ……本当に乗せますわよ?」

「えへへへへ、この可愛くて儚い私を……遠慮なく足蹴にして? 私の事は、足置きマットだと思ってくれればいいから……ね?」

「はぁ……変わりませんわね、貴方も」

 

 まあ見ての通り、私は今日も元気にその性癖を爆発させていた。

 それも当然だ、人はそう簡単に変わらないし……元あったそれも含めて、私なのだから。

 

 受け入れて生きていくと決めたあの日から、そこまで日付も経っていない事だし。

 

「わたくしは頭側ですわね、酸欠だけ怖いですから……気を付けるんですのよ?」

「はぁい。あっ、そう……太腿でお顔挟まれるの程よい圧迫感が良い……私将来は此処に住むんだ……」

「真に受けますわよ?」

「ごめんて」

 

 その柔らかく張りのある太腿で私の可愛らしいお顔を挟んだまま、私の胸の上で足を交差させるクロエちゃん。同い年とは思えないグラマラスさに、思わず手を伸ばしそうになる。だが今日の私は炬燵の下のカーペットなのだ、自我を捨て……足蹴にされるべき。

 

「あぁ、それにしても程よいムチムチ感……」

「太ってませんわよ?」

「丁度いいから、別にダイエットしようとしなくても大丈夫だよ?」

 

 これを捨てるなんて、とんでもない。

 

 それにしてもニーソ越しに感じる匂いは、ボディソープの良い匂いが漂っている。

 それが示すのはつまり……

 

「お風呂、入ったんだ?」

「その、流石に踏んで欲しいと言われたら足くらい洗って綺麗にするのがマナーと言うか恥ずかしいというか……いえ、普段から綺麗にしてますのよ? それでもやはりその、冬場のブーツは蒸れるというか……」

「私そういうのも、好きだ……痛い痛い痛い!? 待って、ギブっ……ストップ、意識飛んじゃう♡」

「次、匂いについて言及したら……潰しますわ」

 

 危うく意識を飛ばされるところだった、まだお楽しみは始まったばかりだというのに。

 

 それにしても素晴らしい重圧だった、此処に住みたいと思わせるほどに魅力的で肉厚で……こんな事を言うと本当に潰されかねないので、黙っておこう。

 

「はぁい、2人連れてきたわよ?」

「お邪魔、します」

「お邪魔します! しずくおねーさん〜貴方のあまねちゃんが、やって来ましたよ!」

「すごいテンション感だね……」

 

 続々と魔法少女界隈でも優秀な人物達が、私の部屋に揃い踏み……揃い踏みってちょっとエッチだな。

 

「本当にマットになっちゃったんですね……お持ち帰りしたいんですけど……」

「テイクアウトはやってないかなぁ……」

 

 

 一人一人、個性豊かな8本4対の脚が炬燵の中へと入ってくる。

 この足蹴にされている感じがまた堪らない、それは別にしても個性的でとても魅力的だった。

 

「重かったら言って……ね?」

 

 お腹に感じるほど良い重み。

 この黒いストッキングは、この中で断トツの長さを誇るのはルクスの脚だろう。

 にしても炬燵の電熱部分の真下だから、流石にちょっと暑い。

 

 盲点だった、でもこういうのも悪くないかもしれない。

 

「……温度、下げるね」

「……はい」

「それで今日は足置きになりたいんでしたっけ、筋金入りですねぇ……しずくおねーさん……」

 

 そう言いながら炬燵の布団を捲ったあまねちゃんと目が合う、そして……わきわきと手を動かしながら、あろうことか……脚を擽りはじめる。

 

「ちょっ、やめっ……ふふっ!?」

「それ、こちょこちょ~♪」

 

 この子……私があの日の事を気にしているのを口実にどんどん大胆な事を要求してくる。

 添い寝に始まり、ツーショット自撮りとその要求は留まる事を知らない。

 

 まあ上手く甘えられている事は良い事なのかもしれないけど、それにしても限度が……

 

「ちょっ、ほんと……ふふっ、くすぐったいの……んっ、やめ…………あっつッ!?」

「だっ、大丈夫ですか!?」

「本当に何をしているんですの……全く……」

 

 

 思わず耐えきれなかった私が、弓なりに身体を反らせた結果お腹に炬燵の電熱部分があたり思わず声を漏らす。いや、魔法少女だから痛みを感じる程熱くは無いんだけど。ついつい癖で……

 

「一応、今日の本題は情報……共有。このまま報告する……ね?」

 

 ちなつちゃんの細くしなやかな脚が、私の横腹を探るように控えめに突く。白ニーソ、そう言うのもあるのか。良い、凄く良い。

 

「……うるさい。んんっ、まずはお疲れ様、これで第三の魔王……及び、日本への侵攻は。その数を大きく減らす、はず」

 

 怒られてしまった、だけど意外とこの反応は照れ隠しで……待って脇腹は突かないで……

 

「抱える問題は幾つかあるけど、一旦はこれで解決の、はず」

「本当に大変でしたわね、主に被害に遭った少女たちのケアが……」

「ユウちゃんは今も引っ張りだこよね? 実際の戦いでは活躍できない分、精一杯やるって言ってたけど……ちょっと、心配ね?」

 

 今回の件は、全員が全員最高の幸せを手に入れたハッピーエンドという訳では無い。

 227名の攫われていた魔法少女の傷は深く、その対処に今日まで追われていた。

 

 そして、懸命に前を進む事を決めた彼女達のアフターケアの為に……ジェーンドゥは今も病院に勤めている。帰って来た時は、随分と泣かれたっけ。今後埋め合わせも兼ねて何処かに出かけようと約束している。

 

「用が済み次第、あの魔王は……処理する、予定」

 

 私の太腿をぐにぐにと小さな脚が押し広げている、このマセガキは第三の魔王の処遇よりも私の身体に興味津々らしい。でもちょっと、此処真面目なシーンだから……ん。

 

「ん……結局表面しか見て無い人だったなぁ、ドレスのデザインはセンスあると思うけど」

「ああいう相手への対策も、忘れずに考えておくべきですわね」

「無いとは、思うけど。万が一、意識が復活すると……面倒くさい。処理するのは、決定事項と思って欲しい」

 

 そんな私をそれでも愛そうって言ってくれれば、ちょっとはキュンと来たのに……何処までも彼は、『最強の魔法少女サテライト』という一側面を好んで……手に入れたかっただけに過ぎないのだろう。トロフィー扱いは心外だ、中身までしっかり愛しきって欲しい。

 

 

 そんな中、トントンとドアをノックする音がして……まっずい。

 

「はいはい、おやつにケーキと飲み物持って来たわよ。ここの季節のパフェがとっても美味しくて今度一緒に……あれ、しずくは?」

「あら? 何処に隠れちゃったのかしら……ね?」

 

 寄りにもよってとんでもないタイミングでお母様が来てしまった、流石に気まずいから暫く黙って……ちょっと、あまねさん? 今は本当にダメだから……んっ……

 

「あぁ……しずくなら炬燵の中に居ますわ」

「ちょ、ちょっと!?」

「あんたねぇ……迷惑かけるのも大概にしなさいよ全く……」

 

 ゴトリと、炬燵の上にお皿を載せたお盆が置かれた音が響く。

 流石の私も、この惨状を見られるのはなけなしの羞恥心という奴に響く。

 

「まあ、あんたが幸せそうならそれで良いけど……避妊はちゃんとしなさいよね」

「ぐっえっ、それ何処から聞いて……!」

「お母さん、買い物行ってくるから三時間は帰ってこないわね」

「ぐぇぇぇっ……ちょっ、止めてよ恥ずかしい……」

 

 自分の親公認と言うのも苦しいものがある、プライバシーとか……無いんか?

 いや、心遣いは有難いんだけどもっと手心と言うか……

 

「そういえば。今日はカレーの予定だけど、皆も食べていくかしら?」

「はい! 是非是非! お義母様のご飯美味しいので、楽しみです♪」

「本当にいい子ねぇ、あまねちゃんは。それに比べてあんたはこんな小さな子にまで手を出して……」

 

 なっ、納得がいかない……

 

 この子裏では下着を盗んだり、祭壇作ったり色々やってるのに……そんな弁明をする前にお母様はお部屋から出ていく。解せぬ。

 

 

 違うタイプの恥ずかしさに顔を赤らめながら、悶々としていると細くて小さな指が炬燵の中に伸びて来る。その指先は、私の頬に触れると割れ物を触れるかのように撫でだす。

 

「あったかい、ね」

「いや、もう恥ずかしすぎて顔とか熱いくらいなんだけど……」

「そういうことじゃ、ない。分かってる、癖に」

 

 それはそうだけど、面と向かって言うものは恥ずかしいものがあると思う。

 足蹴にされたいとか言ってる時点で、大分もう手遅れなんだけど。

 

「流石に寝ながらケーキを食べるのは、無理ですし……そろそろ起きなさいな」

「えぇ? 後5分だけ……後、私の可愛い可愛いお顔を踏んで欲しいというか……」

「馬鹿言ってないで早くしてくださる? ほら、そんなにして欲しいならケーキを食べた後で幾らでもしてあげますわよ」

 

 大胆な発言に、背筋がゾクゾクと震える。

 まさか、そんな……この人数でなんてあまりにも退廃的過ぎる。

 

「時間なら、夜まで沢山あるのですし……ね?」

「ひゃい……」

 

 耳元でそんな事を囁かれると、思わず声が上擦ってしまう。

 乾燥する冬場なのに、じっとりとした湿度と熱を持っている私の部屋で食べた苺のショートケーキは……驚くほど甘かった。

 

 そんな、何処にでもは無い……特別な日常。

 

 こんな日々が、何時までも続いて行けばいいなぁと思う。

 少し暖かくなってきた冬の、そんな一幕だった。




これにてサテライト達の物語は一旦の終わりです、長かったような短かったような……
そしてこれから先も、彼女達の人生は続いていきます。

書きたいことはまだまだある、沢山あるんですが……
物語としては綺麗に締められたと思うのでこれでも良いのかなと。

もし気が向いたら続きを書くかもしれません、『あぺんど!』の方はまたその内更新します!

高評価とお気に入り登録、感想の方もお待ちしてます、滅茶苦茶励みになります……!
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改めましてここまでお読み頂いた全ての読者様、本当にありがとうございました!!!

天野ミラ



・追記:他作品もいくつかと、Xもやってますのでよければ見ていってください!
https://x.com/AmanoMira43648
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