彼女は赤い髪の女性とぶつかり、衝突しかけるが、そこに割って入る謎の女性に助けられる。
しかし彼女の度重なる子ども扱いに耐え兼ね、スティレットはセッションを申し込む。
「Hey!You!負ける準備はいい!?」
「ふむ。カタナ、か?うん、速いな」
果たして彼女たちの戦いの行方は?
これは出会うはずのなかった、彼女と彼女の物語。
ゲームにおける世界観、キャラクター、用語などについて、勘違い、解釈違い、妄想による都合の良い改変など多分に見られるかと思います。
また、作者は「フレームアームズガール」をほとんど履修していないため、登場人物の解像度が著しく低い可能性があります。
それを考慮したうえで読んでいただけると幸いです。
「轟雷?バーゼラルド?」
気が付けば、スティレットは一人だった。
いや、一人、ということはない。軽快な笛と太鼓の音が響きわたる一帯は、人で溢れかえっている。
人、ひと、ヒト。人の群れ。スティレットたちとは違う、人。そしておそらく、あおとも違う。
なぜならここは、スティレットたちの知らない世界。
どうしてか、知らない世界のお祭りの只中に、彼女たちは放り込まれていた。
そして気が付けば、彼女は一人になっていた。
「もう、しょうがないわね、あの子たちってば。あたしがいなきゃ、どうしようもないんだから!」
しっかり者のスティレットは、ちょっと目を離した隙に迷子になってしまった二人を探すことにした。まったく、世話の焼ける。ほんの少し、おもちゃの銃で景品を狙うゲーム――どうやら射的というらしい――を眺めていただけなのにはぐれてしまうなんて。
嘆息しながら、スティレットは歩き出した。幸い、屋台が並ぶ一本道は、先ほどよりも人の数が目に見えて減っていた。何か出し物があるのか、こぞって一方向へと向かっている。スティレットはその流れに逆らうように歩きながら、きょろきょろと二人の姿を探す。
「轟雷!バーゼラルド!まったくあの二人ってば、一体どこに――わぷっ」
「――あぁ?」
進行方向への注意がおろそかになってしまっていたスティレットは、そのまま何かにぶつかってしまった。ぶつかった対象物は、不愉快そうな声を上げた。
「どこ見て歩いてんだ、
「な・・・・・・っ!?」
それは赤く長い髪を一つに結んだ、気の強そうな――というよりは獰猛な獣とでも形容すべき気配を放つ女性だった。彼女はぶつかってきたスティレットを振り返り、舌打ち交じりに言葉を吐く。その吐き出された言葉を、スティレットは看過できない。
「坊主じゃないわ!あたしは立派なレディよ!」
「ん?あぁ、
「むっきぃぃぃっ!」
さらにこちらを挑発するような言葉を重ねられ、スティレットは怒り心頭になった。小さい、だなどと言われ、ましてや坊主と繰り返され、黙っていられるほどスティレットは温厚ではない。なによりスティレットは、轟雷よりは大きいのだ。
「あんた、あたしを怒らせたわね!その剣、飾りじゃないんでしょう!抜きなさい!セッションよ!」
「セッション?よくわかんねぇが、俺とやる気か?・・・・・・おもちゃみてぇなもんとは言え、俺に武器を向ける意味、わかってんだろうな?」
「・・・・・・っ」
――瞬間、彼女の雰囲気が剣呑なものに代わり、スティレットは思わず息を呑んだ。元からただならぬ気配は感じていたが、今スティレットを射貫く隻眼は、まさに獲物を見定める狩人の目。しかしスティレットとて、ここまでコケにされて引き下がるわけにはいかない。
「あんたこそ、あたしを舐めないでよね。フレームアームズガール、スティレットの名は伊達じゃないわ!」
「・・・・・・この俺に歯向かってくるたぁ、面白ぇガキだ。いいぜ、くだらねぇ祭りに退屈してたところだ。ちょっと相手をしてや――」
「――祭りに喧嘩は付き物だが、命の獲り合いとあれば無粋だなぁ」
火花を散らす二人の間に、割って入った者がいた。
その女性は、いつの間にか周りから遠巻きに眺められていた二人の横に「最初からそこにいた」かのように腕を組んで立っていた。
茶色の髪を二つに結い、特徴的な衣装を身に纏っている。その腰には美麗な剣を佩き、物腰の優美さからもただ者ではないことが知れる。
割って入った女性を、赤髪は隻眼で鋭く睨み据える。
「お前は、東州の・・・・・・」
「こんなところで子どもと喧嘩している暇などあるのか?それに、騒ぎを起こせばお前がここにいると
「・・・・・・」
「しかしまぁ、それを推してでも騒ぎ立てるというのなら、仕方ない。天神武剣流のわたしが相手になってやろう」
「啓天龍剣流じゃなかったか?」
「うん?どうだったかな。・・・・・・忘れた」
「・・・・・・ちっ、相変わらずふざけた奴だ」
「相変わらず?わたしとお前、どこかで会っただろうか?そういえば以前、お前と
「いや、会ってねぇよ。初対面だ」
「そうだろうな。うん。まぁどちらにせよ、わたしもお前を舐めているわけじゃない。だから引いてくれ、と頼んでいるんだ」
「・・・・・・あぁ、そうだな。確かに退屈していたところだが、俺もガキと遊んでいるほど暇じゃない」
そう言うと、彼女はもう何をする気もないと示すように一歩退いた。それを見て、茶髪の女性も腕組をほどく。
その時ようやく、スティレットは自分が息を詰めていたことに気がついた。それほどまでに、ただならぬ気配が凝縮していた。
赤髪の女性が、踵を返す。そして首だけで振り返り、なぜかどこか楽しそうに口角を釣り上げる。
それは紛れもなく、数多の戦場を駆け抜けてきた戦士としての笑みだった。
「――お前とはまたいつか、存分にやり合いたいものだな」
「いつでも相手になるぞ・・・・・・ん?
「じゃあな、天神武剣流」
そう言って一方的に話を終え、彼女は雑踏に紛れ見えなくなった。
「あ!ちょっと待ちなさいよ!何勝手に納得して――」
「落ち着け。彼女を敵に回すのは得策じゃない。・・・・・・あれと戦えば、わたしとて無事で済むかわからない」
「なによ。勝手に話をつけたりして、あんたまであたしを子ども扱いするわけ?あたしは強いわよ?」
「そんなことはわかっているよ。だが、だからこそキミにもわかるだろう?キミは強いが、あいつも強い。それに、ここには無関係な人たちがたくさんいるんだ。淑女が刃を振るう場としては相応しくないと思うぞ?」
「むむ。言われてみれば、そうね」
「いい子だ」
そう言って、彼女はスティレットの頭にぽん、と手を置いた。そのまさしく子ども扱いする仕草が、再びスティレットの怒りを買う。
「ちょっと!やっぱり子ども扱いしてるじゃない!」
「あぁ、すまんすまん。キミはどこか、あいつに似たところがあるからつい、な。そうやって頭を撫でられると怒るのもそっくりだ」
「おぅ、嬢ちゃん、災難だったな。ほれ、団子やるから元気だしな!」
と、横合いから気の良さそうな屋台のおじさんが、団子を二本、差し出した。
「嬢ちゃんだなんて、やめてよね!あたしはレディよ!でも団子は美味しそうだからもらっておくわ!」
「はいはい、そっちの姐さんも団子、いるかい?」
「お、気前がいいな。くれるのか?ではお言葉に甘えて――」
「何言ってんだ?金はちゃんと払ってもらうよ。嬢ちゃんにやった分も、耳を揃えてな」
「……そうか。だったら、わたしの分は遠慮しておこう。あまり金を使いすぎると、うるさい連れがいるからなぁ」
巾着から金を出し、その中身を覗き込む彼女の姿は、少しだけ寂しそうに見えた。
「……どうした?食べないのか?」
支払いを済ませ、スティレットの元へ戻ってきた彼女は、首を傾げながら聞いてきた。スティレットは少し考えてから、右手に持った団子を彼女の方に差し出した。
「……はい、あげるわよ」
「うん?いいのか?それはキミがもらったものだ。遠慮なんてしなくても……」
「遠慮なんてしてないわ。レディは独り占めなんてはしたないことはしないのよ。それに、あなたがお金を払ったのに、あなたが食べられないなんておかしいじゃない」
「……ふむ、それもそうか」
彼女は少しだけ迷う素振りを見せた後、スティレットが差し出す団子を素直に受け取った。
「それにしても、あいつは一体何者なの?ていうかそれは、あなたもだけど」
「うん?あいつのことはよく知らんが、わたしはただの通りすがりの侠客だよ」
「キョウカク?なにそれ」
「かっこいいだろう」
ふふん、と得意げに胸を張る彼女のほうが余程子どもみたいだ、と思ったが、スティレットは大人なので口には出さなかった。
「それより、折角の団子だ。固くならないうちにいただいてしまおう」
「それもそうね」
というわけで、二人は屋台のおじさんからもらった――というか買った――なんなら売りつけられた――団子を食べることにした。
声を揃えて、いただきます。スティレットは団子というものを口にしたことはなかったが、茶色の甘辛い、とろりとしたタレのかかったそれは、もちもちとした食感で――まぁ端的に言って、美味しかった。
「Amazing!これ、すっごく美味しいわね!」
「んぐ。そうか、それはよかった」
彼女は現れた時のように一瞬で団子を消し飛ばし、指に付いたタレをはしたなくぺろり、と舐めながら微笑んだ。
「それで?キミはこの後どうするんだ?」
「むぐ。そうだった。あたし、あの二人を探さなきゃ。ちょっと目を離した隙に迷子になっちゃうんだから、世話が焼けるわよね!」
「ふむ。奇遇だな。わたしも連れを探していたところなんだ。キミと同じで、気づいたらいつの間にか居なくなってたんだ。まったく、困ったものだ」
うんうん、と訳知り顔で頷き合う。そこで二人は意気投合し、一瞬に連れを探して歩く。
――という運びには、もちろんならない。
「でもあなたの場合、自分が迷子だったりするんじゃないの?なんだかあなたって、抜けてそうだし?もちろんあたしは違うけど!」
「む?わたしが迷子?それは断じてありえないな。むしろキミの方こそ迷子だろう。大丈夫、恥ずかしくないぞ。子どもなのだから、強がらなくていいんだ」
言いながら、再びスティレットの頭を撫でようとする。自分の方こそ迷子の癖に、言いがかりをつけて子ども扱いする彼女に、スティレットは堪忍袋の尾が切れた。
伸びてくる手をひょいと避け、
「あんた、やっぱりあたしにケンカ売ってるわね?いいわ、そのケンカ、買ってあげる!あたしとセッションしなさい!」
「うん。……うん?」
頭を撫でようとした手を避けられた彼女は、しばらくその手を宙に彷徨わせ、それから不思議そうに首を傾げた。
騒ぎを止めようとしたはずが、何故騒ぎの渦中の只中にいるのか。彼女にはそれが、心の底から不思議だった。
「うん。ここなら大丈夫だろう」
そう言って、彼女は足を止めた。そこは祭りの喧騒から少し離れた、木々に囲まれた広場のようなところだった。
「こんな狭い場所で大丈夫?」
「あぁ、まさか祭りの場でやり合う訳にもいくまい。それに、この場所であれば、色々と都合がよさそうだ」
「・・・・・・あんた、どこ見てるの?」
「ん?あぁ、すまない。・・・・・・少しぼぅっとしてただけだ」
スティレットを見ずに木々に目をやり、一人勝手に納得した様子にも腹が立つ。思えばあの赤髪も、こいつが現れてからスティレットなど眼中にないというように、ほとんど見向きもしなかった。自分を置いてけぼりにするなんて、許せない。
スティレットは指を指し、高らかに吠える。
「Hey!You!負ける準備はいい!?フレームアームズガール、スティレットの実力、見せてあげるわ!」
宣言し、勇んで武器を――その身丈に合わない長大な機銃を構え、しかしスティレットはそこで首を傾げた。
「・・・・・・そういえば、あんたの名前、まだ聞いてなかったわね」
「うん?さっき名乗らなかったか?」
「てんしんなんとか流とか、えっと、とにかく名前は聞いてないわ」
「そうだったか。それは失敬」
そう言って、彼女は腰に佩いていた剣を抜き、左手を何かの呪いのような形に曲げ、胸の前に構えた。
「飛燕閃刃流、“虚剣行”シュウウ。さぁ、気の済むまでかかってくるといい」
「あんた、さっきと名乗りが違うじゃない!」
「うん?そうだったか?・・・・・・まぁいいじゃないか、細かいことは」
キミはわたしに、その強さを見せてくれるんだろう?その余裕のある態度に、スティレットは目を鋭く細めた。
まったく、どいつもこいつもあたしを子ども扱いして!目にものを見せてやる!
スティレットは機銃を構え直し、狙いを定め、引き金に指をかけた。
そのふざけた態度を後悔させてやるために、一瞬で勝負を決めるつもりだった。
相対するシュウウは、その構えの意味は定かではないが、構えてはいる。構えてはいるが、隙だらけに見える。今引き金を引けば、銃弾は狙い違わずその身体を貫くだろう。
少なくともスティレットにはそう見えた。いや、スティレットでなくとも、誰だって彼女を見れば隙だらけに見えるだろう。
なぜなら、彼女は――
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・ぐぅ」
その整った鼻からだらしなく、しかしそれはもう見事な鼻提灯を膨らませ、立ったまま眠っていたのだから。
「こい、つ・・・・・・っ!」
このあたしを前にして、眠るなんて!スティレットは激情に任せ、引き金を引いた。無数の弾丸が、シュウウの眠りを妨げようと、あるいは永遠のものへと書き換えるため、容赦なく襲い掛かる。
シュウウの身体に弾丸が吸い込まれ、その身をあっけなくハチの巣にする、かに見えた。
――が。
「・・・・・・ぐぅ」
彼女は眠ったまま、弾丸の雨をひらりと躱した。何度引き金を引いても、どれだけ狙いを定め直しても、シュウウは弾丸の嵐を紙一重に躱し続ける。
眠ったまま、踊るように、舞うように。
そういえば、とスティレットは思い出す。ここまでくる道中の雑談の中で、彼女は旅をしている最中だと言っていたが、その割には彼女の服には汚れもほつれも一切なかった。
修行の旅、というならば、先の赤髪のような輩に絡まれ、戦うことも少なくなかったはずだ。それなのに、戦いの形跡が一切見られなかった。
その意味を、スティレットは理解しかける。だが彼女とて戦いの腕には自信がある。
相手が実力者、というならば。
こちらも相応の実力を発揮すればいい、というだけの話!
「だったら、これはどうかしら!」
「・・・・・・ぐぅ」
スティレットは高く飛びあがり、機銃を、ハンドミサイルを、セグメントライフルを、手当たり次第に打ちまくる。それらが全て、シュウウの身を傷つけるに至らないことを、スティレットは知っていた。
――だから。
「――はぁぁぁぁぁっ!!」
上空からの急降下。弾丸に勝るとも劣らない速度で、地上のシュウウに肉薄する。
そう、彼女の武器は、なにも機銃の類だけではない。
携えた二振りの日本刀が、飾りではないことを思い知らせてやる!
「・・・・・・ふが?ち、違うぞ!わたしは迷子の子どもを助けて団子を食わせてやっただけだ!無駄遣いなんか・・・・・・おろ?」
その接近に気づいてか、シュウウの鼻提灯はぱちんと割れ、彼女はその目でスティレットを視認する。
「やっと目を覚ましたわね!でももう遅いわ!覚悟!」
「ふむ。カタナ、か?うん、速いな。確かに速いが――」
しかしシュウウは余裕の見える素振りで、スティレットに向けて一本の剣を無造作に投げた。そんなものが当たるはずもなく、スティレットは速度を緩めぬままに躱し、日本刀を振りかざす。
「はっ!たっ!やぁぁぁぁっ!!」
そして繰り出されるは、目にも止まらぬ高速の連撃。それはシュウウの足を後退させ、あっという間に彼女を空き地の端へと追いやっていく。
「どう!?あたしの実力、思い知った?」
「うん。その小さな体で重いカタナを、しかもここまでの速度で扱えるとは恐れ入った」
「また小さいって言ったわね!?あたしは轟雷よりも大きいのよ!」
それでも余裕を崩さないシュウウに、二本の刀で斬りかかり、弾かれた衝撃を利用して後退。
「――もらった!」
すぐさま機銃に持ち替え、掃射、掃射、掃射!
今のは流石に躱せまい。もうもうと上がる硝煙と砂煙が晴れれば、跪いて許しを乞う哀れな彼女の姿がありありと想像できる。
どうだ!フレームアームズガール、スティレットの力は!これであたしの――
「うん。これでわたしの勝ち、ということでいいかな?」
「――っ」
しかし背後からその首元に添えられていたのは、一振りの剣。
その美麗な装飾を帯びた剣は。
文字通りに容赦なく、スティレットに敗北を突きつけた。
「ふむ。太刀筋は悪くないが、感情に任せて闇雲に振るうのは頂けないな。だが、上出来だ」
戦いの後とは思えないほどにのんびりと言って、シュウウは剣を収めた。
空気が弛緩した瞬間、スティレットはぺたん、とその場に腰を落としてしまう。
「キミが相手の力量を見極め、感情に流されず、本来の実力を発揮できていたなら、斬られていたかもしれないな」
そう言われ、ぽん、と頭に手を乗せられても、もはや歯向かう気力はなかった。
完敗だった。完膚なきまでに。
「そう落ち込むな。キミは子ども扱いされるのが嫌だというが、子どもだ、ということはなにも悪いことじゃないさ。これから成長する余地が広がっている、それも無限に。そうだろう?」
「・・・・・・」
「キミはまだまだ強くなる。これからが楽しみだなぁ」
そう言って、からからと笑う。その様が、スティレットには眩しく見えて。
「・・・・・・師匠」
「うん。・・・・・・うん?」
先ほどまでの落ち込みようはどこへやら、スティレットはぴょいん、と跳ねるように立ち上がり、困惑を見せるシュウウに向き直る。
「ねぇ、シュウウ!あなた、あたしの師匠になってくれない!?あたし、あなたみたいに強くなりたいの!」
「あぁ、うん、そう来たか。いや、そう言ってもらえるのは嬉しいのだが、わたしはまだ旅の途中――」
その時、ドン!と派手な音がした。スティレットが音がした方――つまりは上空――に目を向ければ、そこには夜空に大輪を咲かす、綺麗な花火があった。
「わぁ・・・・・・っ」
スティレットはしばし、その情景に心を奪われる。美しいものは、いつだってそうだ。例えばそう、隣に立つ彼女のように。
「――あっ!スティレット!どこに行ってたんですか!?」
「も~、あちこち探したんだよぉ~?」
と、周囲を覆う木々が揺れたかと思えば、スティレットにはなじみ深い、見慣れた顔が二つあった。轟雷と、バーゼラルド。祭りに現を抜かして迷子になっていた二人だ。
「何言ってるのよ!探したのはこっちなんだから!」
「・・・・・・まぁ、そういうことにしておきましょう。それで、何をしていたんですか?」
「なんかこわ・・・・・・変な女にぶつかっちゃって、絡まれたの。それを師匠が・・・・・・あ、紹介するわね!この人はあたしの――あれ?」
スティレットは二人に師匠を紹介しようと振り返った。しかし、そこには何もない空間が広がっているだけだった。
ドン、と花火の音が響き、スティレットたちの姿をほんの少しだけ、闇夜から浮き上がらせた。
それでもやはり、彼女の姿はどこにもない。
「師匠!師匠~!?もう、どこ行っちゃったのよ!」
「誰もいないよぉ?幽霊でも見たんじゃないのぉ?」
「や、やめなさいよ!幽霊なんているはずないんだから!」
スティレットは顔を真っ赤にして怒り、しかし師匠の教えを思い出して心を落ち着けた。
その様子を見て、轟雷は訝しむ。
「・・・・・・スティレット。何かありましたか?」
「何もないわ。何もね。そうだ!轟雷!今からここで、あたしとセッションするわよ!師匠直伝の、えっと、機焔蒼双流の実力、見せてあげるわ!」
「ちょっ!なんですか、いきなり!」
「なにそれ、かっこいぃ~」
それからしばらくの間、スティレットは戦う前にいちいち不可解な名乗りをあげ、二人に呆れられるのだった。
「うん。ちゃんと合流できたみたいだな。重畳重畳」
木陰から微笑ましいやりとりを眺めていたシュウウは、彼女たちに背を向け、深い闇の中へと足を踏み入れる。
しばらく一人で歩いた後、彼女はおもむろに立ち止まり、そして何もない空間に向けて言った。
「彼女はもっと強くなる。きっと、その仲間たちも。――なぁ?
その問いかけに返ってくる答えはない。それもそのはず、そこには誰もいないのだから。
「・・・・・・だんまりか。つれないなぁ。仕方ない、わたしもあいつらと合流するか」
そう一人ごち、彼女の姿は今度こそ、林の中から掻き消えた。
彼女たちが脳内で暴れ出すのを止める術が、わたしにはありませんでした。
きっかけは、5月19日。それは「星の翼」のシュウウ、というキャラクターが、一時的に5凸という状態で使える期限を一旦迎える日の朝でした。
シュウウ、使ってて面白い!何より技が、かっこいい!
脳みそを溶かしながら、いつも通りに遊んでいたのですが、その時マッチングで隣に来たのが、フレームアームズガールコラボで登場したスティレットでした。
「そういえばこの子も可愛いし、使いたいキャラなんだよなぁ。待てよ?スティレットもカタナを使うな?ふむ・・・・・・」
という感じで、気が付いた時にはこのSSの構想ができていました。
ほな、書くしかないか。
しかしスティレット関連の二次創作のダブルポイントキャンペーンなるものの期限が、その日の二日後、すなわち、今日。
おいおい、間に合うのか、これ。
正直ぎりぎりでした。
それでもなんとか、書き上げることができました。
とはいえ上記のように突貫で書き殴り、推敲もさらっとしかできていませんので、いつも以上に話の運びや言葉選びが甘いところがありそうで、そこが少し残念と言えば残念。
でも、勢いで書ききったこの経験はきっと、後に大きな財産となるでしょう。
なんて、長々と蛇足を連ねてしまいましたが、稚拙な文にお付き合いいただき、かつほんの少しでも楽しんでいただけたのなら幸いです。
それでは、次の作品でお会いしましょう。