カリンちゃんを魔改造しました。
キャラ改変が苦手な方はブラウザバックです。

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執筆の息抜きに執筆しました
終始エレン視点で話が進みます


生意気カリンちゃん

 

 

 

 

 

あたしには同僚がいる。名前はカリン・ウィクス。

 

緑髪のツインテールの女の子で、あたしと同じヴィクトリア家政のメイドとして働いてる。

 

そんなカリンちゃんに、今現在あたしは頭を悩ませている。

 

 

 

 

なぜならあの子は──めちゃくちゃに生意気だからだ。

 

 

『……カリンちゃん。冷蔵庫にあったいちごプリン知らない?』

 

『あ、それならカリンのお腹の中ですよ〜』

 

『お腹の中ですよ〜じゃないよ。何勝手に食べてくれてんの?』

 

『だってエレンさん寝てましたもん……それに食べられたくなければお名前でも書いたらいいんじゃないんですか〜? "えれんじょー"って──いひゃひゃひゃ!! ごめんなひゃい、ほっへはをひっはらないくだひゃい〜!!』

 

 

これは先週のやり取りだ。

 

勝手に人の物を食べた癖に、問い詰められたら開き直る。

 

ほっぺを引っ張ったら呆気なく降参した。

 

 

『あれ? エレンさん寝ちゃうんですか? もし寝ちゃったらエレンさんの大事なフルーツゼリー食べちゃいますよ〜?』

 

 

挙句の果てには犯行予告までしてくる始末。

 

そんなことを言われた日にはおちおち眠りにつく事もできない。

 

でも結局眠気には勝てずに夢の中。

 

そしてゼリーはカリンちゃんの腹の中。バカか。

 

 

 

 

 

 

これだけじゃない。前にあたしが任務でちょっとした凡ミスをした時も──

 

 

『あれ〜? エレンさんどうしちゃったんですかぁ? そんな様子じゃいつか"駄メイド"って──いひゃひゃひゃ!! しゅいましぇんしゅいましぇん!!』

 

 

ここぞとばかりに煽ってくる。ちょっとお仕置きしたらすぐ謝って来る割に、全く懲りてる様子がない。

 

こないだ一緒にビデオ屋の店長の手伝いをした時なんか──

 

 

『助かったよエレン、カリン。お陰で荷物運びがだいぶ楽になった』

 

『……別に。これくらいなんとも』

 

『…………』

 

『……なに、カリンちゃん』

 

『エレンさんって、プロキシ様とお話する時だけ声のトーンが数段階ぐらい上がってるようなむむむむむむむ

 

『ちょ、エレン!?』

 

 

普通そんなこと言うか? 本人アキラの前で! あの時はさすがにいつになくキツめのお仕置きをする他なかった。

 

こねにこねまくったカリンちゃんのほっぺたはすっかり真っ赤になってた。いちご大福みたいに。

 

 

『うう……私先輩なのに……』

 

 

先輩だからなんだ。こっちは年上だっつーの。

 

そりゃ確かにこの子の言う通り、メイド歴で言えばカリンちゃんの方が先輩だ。

 

ただ、年上なのは(多分)あたしの方。年上にナメた態度を取るとどうなるかは、きちんと分からせる必要がある。

 

 

 

 

 

 

 

カリンちゃんをカリンちゃんたらしめているのはこれだけじゃない。もう一つのあの子の特徴。それははち切れんばかりの自尊心だ。

 

カリンちゃんは日頃から自分を『完全無欠スーパーメイド』と自称している。

 

まあ、"スーパーメイド"って点についてはあたしは特に何も言わない……というか言えなかった。

 

普段の仕事でも、ホロウでの仕事でも、カリンちゃんが何かしらミスしてるのは見たことがない。

 

上司であるボスやリナでも、『カリンの仕事ぶりには一目置かざるを得ない』って評価してるぐらいだ。

 

 

確かにスーパーメイドかもしれない。ただ、"完全無欠"って点についてはあたしは異議を唱えたい。

 

本当に完全無欠ならあたしを煽ったりなんてしないはずでしょ普通。バイト先のメイド喫茶にも冷やかしに来るし。暇か?

 

普通なら嫌われてもおかしくないカリンちゃんの傲慢っぷりだけど、そうならない理由ってのもちゃんとある。

 

さっきも言った通り、カリンちゃんは業務に関してはあたしの目から見てもかなり優秀だ。

 

メイドとしての作法はしっかりしてるし、依頼人に対しても真摯な態度で接する事が出来る。武器であるチェーンソーの手入れもしっかり欠かさない。

 

 

それにカリンちゃんは、自分を隠すような真似をしない。

 

 

『──以上が任務の内容です。くれぐれも油断のないように』

 

『楽勝ですね〜! そんな任務、この完全無欠スーパーメイドカリンちゃんがぱぱっと終わらせちゃいますよぉ〜!!』

 

『……カリン、油断のないように』

 

 

ボスやリナの前でも、プロキシの前でも、その自信たっぷりな態度は崩さない。その良くも悪くも裏表のない性格が、周りから一定の信頼を置いているのかもしれない。

 

猫を被ってない、って言うのかな。カリンちゃんのそんな所は、あたしも気に入っている。

 

 

『エレンさんの "え" は〜エイの煮こごりの "え" 〜!!』

 

 

……訂正する。やっぱりあたしに対してだけ生意気っぷりに磨きがかかってる気がするんだけど?

 

普段からこんな小学生みたいな煽りしてないよね?やっぱあたしにだけだよねこれ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それともう一つ、カリンちゃんは自分の可愛さにアホみたいに自信を持っている。

 

先週か先々週、六分街でカリンちゃんが大男二人にナンパされているのを見かけた。

 

あたしが睨みをきかせたおかげでそいつらは逃げてったけど……その時のカリンちゃんはいつになく静かな感じだった。

 

 

『エレンさん……カリン、自分のことを完全無欠スーパーメイドだと思ってたんですけど……』

 

『うん』

 

『今日、そんな私にも一つ弱点がある事に気が付いちゃいました』

 

『…………へぇ』

 

 

珍しい。あの口を開けば自画自賛かあたしへの煽りしかないカリンちゃんがそんなネガティブなことを口にするなんて。

 

 

『カリンがあまりにも可愛すぎて、家事代行の業務に支障をきたす可能性が出てきちゃいました……! どうしましょう、エレンさん……!』

 

『いちご大福あげるからもう黙っててね』

 

 

めちゃくちゃ平常運転だった。少しでも心配したあたしがバカだった。

 

思えばご主人様の娘の護衛の為に、学生に扮する事になった時もそうだ。

 

 

『私が学生になんかなったら、一躍クラスのマドンナになってしまって、お嬢様の護衛どころじゃなくなっちゃいます……』

 

 

本当に不思議でならない。その湧き出る自信はどこから来るの?

 

こんな感じでカリンちゃんへの好感度は上がったり下がったりの繰り返しだ。

 

正直言って疲れる。ただでさえこっちはエネルギー消費の激しい体質だってのに……

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

「エレン、大丈夫かい……?」

 

「あたしより自分の心配しなよ。こっちは平気だからさ」

 

 

とある日の事。プロキシ達と一緒にホロウを進んでいる時に、事故は起こった。

 

今日、リンの方はボンプと感覚同期、アキラの方は生身の状態でホロウへと入っていた。

 

いつもやってるようにエーテリアスを片付けていくと、アキラの背後に別のエーテリアスが迫っているのに気がついた。

 

あたしがとっさにアキラを引っ張ったお陰で、怪我自体はせずに済んだ……けど、その瞬間別の災難が降り掛かってきた。

 

誰かが仕組んだのかってぐらい完璧なタイミングですぐ近くにエーテルの裂け目が出てきて、体勢を立て直す暇もなく、あたしとアキラはその裂け目に吸い込まれていった。

 

そしてもっと面倒なことに、その裂け目の先に大量のエーテリアスが湧いて出てきて、あっという間にあたし達を囲い込んでしまった。

 

大量にいるとはいえ、この程度の雑魚ならあたし一人だけでわけなく片付ける事が出来る。けど、傍にアキラがいる今の状況ではちょっと勝手が違ってくる。

 

 

「……アキラ、あたしの後ろに。絶対離れないで」

 

「わ、分かったよ」

 

 

アキラをかばいながら周りの大量のエーテリアスの相手をするのは……ちょっと骨が折れるかも。

 

……いや、無理にコイツらを倒すことはしない。アキラが怪我さえしなければ良い。

 

要はボス達がここに来るまでの時間稼ぎだ。あたしは口に入れていた飴を噛み砕いて、右手の大バサミを構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時だった。

 

 

ギャリギャリギャリギャリ!!

 

 

「……? エレン、なにか聞こえないかい?」

 

「え……?」

 

 

ギャリギャリギャリギャリ!!

 

 

耳をすませてみれば、確かに何かの音が遠くから聞こえてきた。この音は……聞き覚えがある。

 

具体的に言えば、チェーンソーの刃が地面を引っ掻く音。その音はどんどん大きくなっていく。

 

 

 

……誰が来たのか、分かったかもしんない。

 

 

 

ギャリギャリギャリギャリ!!

 

 

「完全無欠スーパーメイドカリンちゃん、参上ぉぉぉ〜!!」

 

 

「カリン!? なんだいソレ!?」

 

 

音がした方から、カリンちゃんが猛スピードでこっちへと向かってくる。

 

その姿を見てアキラはすごく驚いた。うん、まあ当然っちゃ当然だよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だってカリンちゃん、チェーンソーに乗ってきたんだから。

 

 

「お掃除の時間ですよ〜! カリンがぜーんぶ綺麗にしちゃいますよ〜!!」

 

 

カリンちゃんは駆動するチェーンソーの刃をタイヤ代わりに、まるでセグウェイみたいに運転してエーテリアスを片付けていく。

 

チェーンソーを運転するって言葉、よくよく考えたらヤバいよね。でも、目の前のこの光景を表すにはその言葉以外ピッタリなものがない。

 

いやホントどうやって動かしてんのソレ? 見るのこれで三回目だけど全然原理が分からない。

 

 

そんな疑問をよそにカリンちゃんは数十秒足らずでエーテリアスを片付けてしまった。

 

 

「よいしょっ……と」

 

 

カリンちゃんはチェーンソーから降りてこっちに歩いてくる。

 

……ちょっと癪だけど、カリンちゃんのおかげで助かった。お礼は言わなきゃね。

 

 

「カリンちゃギャリギャリギャリギャリ!!とう」

 

「はい? なんですかぁ?」

 

「いやだからギャリギャリギャリギャリ!!とうって」

 

「なんですかぁ〜?」

 

 

「チェーンソーを止めろって言ってんの!!」

 

「あいたぁ!?」

 

 

いつまでもギャリギャリうるさいんだけど? 割とキツめのチョップをカリンちゃんの頭にお見舞いしたあたしは悪くないはず。

 

 

「見ましたかプロキシ様!? せっかくカリンが助けに来たのにこの仕打ち! エレンさんの鬼! 鮫!」

 

「どう見てもアンタが悪いでしょ。ていうかさっきチェーンソー止めなかったのわざとでしょ!」

 

「あはは……でも、助かったよカリン。エレンもありがとう」

 

「へへん、完全無欠スーパーメイドならこんなの朝飯前ですよ!」

 

 

カリンちゃんはそう言うと、どこからか救急箱を取り出した。

 

 

「プロキシ様、お怪我はしていませんか? もしどこか痛いところがあったらカリンに言ってくださいね?」

 

「僕は大丈夫だよカリン。二人のおかげで無傷さ」

 

「それは何よりです。エレンさんも、どこも怪我はしてませんか?」

 

 

ちゃんとあたしのことも気にかけてくれてる。こーいうとこは憎めない。

 

 

「おぶるのは嫌なので、怪我してたらちゃんと言ってくださいね? エレンさんは(尾びれのせいで)重いんですから」

 

 

好感度のプラマイ管理どうなってんの? 上がった分だけしっかり下げないで欲しい。ていうか今カッコの中わざと省略したよね?

 

 

「お兄ちゃーん!!」

 

「あ、リンの声だ」

 

 

ボンプ姿のリンがトテトテと走ってくる。ボスとリナも一緒だ。

 

とりあえずは何事もなくて良かった。

 

それにしても、今日はいつになく疲れた。帰ったらソッコーで寝よう。

 

冷蔵庫の中のコーヒーゼリーは……まあ、いいか。食べられちゃっても。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………む」

 

「あ、エレンさん!」

 

 

重い瞼を開けると、カリンちゃんがオドオドした様子でこっちを覗き込んでた。

 

 

「お、起きたんですね! よく眠れましたか……?」

 

「……?」

 

「……あの、どうかしましたか……?」

 

「……いや、なんでも」

 

 

変だな。いつものカリンちゃんはこんな感じじゃなくて、もっとこう、生意気な感じだったはず────あ、そっか。

 

 

 

 

 

 

 

さっきまでの、夢か。

 

こっちが本当のカリンちゃん。今までいた生意気カリンちゃんは夢の中の存在。

 

そういえばそうだった。今目の前にいるのが、いつものカリンちゃんなんだ。

 

……夢の中のとはまるで正反対だな、コレ。

 

 

「あ、あの……エレンさん」

 

「うん? どしたの?」

 

「さっき、141でいちご大福を買ってきたんです。でも、一個しか売ってなくて……よ、良かったら半分こして一緒に食べませんか?」

 

 

……うん。これぞカリンちゃんって感じ。

 

気弱で、ドジっ子で、ネガティブだけど、とても優しいカリンちゃん。

 

生意気カリンちゃんなら、そもそもこんなこと聞かずに食べちゃうんだろうな。

 

そんなことを思いながら、カリンちゃんが分けてくれた半分のいちご大福を口に入れる。

 

 

「……おいしいね」

 

「そ、そうですね! やっぱりいちご大福、いつ食べてもおいしいです……!」

 

「……ね、カリンちゃん」

 

「? どうしましたか?」

 

「冷蔵庫のコーヒーゼリー、食べてないよね?」

 

「た、食べるわけないじゃないですか!?」

 

「冗談だって」

 

 

今、隣でいちご大福を頬張ってるカリンちゃんと、夢の中の生意気カリンちゃん。

 

どっちがいいかって言われたら断然前者だけど……

 

 

後者のほうもまあ、悪くはないかな。




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