気がつけばモブハンターになってた。   作:ドーモ。ギルドナイト=サン。

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しばらくは更新が止まると思います……!つビヨンド


19話

 

 

 ウチケシの実を採ったあと、無事に崖から降りて古代樹の森の中から抜けた俺は、海岸が見えるエリア4まで戻ってきていた。

 遠くの方でケストドン達がくつろいでいるのが見える。

 

 ……ちなみに、道中に居たスタミナライチュウは姿を消していた。

 逃げたのか、はたまた誰かに食われたのか……なんにせよ、俺が食べる事にならなくて良かった。

 正直、まだ虫を食う勇気は無い。

 

 

「……日暮れ前に森から出れてよかったな。太陽の位置的にも、まだ探索を続けられそうだ」

 

 

 空を見れば、少し傾き始めている太陽が眩しい。

 先程まで森の中にずっといたからか、太陽の存在感がいつもより増している気がするな。日差しが暖かい。

 まだ時間がありそうだし、引き続き採取をしに行こう。

 今欲しいものは、売値の高い採取アイテムと……あと、アイテムポーチを圧迫しているアオキノコを無駄にしない為に、アオキノコと〈調合〉できる素材が欲しい。

 

 

「となると、やはりここは〈薬草〉が欲しいな……!」

 

 

 〈薬草〉は、その名前の通り薬効成分を含める植物の事で、ゲームだとフィールドのそこら中に生えている。

 薬草を口に含めば体力を微量に回復する事ができるほか、より能力が高い〈回復薬〉を作る材料にもなる。

 ハンター達にとって薬草や回復薬などの回復アイテムは、モンスターを討伐する上でまず用意する基本的なものであり、それ故にとても重要な物とも言える。

 

 ちなみに、回復薬と〈ハチミツ〉を調合すれば、更に回復力の高い〈回復薬グレート〉が作れる。

 しかし、今の俺にはモンハン世界のクソデカい蜂の巣をつつく度胸も、ハチミツを保管する容器も無いので回復薬グレートを作る事はできない。

 ……まぁ、ハンターとして成り上がるならいずれ作る事になるだろう。

 

 

「採取目標は、売値が付く物と薬草か…………あれ、近くにあるな」

 

 

 そんなに都合の良い採取ポイントがあるかとゲームの記憶を辿っていたら、すぐ近くにある事に気がついた。

  ……なんなら、昨日行った場所であった。

 今日、森に入った事で視野が広がったから気がつけたのだろう。そう思いたい。

 

 

「えぇい、とりあえず走るか……!」

 

 

 良い場所を思い出した嬉しさと、昨日そのまま見過ごした悔しさの2つの感情に揺れる俺は、考えることを止めて湧き上がる感情をバネに走り出した。

 

 

 ◆

 

 

 エリア3に到着したと同時に、柔らかい草むらに身を隠す。

 ……道中、地面を這ったような痕跡を見つけた事もあって、より周囲の警戒を行う。

 

 

「…………」

 

 

 ……幸いな事に、大型モンスターは近くにはいなさそうだ。なによりの証拠に相変わらず環境生物が、そこらかしこでくつろいでいるからな。

 以前も思ったが、こいつら人に慣れすぎじゃないか?

 

 

「まぁ……何はともあれ、これなら安全に採取ができるな」

 

 

 昨日は鉱石と骨塚ばかりに気を取られていたが、このエリア3には薬草の他に、先ほど森の中で採ったウチケシの実まである。

 鉱石の採取ポイントもあるし、駆け出しにとっては意外と採取する物が多いエリアだったようだ。

 

 

「確か……ウチケシの実は木の麓にあったはず」

 

 

 草むらから実を出して、密集しているヤシの木の足元まで行くと……あっさりと青く実ったウチケシの実を発見した。

 また大きく実っている2つだけを採取してサブポーチに入れる。先ほど森の中を駆け回って採った苦労は何だったのか……。

 

 

「で、次は薬草だな」

 

 

 たしか、鉱石の採取ポイントの手前側にある、大岩の側で薬草が生えてる筈だ。

 こちらも、それらしいものがあっさりと見つかったが…………一つ問題が発覚した。

 

 

「これが薬草……?どう見ても巨大なシロツメグサとしか思えねぇ……」

 

 

 ゲームで薬草が生えていたであろう場所には……元いた世界で見た巨大なシロツメグサのような植物が生えていた。そして、俺はそれを薬草だとは思えなかったのだ。

 薬効があるような有り難みの強い外見じゃ無いからかな……?

 

 確か、ゲームでもシロツメグサに似た形をしていたのは覚えている。

 でも、〈ツタの葉〉も全く同じ外見だった筈だ。

 〈ツタの葉〉と薬草に何かしらの関係があるのかも知れないが、ゲームのメタ的な理由で外見を使い回しにしている可能性もあるのだ。

 

 

「気にしすぎるとキリがなさそうだが…………う〜ん」

 

 

 薬草はこの巨大シロツメグサなのか、それともその近くにある他の草なのか、はたまたゲームではメタ的な理由からシロツメグサの外見だっただけの可能性もある。

 木の実やキノコなどで分かりやすい外見ならともかく、ただの草となると……採取の知識などかけらも無い俺には、分別する力など無かった。

 …………って、ちょっと待て。

 

 

「もし、仮にこれが薬草だとして。俺はどの部位を採取すればいいのか。それが分からない…………」

 

 

 ―――それって不味くね??

 この草が薬草だったとして、薬効成分がある部位は葉なのか茎なのか、根っこなのか。元いた世界の薬効がある植物でさえ、部位によっては効果が全然違うのだ。

 それが分からないのは、採取するしない以前の問題だ。

 

 

「今気づいたが……これは、大問題だな」

 

 

 アイテムの見分けが付かない。もし付いたとしても、どの部位を採取するか分からないなんて……ハンターとしては致命的すぎる。

 思えば俺はずっと、探索で採取しているアイテムが何なのかを正確に把握できていないのだ。

 今後もそれではマズイだろう……これは、早急に改善が必要だな。

 

 

「結局、答えは出ないが…………一応この薬草(仮)の採取をしておくか」

 

 

 とりあえず、上の方にある茎と葉を千切ってサブポーチに突っ込んでおく。

 これで拠点に帰って調べたら、ただの雑草だったってオチなら笑ってしまおう。

 

 今思えば、アオキノコも実は似たような毒性のキノコだったりする可能性もあるのか。間違えて食べたキノコなんて洒落にならないぞ。

 アイテムを調合するのは、採った素材を調べてからにしよう……。

 あぁ、この問題に早めに気がつけて良かった……。

 

 

「拠点に帰ったら、アイテム図鑑的な物を探してみよう」

 

 

 新大陸にいるハンターの中で知識も装備も足りず、出遅れている現状だが……焦ることはない。

 1つ1つ積み上げていけば良い、ゲームの知識もある事だし。

 確実に成長していけば、そのうち同期のハンターくらいなら一気に追い越せるだろう。"青い星"は知らん。

 

 

「ひとまず、採取の続きでもしますかね」

 

 

 次は昨日と同じく鉱石を採取しに行こう。

 俺は岩のアーチをくぐり、エリア3の南にある見晴らしのいい崖上まで移動する。

 広大な海が視界に広がり、水平線から風が運ばれてくるのを肌で感じる。ここは相変わらずの絶景だな。

 

 

「さーて、鉱石を採取するぞ…………って、あれ」

 

 

 俺は意気揚々と昨日掘った大岩のひび割れを覗き込むが……中で光を反射するものは何も見えなかった。

 薄々考えてはいたが……やはり一度採った採取ポイントにはアイテムが再出現しないらしい。

 鉱石だけでなく、骨塚もそうなんだろう。

 

 いや、現実的に考えたら当たり前のことなんだが……モンハン世界だしワンチャンあるかと考えていた。

 やはりここがゲームのようなシステムチックな世界では無い、現実なのだと実感させられる。

 

 

「素材アイテムが簡単に取れないって事は、手元にある鉱石と骨の希少性が一気に高まるぞ……!?」

 

 

 今後の武具の強化のために使う素材アイテムを売ると、ゲームのように気軽に取れなくなってくる可能性が高い。

 ハンターとして成り上がるためには武具の強化は必須だ。その時になって素材を売っていたりしたら、めちゃくちゃ後悔する事だろう。これはゲームでも同じ事だった。

 

 

「それにアイテム採取に限りがあるなら、zを貯める手段を増やさないと」

 

 

 既にアイテムが再出現することが前提であった、採取した素材を売る金策が破綻しているのだ。

 スリンガーや導虫かご、ランタンや武具を揃える為の貯蓄どころか、自分の生活費すらまともに稼げるか怪しくなっている。

 現状だと、武具の強化の為に素材を残す事もできそうに無い。

 

 ……急に訪れた深刻な問題に、1つだけ解決策があるのは理解している。

 しかしそれは、モンスターの恐怖を知ってから他の手段で解決しようと、遠ざけた方法でもあった。

 

  

「やっぱり、クエストを受けるしか無いか」

 

 

 クエストを受けて達成すれば、報酬金が貰える。

 採取クエストなら、報酬金は安くなるものの戦闘せずに達成できる。

 討伐クエストであれば、倒したモンスターの素材を売ればそのまま金策にもなるだろう。

 少なくとも、このまま採取で金策を行うよりはよっぽど稼げる事に違いない。

 

 

 ……だが当然、報酬が多いということはそれだけ達成する難易度が高いということ。

 例えば、採取クエストのターゲットがモンスターの卵だったりすればモンスターとの戦闘を避けることは難しい。

 今の俺だと、小型モンスターとの戦闘でさえ常に危険と隣り合わせだろうし、報酬額に目を奪われて安易にクエストに挑めば失敗する可能性の方が高い。

 

 

「今の状態でクエストを失敗したら、本当に詰みだな」

 

 

 モンスターと戦闘するなら、回復薬をはじめとして様々なアイテムが必要になってくる。

 半端な準備でクエストに向かい失敗でもすれば……準備に使った金額とクエスト受注時の契約金が引かれて収支はマイナス。更に怪我でもすれば、医療費もそこに加算される事ことだろう。

 武具のメンテナンスにもzが必要だろうし……ハンターが如何に金食い虫なのかがよく分かる。

 

 

「最低限、クエストを成功させる為にアイテムを揃えないと……」

 

 

 のんびりとしている場合では無かった。

 ……いや、のんびりしている気は無かったのだが、今の現状にもっと危機感を持たないとならないのは確かだった。

 

 俺はどうやら、ハンターとしての崖っぷちに立っているらしい。

 そして、そこから抜け出すにはクエスト達成が必要になってくる。

 その為に揃える物は多岐にわたる。調合アイテムに採取道具、夜まで時間がかかる時のためにランタンも、討伐なら装備の更新も重要になってくる。

 

 ……せっかくモンハン世界に来たってのに、このままフェードアウトしていくなんてのは勘弁したいからな。何より、この体の持ち主に対して面目立たないだろう。

 今からでも、クエスト達成の為に準備を始めた方がいい。

 

 

「ポーチにはまだ空きがあるし、回復薬の素材でも確保しに行こうかな」

 

 

 今から日暮れまでに移動できる範囲は限られている。

 次はエリア1を目指そう。

 そこには薬草が3箇所ほど生えていたはずだ。

 見分けは付かないが……この際は薬草(仮)でも良い。本物だったら儲け程度に考えておこう。

 

 

「釣りが出来ればまだ選択の余地はあったんだが……いや、まだ諦めるのは早いか?」

 

 

 エリア11の散々な成果を思い出し釣りは諦めかけていたが、一度の釣り場で釣れなかったからと諦めるのは早計だと思えてきた。

 都合がいい事に、エリア1には魚が集まる池がある。

 そこでもし釣りが成功すれば、少しは金策に余裕が生まれるかもしれない。

 

 誰だって最初はうまく釣れないだろう。それはモンハン世界でも同じの筈だ。

 初心に帰りもう一度魚と向き合えば、きっと魚は釣れる……!

 

 

「薬草(仮)を早めに回収して、残りの時間で釣りをするぜ!」

 

 

 魚釣りにテンションが上がったまま、俺はエリア1へ向かい移動を始める。

 待っていてくれ、モンハン世界の魚達。

 俺が必ず釣ってあげるからな!

 

 

 ◆

 

 

 エリア1へと辿り着いた俺は、しかし薬草(仮)のある場所や釣り場に向かう事もなく、草陰に隠れて動かずにいた。

 いつものように大型モンスターがいないか周囲を観察していたら……エリア1の広場の水辺の近くで異常を発見したからだ。

 

 

「なんでエリア1にも、ケストドンがいるんだ……!」

 

 

 エリア1の中央、緩やかに水が流れるのどかな広場。

 本来であれば、ここにはアプトノスの群れだけがくつろいでいるはず。昨日そうだったように。

 

 だが今は、そのアプトノスの群れに混じって小型モンスターのケストドンの群れも存在していた。

 本来なら奴らの生息域はエリア4の海岸と、古代樹の森の中の筈なので、こうして縄張りから離れてエリア1に来ているのは異常な事だったりする。

 

 クルルヤックによる北東キャンプの襲撃といい、エリア1のケストドンといい、生息域の変化なんて余程のことがない限り起こらないはずだが……。

 ――そういえば最近、新大陸にド級の生物が上陸していたな。

 

 

「そうか、ゾラ・マグダラオスによる影響か……!」

 

 

 この状況の原因は、火山を背負う龍の仕業だろう。

 あのバケモノがモンスターの縄張りを無視して古代樹の森を突っ切ったせいで、生態系に変化が訪れて一部のモンスターは住処を追われたのかもしれない。

 有象無象の事など知らぬとばかりに、自身が通った後に焼け野原を形成していく〈超大型モンスター〉ゾラ・マグダラオス。

 正に歩く災害……流石は古龍と言ったところか。

 

 

 ……っていうかこの状況、ゲームのストーリーとほぼ同じなんじゃないか?

 確かゲームで、主人公である"空から来た五期団"が生態系に変化が無いか調査を命令されて、"調査班リーダー"と一緒に活発化したケストドンの狩猟を行った記憶がある。

 この世界がゲームのストーリーに沿って動いていると考えれば、エリア1にケストドンがいるのも納得はできる。

 

 

「どのみち、これじゃ採取は出来ないな。今日はもう探索は切り上げて帰るか」

 

 

 俺はケストドンがエリア1に陣取っているため、採取と釣りを諦めてアステラに帰ることにした。

 ……ケストドンは小型モンスターの中でも比較的大人しい方だが、群れに近づき過ぎれば外敵とみなされて容赦なく襲いかかってくる。

 

 大きく硬い頭殻で突撃してくる攻撃は、ゲームでもハンターを吹っ飛ばす程の力を持っている。

 当たればひとたまりも無いだろうし、何より折角採取した素材達が破損する可能性もある。

 そんな危険を犯してまで採取しようとは思わないが……しかし、探索がこんなに早く終わるとはな。

 

 

「むしろ……早めに帰れて良かったかもな、調べることも多いし」

 

 

 草むらの中を移動して、アステラへ向かい歩き始める。

 帰ってもやる事は山積みだろうし、早めに切り上げて良かったのかもしれない。

 素材の判別するためのアイテム図鑑的なのを探したり、装備や生活必需品の購入したり、防具のメンテナンスを……ってあれ、思っていたよりやる事が多いぞ。

 

 

「…………あっ、そういえばこの痕跡もそうなのか」

 

 

 エリア3を歩いて帰っている最中、地面に見つけたモンスターの這いずり後の痕跡を見てふと考える。

 ゲームだと、ケストドンの調査を終えた"空から来た五期団"は、突然現れたドスジャグラスの狩猟をターゲットとした、〈任務クエスト〉を行う事になる。

 

 この世界に主人公がいるなら……今この瞬間にも、ドスジャグラスと戦闘していたりするのだろうか。

 今の俺だと挑むことすら無謀と思える相手だけど、当たり前のように戦えて、そして当たり前のように勝つんだろう。

 俺はケストドンすら倒せると思えないのに……。

 

 

「知ってる物語が、知らないうちに進んで行くな……はぁ、疎外感がすげぇや」

 

 

 まだ見ぬ主人公と自分の差にため息が出る。

 同じ古代樹の森にいて、同じ時間を過ごしているだろう"青い星"が、どこか遠い存在に思えてならないからだ。

 …………ゲームに登場すらしないモブハンターって、こんな気持ちだったのかなぁ。

 

 

 





〜今回の探索の成果!〜

鉄鉱石(小さい)×2
ライトクリスタル(小さい)×1
竜骨【小】×5
太古の太骨×1
アオキノコ×1
薬草×2
忍耐の種×2
ウチケシの実×4

今後もこの作品をよろしくお願いします。

恋愛要素は要りますか?(物語の結末が変化します)

  • いらない
  • いる
  • めっちゃいる(ハーレム)
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