とある佐天の天与呪縛(フィジカルギフテッド)   作:凡の人間

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「よく眠ってるね」

 

あの後、春上さんを病院に送り届けて検査をしてもらった。異常がないってことで初春の寮ですやすやと眠っている。

 

「わざわざ付き合ってもらってすみませんでした」

 

「気にしない気にしない。別にアンタのせいじゃないんだし。それにあんたのルームメイトは私の親友候補だからね。」

 

「なんだか今日は佐天さんにお世話になりっぱなしでした」

 

「今日もでしょ」

 

すると初春は頬をぷくっと膨らませる。かわいい。指でつつきたい。

 

「それにしてもびっくりだよね、地震のこと何も覚えてないなんて」

 

「ええ、病院の人が言った通り軽いショック状態だと思いますけど」

 

「怖かったもんね」

 

あの揺れにはびっくりした。地震でショックを受けるのも仕方ないと思うぐらいに。

 

さて、もう遅いので私も家に帰るとしますか。なんか疲れちゃったし。立ち上がって玄関に向かうと、初春が見送ってくれる。

 

「とんだ花火大会になったけどみんな無事でよかった。春上さんのこと頼んだよ。」

 

「任せといてください!あと佐天さん、ありがとうございました。」

 

初春の言葉に私の口元が少し綻んだ。

 

翌日、風紀委員177支部に遊びに行った。いやまあ本来遊びに行くようなところじゃないんだけどね。初春いるかなーって思ってきたけど、いなかった。

 

ん、電話だ。

 

「え、自然公園!?」

 

春上さんと二人で?ずるい!私も誘ってほしかったんですけど。

 

「はあ、はあ、たまにはマイナスイオンを吸うのもいいかなって」

 

「ていうか吸いすぎじゃない?息荒いよ?」

 

「荒いですか?最近体鍛え始めたんですけど……はぁ……はぁ……まだ全然ってことですかね……はぁ……」

 

 

 

うーん、せっかく来たのに。

 

「なんか気が引けるわね」

 

御坂さんと白井さんが神妙な顔つきでパソコンに向かっている。

 

「何してるんですか」

 

「いや、これは……」

 

「佐天さんだけ知らないってわけにもいかないでしょ、私だって風紀委員じゃないし…ね、黒子。」

 

「あーーそうですわね。すみません佐天さん、一緒に見ても大丈夫ですの。」

 

どうやら二人だけの秘密にしたかったみたいだ。正直聞き耳立てれば内容は理解できるし問題ないけど、二人に距離を取られずに内容知れるのはとてもうれしい。

 

御坂さんが能力を使ってハッキングを始めるするとたくさんのデータが表示し始めて最後に春上さんの情報が出た。

 

「でたわ」

 

「能力は精神感応(テレパシー)。」

 

「でもレベル2ってことはまだ実用の域にない。よかったー。私たちの勘違いで!」

 

こわばった表情から緩んで、安心する御坂さん。けど私は安心できなかった。その理由はプロフィール下の特記事項の内容にある。

 

「けど二人とも…これ」

 

特定波長下においては、例外的にレベル以上の能力を発揮する場合がある。

 

二人の顔を見ると渋い顔をしている。きっと私も同じ顔してる。

 

正直これは春上さんは……いやまって、私初春の友達を疑ってる!?春上さんに限ってそんなことあるはずがない。けどこの特記事項、花火大会での出来事、春上さんの19学区でのポルターガイストが発生していたこと……違うと言い切れないことがいくつもある。この何とも言えない事態に私の中がもやもやでいっぱいになった。

 

「ね、ねえお腹すいたしご飯食べない?」

 

御坂さんの急な提案、それに私は……

 

「そ、そうしましょう!」

 

乗った。というか乗るしかなかった。このままだとずっと不安で動けないし。

 

三人で昼食を終えて三人で雑談をしていた。春上さんの事も含めて。突然固法先輩が声を荒げた。

 

「第21学区、自然公園……で、大規模なポルターガイスト発生!?」

 

「え、自然公園って初春たちがいるところじゃ……。」

 

「「え!?」」

 

私たちは自然公園……ではなく初春が運ばれた病院に向かった。病院に着くと初春がいた。大きなけががなさそうで安心したよ、初春。

 

「心配したんですのよ、まったく」

 

「まさか2回もポルターガイストにあうなんて思いませんでしたよ」

 

「あれ、春上さんは一緒じゃないの?」

 

「先に搬送されたんでたぶんどこかに……あ、大丈夫です。大きなけがはありませんよ。ただ気を失っちゃって。」

 

白井さんと御坂さんが目を合わせた。

 

「初春、ポルターガイストの直前、春上さんに何か変わったことは?」

 

いきなりぶっこむ白井さん。だけどこれは私も、御坂さんも聞きたかったことだ。

 

「へ?」

 

「ですからこの前の花火大会のような……」

 

「あの、いったいなんの」

 

「わたくしが調べたところ、春上さんはちょっと変わったテレパスですの。もしあの時のような不審な挙動が見られたとしたら。」

 

「なんで、なんでそんなことを調べたんですか?」

 

初春の言葉には確かな怒りの感情が入っていた。いつもとはちがう目線を私たちに向ける。

 

「白井さん、春上さんを疑ってるんですか?」

 

「そ、それは」

 

「ひどいです白井さん。春上さんは転校してきたばかりで、私たちを頼りにしてるのにそれなのに。」

 

初春の怒りはもっともだ。友達が事件の原因だと疑われているのはすごく嫌な気分だろう。私たちもやりたくてやっているわけじゃない。

 

「どうどう初春、落ち着いて。」

 

「これが落ち着いていられますか!」

 

「まず感情を抑えないと話ができないじゃん?だからまずは深呼吸よ。」

 

「っっ!……すーはー……すみません、取り乱しました。」

 

深呼吸をして落ち着きを取り戻す初春。

 

「テレパスがAIM拡散力場の干渉者になる可能性は、なくはないわ」

 

振り返った先にいたのは、花火大会の時にいたMARの女性だった。

 

「テレスティーナさん!?」

 

白井さんの知り合いみたいだ。ほかの人に指示を出しているから恐らく偉い人なんだろう。

 

「少なくともレベル4以上の実力が必要だし、よほど希少な能力と言わざるを得ない。レベル2にその可能性はほとんどないと思うけど?」

 

安心したのかふぅっと息を吐いた初春。

 

「念のため検査しておくわ。お友達の名前は?」

 

「春上衿衣さんですの」

 

何のまよいもなく白井さんは友人の名前を口にした。

 

「白井さん!」

 

「まあまあ初春」

 

「被災者を一人、研究所に送る。表に車を出して。」

 

「あの、テレスティーナさん!」

 

「潔白を証明するためだと思いなさい、それと病院ではお静かに。」

 

 

 

 

しばらくした後「春上さんの話はここではなんだから研究所にいらっしゃい」と言われて、私たちは車に乗せられて研究所に向かった。

 

そこに着くと大きな部屋に案内された。そこは研究所ぽい部屋ではなく人形やぬいぐるみがたくさん飾られていた。なんか女の子の部屋みたいだ。

 

「なんか研究所ぽい部屋じゃないですね……すごいセンスっていうか」

 

隣にいた御坂さんはというとかわいいうさぎの人形に、ショーケースを見る子供みたいな目になっていた。喜んでるならいっか。

 

「女がてらに災害救助なんてやってると、こういう純粋なものが好きって意外に思われるのよね。」

 

「え、これって」

 

「そう、私の趣味」

 

意外だ。研究者ってこういうのには興味がないと思ってた。人は見かけによらずっていうのかな。まあでも悪い趣味ってわけでもないしね。今私の隣に一名、すっごいキラキラした目で物色してるし。って御坂さん?持ち帰るのはなしですよ?

 

話を聞くために三人でソファに座る。白井さんは扉の近くに立っている。さっき初春と険悪な感じになってたから隣に座りにくいんだろう。

 

「さて、改めまして、先進救助隊付属研究所所長のテレスティーナです。」

 

「所長!?」

 

いや、上の立場の人だとは思ってたけどまさか所長だなんて

 

「そういえば白井さん以外は名前聞いてなかったわね」

 

「あ、私は御坂美琴です」

 

「もしかして常盤台の?こんなところであのレールガンに会えるなんて」

 

「あ、いえ」

 

やっぱり名前が知られてるんだなぁ。レベル5は伊達じゃないね。

 

あ、次は私か。

 

「柵川中学の佐天涙子です」

 

「御坂さんのお友達ってことはあなたも相当な能力者なのかしら?」

 

「あ、いえ私はレベル0です」

 

「あれ?柵川中学……佐天涙子……その名前どこかで……」

 

「へ?」

 

「ああごめんなさい、何でもないのよ。よろしくね。」

 

「よろしくお願いします。」

 

?なんだったんだろう。

 

「風紀委員177支部の初春飾利です。」

 

「じゃあ白井さんとは」

 

「あの、春上さんは干渉者じゃ、犯人じゃないですよね?」

 

テレスティーナさんを遮るように、前のめりになって初春は質問をする。するとテレスティーナさんはくすりと笑った。

 

「試してみる?」

 

「へ?」

 

テレスティーナさんはポケットから何かを取り出した。あれは、マーブルチョコ?

 

「好きな色は?」

 

「え、何でも好きですけど……しいて言うなら黄色が好きです。」

 

「手を出して」

 

テレスティーナ数回シャカシャカと振った後、初春の上にチョコを落とす。出てきたのは黄色のチョコだった。

 

「あら、幸先いいわね。」

 

「「「「は?」」」」

 

 

 

私たちはテレスティーナさんと研究室に向かった。そこには大きな器械多く並んでいて、研究員の人たちが懸命に数値とにらめっこしていた。

 

「安心して、彼女は干渉者じゃないわ。確かに彼女はレベル2のテレパス。けど受信専門ね。発信はできない。」

 

テレスティーナさんの言葉に初春と御坂さんは安どの表情を浮かべる。けど私と白井さんは……。

 

「でもバンクで登録されたデータでは特定波長下においてはレベル以上の能力を」

 

そう、これは私も引っかかっていたところだ。あの説明文があるから安心できない。

 

「白井さん!」

 

「検査結果を見る限りどうやら相手が限られるということみたいね、その相手だけは、距離や障害物の有無にかかわらず、確実にとらえることができる。どちらにせよ彼女にAIM拡散力場への干渉なんて不可能ね。」

 

「ほら!ほらぁ!」

 

ふむ。受信専門だからポルターガイストは起こせない、か。これなら確かにAIM拡散力場への干渉なんてできない。ただ……

 

「本物の干渉者ってどこにいるんですかね?」

 

そう言うとみんな頭を抱え始めた。あれ、そういえば春上さんって

 

『どこ、どこなの……』

 

何かを探しているみたいだった。あれは干渉者を見失っていたのかな?

 

「春上さんと話してみないとわからないねこれは」

 

 

 

 

私たちは春上さんの病室に入る。春上さんが目を開けると、初春が声をかける。

 

「春上さん」

 

「私、また」

 

「いいんですよ、大丈夫ですから」

 

春上さんは自分の胸に手を当てると、慌て始めた。大事に持っていたペンダントがないことに気づいたからだろう。初春は察してペンダントを差し出す。

 

「はい、大事なものですよね?」

 

「うん、友達との思い出なの」

 

「友達って探してるっていう…」

 

「声がね、聞こえるの」

 

春上さんのテレパスは受信専門。やっぱり本物の干渉者から受信していたのかな?

 

「それってテレパスの?」

 

「たまにだけどね、それ聞いてるとぼーっとしちゃって」

 

「じゃああの時も?」

 

「中に何か入ってるんですか?」

 

春上さんがペンダントを開けると中には写真が入っていた。みんなで覗き込む。中に入っていたのは小さな女の子の写真だ。なんてことない写真。だけど御坂さんだけが驚いた表情をした。

 

枝先絆理(えださきばんり)ちゃんっていうの」

 

「あのときの!?」

 

「絆理ちゃんを知ってるの?」

 

御坂さんの知り合い?でも知り合いってあそこまで驚くのに違和感を感じる。

 

春上さんは重い口を開いた。

 

 

「私もね置き去り(チャイルドエラー)なの。」

 




気づいたら、前回から2か月もたってる!!すまん!!

正直に言いますと忙しかったのもありますが、書く熱がまじでわかなかったんですよね……。

ただ今回原作とほぼ変わってない(というより変えられなかった)けど、久しぶりに書いて楽しかったです。

それで次は早く出せる!!とは言い切れませんがまたぼちぼち出していこうと思います。

次回、神にならぬ身?
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