そんな彼女は聖女になれるのだろうか?
聖女
それは誰もが憧れを持つ存在。
彼女達は神に愛されていると言われ、その身に宿す魔力の量も常人より多い。
そして何より、神の声を聞く事ができるのだ。神託が下れば、それは絶対だとされている。
もちろん誰にでもなれるという訳ではない。
聖女に選ばれる者は厳しい修行に耐え抜き、神に選ばれた者のみ、なのである。
修行をしたからと言って簡単に選ばれる訳ではなく、聖女になる事のできなかった者は自暴自棄になってしまう事も多い。
でも、国民を救い国を豊かにするため、神の声を聞く。言わば神の代理人であり最も神に近い存在。
そんな存在に私は密かに憧れを抱いているのだった。
私の名前はリリア・フローレンス。13歳。
何の取り柄もない一般庶民。田舎の村に生まれ小さい頃は村で一番のお転婆と言われていた。
村の人達全員が家族みたいなもので毎日畑仕事や家畜の世話に追われている。そんな環境で育ち、物心がついた頃には親や他の人の手伝いをして日々を過ごしていた。
娯楽というものはほとんどなくて、同じ年の子達と一緒に追いかけっこをして遊ぶくらい。
こんな日々も悪くはなかったけど。
なぜ、こんな私が聖女様に憧れを持つ事になったのか。
それは、私が高熱を出して倒れてしまった時の事。
お父さんやお母さんは優しく看病してくれたものの熱は一向に下がらなかった。
苦しい。熱い。このまま私は死んじゃうのではないかと思って涙を流していた。
「医者を呼べ!」
「でも、医者は隣の村にしかいない!呼ぶにしても数日はかかるぞ!」
「だったらどうすれば?!このままだとリリアは・・・」
意識が朦朧としていても、お父さんや村の人達の声は聞こえた。
そうか、私もう駄目なんだ。
苦しいまま意識が薄れていくのが分かった。
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・?
あれ?もう苦しく、ない。それに身体が軽い。
そう感じながらベッドから身を起こす。
すると、すぐ隣には女の子が座っているのだった。私より少し年上な感じがして、とても顔の整った綺麗な子だった。
シニヨンに編み込まれた金色の髪、透き通った青い瞳。雪みたいな真っ白な肌。
初めて見る子だったから、どう表現していいのか分からないけど、たぶん神様とかを見た時、こんな風に安心するんだな、という感じ。
しばらく見とれてしまっていたけど、我に返った私は目の前の美少女に声を掛けた。
「あ、あなたは?」
「気がついて本当に良かったわ。私はルナリアと申します。そして・・・」
ルナリアが話そうとした時、部屋のドアが開いて、お父さんとお母さんが入って来た。
「リリア!意識が戻ったのか!本当に良かった!」
「聖女様、なんとお礼を言っていいやら・・・」
お母さんがルナリアに向かってそう言ったのだ。聖女・・・?
ルナリアは立ち上がり、お辞儀をする。
その振る舞いは品があって美しいものだった。
「お礼だなんてとんでもないですわ。私は当然の事をしただけなのですから。」
「どういう事なの?」
「ルナリア様は治癒の聖女様なんだよ。その能力で、お前を治して下さったんだ。」
これが、聖女に憧れを持つきっかけとなったのだった。