カムイ翁、ガルグ=マグに来るってよ 作:カムイ翁(500)
目覚めて早々、山賊に襲われたの巻。
夢であってくれ、いや死んだなら夢すら見ないか?
いやこんな絵面覚えはないけど走馬灯か何かだろう。
「逃げてんじゃねぇぞオラァ!」
残念、夢じゃないっぽい。
腕を組んだまま猛ダッシュしながらビミョーに眠い頭で状況を把握する。
様子を見る為に程々の速度で逃げ回っているが、普通に距離を離せている辺り、有象無象のチンピラがせいぜいか。だが血の匂いがする。
「殺し…山賊辺りか…」
人を食い物にしている山賊如きに加減をしてやる必要も無い。
こちらは普段着にしていた和装と、あの世へ持って行こうとした物が一つあるだけだ。戦闘には役に立たないが、別に何の問題も無い。
山賊は向き直り、右の掌を向ける。
「やっと諦めたか、手間取らせやが…?」
右腕が巨大な竜の顎へと変形し、魔力の込められた『水』を凝縮する。
「散れ」
少しだけ力を込め発射されたそれは逃げる事さえ出来なかった山賊へと当たると同時に爆発し、その体を蹂躙する。
弾けた水が空から降っている。
亡骸の確認ついでに所持品を漁る。持っていた斧は一般的な鉄の斧だが、運良く壊さずに回収出来た。それと幾らかの小銭が手に入った。悪くない戦利品だ。
「…?少し騒がしいな」
斧を片手に竜の翼を広げ空を飛ぶ。
山賊は群れるものなのでそんな気はしていたが、どうやら他にもいたらしい。身なりの整った若者達が襲われている。
「愚かな事だ…」
ため息を一つ吐き、斧を振りかぶり、上空からの急降下。途中で翼は消し、全体重を掛けた一撃は山賊を頭から真っ二つにする。
「は?」
近づかれていた弓を持つ青年を庇う形になったが、青年は目の前で一瞬で無惨な死体が出来上がった故か固まっていた。いや、近くの槍と斧を持つ2人もだった。騎馬の男と灰色の女は普通に戦闘を続行していた。中々出来る様だ。
「無事か?」
「…あ、ああ。助かったよ」
「なら良かった。矢鱈と数が多いから弓兵はもう少し下がっていた方が良いぞ」
言うと同時に近くの山賊を流星の如く乱撃で次々と屠る。…久々に死体の山を築きそうだ。
両手の指で足りなくなった辺りで山賊達が撤退を始めた。頭を下したか?
追ってみると先の5人の前に明らかにボスな見た目の男がひっくり返っていた。が、すぐさま起き上がると斧の少女へと刃を向ける。
倒したと思って多少気が抜けていたのか、他の3人は間に合いそうもなく、灰色の女が庇うも、ギリギリな為背中を向けている、あれでは致命傷だ。
間に合え!
「エクスカリバー!」
「うおおぉおおおおおぉぉぉ⁉︎」
早撃ちを優先した為にあまり魔力は込めなかったが、山賊は嵐に振り回されながら何処かへと飛んでいった。まあ、良いだろう。
「…助かった」
「大した事じゃない」
灰色の女は無表情のまま礼を言った。多分、鉄面皮なだけだろう。個性豊かでクセ強な仲間達がいた身からすれば、気にもならない。
かくして、灰色の女ことベレスと死に損ないの竜カムイは出会ったのだ。
ぶっちゃけた話をすると、カムイ翁はこの作品世界で最強です。