カムイ翁、ガルグ=マグに来るってよ 作:カムイ翁(500)
ちなみに、カムイ翁ですが勿論耳を隠しておりません。
透魔王国名物空飛ぶ透魔竜様だったので、すごくニュートラルに竜形態に変身してどっか飛んでったり国民乗せてたりしてました。とってもフリーダム。
今度こそ山賊が撤退し、束の間の自己紹介タイムが始まった。
どうやら彼らは学校に在籍している生徒と、偶々いた傭兵らしい。
「娘が危ない所を助けられたな。俺はジェラルト=アイスナー。傭兵団の団長で、こいつが娘のベレスだ」
「…よろしく」
「ああ、よろしく。オレはカムイ。…あー、世捨て人だ」
「肩書きに世捨て人って有りなのかしら?私はエーデルガルト=フォン=フレスベルグよ。あなた、強いのね」
「まあ、長いこと鍛錬してきたからな。で、ウズウズしてる槍のは?」
「ディミトリ=アレクサンドル=ブレーダッドだ。鍛錬で先程の一撃の域へ到達出来るものなのか?」
「成程、お前鍛錬好きなタイプか。やってみれば案外習得できるかもしれないぞ」
「そんな簡単には見えないけどねぇ…俺はクロード=フォン=リーガン。レスター諸侯同盟の次期盟主だ」
「盟主?」
次期盟主とは大物だ。『学校の生徒』として見て良い身なりをしていると思ったが、良い身分の子らが通うそれなら納得だ。
「なんならディミトリはファーガスの王子、エーデルガルトも次期皇帝だ」
「身代金を要求される人種が丁度固まっていた訳か」
先の山賊は恐らく何者かの差金だろう。かなりの数がいた以上、それなりに生きる為に悪知恵を使うタイプだった筈だ。それが手を出した後が厄介だろう各国の次期トップを態々狙うとは思えない。
ただ…
(やっぱり知らない国か…)
かつてクロム達と出会った際に、白夜も暗夜も神話の国だと言われた事があった。今いるこの世界は遥かな過去か未来か、はたまた別の世界なのか…旅人ではなく世捨て人と言って正解だったかもしれない。
「…反応が薄いわね。普通もう少し驚くと思うけど」
「悪いな、今言われた三つの勢力を今初めて知ったんだ」
「いかに世捨て人とはいえ、そんな事があるか?」
「遠い、遠い国から来たんだ。何も考えずに、な」
怪訝な目を向けられるが、この状況では上手く誤魔化そうにも情報が足らなすぎた。正直な所身投げからここに来てしまった事以外はあんまり嘘とも言えなかったりする。そうこうしている内に辺りがまた騒がしくなる。敵意は感じない。いかにもな騎士の団体だった。
「セイロス騎士団、ただ今参った!」
「…うっかりしてたな」
「ジェラルト、知ってるのか?」
「あ?ああ、そりゃ知らねえか…あいつらはセイロス騎士団だ。…さっさとトンズラすりゃ良かったぜ」
「山賊達がいない…?おっと、級長達は無事だな。ってああー!あなたはジェラルト団長では⁉︎20年ぶりですなあ!覚えていますか、自称あなたの右腕のアロイスですぞ!」
「…すごい勢いだ」
「もう団長じゃねえよ。今は流れの傭兵だ、じゃあそう言う訳で…」
「いや行かせませんぞ⁉︎団長には修道院まで来てもらいますからな!」
「…だよなぁ」
すごい勢いのアロイスという男の言ったことを噛み砕けば、ジェラルトは元セイロス騎士団団長であったらしい。
だが大体20そこらの娘がいる男が騎士団を辞めて安定しないだろう傭兵稼業をする理由とは何だろうか?それも20年前の話なら、ベレスは赤ん坊ぐらいの話な筈。そして大人の男といえど不老でもなければ20年で見た目はそれなりに変わる筈だ。あんまり突っ込んではいけない事情が見えた気がする。
「おや、そちらの若者はもしかすると団長のお子さんですか?」
「…ベレス=アイスナーです」
「やはりそうでしたか!…そちらのあまり見た事のない格好の若者は?」
「カムイだ。通りすがりで、山賊に襲われてるのが見えたから助太刀させてもらった」
「通りすがりで山賊と戦うとは!気骨ある若者の様ですな」
遥かに年下から若者扱いされると中々むず痒い。いい歳の爺なのだが。
「………」
「団長?まさか逃げたりなど」
「セイロス騎士団相手に逃げ出せるなんて思ってねえよ」
「大変だな、ジェラルト。じゃあ、オレは…」
「あなたにも教会に来ていただきたい、カムイ殿。勿論不都合が無ければだが」
「いや、ない。特にアテもないしな」
向こうでは教会にあまり縁はなかったな、と思いながら教会までの道を歩いていく。なんとなく最後尾を歩いているといつの間にベレスが横にいた。
「彼らや親父さんの話を聞かなくていいのか?」
「カムイこそ聞いておいた方が良いんじゃない?」
「どうだか…今のオレは身元不明無職の世捨て人だからな。近くにいたらいらん緊張の元になるだろう」
「そうかな」
表情こそ変わらないが思ったより喋る。自分はこの世界の知識のカケラも無い状態で来た上に長命な竜だから仕方ないが、彼女も中々浮世離れしている様に感じる。ちょっとズレた空気というか…
「教会までどれくらいなんだろうな?」
「もう少しで嫌でも見えるってエーデルガルトが言ってた」
「じゃあそろそろか」
「フォドラの縮図なんだって」
「へぇ…」
ちなみにこの『へぇ』は色々な思惑が交差していそうだ、というのと自分が今いる大地がフォドラという名前だと知ったが故のものだが、ベレスは知るよしもない。
「見えてきたな」
「あれが…」
立派な教会に見惚れながら最後尾を歩く。途中、中庭で如何にも聖人な身なりの女性が目に映った、が。
どういう訳か自分の頬をひっ叩いた。いやどうした?
この小説はノープランでお送りします。
Q.アロイスさんが来るの遅くない?
A.カムイ翁が山賊をスマッシュブラザーズ(発禁)したせいで原作より早く片付けられました。事故みたいなもんです。南無。