独自の世界観でお送りします

馴れ初め?
にもなってない
強引にまとめてます
何番煎じネタ
復活しちゃったけどもう疲れたし何でもいいや好きにしたらいいさでも面白い事があったら遊んじゃおー的な軽いDIO様
甦ったけどアレ?こいつ何か違くね?何か楽しいぞ的な口下手なようでそうでもない不器用承太郎

DIO様は裸族と信じて疑わない
美しいの権化!

苦手な方はブラウザバックでお戻りください

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第1話

 

激闘に敗北し砕かれて灰になった筈なのに、DIOは目を開けたら真っ白な部屋に居た。

SPW財団の施設で甦ったのだと知った時、正直何でだよふざけんなWRYYYY!!と運命の神とやらを罵倒しまくった。

悔しいだとか復讐をしようだとか帝王に戻ろうだとか、そんな事はもはやどうでも良かった。

何故なら

己は敗北したのだ。

完膚無き迄に叩きのめされた。

確かに己は己の持つ全力で相手をし、強さの全盛期だったのだ。

いっそ清々しいまでの敗北に、身体が砕ける一瞬前に認めてしまったのだ。

ジョースターに負けたのではなく、空条承太郎という1人の男に負けたのだと。

DIOはそれをすんなりと受け止め認めてしまった。

故に自身の本当の目的など、この際もうどうでも良くなったのである。

SPW財団での生活は、まあ、それなりに快適だった。

マッドサイエンティストに人体実験擬きをされるのだろうかと前に読んだジャパニーズコミックを思い出し、何をどうされるのかと少しドキドキワクワクしつつ鼻歌を歌いながら呑気に構えていたのだが。

だがいつまで経っても1日1回の採血や舌の表面の細胞を採られるだけの毎日だった。

たまに身体測定なども入る。

DIOは別に自尊心に触れる事ではなかったので黙ってされるがままにしていた。

黙っていれば食事は出てくるし最低限量の血液も貰える。

シャワーも使い放題で、唯一気になると言えば微弱な紫外線放射機ぐらいしかない。

しかしとにかく退屈だった。

監視用の1枚ガラスと簡易ベッド以外に何にもない空間なのだ。

空想遊びをしたり果てしなく円周率を読み上げてみたり何か色々してみたが直ぐに飽きた。

走ったりもしてみたが吸血鬼の自分には意味がないと知り、それも直ぐに止めてしまった。

そして退屈が故に研究員達に話し掛けてみた。

反抗をしない吸血鬼に初めは機械的な言動しかしてこなかった研究員達も、言葉を交わすようになってからは徐々に打ち解けるまではいかないにしても会話が増えた。

仕方がない。

帝王然とする雰囲気は相変わらずで、その場に居るだけで凄まじい存在感なのだ。

圧倒的と言えば簡単だが、強化ガラスの向こうでこちらを凝視されれば、例え100メートル離れていても冷や汗が伝う。

彼はそんな事はしなかったが、居る、という事を無意識に他人に認識させるというのはある意味恐怖だ。

それからその美貌と肉体美がいけなかった。

誰もが見惚れ言葉を失くす美しさというのは時に毒となる。

本人はそんなつもりが更々無くとも、物凄い色気が駄々漏れなのだから独身彼女歴0年の研究員なんかにはとても担当させられなかった。

既婚者でもくらりふらふらと近寄っていってしまうレベルだ。

しかも鬱陶しいという理由で彼が検査着を脱ぐせいで、艶かしい真っ白な肌も皆の憧れ薄桃色の乳首と局部も丸見えだった。

それは違う意味で警戒された。

有名美術館の女神像など霞んでしまう美に、神降臨と拝む者まで出てきた。

だがそれらを払拭させたのが、恐るべきその知識だった。

暇だ暇だと簡易ベッドしかない部屋で会話に慣れてきた研究員にぼやけば、はいと渡された不思議の国のアリスの原本を嬉々としてあっという間に読破し

その書籍に関しての自己目線での議論を講じた。

それに何と研究員達は色めき立った。

18世紀の知識と現代の知識を織り混ぜた独自解釈は、この施設の研究員達にセンセーションを巻き起こさせた。

医学関係は流石に渡さなかったが、色々な分野での書籍を渡し読破させそれを講じ合う言わばガリ勉気質の質疑応答に大いに喜んだ。

じゃんけんで順番を決め自分の得意分野の資料を読ませそれを議論するという、研究員達の暗黙のルールが出来上がってしまっていた。

要はオタクの集まりに火と油を一気に注いだのである。

呆れたのはジョセフ・ジョースターだった。

DIOが甦ったのは報告で耳にしていた。

勿論、内容も報告に入る。

非番の研究員達がDIO共々輪になり徹夜で論議を醸すとか、正直何やってんのと思ったと言う。

だがある日緊急連絡が入った。

今すぐ来てくれとの事だった。

慌てて確認しに孫と駆け付ければ、ホワイトボードに1ミリ単位の細かい数字の羅列を一心不乱に書き続ける全裸のままのDIOを目の当たりにした。

研究員に聞けば、昨日から一睡もせずにああしていると言った。

何を書いているかは分かりません何の数字かも分からないんです。

もしかしたら何かの暗号かもしれないと、その研究員はDIOがまた企んでいるのかもしれないと恐怖に青冷めていた。

クジラをも眠らせる麻酔銃も効かず言葉も聞いてくれず、食事も血液も摂取しない。

こんな事は初めてですと、今まで知らせなかったくせに自分達の手に余るとなった途端に連絡してきた財団に腹が立った。

ジョセフが恐る恐るマイクで話し掛けたが見向きもされなかった。

すると沈黙していた孫が突然、室内を一望できDIOの様子を眺められる1枚ん十万円の分厚い強化ガラスを粉微塵に破壊した。

愕然と呆気に取られている最中、非常事態を知らせるベルが鳴り響き室内灯が緊急時の赤に変わった。

それでもDIOは延々と何かを書き殴っていた。

承太郎は強化ガラスの枠をひょいと乗り越えDIOの背後に立つと、金切り声を上げて制止する研究員達の怒鳴り声を無視し幽波紋の拳を振り上げた。

何してんだか知らねえし知る必要もねえだろう、と振り下ろそうとした。

 

「出来た!!」

 

とDIOが子供が何かの工作を仕上げた時のような無邪気な声を上げたのに、承太郎は幽波紋の拳をすれすれで止めた。

DIOが満足そうな笑みを湛えて振り向いた。

承太郎と目が合うと、にんまりと笑い

 

「見ろ。アルベルト・アインシュタインだ。」

 

と承太郎にホワイトボードを得意気に見せた。

それは見事な数字で出来たグラフィックアートだった。

遠目で見れば写真と間違える程の細かい細部まで再現された芸術品だった。

麻酔銃を構えた警備員達も、ジョセフも承太郎もその他研究員達も言葉を無くした。

1人鼻高々にふんぞり返るDIOとホワイトボードを見比べて、承太郎はやれやれだぜと溜め息を盛大に吐いた。

何だこの無害さ。

以前は邪悪で歪んでいた顔だったのに、何なのだすっきりとした今の美しさは。

ここで初めて承太郎はDIOの顔をまじまじと見た。

男とか女とかそんなジェンダーを全て無視した美しい顔が笑っていた。

そして惜しげもなく晒された白い所々薄桃色の肉体美+とんでもなく漂う色香は、ろくに女性とお付き合いをしてこなかった男子高校生には大変に目の毒だった。

しかも無毛とくれば、自分と同じようで全く違う様子に否が応でも目線が勝手に向いてしまう。

あまりにも自分と違い過ぎる艶かしい体躯に、承太郎は誰にも知られないようごくりと生唾を飲み込んだ。

 

「んん~?何だ貴様、誰かと思ったら承太郎ではないか。」

 

今初めて承太郎を認めたDIOは、研究員や警備員達がすげえだ何だとホワイトボードに夢中になっているのを他所に驚いた顔をした。

金色の瞳が露になるのに、承太郎は可愛いと思った自分を慌てて否定した。

何を考えてんだオレは!

 

「何してやがんだてめえは。」

 

承太郎は極力DIOを見ないように帽子のつばで顔を隠して尋ねた。

頬が熱くなっているのを自覚した。

 

「暇潰しだ。前にモナ・リザのアートを雑誌で見てな。私もやりたくなったのだが、うむ、中々にいい出来だ。」

 

腕を組んで承太郎の隣に並び、白い歯を見せてにっかり笑うDIOが以前とは違い過ぎて驚いた。

これはまるで日記の中のDIOのようだ。

帝王の仮面を被らず、本音で地を出した見た目と同年齢のDIOだと思った。

 

「ところで、お前は何しにここに来たのだ?まさか、私をまた殺しに来たのか?」

 

「てめえが何か暗号書いてるっつって呼び出されたんだぜ。飯も食わねえ眠らねえ声掛けても反応しねえってあの人らがな。」

 

「ふむ。集中すると周りが聞こえなくなるのだ。人間の食事は元々必要ないからな。それは悪い事をしてしまった。」

 

その台詞に承太郎は嘘だろと我が耳を疑った。

前回は挑発と腹の探り合いであまり会話という会話はしてなかったが、随分エラソーにくっちゃべる野郎だぜの認識が強かった。

自意識過剰を全面に出した野郎だなと気に入らなかったままのDIOと対峙するつもりでここに来たのだが、悪い事をしたと言ったのが信じられず動揺を隠す為に話題を変えた。

 

「・・・つーか、てめえ何か着ろ。」

 

そっぽを向いて顔を見られないようにボソリと言えば、DIOは嫌そうに口をへの字にして歯列を剥いた。

なんつー顔だよと承太郎は笑いを誤魔化して帽子を深く被り直した。

 

「いーやーだ断る。鬱陶しくて敵わん。そもそも私のサイズの服がないそうだ。」

 

「嘘つけ。下着くれえあるだろうが。それとも何か?昔のお貴族様は下着は無かったのか?」

 

「いいや。あったぞ。」

 

「だったら履けよ。ここにゃあ女の職員も居るだろうが。」

 

「私を見てどうにかなるような人間はこのエリア勤務から外されているらしい。何だ承太郎、貴様。やけに突っ掛かるじゃあないか。まだエジプトの事を根に持ってるのか?フンッ、貴様は思ったより器の小さい男なのだな。そんなに気に入らんのなら帰れば良かろう。何なのだ全く。」

 

目のやり場に困るから言っているのだが、如何せん承太郎の気持ちなど他人の感情の機微に聡いDIOですらその無表情が故に掴めていない。

ふんと鼻で笑うとDIOはぺたぺたと裸足の足音で簡易ベッドへと行き、徐にシーツを被って寝てしまった。

気分が悪くなったとぶつぶつ言いながら。

承太郎はそれはオレのせいかとちょっぴりショックを受けた。

 

「まあた来た。貴様もしや暇なのか?」

 

それから3日と開けずに承太郎はDIOの所へ通い、本やコミックを持って行ったり将棋を研究員達も混ぜて教えてやった。

DIOは子供の頃からチェスに強かったと自負するだけあって飲み込みが早く、何度か指すと直ぐに上達し研究員も躍起になって対戦していた。

課題を持っていけば教科書を奪っていき興味津々で読もうとしていたが、国語や社会は日本語が分からんと早々に諦め逆に数学と英語はずっと眺めていた。

夏休み全てをNYの祖父の所で過ごし、その殆どをDIOとの面会に費やした。

DIOの事が何やら気になるのは確かだが、目の前のDIOとエジプトで命を掛けた闘いをしたDIOと結び付かなかったせいで気持ちの落とし所がなかったというのも理由にあった。

それとDIOがどうやら承太郎に嫌われていると思っている所がショックだったのもあった。

何故ショックを受けるのだろうかと思いながらも承太郎は深く考えなかった。

 

「明後日に日本に帰るからな。荷造りで忙しくなる前に挨拶をだな、その、しに来た。」

 

承太郎が破壊した強化ガラスはすっかり元通りで、背後に職員の恨めしい痛い視線を感じながらベッドでごろごろするDIOの前のパイプ椅子に座った。

この世で唯一DIOを抑えられる人物として扱われている為、SPW財団は承太郎の言動に強く物申す事が出来なかった。

 

「日本?そうか、そうだったな。貴様は極東出身だったな。ご苦労な事だ。わざわざ嫌いな相手に挨拶などせずとも良かろうに。日本人は律儀なのか建前なのかよく分からん。」

 

難儀な物だと鼻で笑いうつ伏せになりDIOは腕で顔を隠した。

だが

 

「嫌いじゃあねえよ。」

 

「そもそも建前とは・・・、何だと?」

 

DIOは耳を疑った。

何て言ったんだこの男はと顔を上げて見れば、真面目な顔でこちらを見つめる青緑の瞳があった。

冗談でも何でもなく本気で言っていると知れた。

この1ヶ月で気付いたが、寡黙で何を考えているか分からないと財団研究員全員に思われているであろうこの男は意外と目で物を語るのだ。

承太郎はじいとDIOを見つめた後、形のいい唇を開いた。

 

「てめえの事は嫌いじゃあねえっつったんだ。何処にてめえを嫌ってる要素があったんだかオレには疑問だぜ。ほぼ毎日遊びに来てたじゃあねえか。てめえを嫌いだったらオレはここに通ってねえ。」

 

思わずDIOは上半身を起こした。

何言ってんだと再度思った。

承太郎は何故か頬を染めて顔を背けている。

DIOはじとりとした目線を向けた。

 

「・・・・ここに来る度に仏頂面で何考えてるのか分からなくて黙ってるか悪態吐くかやれやれだぜとしか言わないのに?研究員達とは会話をするくせに私とは目も合わさぬのに?何処に私を嫌いじゃないと思える要素があったのか逆に私が聞きたいのだが?」

 

DIOの質問に承太郎はぐっと言葉を詰まらせた。

え、オレってそんなだったんだと改めて自分の不甲斐なさを感じた。

高校の生活指導の先生に何度か言われた事があるのを今の今で思い出した。

 

「・・・ああ、いや、そうか。悪かった。」

 

詰まらせた言葉を探して目をあっちこっちに彷徨わせた後、承太郎は唐突に謝った。

DIOの目がパチクリとなる。

生意気なクソガキのイメージが強かったのに、拍子抜けしてしまった。

 

「オレは、そうだな、言葉が足りねえと、よく言われる。自分じゃあ、そんなつもりはねえんだが、そうか、そうだな、悪かった。」

 

改めて頭を下げた承太郎の頭頂部を見つめ、DIOは吃驚した顔で目を瞬いた。

あんなに恐ろしい形相で己を砕いたのに。

それなのに因縁の宿敵に頭を下げるなど、己にはあり得ない事だった。

なのにこの子供は平然と行う。

粗暴に見えるがちらほらと見え隠れする品の良さに、よほど愛されて大切に育てられたのだろう事が窺えた。

そしてそれをDIOは悪くないと思った。

傅かれるのとは違う、対等が故の謝罪を快いと感じた。

 

「ま、まあいいさ。貴様はこのDIOが認めた男だ。私は心が広いからな。許してやらん事もない。私も大人気ない態度だったかもしれんしな。もう会う機会はないかもしれんが、まあ、達者でやれ。」

 

悪くないと思いつつも素直な態度を取るのも何かが違う照れ臭いと、DIOは誤魔化しに頭からシーツにくるまった。

どういう態度を今まで取っていたかなんて忘れてしまったし、承太郎にああは言ったが己も悪態に悪態を重ねたか嫌味を言ったか黙っていたかのどれかだった気がする。

まともに会話をしたのは初日と今回くらいではないか?

ぎこちなくなっても仕方の無い話だ。

 

「次があったら、会ってくれんのか?」

 

ギシリとベッドが軋んだ。

何だと顔を出せば、承太郎の精悍な顔が目の前にあった。

透明な青緑の瞳が近くで静かに煌めいていた。

DIOの頭の横に手を就いて覗き込んでいた。

 

「なあ、DIO。どうなんだ。」

 

「別に・・・構わんが・・・。」

 

「そうか。」

 

初めて見せた承太郎の笑顔にDIOは見惚れた。

審美眼を持つDIOでさえ認める容姿の承太郎だが、寡黙と称される言葉足らずな所と生まれた時に母親の中に忘れてきたのではと思える程の無表情さで「無愛想で生意気な男」のレッテルを貼られていた所に爽やかで胸が小さく締め付けられるような笑顔。

何てキレイな男なのだろうと思ってしまい、我に返ってカッと顔が熱くなるのが分かった。

慌ててシーツを被った。

 

「じゃ、じゃあな!ジョースターの末裔よ!私は寝る!さっさと行け!」

 

何で顔が熱いのか分からず、とにかく承太郎に去って欲しかった。

だが承太郎が一向に動こうとしないのに不思議に思った。

そっと頭を撫でられ、びくりと身体が跳ねた。

不思議な事にかつてそこを容赦なく打ち抜いてきた相手に急所に触れられているというのに、嫌悪が沸き上がる所か心地好いと思ってしまった。

 

「オレはジョースターじゃあねえぜDIO。おれは空条承太郎だ。」

 

不機嫌とも取れる声だった。

DIOは動かずに目をぎゅうと瞑った。

暫く頭を撫でられていたが小さく息を吐くのが聞こえ、やがてその気配は去っていった。

もの寂しいという今までで1度も味わった事のない感情が不可解で、頭の上に幾つもハテナマークを浮かべたDIOはシーツにくるまったままその日を終えた。

考えても答えが出ない事に、頭の中がショートしそうだった。

だがそれをゆっくり考える間も無く、翌日に研究員達が急にバタバタと忙しそうに動き始めた。

どうしたと聞けば急遽決まった施設移動です不本意ですが命令には逆らえませんと悔しそうな顔をした研究員に伝えられた。

DIOを別の施設に移すと、上層部から決定が下ったのだ。

下ってからは速かった。

あれよあれよという間に了承を得て拘束具を装着させられ猿轡をされ鉄で出来た紫外線放射機が張り巡らされた箱に入れられた。

そしていつの間にか軍用機に乗せられ何処に向かったのか、DIOがそれらを聞かされたのは到着した米軍基地で待っていたすまんのうと苦笑いをするジョセフからだった。

 

「どういう事か説明しろ。」

 

DIOはガウンのような長い検査着を身に纏い、ベッドの上に座り腕と脚を同時に組んだ。

声は低く反り上がった眉はキリリと寄せられ、金瞳は細められて不機嫌そのものを現していた。

そんなんでも綺麗なんだなと、Vネックの黒いサマーセーターと紺色のジーンズ姿の承太郎が見下ろしていた。

 

「説明しただろうが。お前に陶酔しかけてたあの施設の研究員を守る為に、お前は施設を移動になるってよ。米軍基地でジジイが説明しただろ?」

 

「それは聞いた。そこは納得だ。だが何で日本なのだ。」

 

「そりゃあ、おめえ、アレだ。オレが唯一てめえの対抗手段だからだ。オレならてめえの信者になんざならねえからな。何かあったら頭ぶち抜くし。」

 

淡々としたその台詞にDIOはウエッという顔をし、片手をしっしっと承太郎に振った。

あんなに痛い思いは懲り懲りだ。

 

「怖い事を平気で言う子供だな貴様。本当は中東内戦激戦区出身なんじゃあないか?施設の移動も日本に来たのも分かった。ならばもう一つ質問だ。何故貴様の生家なのだ。」

 

「SPW財団の日本支部がまだ稼働出来る状態じゃあねえんだとよ。だったらオレが居るオレん家の方が色んな意味でホテルとかよりは安全じゃあねえかっつって、紫外線対策も家中施してこうなった。」

 

説明を聞きながら、DIOは薄暗い室内をぐるりと見渡した。

見た事もない作りの室内はワシツと言うそうだ。

本来は床に寝具を敷いて寝るのだと聞いた時、私は奴隷にでも身を落としたのだろうかとちょっぴり不安になったが日本の文化と聞いて人知れず安心した。

だが確実に慣れないであろうDIOの為に、外国からのお客用の洋間を開けてくれたと説明された。

そこは悪い気はしない。

 

「私が逃げたらどうするのだ。あまりにもセキュリティーが甘いのではないか?」

 

キョロキョロと部屋を見渡しながら、DIOは率直に思った事を口にした。

鉄格子もなければ強化ガラスもない。

紫外線放射機すらもないように見受けられた。

面白い壁と天井だと興味深い感じだ。

 

「逃げてえのか?」

 

承太郎の声が低くなったが、DIOは気にした風もなくベッドの上で脚をぶらぶら揺らした。

 

「いいや?逃げて追われる生活というのは辟易している。あれは疲れるし面倒だ。そういった事には興味がなくなったから安心しろ。」

 

その答えに承太郎は心なしかホッとしたように見えた。

 

「まあ、てめえならそう言うと思ったぜ。なら、ついでに説明しとく。この家の敷地をドーム状?に囲う形で2重にセンサーが張り巡らされているらしい。てめえの何処の何を感知するかは知らねえが、センサーに近付くと紫外線放射機が一斉にてめえに発射されるんだと。センサー解除の鍵はオレが持ってる。」

 

それにDIOは綺麗な眉を寄せた。

たったそれだけで悩ましく見えるのは何でだと承太郎はドキリと心臓が鳴った。

何か問題があるのか、それとも自分が鍵を持っている事に対しての企みがあるのか。

だが承太郎の考えなど何処吹く風で、DIOは両手を上げて降参ポーズを取った。

 

「OK、OK、それは別に構わん。好きにしたらいい。しかし疑問が残る。貴様の母親はどうやって説得したのだ。私は貴様の母親の命を脅かした元凶なのだぞ?貴様は実の母親の危機を抱かなかったのか?」

 

心配はそこかと承太郎は小さく笑った。

DIOの片眉が器用に上がる。

 

「ねえな。それこそ面倒臭え事になるだろうし、今のてめえがんな事をするとはオレは思えねえ。お袋はすんなり受け入れたぜ?因みにこの家に連れてこいと言ったのもお袋だ。ジジイに何をどう聞いたかは知らんが、まだまだかと来る日を楽しみにしてたのもお袋だ。家と敷地の大改造にも積極的に参加してたのもオレの両親だ。くくっ、意味が分からねえだろう?」

 

能天気な両親に会えばDIOも分かるだろう。

彼がこの家に来るまでの「まだ?」「まだだぜ」の応酬は毎日毎日、嫌になる程にやった。

まだ会わせてはいないが、この後の事を考えると笑いが込み上げる。

 

「・・・・分からん。」

 

困ったように眉を下げるDIOなんざ初めて見た。

帝王然は何処に行ったのか。

本気で大丈夫かと考えているようだった。

 

「まあ、そういう人種もいるってこった。追々知ってけばいいんじゃあねえか?」

 

腕を組んで考え込んでしまったDIOのどうにも釈然としないという顔を見ながら、承太郎は苦笑した。

この後に会わせる約束を母親としている。

母親は飛び付く勢いでDIOを歓迎するだろう大らかな人だ。

息子である承太郎が信用する相手なら尚更に、警戒したりするなんて以ての他だろう。

この件に関して祖父と娘が小競合ったと知ったら、この綺麗な男はどんな顔をするのだろうか。

自分はもう納得している。

幾つかあった施設移動の案の候補の1つに自分の側が挙げられていると知った時、迷わず名乗り出て祖父を大層驚かせた。

自分でも何故かは分からない。

側に置いておく方が安全だろうとも思えたし、夏休み共に過ごして心地好かったというのもある。

同じタイプの幽波紋を持つ故か、それとも波長が合ってしまったのか。

どちらにしてもDIOを引き取ると決めた時から、生活の1部に彼を入れる事を自分は承諾している。

後はDIO次第。

彼が納得し共同生活を受け入れるには時間が掛かるだろう。

もう悪事も働けないし、働く気もないようだ。

あんなにギラギラした捕食者の目をしていたのに、あの時のDIOが今のDIOを見たら何と言うのだろうか。

何て腑抜けた面だこのマヌケ!とでも罵ったかもしれない程の穏やか振りである。

 

「因みに今日の夕飯は前にてめえに話してやったら食べたがった鶏の唐揚げだ。」

 

考えていた顔がふいと上がった。

向けられた期待の眼差し。

承太郎はくっと笑いを堪えた。

無害そのものの見た目と同じ年齢の若者がそこに居た。

 

「お袋にリクエストしておいたからな。張り切って作ってんじゃあねえか?」

 

炊き立ての白飯に熱々の味噌汁。

食べやすい長さのキャベツの千切りに揚げたての唐揚げを、熱さで口をはふはふ言わしながら口一杯に頬張り噛み締めた時のじゅわりと弾ける肉汁の旨さと言ったら。

そこに白飯を思い切りかっ込む。

思い出すだけで唾液腺が刺激されて口内に染み出した。

腹が鳴りそうだ。

 

「まあ、よろしく頼むぜ。」

 

「そうだな、今考えた所で何も変わらん。その都度考える事にしよう。まあ、世話になる。」

 

考える事を諦めたDIOが肩を竦めた。

ここに住む事は別段嫌ではないようだ。

承太郎のテリトリーに入る事も何とも思っていない様子だ。

良かったと承太郎は小さく息を吐き、この可愛らしくなってしまった吸血鬼との生活が始まる事に少しワクワクしてしまっている。

まあ、前途多難である事には変わりないのだが。

明日、学校に行ったら花京院に教えてやろうと思った。

何を考えているんだと烈火の如く怒るかもしれないが、今のDIOを見てもらえれば彼もゆくゆくは納得してくれる筈だ。

明日の事を予測し、エメラルドスプラッシュをどう避けようか考えながら承太郎はDIOを後ろ手に襖を閉めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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