「俺も丸くなったよな。」
「そうだな」
古びた廃神社の賽銭箱に座って駄弁る2人。
片方は黒髪で透き通るような綺麗な紅い瞳をしている。それに加えて紅いパーカーに黒いズボンを履いている。
その人物の名は
もう片方は、金髪で透き通るような黄色をしている。そして、濃い緑の服に黒のジーパンを履いている。
その人物は
紅夜と黄華は、身近に起きる犯罪の加害者をよく捕まえていて町で有名になっている人物だった。
そんな彼らがいる場所は、手入れがされていないのか草木が生い茂っているが、木の隙間から日差しが照り注いで幻想的な景色を生み出していた。
「そういえば、俺の家に代々伝わる話があるんだけど」
紅夜は手の平に陰陽玉を出して、ポンポンと弾いている。
「ここに昔、結界が張ってあったらしい」
よく見たら、結界の跡がある。2人は実力者なのでそのくらいの認識は簡単である。
「でも、その結界の中は分からなかったらしい」
「ということはそのくらい強力な結界だったんだろ?」
「そう言うことになるね」
そもそもの前提条件として、ここら一帯は、結界が無くなる前まで神隠しの事件が多発していた場所だ。都市伝説の一種として数えられており、今はそう言うのがないので忘れ去られている。
「調べにきた奴も神隠しにあったとも考えれば尚更な」
「忘れ去られた都市伝説…そして、戻ってこられた者は皆無…。幻想となった結界の中か…」
「仮に
紅夜は結界の残り香に触れ、弄っている。
「もしかしたら俺らの生まれる前の忘れ去られた地名かもしれないしね。そしたら大発見だよな」
黄華は、自前の結晶を弄っており、跡地に漂っている膨大な量の霊力、魔力、妖力などをその結晶に吸収している。しかし、量は途轍もなく多いことから、既に吸収し終えた結晶の数は1000を超えていた。
「そもそも、こんなに霊力やら、魔力やら、妖力やらが漂っているのに生きていけるかね」
「原住民が?それとも、結界の中に入れた人が?」
「両方だ。この量を浴びて生きていけるのは、余程の実力者しかいない」
黄華はそう言うが、少なくとも人間には耐えられない。紅夜と黄華が異常なだけで、ここに近づくのも本来なら無理なはずなのだ。
「別世界があったと言いたいの?」
「大正解。紅夜」
そうなれば辻褄が合う。異世界があれば、この結界が異世界と現実を分ける結界となる。そして、この漂っている力はその異世界の残り香とも言えるし、それだけの量に耐えられる広さがあったと言えた。
「よくそこまで考察できたな、黄華」
「紅夜もできてただろ」
「さすがは相棒だ」
そう言った紅夜は空を見上げる。太陽は地平線に隠れそうになっており、オレンジ色の空が幻想的な風景を醸し出していた。
「さて、今日は帰るぞ、黄華」
「ああ」
「後、俺がここに来て色々調べた理由。わかっているよな」
「ああ。何年、相棒やってると思ってる?」
「そうだな。明日までにしっかりと身体を休めとけよ」
彼らはまたここに来る約束を交わす。
そして、誰もいなくなった廃神社の鳥居は、その約束を果たす為の扉のように明日を待っていた。