宇宙戦艦ヤマト3199 If 激浪への挑戦者   作:モアンゴル

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第十六話 対話への(きざはし)

 

【第16話】

 

 

 

『ボラー連邦は"地球"・"共和政ガミラス"両国による平和的国交開設の申し出を歓迎する。

 ―――――

 本邦は国交開設についての三ヶ国間協議に当たり、

 中央管理委員会より外交使節団を派遣する用意がある。』

 

 

ボラー連邦本国からの(地ガ側当事者らにとり)意外と言える程に()()な回答が

地球・ガミラス連合艦隊と直接相対するボラー連邦軍・マガロク提督の調査艦隊を介して

届けられたのは、西暦2205年12月20日の事である。

 

 

この《朗報》は直ちに地球・ガミラス政府に届けられ、

声明と同時にボラー側から伝えられた希望を踏まえた協議の末、

国交開設に向けた協議を(地球時間で)2ヵ月後・西暦2206年2月に、

天ノ川銀河系オリオン腕・地ガ共同開発宙域にある植民惑星『バーナードC』にて

実施することが決定されたのだった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

……そこから時間は進み、西暦2206年1月9日。

地球連邦首都・極東管区中西部の新都メガロポリスは、昨年末から雪を降りしきらせていた

曇天から解放され、新たな周期を迎えた第三惑星を祝うかのような恒星の輝きに浴している。

都市に残る残雪は陽光を照り返し、街を行く人々の目を時折眩ませていた。

 

そんな23世紀的現代都市の一角に置かれ、厳重な警備の下にある

地球連邦の最高施政責任者、エイブラハム・ダグラス連邦大統領の官邸では、

朝から閣僚を集めた新年最初の会議が開かれている___

 

 

 

「……それでは、次の議題。

 本年2月に予定されている『ボラー連邦との国交樹立に向けた協議』に関し、

 各部局からの報告をお願い致します。」

 

大統領官邸会議場に用意された長机には、上座に着くダグラス大統領を筆頭に、

藤堂平九郎国防局長官、ヴェルニー外交局長官、ピット交易局長官など、

閣僚クラスが集結しており、

会議場下座側の壁一面を使った巨大モニターの脇に置かれた演台で

議事進行役を務める大統領補佐官のガイドに従い、

このところ地球連邦が抱えている巨大な"懸案"に関する各局所掌の情報について

閣僚たちが報告を始めた。

 

「では、国防局より報告させていただきます。

 連邦防衛軍統括司令部及び宇宙海軍艦隊司令部からの報告によりますと、

 オリオン腕の地球・ガミラス共同開発宙域外縁周辺に出現したボラー連邦軍艦隊は、

 一昨日より旗艦を除く艦艇を、銀河系中心部から来着した艦と交代させています。

 この動きは、昨年12月23日にも見られたもので、地球・ガミラスに対する

 攻撃的な意図を持たないものであると軍部は結論付けています。」

 

最初の発言者は、旧国連時代からガトランティス戦役終結までの期間にかけて

メガロポリスが在する極東管区を行政長官として預かり、

ガミラス戦役時には『ヤマト』計画を推進し、結果的に地球を救う一助を果たした男、

現国防局長官・藤堂平九郎。

 

「___しかし、防衛軍参謀本部は、ボラー連邦の『国交開設』の動きが

 地ガ共同開発宙域侵攻のための時間稼ぎである可能性を提言しており、

 依然として周辺監視と情報収集、有事への備えを行う必要がある、と報告しています。」

 

藤堂が険しい顔で大統領、閣僚らに告げるのと同時に、

大統領の席と長机を挟んで反対側にある大型モニターに、地球艦隊の画像が表示された。

 

2201年に就役した全長500mの巨艦・A級宇宙戦艦を中心に置き、

D級戦艦、E級巡洋艦、F級駆逐艦など、地球連邦防衛宇宙海軍の主力艦艇が囲う様を

映した威圧感ある画を認めると、藤堂は再び口を開いた。

 

「……国防局としましては、大統領閣下認可の下に、参謀本部からの提言に従って

 宇宙海軍艦隊などの有事即応戦力の集結・配置を継続しているのに加え、

 ボラー連邦軍の調査艦隊と相対している我が第八任務部隊艦隊に対しても

 銀河系中心方面への観測・監視を欠かさぬように指令しております。」

 

 

藤堂が地球連邦防衛軍の当面の対応策を言い終わると、

その視線は机の反対側にいる外務局長官クロード・ヴェルニーへ向けられた。

暗黙の裡に発言を促された金髪に眼鏡の壮年閣僚は、小さく頷き、発言する。

 

「同盟国である共和政ガミラス側としても同様の可能性について認めており、

 ガミラス国防軍の増援宇宙艦隊の銀河系オリオン腕派遣を継続しております。」

 

「昨年12月22日、外務局並びに国防局は、

 ガミラス大使館及びガミラス銀河駐留軍団司令部より、

 『オリオン腕に展開するガミラス国防軍艦隊を、

  ボラー連邦との接触前の150%の規模に拡大する』との連絡を受けた旨を

 報告させていただきましたが、事実、昨年末にアルファ・ケンタウリ星系の

 ガミラス軍『シュルツ基地』に500隻の増援ガミラス艦隊が入泊したとの報告を

 ガミラス大使館より受け取っております。」

 

会議は進行しつつあるが、対ボラーの先陣に立つ藤堂やヴェルニー以外の閣僚から

特に反応が発せられることはない。ひたすらに沈黙し、報告内容を再確認している。

実際、これらの情報は昨年末の会議などで既出であるため、当然の反応と言えた。

 

 

 

「……その、到着したというガミラス増援艦隊の詳細について聞かせてもらえるかね」

 

ここで、他の閣僚ら同様に沈黙を保っていたダグラス大統領が動く。

今度はヴェルニーから藤堂へ発言を促す視線が返され、藤堂もそれに応じた。

 

「ガ軍銀河駐屯軍団司令部によりますと、到着した増援艦隊は『第一八空間機甲師団』、

 師団長はユーリク・ダゴン少将という人物との事です。」

 

大統領府会議室モニターは、一部の人間にはトラウマを思い起こさせる、

深緑色のガミラス艦が無数に群れた大艦隊の画像と、

特徴的な揉み上げを持つ後退した赤茶の髪と青肌の、同盟国(ガミラス)軍人の顔写真を映し出す。

 

ここに至り、ようやく閣僚の一部から「ふむ……」など、

まるで画像の人物を品定めするかのような反応が引き出された。

ダグラス大統領はそれほど露骨でないにしろ画面の『ダゴン将軍』をじっと見やり、

それから藤堂長官に視線を転じた。

 

「どのような経歴の人物かね?」

 

「……ガミラス大使館などより入手した情報によりますと、

 ガル・ディッツ航宙艦隊総司令官が指揮するガミラス軍『外洋機動艦隊』において

 宇宙空母の艦長として勤務した後、航宙艦隊総司令部の航海部門、

 現在のデスラー総統座乗艦『デウスーラ三世号』艤装委員長及び艦長を歴任し、

 昨年3月に第一八空間機甲師団に着任したとの事です。」

 

「ふむ……エリート軍人、ということだな。」

 

そう言って腕を組んだダグラスの他にも、()()()()()()の座乗艦というワードに

ピクリと反応する閣僚がいたのを、藤堂もヴェルニーも見逃さなかった。

 

……なぜ、一介のガミラス将官___

かつて地球を侵略したガミラス艦隊に数倍する艦隊を指揮しているとはいえ___の情報に、

地球連邦政府の首脳部がこれほど興味を示しているのか。

 

「……銀河駐屯軍団のアクション司令官のように、慎重な人物であれば好ましいのだが。」

 

その理由は、地球政府がガミラス側に対して密かに抱く、

『ガルマン星の因縁でボラーを敵視していないか』という疑念にある。

 

 

現在でこそ、国家ガミラスは民主主義政治体制となっているが、

その要石にいる国家統合の象徴の一人は、アベルト・デスラー総統。

 

彼(公式にはデスラー親衛隊が擁立した偽物)はかつて、余命短いガミラス星から

特殊な出自ゆえ他惑星で長く生きられないガミラス人を移住させる星を確保するため

地球に対し侵略・絶滅戦争を仕掛けた前科がある

(この大統領官邸に集う閣僚の幾人かは

公式に流布されている『デスラー偽物論』についての真実を知っていた)。

 

また、ガミラスから聞こえてくる風評によれば、

デスラー総統はプライド___一種の愛国心、民族意識が高く、

『一度受けた屈辱は決して忘れない』という。

 

デスラー総統だけでなく、そうした気質の人間がガミラスの中枢にどれほどいるか知れず、

そうした人々が共和政ガミラスの国家指針に影響を及ぼして、

民族の歴史的に重要な惑星であるガルマン星に圧政を敷いていたというボラー連邦に対し

敵対的な動きを見せるのでは、との懸念が地球政府の間で燻っている。

 

この他の事情としても、ボラーとの関係構築において、

昨年11月に突如としてボラー連邦の勢力圏らしい『射手座矮小楕円銀河』から、

同星原住民から分化したガミラス民族が席巻した『大マゼラン銀河』へと

信じ難い移動を果たした謎多き星『ガルマン』は厄介な"爆弾"と言わざるを得なかった。

 

 

 

その後も、ボラー連邦との交渉に備えるための会議は続く。

交易局のピット長官は、万一の有事に備えて地ガ共同開発宙域天体の在留邦人や

オリオン腕で活動する地球籍商船の保護に関する国防局と協同して行う施策を報告し、

開発局の李興建長官はボラー連邦外交団との交渉場所となる、

バーナード星系に在する開発中の植民惑星における会議場の建設状況の進捗を報告した。

 

 

そして、肝心の地球側外交団についての話となり、再び外務局長官が発言する番となる。

 

 

「国防局・防衛軍司令部と協議し、対ボラー交渉団の出発は今月末、

 交渉地であるバーナード星への移動手段は宇宙戦艦『ムサシ』を使用します。」

 

欧州管区を出身地とする、いまだ『新進気鋭』の題が合いそうな地球外交のトップは、

相次ぐマゼラン銀河での大事件や、高い脅威度を潜ませる銀河中心の大国との接触という

難事に伴う激務に負けていないと主張するかのように、流暢な報告を行う。

 

そんな彼の発言を受け、大統領は誰ともなしに言った。

 

「……ガミラスには『ヤマト』を、ボラーには『ムサシ』を、ということかね?」

 

ダグラス大統領の予想外の言葉に、

ヴェルニーは調子を狂わされたように暫し目を瞬かせ、静かに藤堂へ視線を投げる。

藤堂は仕方ない、とばかりに言い添えた。

 

「……そういった意図は特にありません。

 『ヤマト』は昨年のイスカンダル救援作戦後、整備と改修のため入渠を行ったのと、

 人員の入れ替えが発生したため本交渉時には使用不能のため、

 代艦として同型艦『ムサシ』を任務に投入することとしています。」

 

「なるほど。」

 

藤堂が応対している間に態勢を整えたのか、

ヴェルニーは国防局長官の話が終わると同時に咳払いをして、本題に戻した。

 

 

「……外交団の人選については、既に決定しておりますゆえ、

 この場で報告させていただきます。」

 

「外交団長は慣例に則って、マイネッティ外務次官かね?」

 

ダグラスは同郷で、かつての部下でもありよく見知っている、

前任者との交代後半年の外交局ナンバー・ツーの顔を不安交じりに思い浮かべる。

 

先程答えに詰まったヴェルニーもそうだが、前任の外務局長官エバットが退任してから、

地球の外交部門はかなり若返っている___と言えば聞こえはいい。

しかし、裏を返せば経験不足で、他国の老練な相手に出し抜かれる可能性がある

(尤も、地球自体も星間国家として踏み出したばかりで、異星相手の交渉のノウハウも

かなり少ないのだが)。

 

そんなダグラスの不安を見抜いたのか、ヴェルニーは一層神妙な表情を固めて告げた。

 

「……ボラー連邦との交渉に際しまして、

 地球側代表は(わたくし)クロード・ヴェルニーが自ら務めさせていただきます。

 また、副団長には交易局輸出振興委員会理事にして前外務局長官のエバット氏、

 オブザーバーとして、コテツ・セリザワ元帥に参加いただくことになっています」

 

「「「おお……!」」」

 

議場がざわつく。

大統領も、先ほどの不安が嘘のように消し飛び、目を見開いた。

聞く限りでは、地球側が派遣できる最良のメンバーであると言えるだろう。

 

 

(総力出撃、だな)

 

机の反対側でヴェルニーの発表を聞きながら、藤堂国防局長官はそんな感慨を抱いた。

老獪な大国であると予想されるボラーに出し抜かれないためには、

これほどの人材が必要になる___星間外交の厳しさを実感する思いだった。

 

(芹沢君、度々すまんが、くれぐれも頼むぞ。)

 

対ガトランティス戦の勝利という大任を果たし、休養のため現役を退いた筈が、

人材不足のためこき使われる芹沢に心中で詫びる一方、

芹沢の能力を誰よりも知る藤堂は、対ボラーのキーパーソンとなることを期待している。

 

(『ヤマト』の方は、君のお陰で何とかなったからな……)

 

藤堂は、キンメル防衛軍統括司令長官から内々に聞かされた、

彼による芹沢への"依頼"について思いを巡らせる。

 

 

その傍らで、大統領官邸における閣僚会議は、終息に向けて加速を強めていった……

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

西暦2206年1月10日。

 

一台の軍用浮揚車(エアカー)が、ある防衛軍士官を乗せ、

極東管区本州島最西岸に建設された防衛宇宙海軍の基地内を走っていた。

後部座席に座る士官は、車内から窓の外___

軍港の一角にある埠頭に係留された、一隻の艨艟の姿を見つめている。

 

浮揚車(エアカー)も乗客が目をやっている艦へと向かっているようで、

地球軍艦には珍しい、黒灰色を基調とした塗装の宇宙戦艦は

徐々に大きく映っていく。

 

腕を組み、車のシートに深く身を預けていたその防衛軍士官は、

やがて見つめていた艦、宇宙戦艦『ヤマト』の、第一艦橋に現れた。

 

 

 

「___宇宙戦艦『ヤマト』新艦長、島大介中佐。 本時刻を以て着任する!」

 

第一艦橋・艦長席の前に立ち、

同じく艦橋に集った『ヤマト』各科責任者たちに向け敬礼するのは、

地球連邦防衛宇宙海軍の主力艦艦長が着用する黒いコートに身を包んだ

嘗ての『ヤマト』航海長・島大介である。

 

2205年前半の「サレザー事変」後から

艦長代理として『ヤマト』を預かってきたが、この度正式な艦長となったのだ。

 

 

「島新艦長に敬礼!」

 

対して、島に返礼する『ヤマト』幹部乗組員たちの顔ぶれも、

同年の戦勝記念観艦式参加(及びイスカンダル星救援)の折と比べて、

若干の変化があった。

 

まず、航海長を兼ねていた前任の副長が艦長に繰り上がったことで、

『ヤマト』は新たな航海長を迎えていた。

だが、その人物はこれまでの航海中、艦内で見かけたことのない顔だった。

『ヤマト』新航海長・市瀬美奈中尉___

かつての第六十五(ビッグY)任務部隊で『ヤマト』の僚艦であった

宇宙試験艦『アスカ』の航海長を務めていた女性士官である。

 

市瀬が『ヤマト』の操縦桿を握ることになったのは、紆余曲折を経てのことだ。

本来、後任の航海長に予定されていた2205年前期時点の『ヤマト』気象長

林繁中尉は、『ヤマト』が入渠した期間の休暇中に、子供を事故から庇って

重傷を負い、当面は治療に専念せざるを得なくなったため候補者から外れた。

また、林の前任の『ヤマト』気象長だった太田健二郎大尉も

『ヤマト』再配属前の島が居た第一方面艦隊輸送群、通称「輸送艦隊」の司令部で

後任の航海参謀として多忙な日々を送っており、引き抜くのは不可能だった。

 

そのため、内々の打診の末に新艦長就任を決めた島は

自分の後に安心して『ヤマト』の操艦を託せる手空きの人材を探し回り、

結果としてオーバーホールと大規模改装のため長期のドック入りが決まった

改D級宇宙試験艦『アスカ』から、市瀬航海長を引き抜くことにしたのだ。

 

島が彼女をスカウトした理由として、シミュレーター成績の優秀さや

マゼラン銀河への航海時に『アスカ』の正確な操艦を見たことにあり、

こうして第一艦橋で再度顔を合わせる前にも、

島は市瀬に『ヤマト』操艦について特性やコツなどを教授・特訓している。

 

艦長・航海長以外にも、

島が兼任していた『ヤマト』副長の任は戦術長の北野哲也大尉が引き継ぎ、

林が下艦したため空席になった気象長は航海科士官・大島夏樹少尉が継承。

新見少佐が古代前艦長同様新ガミラス大使館付になって空位になった技術長職は、

艦長を代行した島副長同様、技術長を代行した情報長・桐生美影中尉が後任に就き、

情報長職は技術科員の岸田優少尉が推補された。

 

だが、新体制『ヤマト』にとって一番大きいのはやはり、新艦長の就任だろう。

 

 

 

(……古代、お前に返すまで、『ヤマト』は俺の手で守るよ)

 

艦長就任にあたっての各科員との事務を行いながら島中佐は、

士官学校同期で親友でもある前艦長・古代進の後任に就くことを決心した、

一月ほど前の出来事を思い出す。

 

………

『ヤマト』の最初の航海からの帰還日で、恩師・沖田艦長の命日でもある12月8日、

沖田十三の墓参りのため「英雄の丘」を訪れた島は、同じく墓参りにやってきた

沖田艦長のかつてのライバル(※本人談)・芹沢虎鉄防衛軍退役元帥と遭遇し、

彼に誘われるがままに新都郊外にある高級料亭「常梅楼」に案内されていた。

 

そこで島は、芹沢の奢りで、

前世紀中ごろに養殖法が確立、ガミラス戦争中は遺伝子バンクにより保存され、

CRS(コスモリバースシステム)による地球環境回復後に水産試験場で養殖された「無毒フグ」の鍋や、

大日本酒造会社による復元生産が軌道に乗って市井に多く流通し始めたほか、

ガミラスの好事家貴族層への販売ルートが確立されつつある"本物"の日本酒の、

それも大日本酒造社が醸造する中で最高グレードである「大吟醸・美少年」など、

豪華な酒肴を味わうことになる。

 

建物や料理から滲み出る、いかにも高級な料亭の「格」に圧倒されながらも島は、

芹沢に自分を呼んだ訳___『ヤマト』艦長就任への説得について切り出した。

 

芹沢はあっさりとそうした意図があったことを認めたが、

同時に島の父……ガミラスとの接触時に、芹沢を介した中央委員会から

ガミラス艦に発砲を命じられ、地ガ戦争の戦端を開いた結果戦死した、

島大吾一佐の事を謝りたかった、と告げられる。

 

父の話題を出されて動揺した島が芹沢のペースに乗せられてしまったこと、

島が『ヤマト』艦長就任を峻拒していた根拠である

「古代が帰ってくるかもしれない」という展望が芹沢によって否定されたこと、

芹沢が白色彗星戦争前に、土方にも同じように「親友の艦を守らないか」と言って

『ヤマト』艦長への就任を後押しした例を明かしたこと___

 

結果的に島は、芹沢に押し切られる形で自身の『ヤマト』艦長正式就任を受け入れた。

 

 

 

(……あくまで俺は"番人"だ。

 沖田艦長から、人類の希望・意志を体現する()()()()()()を受け継いだ、

 "正統後継者"の古代が帰ってくるまで、『ヤマト』を守る、"代理"艦長だ。)

 

しかし、島はあくまで古代を「艦長であるべき男」と考え、

芹沢の言う通り暫く(数年)の間は無理にしろ、やがて帰ってくると信じており、

自身の艦長就任はそれまで『ヤマト』を外圧から守るための妥協案であるとしている。

 

(まぁ、そのためにも真面目に艦長をやる必要がある。

 別れ際にあんなことを言った手前、古代(あいつ)に恥じない『ヤマト』を引き渡したい)

 

半年以上前、新ガミラス星で最後に言葉を交わした親友の姿を思い浮かべつつ、

島は気合を入れて艦長の仕事___当面は就任に際する事務作業へと戻った。

 

事実、島中佐は宇宙戦艦『ヤマト』艦長に就任する以前、艦長代理を務めていた頃から

機会を得ては、同型艦である宇宙戦艦『ムサシ』の先任艦長・北野誠也中佐より、

ヤマト型戦艦の戦闘運用について相談・協議し、講習(レクチャー)を受けている。

 

古代艦長の代理以前に、一人の船乗りとして、

艦長は艦を十全に運用しなければならないという自負と気概、そして信念が、

島大介という男にはあった。

 

それだけではない。

 

 

(俺が預かる『ヤマト』は外交特務艦。

 ……親父が夢見て果たせなかった、「異星人とも手を取り合える」という願いを

 実現するための(フネ)なんだ)

 

 

 

島大介には知る由もないが、

外交特務艦としてのヤマト型宇宙戦艦の出番はこの時、間近に迫っていたのだった。

 

 

 





おまけ:『ヤマト』操艦特訓の光景(大嘘)

島(?)
「分身は!こうやるんだあああっ!!」

市瀬(?)
「よくわかんないけど!なんかわかった!」

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