宇宙戦艦ヤマト3199 If 激浪への挑戦者   作:モアンゴル

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第八話 静かなる憤怒

 

【第8話】

 

 

サレザー星系における惨憺とした状況とは対照的に、

4月28日以降も太陽系第三惑星・地球は平穏な時間を享受していた。

ごく一部を除いては、だが……。

 

 

そんな青い星を本拠とする惑星国家・地球連邦の中枢が置かれている

極東管区中西部に建つ首都メガロポリスでは、静かに雨が降っている。

首都のビル群の中でずば抜けた巨軀を誇るため、他の高層建築の倍は

雨粒に打たれている『連邦政府総合主庁舎』の中では、ガミラス星の崩壊に伴い

平穏な時間を奪われた、可哀想な"例外"の人々が忙しく動き回っていた。

 

 

「俺は少し休憩する。君も休んでこい。何かあったら呼ぶのでな」

 

「ありがとうございます」

 

この男___連邦外務局二代目長官、クロード・ヴェルニーも例外ではなく、

否、むしろ彼と、彼が率いる外務局職員こそが関係各所の中で

最も酷な労働を強いられていたといって良いだろう。

 

ヴェルニーは先程まで連邦主庁舎ビルを離れ、

新都メガロポリスの別の区画に建設された大統領官邸へ赴いており、

そこで藤堂平九郎国防局長官、ウォルター・I・キンメル防衛軍統括司令長官、

メアリー・ピット交易局長官や他連邦部局の次官級職員らと共に、

二期目の任期に突入したエイブラハム・ダグラス大統領に

地球時間4月29日に発生した『ガミラス星崩壊事件』についての説明と、

遣ガミラス友好使節団の独自判断により連邦宇宙海軍の親善派遣艦隊が

事件現場であるサレザー恒星系に進出し、救助活動へ参加したことなど

事件に付随する動きや各機関の対応についての報告、

今後の方針を決定するため開かれた会議に参加していた。

 

庁舎ビルの外務局区画・長官執務室に帰ってきた彼は

半日以上を費やした会議で蓄積された疲労を少しでも取り、

次にいつ来るかも分からぬ現地からの報告に、万全とはいかずとも

少しでも"マシ"な状態で向き合えるようにするべく、秘書官に退室して

休んでくるように言い、自分も部屋に置かれたソファに寝転がり、

仮眠を取ることにする。

 

(全く、やってくれたな。ツネオ)

 

ソファに身体を預け、天井を仰ぐヴェルニーの脳裏には、

自分の有能で勤勉な部下として、共和政ガミラスに送り出す外交使節団と

軍の親善派遣艦隊を仕切るように命じた男の顔が浮かんだ。

 

(尤も、お前さんも向こうであくせくやっているんだろうが……)

 

自分たち外務局職員に仕事が降って沸いたことを在新ガミラスの大使館共々

報せてきたため、半ばその仕事の原因となったというイメージがついてしまった

友好使節団団長・曽根川恒夫外務次官。

ヴェルニーとて、宇宙戦艦『ヤマト』に乗艦する彼もまた、ガミラス星爆発という

突然のイレギュラーの被害者であり、予期せぬ業務に直面しているのは

理解しているが、内心でぼやかずにはいられなかった。

 

(俺は、お前さんを休ませるために使節団長にしたんだがな……)

 

ヴェルニーは、

今年初めに遣ガミラス友好使節団の人事を決めた際のことに思いを巡らせた。

 

外務局職員含め、周囲の人間は曽根川次官がヴェルニー子飼いの部下で、

彼自身も職務を真面目に、そつなくこなしているため、

将来的な外務局長官就任時の箔付け・踏み台として、

外交団長に任じられたと見ている人間が多い。

 

しかし当のヴェルニーとしては、

その予測に対し、半分正解で半分外れ、と心中で回答している。

彼が曽根川恒夫を外交使節団に就けた理由は、別の思惑の方が大きかった。

 

 

ヴェルニーは曽根川の身の上を思い起こした。

今を去ること2200年、連邦外務局の発足と、

自身が同局次官になることが内定した頃、部下となる他管区の人員の

プロフィールに目を通しており、そこで曽根川の情報も知ることになったのだ。

 

___曽根川恒夫。

 

旧日本国・現極東管区生まれ。

外交官の家系に生まれており、弟・常次(ツネツグ)共々外交の道を志す。

2190年代、ガミラス戦争初期時は極東管区外交部職員として

弟と共に各管区間を連絡のため往来することが多かった。

しかし、体調を崩して弟に職務を代わって貰った際、

弟一家が乗った連絡機が、遊星爆弾の落着による影響で障害を受け墜落。

弟夫婦は事故死し、恒夫が可愛がっていた姪・曽根川真珠(マナミ)

生存したものの植物状態となってしまった。

しかし、曽根川の不幸は続く。

同じ極東管区外交部門の人間だった婚約者を、

イスカンダルの使節を狙ったテロによって失ったのである。

そして、弟の忘れ形見で、残る唯一の親類となった姪は、

曽根川が仕事の間を縫って病院に日参、献身的に看病して回復を願うも空しく、

2199年10月、宇宙戦艦『ヤマト』の帰還を待たずして___。

 

天涯孤独の身となった曽根川は戦後、

現実逃避の手段として仕事にのめり込んだ。

仕事は忙しかったが大切な人がいた、彼にとって幸せだった頃を偲び、

仮初めながらも浸るための残滓は、それしかなかったのだ。

 

虚無となった私生活は仕事を過度に詰め込むことで埋め、

曽根川は表面上、心身ともに健康な人間として振る舞う。

これには皮肉にも、外交職として培ったものが活かされた。

 

 

そんな曽根川をヴェルニーは、困難な仕事でも文句一つ言わず

引き受けてくれる勤勉で有能な人材として重宝していた反面、

外交官としての観察眼から曽根川が無茶をしていることに気づいており、

いつか過労死するのではないかと危惧していた。

 

そしてヴェルニーが外務局トップになることが濃厚になった際、

その懸念はより強いものとなり、半強制的にデスクワークから引き離すため

ヴェルニーは彼を外交使節団長に任命する。

 

彼の身を案じたのも理由の一因ではあるが、

本心としては「自分の新体制になった途端曽根川が過労死してしまえば

自身の管理能力が問われ、世間から批判されるため、それを避ける」という

保身的な意味合いが大きかった。

 

 

とは言え、ヴェルニーが曽根川の才覚と勤勉さに目をかけ、

それが無為に失われるのを惜しんでいるというのも確かな事実だった。

 

(……お前さんなら、イスカンダルの女王サマに波動砲関連で上手いこと申し開き、

 最悪でも()()()で許して貰えると踏んでいたんだが……

 もう表敬訪問どころじゃないな。……だが、この救援が上手く運べば

 波動砲についてはうやむや、いや、チャラにできるか……?)

 

ヴェルニーの思考に、眠気という名の靄がかかり、

外交方策としては粗っぽい、あり得ないものが彼の脳裏に浮かんでは消える。

 

(……とにかく、無事に帰ってこい、ツネオ。

 後で良い医者を紹介してやるから...………)

 

とことんまで自国__ひいては自身のために利己的な、

人間の本能の権化とも呼べそうな男、クロード・ヴェルニーも、

疲労から来る睡魔には勝てず、やがて寝息をたて始めた……。

 

 

 

_______________________________________

 

 

 

 

当の曽根川外務次官を含む、イスカンダル王族の説得・救出チームは、

環境が激変した青の星イスカンダルに上陸し、スターシャ女王らと対面していた。

 

かつて地球に救いの手を差し伸べた異星の女王はやはり、

「自分たちはイスカンダルの王族として、最後のイスカンダル人として、

 この星と運命を共にする義務がある」と主張して譲らず、

自分たちには構わず、侍従武官メルダ・ディッツ中尉と、

彼女に抱かせたカプセルに入っているスターシャ女王と古代守大佐(死後特進、

ガミラス戦争時に捕虜となったが輸送船がイスカンダルに墜落・同星で保護された)の

子供である"サーシャ"を連れて星を離れるように言った。

 

それに対し、アベルト・デスラー総統や森雪少佐、古代進『ヤマト』艦長らが

根気強く説得すると、スターシャ女王はある決断を下す。

 

イスカンダル星地下深部にある情報結晶による巨大記憶保管庫(アーカイブ)

『サンクテル』に一同を招き入れ、イスカンダル星の真実を語り始めたのである。

 

入ったのはデスラー総統、古代艦長、森少佐、真田志郎大佐、曽根川恒夫使節団長。

デスラーの侍従武官ダークナス将軍は、入る前に謎の体調不良を訴え、

付き添いを申し出た地球艦隊指揮官ルーベン・ワード少将やディッツ中尉、

ユリーシャ皇女に付き添われて地下浅深度層に留まった。

入る面々はスターシャ女王と一定程度交流のある近しい人間ばかりだったが、

曽根川団長は「デスラー総統が入るのであれば地球側の相応の代表者も入るべき」と

強弁し、明らかな敵地(アウェー)にも拘わらず同行したのだった。

 

 

 

そして語られた真実。

かつて星間国家として宇宙に覇を唱えていた頃のイスカンダル帝国の実態。

他星の文明を情報化して収集、用が済めば波動砲を用いて星ごと虐殺。

さらに、現世に飽いて結晶の中で情報体として生きるようになったイスカンダル人は、

他文明の侵略を担わせるために、天ノ川銀河にあるというガルマン星から

原住民を連行して洗脳し、『ガルマンの人猿』を意味するガミラスの名と、

CRS(コスモリバースシステム)でガルマン星そっくりに作り変えたイスカンダルの双子星を与え

奴隷として使役してきた事実___。

 

スターシャ女王がまるで懺悔するように語り終えると、面々に問うた。

 

「これでもまだ……私たちを救おうとされますか?」

 

明かされた衝撃的な真実に、スターシャ女王を思慕していたデスラー総統も、

かつて地球を救うためイスカンダルへ訪れ交流した『ヤマト』クルーの面々も、

言葉を失ってしまった。

 

 

「無論です!」

 

「「「!?」」」

 

しかし、例外がいた。

その男・曽根川恒夫が放った言葉に、地球・ガミラス・イスカンダル、

三つの星の人間からの視線が一斉に突き刺さる。

 

「あなた方イスカンダル人がその実何者であろうと、そんなことは問題ではない。

 地ガ両国の政府と市民にとって重要なのは、『地球とガミラスの合同部隊が、

 イスカンダルの貴人を救出した』という事実だけです。」

 

曽根川はスターシャが語った真実を聞いてなお、

場にそぐわぬ薄笑いを浮かべながら、いけしゃあしゃあと述べてみせた。

 

「それに、あなた方はまだ十分に責任を取っておられないでしょう?

 ここで語った帝国時代の罪、そして貴女が語らなかった罪の責任を!!」

 

曽根川がスターシャ女王に向ける視線が鋭くなり、口調に糾弾の色が滲む。

 

「か、語らなかった罪?」

 

スターシャ女王の表情が曇る一方、

森少佐が辛うじて曽根川の言葉に反応し疑問符を投げかけた。

それに対し、曽根川はふっ、と鼻を鳴らして弁舌を続ける。

 

 

「女王猊下、貴女はイスカンダルが帝国主義を反省して、

 あまねく宇宙を救済する平和主義へ転換した、と語られておりましたね?

 ……反省など、本当にされているのでしょうか?」

 

「貴様……!」

 

曽根川の口振りは、イスカンダル女王を揶揄・侮辱するものと

捉えられかねないものだった。

スターシャ女王に思いを寄せるデスラー総統は激怒し、

凄まじい形相を不遜な地球(テロン)人へと向ける。

しかし曽根川は、そんなデスラーの睨め付けを涼しげに受け流し、なおも言った。

 

「反省し、全宇宙を救済する___なるほど、高尚な名目です。

 であれば、なぜガミラスを救おうとしなかったのです?

 ガルマン星から無理矢理つれてこられ、侵略と虐殺に加担させられた

 イスカンダル帝国第一の被害者であるというのに!」

 

「……!」

 

「あなた方は、CRS(コスモリバースシステム)でガルマン星の環境を植え付けたガミラス星が不安定で、

 天体としての寿命を長く保てないこと、連行してきたガルマン人の末裔が

 その環境以外で長く生きられないことを知っていた筈です。

 本気で帝国時代の暴挙を恥じ、悔い、救済の題目を掲げていれば、

 真っ先にとはいかずとも、とうに救いの手を差し伸べて然るべきでしょう。」

 

大仰な身振りをしながら、明かされた真実を基に持論を述べていく曽根川。

その顔に浮かぶのは、どこまでも皮肉げな冷笑である。

 

「しかし、あなた方はそれをしなかった。

 追い詰められた()()()()()()()()がイスカンダル主義の名を借りて

 拡張政策を実行し、新天地を模索して民族の存続を図る試みを始めてもなお!」

 

「……()()であるイスカンダルであれば、ガミラス人に対して

 ガルマン星の存在を報せるなり、適当な星にCRS(コスモリバースシステム)

 ガルマン星の環境を植え付け、恒久的でなくとも避難所にできたでしょう。

 よしんば、そうしたことが技術的理由で不可能だったとしても

 ガミラスに対し責任を果たす姿勢を見せれば、彼らの選択も変わった筈。

 ___地球人に対する絶滅戦争など仕掛けようとはしなかったかもしれません」

 

かつて母星を焼かれた使節団長は、冷徹な視線を異星の女王に向け続ける。

彼の舌も、潤滑剤でも塗ったかのように勢いよく回り続ける。

 

「ガミラスを放置し、半ば自作自演の救済劇といった構図で

 地球に使者を送ったあなた方ですが……仰っていましたね?

 『生き残るに足る文明かどうか、意志と力を試す』と。

 ふふふ……あなた方の"救済"とやらは、危機に放り込んでおきながら

 手段を与えるだけ与えて放置……文明の人工淘汰を図るということですか?

 ___"過去の愚行を恥じた平和国家"が聞いて呆れる。」

 

「地球人やガミラス人が"波動砲"を作るに至ることを

 想定もしていなかったこともそうですが、あなた方はどうにも傲慢では?

 まるで今でも自国を『宇宙の全文明の管理者』とお考えのようだ。

 ……いえ、帝国時代の『収集するに値する星か判断する』のと

 『生き残るに足る文明か試す』のとは、大差ないことでしょう。」

 

「…………結局のところ、イスカンダルの本質は何一つ変わっていない。

 しかもあなた方は、この表向きの行動を変えただけの自己欺瞞に気付かず、

 本気で反省し行いを改めたとお考えなのでしょうから、始末が悪い。」

 

 

「黙れ!!」

 

とうとう、

曽根川を睨みながら話を聞いていたデスラー総統の堪忍袋の緒が切れ、

彼の得物である金色の拳銃を抜いて曽根川の頭へと向けた。

 

「アベルト!!」

 

「「「デスラー総統!!」」」

 

場にいるスターシャと旧ヤマト乗員から制止の声が飛ぶ。

あくまで脅しのつもりだったのか、制止の声で冷静さを取り戻したのか、

引き金に指はかけられなかった。

 

一方、銃口を向けられた曽根川団長は、薄笑いを崩さず、デスラーに告げた。

 

「結構、撃ちたくばお撃ちになればよろしい。」

 

「何……!?」

 

デスラーは曽根川が、怯えて引き下がるものと考えていたが、

予期せぬ返答に若干の動揺を禁じえなかった。 

 

「場所が場所です、カバーストーリーとしては……そうですね、

 "隕石落着に伴う地震で、宮殿地下の天井が崩落し、

  その落下物から友邦の元首を庇い、誉れ高く殉職!!"

 ……といったところでしょうか」

 

対して曽根川は芝居がかった口調とパフォーマンスで、

この場で自分が撃ち殺された場合、地球・ガミラス両政府がどう隠蔽するか、

自分の予想を披露した。

 

 

「___そういう訳で、ご安心ください。

 貴方が盟邦の外交団長に手を下したことにはなりません、総統閣下。

 

 ____私の家族や、何の罪もない70億人の地球人類と同様にね!!」

 

「!!」

 

曽根川の発言は、地ガ講和時に展開されて両国関係の修復に寄与した陰謀、

『デスラー総統偽物説・親衛隊悪玉論』に自分が携わっていたことを

白状するものに等しかった。

 

デスラー総統に向き直った彼の瞳には、静かに憤怒と殺意___

ガミラスの総統から自分に向けられたもの以上の怒りが宿っている。

 

それに気付いたデスラー総統は、彼らしくもなく気圧され、

黄金拳銃を握った腕を下に降ろした。

『偽物説』に関する一連の事情を知るデスラーは、家族を殺されながら、

職務のため・故郷のため、その仇敵を守ることを余儀なくされた

眼前の哀れな男に、自分が銃を向ける資格など持たないことに気付いたのだ。

同時に、あの男が本気で死を覚悟し、ここに臨んでいることを、

かつて自分もテレザートで甥や地球人に向けたような眼差しから察した……。

 

 

「……ですので、女王猊下。

 これから貴女方イスカンダルの王族方には、

 改めて道義的責任を取る姿勢、いえ、"行動"をしていただきたいと思います。

 何せ、『言葉よりも行動を以て示すべき』とのことらしいので。」

 

デスラーが銃を下げたことを確認し、曽根川は再びスターシャへ語り掛ける。

 

「ここにおられるアベルト・デスラー総統のように、

 生きて、イスカンダルの被害者たる地球とガミラス、

 ひいては宇宙の平和の礎として、古き星の罪を贖っていただきたい。」

 

「………。」

 

スターシャ女王は俯いて、

イスカンダルの間接的被害者だという地球人の言葉を聞いていた。

その心中は、不明である。

 

「……責任を果たすというのは、

 何もイスカンダル女王としてのものだけではありませんよ。

 先ほどお目通りさせていただいた、サーシャ姫に対する責任もあります。」

 

追撃とばかりに、曽根川は新たな題目を提示した。

 

「母親としての……故・古代守大佐に託された命に対する責任です!」

 

家族……事実上の夫である想い人と、彼との間に生まれた命の名を口にされ、

スターシャも思わず顔を上げて曽根川を見た。

 

「それだけではありません。

 ここにいる古代守大佐の弟である、古代進中佐とその配偶者・森雪少佐も、

 地球で言う広義の"家族"として、貴女を引き留める権利を持っている!」

 

曽根川はバトンタッチとばかりに、スターシャ女王にばかり注いでいた視線を、

古代『ヤマト』艦長と、森少佐へ投げかける。

 

その意を受けた彼らは、戸惑いながらも小さくうなずき、説得を再開する。

 

 

「___義姉さん、俺はもう、家族を___失いたくない」

 

「___行きましょう、お義姉さん。サーシャ姫には、貴女が必要です」

 

 

 

_______________________________________

 

 

 

 

だが、それでもスターシャ女王は、

自分たちイスカンダル王族が、星を離れられない理由を語る。

 

女王スターシャと皇女ユリーシャは、存在を『サンクテル』にある

王家のエレメントに拠っており、それ無しに存在できないこと、

唯一サーシャは、古代守の因子によりエレメント無しでも生きられることを告げる。

 

また、現在の宇宙に流出するには危険過ぎる帝国時代のイスカンダルの技術を

完全に封印するため、イスカンダル諸共自爆消滅するつもりであることを

一同は聞かされ、デスラーと古代夫婦は言葉を失ってしまう。

 

しかし、この場におけるイレギュラー・曽根川と科学技術に長じた真田大佐は違った。

 

 

「それならば、そのエレメントとやらを他所に移した上で、

 危険なオーパーツ技術をイスカンダル星もろとも破壊してしまえばいいでしょう。

 無論、自爆とは異なる手段で。」

 

「サンクテルとエレメントのシステムについて、おおまかな構造は理解できた。

 第六十五任務部隊が積載してきた物資と、ガミラス星で地殻掘削を行っていた

 作業船団、そしてスターシャ女王の協力があれば、不可能ではない筈だ」

 

真田大佐は曽根川次官に同意するのはいかにも業腹、と言いたげな表情だったが、

当の使節団長はまるで意に介さず、勝ち誇ったようなニヤケ面を見せていた……。

 

 

 





曽根川次官の主張はあくまで彼から見た主観です。
スターシャ女王がそれをどう受け止めたかなどについては、ご想像にお任せし〼


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