普通に叡智でズボラで普通に強いお姉さんがプロガンのパイロットは駄目ですか?   作:単眼駄猪介

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仕事中にジークアクスSSが思いついたが、ニャアンとドロドロの肉体関係になってるヒモのオリ主とか誰が読みたがるんだと悩みながらジャミル・ニート先生のブルアカと鉄血SSに本作の構想を練りつつオジキとフリーダムとインパルス組まなきゃとなってるあわだたしい脳内()



第9話 闇夜に消えゆく

 

コズンは優秀な兵士だ。

ラル隊のメンバーは屈強な兵士ばかりで、そんな彼の特徴は消えがちだがモビルスーツの腕前は高い方だと自負しているし、ラル達からの評価も高い。

故にザクに乗り、前線で戦った。

だが、今回は運はなかったようだ。

そんな自嘲を内心で吐露しながら、コズンは尋問をしている年若い青年の質問にあやふやに、若干ふざけつつ答える。

そんなコズンにブライトは若干苛つきつつも元々期待値は低めにしていたので、ブライトは早めに尋問を切り上げて独房に叩き込むことにした。

その間にアムロはレナと共にシミュレーション上で模擬戦を行っていた。

また、これまで獲得したデータを元に敵の戦力の分析や性能の解析も行っていた。

 

「レナさんがやられたスナイパータイプはザクⅠを元にしてるから、やはり機動性は死んでるみたいです。背中の増設ジェネレーターもあって、近づけられれば何もできないですね」

 

「とはいえ、ガンダムの装甲を抜くビーム兵器は脅威だな。携帯性には劣るが、スペック差も補うためにスナイパー運用は正しい。まあ、他にザクⅠがいたって事は相手もそんなに物資は潤沢ではないんだろうな」

 

メカオタクのアムロと最近はちゃんと戦術書を読み、パイロットとしてのより緻密な経験と知識を持つレナ。

この二人の談義を聞いているだけで、耳を傾けながら己の乗機のパーツ洗浄をしていたリュウやハヤト達はキャパオーバーで額に熱を感じる。

 

「とりあえず避けようがないならシールドですね。ただ、ガンキャノンとガンタンクは避けるのが難しいな…」

 

「まあ、キャノンとタンクは支援攻撃機だからな。アタシらみたいに前衛として使う方が異常なのさ。そしてそれで戦えてる事も」

 

「え?」

 

「アタシらの相手の強さが段違いというのもあるけどな。それでもこれまでの戦いで損傷はしても大破してないのは奇跡にしちゃあまりにも出血大サービス過ぎる。多分、カイやハヤト達もなんたかんだ若さ故の適応力と成長力、センスがあるって事だな」

 

「……普通の軍人は違うんですか?」

 

「アタシでさえ慣熟するまで数週間使ったんだぜ?基本操作から武装の運用、マニューバにカタパルト射出テストに……ってこれはただのテスターだな。とはいえ、歩兵だったアタシがパイロットとして基本ができるようになるには時間がかかるし、そこから更に技量を上げるなら尚更時間がいる。その点、実戦の方が長いアムロ達はもう叩き上げのセンス抜群の熟練モビルスーツパイロットだよ」

 

褒めちぎるレナに、聞いていたカイが調子に乗り始める。

それを横目に見ていたレナは釘を刺すように続ける。

 

「まあ、これからは連邦にもそういった奴が出てくる。胡座をかいてると追い越されるぜ?」

 

「別に強くなりたくはないんですけど…」

 

「でも皆を守る為なら強くなるしかない。嫌な気持ちにはなるだろうが、これが戦争ってやつさ。人殺しを上手くなれ、ってな」

 

レナの言葉を最後に、カイ達は静かになる。

洗浄の音と溶接の音が鳴り響く格納庫で、アムロは静かにデータ解析していた機械を停めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから半日ほどか、それとも数日か。

ホワイトベースは道中でジオンの鉱山基地を見つけ攻撃を開始する。

オデッサに急ぐ道中であれど、目の前に敵がいるのにわざわざ見逃す必要もないのだ。

というか、そもそも鉱山基地からの攻撃で反撃に移っただけの話であるが。

 

「レナ中尉のガンダムは!」

 

「ガンダムのBパーツと交換でなんとか!ただ、まだ最適化がまだです!」

 

「アムロ!ガンダムで出撃しろ!ハヤトはガンタンクだ!カイは待機!」

 

ブライトの指示が飛ぶ中、アムロはガンダムではなくガンタンクに乗り込んでいた。

 

「あ、アムロ、ブライトさんの指示を聞かなくて良いのか?」

 

「大丈夫だよ。敵の基地を攻めるだけならガンダムよりガンタンクの方が良い」

 

不安がるハヤトに自信を持って答えるアムロ。

それでも不安そうなハヤトにアムロはハヤトに聞こえないように軽く舌打ちする。

 

「シミュレーションでガンタンクの性能は分かっているんだ。基地を攻めるならガンダムまで出す必要はないんだ」

 

そう独り言を呟くアムロ。

だが、彼のその考えはとある要素が抜けていた。

それはラル隊の存在である。

勿論、ラル隊だけでなく他の部隊による増援もある。

所詮は、というのは戦術に対して理解が浅い元民間人のアムロに言うのは酷な話ではあるだろうが戦闘に関しては素人の考えに過ぎないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで少し時を戻そう。

件のランバ・ラル隊はマ・クベからの補給部隊と取っ組みあいの喧嘩になっていた。

 

「ザクが1機だけとかふざけてんのか!」

 

「前回の支給された旧ザク*14機とこれが限界だ!今、オデッサじゃ守りを固めていて戦力を出し惜しみしてんだ!俺に文句を言われてもどうしようもねぇんだよ!」

 

「弾薬も碌に揃ってないじゃないか!」

 

「しょうがないだろう!たった一隻の戦艦の為に戦力を回す余裕なんてジオンにはないんだから!」

 

「こちとら命かけてんだぞ!」

 

「それはこっちだって同じだい!」

 

オデッサ作戦の影響で各地の部隊に物資の潤沢度にバラツキやそもそも補給されない部隊もチラホラある中で、ラル隊に多少なりとも補給が入ったのは、それだけでもある程度はラル隊の任務に価値を見出しているからだろう。

まあ、それでもジオンの貧しい懐事情で弾薬は規格がバラバラ、モビルスーツもザク1機のみと、まるで在庫処理のような品揃えである。

コレに関しては、マ・クベ中将が上層部に提出していた【統合整備計画*2】の発動が軍上層部の独断と慢心で遅れに遅れていた影響が大きい。

故に現場で混乱や時間に押されている状況になれば、こういった手違いも増えるものである。

 

「クソ、コイツはザクⅠの初期マシンガンの弾薬じゃないか。こっちはザクバズーカの弾頭……なんだよコレ!?なんでバニースーツがあんだよ!?」

 

「おいおい、ここにそんなことをする余裕とかねぇぞ」

 

なんだかんだ言いつつもラル隊の面々が補給された物資を吟味するが、ツッコミが止まらない。

 

「こっちはマゼラ・トップの弾頭に、あっちはザクⅠの肩パーツ、あれはザクの予備の動力パイプに……ろりろりルーム?あっ、これは俺のやつだ」

 

勿論、物資の中に娯楽品や嗜好品が無いわけではない。

まあ検閲が入ったりするので全てが行くべき所に行くものではないが。

物資を確認する男の後ろでは、近くの採掘基地からの救援要請に応えるべく、ザクとグフが動き出していた。

尚、その足元で踏まれないようてんやわんやしている一人のマヌケがいたりしたが、まあ見て見ぬふりをしよう。

強面の男がコミカルに逃げ回る姿など、恥ずかしいに程がある。

 

「任務中とはいえ、味方の救援要請を応えぬ理由はない。ランバ・ラル隊、行くぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時は今に戻る。

 

「うわ!?後ろからの攻撃!?」

 

「木馬の部隊か!」

 

ガンタンクの至近に起きた爆風の洗礼にコクピットを揺さぶられる二人。

ギャロップの砲撃とザクのミサイルポッドでガンタンクの周辺が焼き払われる。

それに当たらなかったのは運が良いのか、それともアムロの技量か。

ともかく、現状アムロは思いも寄らない横槍によって窮地に立たされていた。

 

「クソ!青いのがくる!」

 

「ん?タンクもどきだけか?ッ!!」

 

ホワイトベースからの援護は期待できない。

ホワイトベースはギャロップからの攻撃に対応しなければならない。

戦艦には戦艦をぶつけるのは古くからの方法であり、また脳筋ながら正道の道である。

だからこそ、戦艦より小回りの利く戦闘機は脅威となり、それがモビルスーツに代わってもそれは変わらない。

更に直掩でザク2機を付けているのでホワイトベースのモビルスーツが出てきても性能差はともかく対応は可能だ。

そんなガンタンクを仕留める前提を構築したランバ・ラルであっだが、ホワイトベースから発進したプロトタイプが放ったビームがガンタンクに向けたフィンガーバルカンの銃口をそらさせる。

 

「オイタはいけねぇ!」

 

「チッ!黒い方か!」

 

ビームが飛んできた事で延ばした手を引っ込めざるを得なくなるグフ。

すんでの所でロックオンアラートが鳴らなければ危うく死んでいたと思うと、黒い方のガンダムの射撃への警戒を引き上げざるを得ないラル。

ふと基地の方を見ると、既に敗走している味方に救援は失敗であると明らかだ。

 

「ぬぅ…基地のほうが持たんとはな、出遅れた分は次の戦いで取り返すぞ」

 

元々は基地と協力してホワイトベースを挟撃し、確認できたところ、一機だけのガンタンクにグフが電光石火の如き突撃で一気に撃墜するというシナリオを描いていたラルとハモンであったが、ガンタンクの動きが良かったのとプロトタイプの修理の速度という予見不可な要素によって覆された。

今回ばかりは、アムロは幸運に命拾いした。

まさにラッキーボーイだが、ホワイトベースに帰還した彼に待っていたのは叱責であった。

ガンタンクのコクピットから出た所をレナに首根っこを掴まれてパイロットの待機室でデコピンをくらう。

 

「あでっ!?」

 

「自信をつける事はいい事だ。自主的に何かしようとしたり、見返したいという思いがあるのも良い。けどな、お前はまだ戦争に必要な知識を持ってないガキなんだ。ブライトの指揮を無視できるほど、お前は作戦を組み立てれるのか?ん?」

 

笑っているが笑っていない。

目が笑っていないのだ。

だが感じる気迫はまるで熊か狼を目の前にしたような本能を恐怖に陥れるもので、アムロは思わず震え上がる。

後に一年戦争のトラウマでララァの次にトラウマとして時折アムロに悪夢を見せるのだが、まあそれは別の話だ。

ともかく、彼女を怒らせないと深く記憶されるのだが同時にそれまで曖昧だった軍人としてのスタンスを教え込まれるのだった。

 

 

 

 

 

 

そんな長めの説教を終えて、アムロは気晴らしにとガンダムの元へ向かっていたのだが、聞き覚えのある先客がいてアムロは思わず適当に置かれていた物資の箱の後に隠れる。

声の主はブライトとミライの二人で、その内容はアムロをガンダムから降ろすという話だった。

最早、ガンダムのパイロットというのはアイデンティティとも言えたアムロにとってショックが強かった。

だからこそ、動揺を隠せないアムロは思わずブライト達の前に姿を現す。

 

「僕を、僕をガンダムから降ろすって、本当ですか?」

 

「アムロ!?」

 

「聞いていたのか…」

 

ミライは驚きを露わに、ブライトは若干気まずそうにするがそれだけだ。

 

「今日のお前の独断行動を見れば、そうしたくもなるだろう」

 

毅然とした態度でそう言うブライトに、アムロは目尻に涙を滲ませてその場から走り去る。

そんな彼を止めようとするミライだったが、ブライトが止める。

 

「やめておけ。俺としては、アムロに頼り切りな状況を変えたいと思っていた……いや、だが…」

 

そう言うブライトだったが、歯切れが悪い。

アムロが去り際に小さく吐き捨てた「打ってまで戦えと言ったくせに」という、ヤケクソの言葉を聞いてしまったが故に。

 

「…………指揮官は憎まれ役、か」

 

かつて訓練生時代の頃に、教官から教えられた指揮官の役割を思い出す。

あの頃の自分は夢見ていた少年だったが、今の自分を見ると教官の話は本当のもので、自分の想像以上であった。

 

「俺は、何をやってるんだろうな…」

 

ミライと別れて、艦長室に戻ったブライトはそう零して眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、捕虜となったコズンは右腕の長く続いている痛みに眠る事ができていなかった。

優秀な兵士と言えど、骨折した状態で脱出など自殺行為に等しい*3

 

「クソ、俺もツキがねぇな…」

 

せめての幸運は隣の独房には美人がいるくらいだろうか。

シャアについて、かなり聞きたがっていた様子で案外ジオン寄りの人間なのかもしれない。

そんな事を考えて痛みを紛らわせ眠気を誘おうとしていた矢先、艦内に警報が鳴り目がパッチリ覚めてしまう。

 

「ウッソだろ……」

 

警報の内容は、アムロとガンダムの脱走であった。

ブライトも警報に叩き起こされてすぐに状況を把握していたが、敵襲ではない事に安堵しつつアムロがまさかのガンダムを持ち出して脱走した事に頭を抱える。

 

「……やってくれたな」

 

一方、レナは爆笑していた。

 

「あっはっはっはっ!!脱走か!まあ、可愛い子には旅をさせろって言うしな!」

 

彼女も叩き起こさた側ではあるが、アムロの行動に笑っていた。

まあ、機密の塊を無断で持ち出した上に脱走なのだから笑い事ではないのだが……

 

「まあ、ガンダムのパイロットでありたいのは当然だよな」

 

ガンダムに固執するそのプライドに、レナは微笑ましいものを感じていた。

とはいえ、帰ってきたらゲンコツ食らわせる気ではあったが。

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
ザクⅠの俗称。

*2
戦争初期に当時少佐だったマ・クベが提出していた、規格パーツや弾薬等の規格合わせ、共通化する事でジオンの開発するモビルスーツのバラバラな規格を合わせて整備性を高めようという計画。結果として計画が進んだのは戦争終盤で、余りにも行動が遅かった

*3
尚、ヒイロ・ユイは除く





コズンは戦闘のどさくさに紛れて脱走しようとするけど、本作では骨折が酷くて脱走不可。
記憶があやふやなままで書いたけど、多分流れとしてはこうだったような()

読了ありがとうございます
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