GODEATER3>>Remember Chains.   作:志乃木千進

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――――()()()は、ずっとヒトリだった。

くらくて、なにもないばしょで、ヒトリでにげて、いきていた。

そこにいるアラガミはみんな、ワタシをたべよう(コロソウ)としてきたから。

こわい。

くるしい。

いたい。

そんなことばかりだった。

けれど、いつのまにかそうじゃなくなっていた。

ワタシは、はじめてワタシをまもってくれる”ヒト”に、であった。

くらいけど、しずかなばしょに、ちいさいヒトたちと、おおきいヒトたち。

ワタシは、ずっとひとりだった。

でも、そこでワタシは、”シャロン”になった。

ココに、シャロンはいていいって、だきしめてくれた。

だけど、そのあたたかさは、ながくつづかなかった。

とてもおおきいヒトが・・・・アラガミみたいにこわくて、きもちがわるいヒトが、ワタシをつれていった。

でも、ワタシはあのばしょにかえりたくて、だから、ガマンする。

もういちど、べつのくらいばしょで、ワタシはガマンする。



――――ごめんなさい、シャロン・・・・っ――――


ぐるぐるして、きもちわるいアタマのなかに、ユリハがよんでる。

こわい。

くるしい。

いたい。

そんなことばかり、ずっとおわらない。

でも、がんばって、って、いまもきこえるから.

だからワタシは、ココにいつづける。

ガマンして、いつづけなきゃいけない。

ユリハのために。

みんなのために、ずっと。

・・・・でも、いつのまにか、いまは()()()()、きこえてくる。



――――上等だ。この大一番(おおいちばん)にいつまで寝てやがる――――



アイツとおなじで、おおきい。

きっと、アイツとおなじ、みんなをこわがらせる。

・・・・でも、ちがう。

わかる。

ユリハは、なかなくなった。

わかる。

あかるい、あったかい、みんなのこえ。

かわっていく。

まっくらなばしょが、アイツから、かわっていく。



――――目の前を見ろ。・・・・いつまでもやられっぱなしで、大事な(ヒト)を泣かせてんな――――



こわくて、くるしくて、いたくて、ずっともがいてた。

ずっと、ねむっているようだった、ワタシ。

でも、わかるきがする。

ユリハは、ずっとないてた。

みんなは、ナカマたちは、ずっとかなしそうだった。

だけど、いまはちがう。

ユリハ、カミル、みんな・・・・あかるい、あたたかい、ヒカリ。

おなじ、あつくてまぶしいヒトたちのそばで、いっしょに。

ワタシを、シャロン(ワタシ)にしてくれたときみたいに。



――――なら、シャロン(ワタシ)も、ここでガマンするんじゃなくて、みんなのそばで、なにかをしなきゃいけないのかな。

あのヒトは、それをいってるのかな。

くらいばしょから、めをさまして、()()()()()()()

どうすればいいか、わからない

でも、きっと、ワタシをよぶほうにいけばいい。

このヒカリのほうに、いけばいい。

みんなは、そこにいるから。



――――シャロン、大丈夫・・・・絶対、また会えるわ・・・・――――





Vol.3
#9 >> 「The Decapitator.」


 

 

 

――――限界灰域に孤立するミナト・”グラジオラス”からの、決死の脱出計画、”ハウンドスレッド作戦”。

 

その最中、突如として襲来した灰嵐(かいらん)により、クリサンセマムとハウンドスクワッドは、当初の想定より完全に乖離(かいり)した行動を余儀なくされる。

 

そして、それによって引き起こされた大規模な地滑りに巻き込まれたジェットとユリハだったが、どうにか五体満足で切り抜けることに成功していた。

 

 

 

「・・・・っ、痛ぇ・・・・っ。

やれやれ・・・・おい、無事か、ユリハ・・・・?」

 

「・・・・ええ。

助かったわ、ありがとう」

 

 

 

身体のあちこちをぶつけたようなジェットと、億劫そうに背中を丸めているユリハ。

 

しかし、他に被害らしい被害もなく、あの規模の崩落に遭ったにしては奇跡的な結果である。

 

勿論、ただの幸運などではない。

 

止め処無い瓦礫の流れを飛び越えたり、神機(じんき)の装甲で(しの)いだりと、歴戦の技術を駆使した結果だった。

 

それでも、落下の際には少し意識が飛んだらしく、ジェットは鈍痛の纏わる頭を抱えた。

 

「レーダーに・・・・通信も、駄目か」

 

天を仰ぐジェット。

 

お手上げ、というだけでなく両側に反り立つ断崖と、その先に広がる紫黒色(しこくいろ)の空を見るためでもあった

 

「私達、やはり灰嵐の中にいるようだわ・・・・」

 

「”塞翁(さいおう)(うま)”、ってか?

灰嵐が持ってきた落石で崩落が起こって、それで流された谷底で、灰嵐の直撃を(かわ)せた、か・・・・」

 

だが、と、ジェットは大きな不安感に歯噛みしていた。

 

通信装置類が動かない以上、別行動のホイールチームや、クリサンセマムの位置や安否を知ることが出来ない事が、1つ。

 

そして、同じリードチームのクレアとユウゴの行方も心配だった。

 

ミッションクロックを見る限り、それほど時間は経過していないようだが、しかし今は、ほんの一瞬の間違いで明暗が分かたれる大事(だいじ)の渦中である。

 

(・・・・特にクレアは・・・・俺達とほぼ同じ位置に、生身でいた。

地滑りか、灰嵐か、どちらに巻き込まれたにせよ、危険だ)

 

 

 

――――もしも、俺の届かないところで、クレア(おまえ)に何かあったら――――

 

 

 

出撃前に(こぼ)していた自分の弱音が、抜け抜けと背後で(ささや)かれるようだった。

 

 

 

「クソッ・・・・とにかく、こうしちゃいられねぇな。

移動するぜ、ユリハ。

さっさとこの活性化灰域(かっせいかかいいき)を抜けなけりゃ、AGE(エイジ)と言えども長くは保たないしな」

 

「・・・・シャロン・・・・」

 

同じく、不安げに遠くの空を仰ぎ見ていたユリハも、ジェットの言葉に振り返り、頷く。

 

 

 

――――ところが、その時。

 

喰灰(しょくかい)に染まった風の唸りに乗り、底冷えのするような咆哮が聞こえてくる。

 

次いで、(したた)かな地響きと、何らかの強い閃光の連続が、振り仰いだ先で明滅した。

 

「この、激しい音・・・・戦闘、なの?」

 

「まさか、他の誰かか・・・・!?

ユリハ、お前は此処で――――」

 

「いいえ、一緒に行くわ。

”仲間”なら、此処でそれぞれで動く利は無い筈よ」

 

咄嗟(とっさ)に1人駆け出そうとしたジェットへ、ユリハはきっぱりと(いな)を言い渡した。

 

今回がほぼ初めての共同作戦にしては、(こな)れた小言だった。

 

「・・・・おう。

そうだったな」

 

「あ・・・・あの、()()()()、ジェット」

 

すると、ユリハは唐突に、何かに気付いた様子で呼び掛けていた。

 

「――――改めて、お礼を言わせて。

ありがとう・・・・私を、見捨てないでいてくれて」

 

ユリハは、少しはにかんだ風にジェットを見詰めて言った。

 

なにかと思えば、と言ってしまうと()()が立つかもしれないが、ジェットにとってはただ、当たり前の行動でしかない。

 

「気にすんな、”仲間”なんだからよ。

そんじゃ、行こうぜ・・・・!!」

 

 

 

 

――――戦闘音らしきものが続く方向へ、ジェットとユリハは谷間(たにあい)の道に身を隠しながら行く。

 

音の正体を確かめるにしても、余計な戦闘をするつもりはない。

 

そして、当該地まではほんの数分の距離だった。

 

ジェット達は、先程までの細く、曲がりくねった道を抜け、断崖に囲まれた平野に出ようとしていた。

 

すると、もはや間近に聞こえた音の正体は、大きな衝撃と凍気(とうき)を巻き上げ、忽然(こつぜん)と前方に降り立っていた。

 

「ちっ、やっぱあの()()()かよ・・・・っ」

 

まさに、岩陰に隠れたジェット達の前に姿を表したのは、因縁の相手である竜帝・カリギュラだった。

 

「けれど、あれは別の方を注視しているわ。

一体、誰と戦って・・・・?」

 

――――そのユリハの意見とは、半分正解で、半分は()()()だった。

 

カリギュラは、別の相手へ敵意を剥き出していたが、しかしその相手は(だれ)と表すべきものではなかった。

 

手負いのカリギュラは咆哮し、左腕のブレードとブースターを展開する。

 

猛々しく飛び上がる豪壮な巨躯だったが、しかしその時、其処に何か()()()()()が襲いかかった。

 

黒々(くろぐろ)とした、”超巨大な化け物の(アギト)”としか言えないそれは、一瞬でカリギュラを呑み込む。

 

バキバキバキ、と堅固なものが一息に砕け散る、惨たらしい破壊の音と共に。

 

「なっ・・・・!!!!」

 

「っ・・・・!!??」

 

ジェットとユリハは、慄然(りつぜん)として言葉を失う。

 

間道から見える先で、巨大な咢は、カリギュラの巨躯を一撃で噛み砕き、即死させていた。

 

喰い裂かれた血肉がぼとぼとと滴り、胸の悪くなるような粘っこい音、骨格を噛み砕く破砕音とが連なる。

 

しかも、そうしてカリギュラを喰らう化物の姿というのは、ジェット達”神機使い(ゴッドイーター)”にとって、()()()()()()()()()()だった。

 

「あれは・・・・”捕喰形態”(プレデターフォーム)、か・・・・!?」

 

然り、神機の本性である、黒い大顎に()()は酷似していた。

 

だが、カリギュラほどの巨体を一呑みにするような神機など、存在するはずがない。

 

ならば、()()は一体、なんなのか。

 

その答えは、足音と言うには重底な地響きを起こし、姿を表そうとしていた。

 

 

 

――――立ちはだかるは、禍々しく赤みがかった白色に燃え立つ篝火(かがりび)

そう見紛うほどに邪悪な鬼気を立ち上らせる、アラガミらしき巨影だった。

ジェットの見てきた中では最大級の”ヌァザ”よりも、更に二回りは大きい。

身体の前面と(おぼ)しき場所には、先述の大顎が2つ、唸り声を上げている。

仕留めた獲物へ喰らいつく双頭の怪物は、その巨体に見合う、長大な”尻尾”を持っているようだった。

そして、高く掲げているその先端には、神々しい紅と黄金の光を帯びた”(つるぎ)”がある。

鍔元に当たる辺りには人面のような意匠があり、岩山をも両断する刃渡りをもった、均整の取れた両刃の極大剣(ごくだいけん)だった。

 

 

 

岩陰に隠れたジェット達の前で、紫黒色に輝く怪物は、(むくろ)と化したカリギュラを荒々しく貪り食らう。

 

双頭の捕喰口(ほしょくこう)が、飢えきった獣のように荒ぶり、血肉をバラバラに噛み割き、撒き散らしている。

 

あまりにも凄惨な光景に、身動きどころか、呼吸すら息詰まる。

 

「・・・・なんて、禍々しいの・・・・っ。

あの気配・・・・まさか、あのアラガミが、灰嵐を此処へ連れて来た・・・・っ?」

 

一聴して、ユリハの推察は飛躍したもののように思えた。

 

しかしながら、あれが極めて強力な”対抗適応型(たいこうてきおうがた)アラガミ”だとすれば、無いとも言い切れない。

 

未知の怪物は、一見しただけでもそれ程の”力”が感じられた。

 

「つっても・・・・今まであんなにドデカい奴が、情報も無ければ観測もされてなかった、ってのは・・・・」

 

 

 

――――すると、その時。

 

一心不乱に捕喰を行っていた捕喰口の1つが、唐突に振り向いた。

 

真っ直ぐ、ジェット達の方へと向き、怖気がするほどに(あか)い口腔を開き、()える。

 

 

 

< グゥギア”ア”ア”ア”ァァァァ !!!!>

 

 

 

気付かれている。

 

酷い悪寒と共に確信したジェットは、迷いなく岩陰から飛び出す。

 

 

 

「逃げるぞっ!!!!

相手する暇は無ぇっ!!!!」

 

「ま、待って!!!!

あれを――――!!??」

 

 

 

ユリハの言葉に振り返れば、怪物が頭上に掲げる極大剣の(きっさき)から、凄まじい光が照射されていた。

 

野太いオラクルエネルギーの光条が、谷間の道を凄まじく焼き払いながら、猛然と迫り来る。

 

「 来い、ユリハっ !!!!」

 

歴戦の判断で、間道の()に向かって走るジェットとユリハ。

 

そのまま壁面を斜に駆け上がり、照射の範囲から逃れる。

 

だが、眩い破壊力は止まず、峡谷自体をも粉々に砕き始める。

 

轟音の中、ジェット達は止まることなく崩落する地形を突っ切り、辛くも正面の平野の方へ脱出していた。

 

「無事か、ユリハ!?」

 

「ええ!!

けれど、どうやら私達、()()()()()()ようだわ」

 

即ち、2人は広い平野へと()()()()()()()()()

 

ジェット達が、身動きの取りにくい間道を嫌ったように、怪物もまた襲いにくい狭所を嫌い、これを徹底的に破壊したのだ。

 

冗談じゃない、と胸中で毒づき、歯噛みするジェット。

 

敵意と狡猾さ、そして執念を持って2人の神機使いを見据える、謎の巨大アラガミ。

 

長くAGEとして戦ってきたジェットでさえ、一度も見たことがない異形だった。

 

 

 

ブリキの蠍(ボルグ・カムラン)に似てるが・・・・っ、まさか・・・・っ!?」

 

「知っているの、ジェット?」

 

 

 

――――黒い巨大アラガミは悠然と向き直り、ジェットとユリハに向けて身構えた。

重々しく歩を進める、野太い4本の脚。

その上の、人型の上半身からは、赤みがかった白色の(たてがみ)(おびただ)しく伸び、振り乱されていた。

全身に鍛造(たんぞう)された大鎧(おおよろい)かのような漆黒の重甲を纏い、天辺(てっぺん)には悪鬼のように恐ろしい仮面を着けた頭部、()()()()()

そして、その両腕はまさに”神機(じんき)”と称される捕喰形態(プレデターフォーム)そのものの姿形であり、その長い尾の先端に光を放つ極大剣を備えた姿。

異様な武具を携え、立ちはだかる怪物は、飽くなき捕喰本能による獣性(じゅうせい)とは違う、冷厳に研ぎ澄まされた敵意を放っているようだった。

 

 

「” スサノオ ”。

前に記録映像で見た、”接触禁忌種(せっしょくきんきしゅ)アラガミ”だ。

・・・・だが、奴は大昔の極東地域(きょくとうちいき)でしか確認されてない上に、あそこまでデカくもない筈だ」

 

「でも、事実としてそれは、私達の前に居る・・・・」

 

そう、ユリハが呟き、神機を構えた瞬間。

 

<グゥオオオオアアアアッッッッ!!!!>

 

”スサノオ”の胴鎧(どうがい)が大きく開かれ、鳩尾(みぞおち)に隠されたおぞましい大顎を開き、咆哮する。

 

ジェット達への威圧感は尚更に強まり、相手が明確に構えを取った事で、その姿もより肥大したようだった。

 

直後、”スサノオ”は尾の先の極大剣を目の前に叩きつけ、()()()()()()

 

赤色の脈動を帯びる刃が、激しく地面を(まく)り上がらせながら迫り来る。

 

著しく加害範囲の広げられた突撃に、ジェット達は左右に大きく分かれ、回避せざるを得ない。

 

しかし、その先で2人は動揺を抜け出し、淀みなく動き出していた。

 

「舐めるなよ。

未知のアラガミなんざ、これまでも何度も遭って、倒してきてんだ!!」

 

ジェットは”スナイパー”銃身を構え、弾数重視のS(スモール)バレットを装填。

 

ユリハも”アサルト”銃身の連射弾(れんしゃだん)で加わり、まずは相手の弱所を見定めるべく、次々に撃ちかける。

 

だが、黒い大鎧の身体は勿論、腕の”神機”や、これみよがしな極大剣にもまるで通らない。

 

すると、今度はスサノオが、振り向きざまに後方を腕で指す動作を見せる。

 

同時に尻尾の極大剣が動き、光が収束する(きっさき)がユリハを狙う。

 

あの光線照射か。

 

そう判断した2人は即座に切り替え、ユリハは陽動の為に下がり、ジェットは側面を突いて接近を図る。

 

だが、直後のスサノオの攻撃は、この予想を超えていた。

 

野太い光の槍ではなく、無数の光弾の嵐が、ユリハを目掛けて意趣返(いしゅがえ)しのように発射される。

 

「拡散弾っ!?」

 

「いゃっああああ!!??」

 

ユリハはかろうじて装甲を構えるも、凄まじいエネルギーの炸裂に晒され、吹き飛ばされる。

 

「ちぃっ!!」

 

尚も走り込むジェットだったが、スサノオは唸り声を上げ、光弾を連射する極大剣を横に薙ぎ払う。

 

ジェットも纏めて吹き飛ばす魂胆だろうが、しかし。

 

「おらぁっ!!」

 

弾幕をダイブで強引に突き抜け、俊転二刀(バイティングエッジ)の間合いに飛び込む。

 

(腕、脚、尻尾!!)

 

次々に近接形態(ブレードフォーム)で斬り込むジェットだったが、そのいずれもが音を立てて弾かれ、喰らい取ったオラクル細胞が僅かに噴き出るのみ。

 

スサノオは背を丸め、背に回ったジェットへ”神機”を繰り出した。

 

恐ろしい牙と(アギト)とが地面を引き裂き、瓦礫を捲り上げる。

 

足元にまとわりつく敵を薙ぎ払う動作を、しかしジェットはジャンプで回避し、其処から反撃に転じる。

 

(胴体、顔面、大剣!!)

 

空中を(ひるがえ)り、近場の部位を次々に斬り付けるも、やはりどれもが硬い手応えで返されてしまう。

 

(――――おいおい、なんだこの()()()()()()()感じは!?

ただの棒を振り回してるみたいじゃねぇか!!)

 

どうやらそれは、スサノオの身体を覆う”赤色の発光”が、弾丸(バレット)どころか神機の刃をも通さない、異様な防御力を発揮させているようだった。

 

原因は分かれど、しかし対処する方法までは計り知れない。

 

付け入る隙を見つけられないジェットへ、スサノオは大きく体を逸らし、極大剣を構える。

 

そして、目の前の地面に激烈な3連突きを繰り出す。

 

(きっさき)が突き立つ威力は地面を吹き飛ばし、更に続いて”(かみ)”属性のオラクルエネルギーが、前方一帯を地形ごと炸裂させる。

 

ジェットは、辛うじて軽盾(バックラー)で凌ぎ、引き下がる。

 

「ぐぅッ・・・・!!」

 

「そこっ!!」

 

これと入れ替わり、復帰したユリハが後方から捕喰形態(プレデターフォーム)を繰り出した。

 

すると、スサノオは機敏に反応して、背後へ大きく跳び退(しさ)る。

 

そこから間髪入れずに極大剣を掲げ、4脚と腕の神機を、地面に突っ張る。

 

瞬く間に、先の拡散弾を超えるエネルギーが収束する様は、今度こそあの破壊光線だった。

 

ゴゥと、絶大な光芒(こうぼう)が、平野を一直線に貫いた。

 

「うおぉっ!?」

 

全力で側面へ走り、ジェットとユリハは破壊光線から逃れる。

 

だが、スサノオは立て続けに上体を逸らし、尻尾と身体をねじり上げる構えを取る。

 

「あれは、まずいわ・・・・っ!!」

 

その()()()()()()()に、2人は防御に徹する。

 

スサノオと、ほぼ同じ骨格を持つアラガミ、”騎士蠍”(ボルグ・カムラン)の代名詞的な攻撃方法。

 

長い尻尾を伸ばし、凄まじい膂力で周囲一帯を薙ぎ払う、回転攻撃。

 

だが、スサノオのそれは、より強大なパワーを解き放つことで、地上を滑りながら連続回転し、更に威力と範囲を増大させていた。

 

周りの岩塊は一溜まりもなく破断され、岸壁すらも深々と叩き切られる。

 

そしてジェット達も、防ぎ切れる筈もなく弾き飛ばされてしまう。

 

「 くぅあぁっ !!!!

・・・・はぁっ、はぁっ・・・・ぁぅっ!!!!」

 

「っ・・・・クソがっ・・・・!!!!

こりゃまた、強ぇな・・・・っ!!!!」

 

ジェットの思考に、言葉に尽くせぬ危機感が打ち鳴らされ続けていた。

 

間違いなく、今まで戦ってきた中でも、最悪の()()だった。

 

そして、この荒神(アラガミ)は・・・・認めたくはないが、文字通りに神がかった強大さだった。

 

(単純な強さどころか、並みのアラガミとは攻撃の(うま)さが段違いだ。

ついでに、執着心・・・・殺意もな・・・・!!)

 

スサノオは雄叫びを上げ、目を疑うほど高々と飛び上がりつつ、極大剣を突き下ろす。

 

超重量と共に突き立った極大剣が岩盤を打ち砕き、白光(はっこう)が爆ぜた。

 

とにかく大きく動き、スサノオの途切れない攻撃を(かわ)し続けるジェットとユリハ。

 

< グゥゥゥゥアアアアッ !!!!>

 

極大剣を引き抜いたスサノオは、獰猛な唸りを込み上げさせ、両腕の神機を構えた。

 

途端、神機は急速に巨大化し、おぞましいまでに大きく咢を開き、ジェット達へ連続で喰らいつく。

 

装甲車両すら一呑みにするような口腔は、捉えられれば一撃で噛み砕かれる。

 

「このまま散開だ!!

距離を取れ、ユリハ!!」

 

ジェットは通信機へ叫び、ユリハと分断されざるを得なかった。

 

「――――コイツは、こんな急場(きゅうば)で相手するような()()じゃねぇ!!

とはいえ、どっかで一気に振り切らねぇと、どこまでも追ってきそうだ!!」

 

<ならば、せめて痛手を一つ・・・・どこか急所を攻めて、追い返さなければならないわ!!>

 

ノイズがかった通信越しにユリハと算段を共有するジェット。

 

そして、再び突撃を行ったスサノオから跳び退り、空中変形で構えた銃形態(ガンフォーム)に、新たなオラクルバレットを再装填する。

 

それは、標準的な”狙撃弾(そげきだん)”へ、着弾時の連続炸裂で強力な局所破壊を行う特性を加えた、”カスタムバレット”だった。

 

「そら、とっておきだぜっ!!」

 

”バレットエディター”というシステムを用いて、発射する弾丸(バレット)へ特殊な軌道・効果を設定する、改造技術の産物。

 

技術の喪失によって、昔と違って使い切りにはなるが、特殊なリソースを使用する為に神機(じんき)”OP”(オラクルポイント)の制約を受けない使用が可能でもあった。

 

ジェットはいつになく狙いを定め、スサノオの仮面の()や、神機の()()など、脆そうな部位へ精密に撃ち込む。

 

此処で出し惜しむ余裕などなく、一気にカスタムバレット6連射を叩き込む。

 

(クリサンセマムと連絡できない以上、”神機激臨解放(レイジバースト)”も使えやしない。

とにかく、今ある全力で押し返しきるしか、活路(みち)は無ぇんだ!!)

 

すると、スサノオは脆い箇所への銃撃に業を煮やしたように向き直り、尻尾を獰猛に翻す。

 

距離を取っているジェットへ、身を捻りながら極大剣を突き下ろす。

 

ジェットは持ち前の脚力で横っ飛びに躱し切るが、スサノオは()()()()とばかりに極大剣を横に薙ぎ、その背中を斬り裂こうとする。

 

「ったく、いちいちしつこいヤローだ!!」

 

「使って!!」

 

淀みなく、十字砲火を仕掛けるユリハからの”神機連結解放(リンクバースト)”を受け、反撃の呼吸を整えるジェット。

 

途端、スサノオは身を打ち震わせ、突如として背後のユリハへ尻尾を叩きつける。

 

極大剣は赤い光を纏い、まさに重攻大剣(バスターブレード)が如き打ち込みだった。

 

「躱せ、ユリハ!!」

 

続け様、スサノオは地面に刺さった極大剣を引き抜きつつ、強引に横薙ぎに繋げた。

 

その反動で周囲を薙ぎ払い、同時に向き直りながら距離を取って見せる。

 

「攻撃と位置取(いちど)りを分かってる、ってか。

だが、それはこっちも同じなんだよ!!」

 

ユリハは素早い反応で極大剣から後退しつつ、弾丸(バレット)を連射する。

 

そして、”神機解放(バースト)”したジェットは大ジャンプで攻撃を躱し、更にその頂点で薙刃形態(ていじんけいたい)を構える。

 

 

 

――龍飛鳳舞(りゅうひほうぶ)――

 

 

 

スサノオの肩口から、手薄な側面へと突き抜け、強力なオラクルエネルギーの奔流を斬り上げる。

 

そのまま薙刃での猛攻をかけようとした、その瞬間。

 

スサノオはその前に、ズドン、と極大剣を突き刺し、刀身を盾として構えていた。

 

刃を弾かれ、たじろぐジェット。

 

途端に、スサノオは尻尾を振り上げ、素早く回転攻撃に繋ぐ。

 

「っ――――だがな!!」

 

間一髪、辛うじて跳び退いたジェット。

 

そして、攻撃を凌ぎ、手の届く位置に極大剣が降りてきたこの時は、逆にジェットの好機だった。

 

空中で捕喰形態(プレデターフォーム)を繰り出し、”神機解放(バースト)”を延長。

 

それから空中変形で翻り、側面から攻めかかるユリハへ、”神機連結解放(リンクバースト)”。

 

ユリハは、一気に駆け、力を増した技構長剣(ロングブレード)で、連続で斬りつける。

 

対して、機敏に反応し、足元を神機で薙ぎ払おうとするスサノオ。

 

「見切ったわ」

 

だが、ユリハは見事な最大防御効果(ジャストガード)(さば)き切るや、その集中を研ぎ澄ます。

 

 

 

――闢式(びゃくしき)撃火砲刃(げっかほうじん)――

 

 

 

そして、ジェットも鋭く懐へ飛び込み、猛然と迫る神機の牙に対し、深い構えから二刀(にとう)を突き上げる。

 

気迫を以て攻撃を打ち弾き、二刀と薙刃を交えた、獅子奮迅の変形連撃。

 

そして、壮烈な光を放つ極限の一太刀が、閃く。

 

「 うおぉらぁっ !!!!」

 

「 やああああっ !!!!」

 

果たして、2人のAGEの渾身の一撃を立て続けに受けたスサノオは、苦悶と共にたたらを踏み、遂に(こた)えた素振りを見せていた。

 

 

 

「――――おらっ、どうだ!?

いい加減、お互い()()()()()()だろうが!!」

 

 

 

< ギャァシャアアアアァァァァッ !!!!>

 

 

 

途端、スサノオの身体が更に強く発光し、耳を(つんざ)く絶叫を咆え立てる。

 

一目見ただけで分かる、激憤による活性化状態だった。

 

「ジェット、見て。

あの光、腕と尾に集まっているわ」

 

ユリハの分析通り、スサノオの神機と極大剣には今、まるで返り血に塗れたかのような真紅の光が纏わりついていた。

 

さしずめ、ジェット達の攻撃を防いでいた”力”を主要な攻撃部位に集中させた、全力攻撃形態か。

 

こうも理不尽なまでに敵意を向けられ、悪態を叫びたいのはジェットの方だった。

 

それほどまでに、自身の半分も無い小兵(こひょう)へ、何故に猛り狂うというのか。

 

 

 

< ギャアアアア――――オ”オ”オ”オ”ォォォォッッッッ !!!!>

 

 

 

その刹那。

 

スサノオは天を仰ぎ、一段とおぞましく咆哮していた。

 

それは、まるで嵐や地鳴りが轟くような、凶暴さを極めた事象の寸前のようだった。

 

更には、スサノオはその全身から、紅蓮に光る波動を発し周囲の灰域までもを揺るがしていた。

 

見ているだけで臓腑(ぞうふ)が裏返るような、ただひたすらに(みなごろ)そうという魔の衝動が、莫大な光と放たれている。

 

「こ、この気配は、まさか・・・・っ!!??」

 

狼狽するユリハの言わんとすることは、ジェットにも嫌と言うほど分かってしまう。

 

”スサノオ”の、(ふた)つの神機が、今までより更に獰猛に、そして奇怪に肥大していく。

 

その変容は、尾の極大剣にまでも及び始めていた。

 

鏃型(やじりがた)の巨大な刀身が、その真ん中から真っ二つに裂け、(はさみ)のように開いていく。

 

(いな)や、それは奴の、最も恐ろしい(アギト)だった。

 

おぞましいまでの威力で、この世のあらゆるを貫き、喰らい殺すだろう、恐るべき捕喰衝動の解放だった。

 

 

 

「――――”捕喰攻撃”、だとっ!!??」

 

 

 

”即死不可避”の凶器を解き放った魔物の、小山のような巨体が、地面を打ち叩く。

 

凄まじい衝撃波がそこから走り、ジェット達を薙ぎ倒す。

 

「 逃げろっ、ユリハ !!!!」

 

ジェットは立ち直るや否や、銃形態(ガンフォーム)を乱射しながら1人、駆け出した。

 

この陽動によって、”スサノオ”は黒い長布(マフラー)がなびくのを追い、物凄い速度で飛びかかってくる。

 

間近の落雷のような咆哮がに次々と連なる。

 

その度に、双頭の魔物は目眩のする程に(あか)い大顎を開き、互いに先を争いながら、ジェットへ喰らいついてくる。

 

「ジェットっ!!!!」

 

狂乱の様相で襲い来る相手に、ジェットもまた図抜けた瞬発力と勝負感で逃れ続けた。

 

「っ!!!!」

 

ジェットは岸壁にまで追い詰められるも、そこを斜に駆け上がり、徹底して逃げ回る。

 

アラガミの捕喰攻撃が一度始まれば、兎にも角にも避けきってみせるしか無い。

 

だが、全速力を振り絞る獲物(ジェット)へ、魔物は更なる凶悪な雄叫びを上げる。

 

双つの神機、胴体の口腔の絶叫に、極大剣の咢までもおぞましく呼応し、狙いを定めさせた。

 

そして次の瞬間、”スサノオ”は、大地を抉り、空気をぶち破るほどに(はし)り、そこから尻尾の咢を一気に突き出す。

 

一瞬で数倍に延びた間合いは、人の脚では、絶対に逃げ切れない。

 

その 刹那。

 

ジェットは、異常に引き伸ばされた時間感覚の中、自分のあらゆる選択肢が崩れ、潰えるのを悟っていた。

 

 

 

―――― やばい ――――

 

 

 

戦慄のあまり、心臓の鼓動までも止まって感じる。

 

あと瞬き1つほどもすれば、実際にそうなる。

 

逃走は失敗。

 

反抗は不可能。

 

回避は、間に合わない。

 

防御など、それごと噛み砕かれる。

 

 

 

「 っっっっ !!」

 

だが、それでも尚、ジェットは生存本能の(はげ)しく弾けるまま、空中で身を捻らせる。

 

この一瞬で、それが最善であり、限界だった。

 

されど、そんな全身全霊の決断をも、アラガミは一顧だにせず喰らい尽くす。

 

慈悲など有り得ぬ本能のまま、暴力的に迫る牙。

 

断頭台の刃が閃くように、致命の咢が、轟と閉じた。

 

 

 

「 ぐぅっぎっ、っああああぁぁぁぁあ”あ”あ”あ”っっっっ !!!!」

 

 

 

――――果たして、ジェットの身体は、どうにか形を保っていた。

 

だが、この世の何にも勝る、甚大(じんだい)な激痛に支配されていた。

 

ジェットは、血反吐混じりの断末魔を上げ、地面へ叩きつけられる。

 

致命的な侵蝕をもたらす大牙に、脇腹を引っ掛けられた。

 

()()()()()()()()というのに、それに()る苦痛はまるで矛盾している。

 

即死していた方が、きっとまだマシだった。

 

全身の細胞が、1つと余さずマグマに変えられたようだった。

 

生命というものを念入りに引き裂き、すり潰すような無尽蔵の苦痛が、ジェットをずたずたに引き裂いている。

 

目や耳も、言葉どころか、呼吸もままならない。

 

生命活動の道筋の全てが、苦痛と出血に遮られていた。

 

「 ジェットっ !!??」

 

激痛に転げ回りすら出来ず、虫の息で倒れ臥すジェットへ駆け寄るユリハ。

 

その2人を、凄まじい光が照らし出していた。

 

「・・・・あ、ああ・・・・そんな・・・・――――」

 

紅蓮と黄金が重なり合った極光が見える。

 

それと裏腹に、照らし出されたものの背後には、地獄のように黒い影が落ちた。

 

その極彩色は、”スサノオ”の変貌によって放たれる、神々しく、絶対的な死の宣告だった。

 

 

 

< ギャアアアア――――オオオオヲ”ヲ”ヲ”ヲ”ォォォォ・・・・ッ !!!!>

 

 

 

――――スサノオは、野太く、雄々しいまでの喊声(かんせい)を上げ、天を仰ぐ。

重苦しい音を立てながら、上体が異様に肥大し、著しい加重によって前へ倒れ込む。

同時、まるで羽化のように、背中から”新たな上体”が立ち上がり、抜け殻の胴鎧は強靭な脚へと変形、6足の巨体となる。

そして、右腕の”神機”も蠢き、巨大化を始めていた。

重底に血肉が唸り、(ねじ)れた6本の大角と、真紅に光る多数の眼球が生じる。

同じ色の稲妻を(ほとばし)らせ、邪悪な竜の首のように変化していた。

一方、左腕の神機も、激しく変形する。

よじれて延びる黒い肉塊は、まるで女性の(むくろ)水瓶(みずがめ)を抱えたような奇怪さとなり、オラクルエネルギーを光の翼のように放出し続ける。

長大な尻尾は、魔神の豪腕のように野太くなり、新たな上体が手ずから極大剣を振るうかのような様相と化していた。

 

 

 

< ウゥォオ”オ”オ”オ”ヲ”ヲ”ヲ”ヲ”ォォォォッッッッッ !!!!>

 

 

 

果たして、変容を遂げた”スサノオ”の野太い(とき)の声が響き渡るや、今までの数倍に跳ね上がった波動が、灰域を激震させた。

 

見紛う筈の無い、灰域種(かいいきしゅ)アラガミの特性である”バースト”である。

 

しかもそれは、今だかつて誰も見たことのない程に強大で、おぞましい変貌だった。

 

果たして、邪竜に跨がり、鬣を振り乱す”魔神”は、まるで神話の英雄かのように天へと剣を掲げた。

 

 

 

「――――・・・・もう、私達は・・・・此処で・・・・」

 

 

 

ユリハは、全身が止め処なく震えるのを抑えきれなかった。

 

絶望と屈服の涙が滲み、声は諦観に掠れてしまいそうになる。

 

しかし、それらに呑み込まれてしまう前に、ユリハは強く、歯を食い縛っていた。

 

考えるまでもなく、消耗したユリハと、()()()()()()()()()()のジェットに、勝ち目は無い。

 

だとしても、このまま終わる訳にはいかない。

 

ユリハは神機を投げ捨て、死に体のジェットを抱え上げ、走り出す。

 

どんなに無様で、か細い可能性だろうと、堪えて、逃げて、()に懸ける。

 

「私は、もう諦めないわ!!

・・・・諦めたく、ないの!!

生き延びる・・・・その覚悟だけは・・・・っ――――」

 

されど、残してきた仲間達を想い、足掻こうとする事すら、立ちはだかる絶望は許そうとしなかった。

 

強大なる”魔神(スサノオ)”が、極大剣を振り上げる。

 

その刀身には禍々しい光が集まり、赤黒く輝く剣となって伸びる。

 

光り輝く、絶対の破滅が振り下ろされた時、のろのろと逃げるユリハ達など一溜まりもない。

 

どれだけの想い、愛情や勇気を胸に据えても、それを超える”力”を前にはただただ無為(むい)だった。

 

そして、無慈悲な魔神は、その手の剣を稲妻のように振り下ろす。

 

身の程知らずに楯突いた、愚か者達の首を()ねんと、絶大な光と熱を帯びた暴力が降り落ちる。

 

激しい光芒と爆轟が、灰域の暗闇を斬り裂き、震わせた。

 

 

 

>> To be Continued....

 

 

 

 




・Tips.13

魔魁皇(まかいおう)・”スサノオノミコト”」

限界灰域(げんかいかいいき)のミナト・”グラジオラス”近郊、渾沌(こんとん)淵崖(えんがい)の深奥部にて確認された、”対抗適応型”アラガミ。
”神機使い殺し”(ゴッドイーターキラー)と恐れられる神蝕皇(しんしょくおう)・スサノオが、灰域の極限環境と、ローレライの感応波誘導にて過度に集中したアラガミ達を捕喰し続け、異常進化を果たした個体と見られる。
かつて存在した超大型アラガミ、”ウロボロス”種を思わせる巨体と、元来の凶暴性を併せ持ち、地形ごと粉砕する怪力と、活性化したオラクルエネルギーの怪光で全てを薙ぎ払う。
更には、灰域種アラガミと同じ”対抗適応能力”をも覚醒させており、腕の”神機”を用いた”捕喰攻撃”を行うことすらも可能。
そしてバースト化が行われると、その身体からは暴走を思わせる黄金と真紅の発光を放ちながら、全身の著しい変身が進行。
質量肥大によって6脚の前傾姿勢となり、おぞましい大顎と、死神を象ったような片翼を持つ、邪竜のような姿と化す。
そして特徴である長い尻尾は、新たに発生した上体(じょうたい)の豪腕となり、まるで巨人が大剣を振るうかのような絶大な攻撃を連発するようになる。
重攻大剣(バスターブレード)のような、エネルギー刃を纏う薙ぎ払いや、開咆長槍(チャージスピア)噴火鉄槌(ブーストハンマー)のような、変形突進。
伸撃鋭鎌(ヴァリアントサイス)のような豪腕全体に牙を形成しての回転攻撃など、多彩、且つ即死不可避の破壊力を有している。
また、”神機を好んで捕喰する”という食性にも変化が生じており、”強い偏食場(へんしょくば)を発する個体を喰らう”事に固執する傾向が確認されている。
強力なアラガミを捕喰することで活性化を続け、本来は時間制限の在るバースト状態を維持することも可能であるようだ。
即ち、この”荒神(アラガミ)”が暴れ出したが最後。
周囲の全てを喰らいつくし、休眠状態に入るまで、その絶大な暴力は止まることはない。
そして、もしもこの災禍の権化を相手に生き延びようとするなら、真っ向勝負でこれを降す以外、活路は無いだろう。
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