GODEATER3>>Remember Chains. 作:志乃木千進
「戻ったか、お前達」
協力を約束してくれたシャロン、カミルといったん別れ、ジェット達はクリサンセマムのブリッジへと戻る。
其処にはリカルドと同じく、絶対安静の筈だったアインが、頼もしい様子で居合わせていた。
「
見た所、やっぱりそちらさんもしぶとかったようだな」
「本調子、とは言い切れない
しかし、こうして”ローレライ”が使われようとしているとなれば、おちおち寝てもいられん」
「やれやれ、アインさんもリカルドも、
まさか、俺やジェットが目を覚ました頃からずっと、黙って
肩を
此処までの道中、他のメンバーからも何度と無く
「
なにせ、この船には
「・・・・これ、俺らに隠し事はできないだろ、って言われてるよな?」
と、またも
悲しいかな、みんな自己分析は出来ているつもりだった。
「ま、正解かもしれないな。
ついでに、医療スタッフであるクレアも当然、この事は知ってたわけだ?」
「ご、ごめんなさいっ。
イルダさんとアインさんに打ち明けられて、医務室を管理する私が口裏を合わせれば、より万全だからって・・・・」
「いいさ。
なんとなく
「・・・・そんなに、分かりやすかった?」
「態度を見てりゃ、まぁな」
「・・・・そう、だったか?
流石、よく見てるな、ジェット」
感心するユウゴの一方、ひっそりと肩を落とすクレア。
しかし直後、彼女は何やら
「それで、ユリハやシャロン達を救う、作戦というのは?」
「それは、私達から説明するわ」
同時に、下段のオペレーションブースのエイミーが動き、ブリッジのメインモニターに作戦概要を映し出す。
<改めて、ハウンドスクワッドの皆さんには”グラジオラス中央施設”へ突入し、内部に
そしてその効果の鍵となるだろう、シャロンさんの救出を行っていただきます>
「
衝突は
となれば、皆には
リカルドの情報のお陰で、施設の構造は丸裸にされている。
しかし、それによって
「随分と、派手にやることになりそうだな」
「だが、そうせざるを得ないだけの”理由”がある。
此処までの強攻策に出るように進言したのは、俺だ」
「旦那が?」
「俺は、このローレライシステムをよく知っている。
そして、開発者の”正体”と、その
「!!」
元々、計り知れない能力と経歴の持ち主だが、それがアインという男の
故に、一同はそれ以上は触れず、いよいよこの作戦の最大の
クレアがその
「ローレライを無力化するのは良いとしても、その
作戦が上手く行ったとしても、そうなると私達は、ローレライの効果無しに、外のアラガミと灰域を突破しないといけません」
「確かに・・・・およそ
だが、その為にはグラジオラス中央施設の制圧と、メインシステムの
そこに、お前達ハウンドスクワッドの知勇があれば、可能性は見出だせるだろう」
「兎にも角にも、まずはあの兵器を止めることから始まるわ。
今夜、
” ハウンドスレッド作戦 ”、その
「・・・・ハウンド、
珍しくきょとんとするルルに対し、ユウゴはその意図を察してふっと笑った。
「さしずめ、
なら、せいぜい気張って走らないとな」
・・・・
・・・
・・
・
――――そして、遂に決行の時刻は訪れた。
ハウンドスクワッドは、ジェット率いる突入班と、万が一に備えて牢獄の子供達をクリサンセマムまで誘導する護衛班に分かれ、グラジオラスに再び侵入する。
そして、ジェット、ユウゴ、ジーク、クレアのチームは
「ごめんなさい、流石に神機まで持ち出すことは出来なかったわ」
「なぁに、
普通の武器で悪いが、護身用に持っときな。
使わせるつもりは無いけどな」
「まあ・・・・良いのかしら、頼り切ってしまって?」
「おう。
安心して道案内してくれよな」
「・・・・もう、調子いいんだから・・・・」
ユリハの案内に従い、ジェット達は
今回はあくまでも奇襲作戦であり、ローレライがあると
故に、警備の手薄な
「・・・・妙な
居住施設には見えんが・・・・」
その途上、ユウゴは辺りを見回しながらそう
というのも、その一帯は広大なホールや通路が
照明が落ちているのも相まって、今までとは段違いの
その上、
「って、うわっ!?
なんだこいつ!?」
いきなり大声を上げたジークの方を振り返るジェット。
すると、神機を構える彼は、暗闇の中に突如現れた、”巨大な怪物”と対峙していた。
「で、でかいオウガテイル・・・・の骨か?」
「いや・・・・こいつは、恐竜の化石ってやつだな」
「キョー、リュー?」
「初めて、見た・・・・。
本当に、アラガミみたいに大きいんだね」
おっかなびっくりなジークの一方、知識として知っているジェットとクレアは、感心してその
その横から、ユリハが微笑みながら補足する。
「此処は、元は”博物館”という場所だったらしいわ。
この地球の歴史を、様々な記録や資料を展示して伝える、という建物なのだそうよ」
「そいつは珍しいな。
こんな時でなければ、興味深いところだが・・・・」
ユウゴがそんな感想を呟いた途端、真っ暗な建物の中に、けたたましい警報が鳴り響いた。
更には真っ赤な非常灯があちこちに
<
ローレライの起動シークエンスと思われます!!
更に、中央施設内に、
「おいおい、意外に
なら、
グラジオラス内での直接衝突以外に、ドックのクリサンセマムの
<――――クリサンセマム・”メインフレーム”、グラジオラスへ接続開始!!>
エイミーの報告を受け、クリサンセマム機関エリア・メインCPUルームに詰めていたキースは、にわかに目を輝かせた。
「よーし、来た来たぁ!!
準備は万端・・・・今度は
言うや否や、目の前の
まさに、以前の
「・・・・メインドック、外部施設、牢獄エリアの
こっちは、大した事ない・・・・よほど
けど流石に・・・・メインエリアのセキュリティは・・・・良く出来てる。
・・・・警備装置まで
大きく見開いた
誰に言うでもない独り言は、フル回転させている脳から思考が漏れ出ている結果だった。
<ローレライへのエネルギー充填、速いです!!
このままじゃ・・・・っ>
「大丈夫!!!!
・・・・確かに防御力は大したもんだけど、
どんなに完成された物だろうと・・・・ずっと
気迫を込めて、
” Access Accepted ”と文字が表示され、キースは
<――――兄ちゃん、グラジオラスのメインシステムに侵入したよ!!
ローレライで追い払うのは、やらせない!!
この間に警備システムを突破して!!>
「っしゃぁっ!!!!
流石は俺の弟だぜ、キース!!!!」
「浮かれてるなよ、ジーク。
こっちもお出ましだぜ」
ユウゴの言う通り、
やがて現れたのは、ニウロフ・トレイズが操っていた大型ガードロボットの集団だった。
直立して地面を歩くだけでなく、4足状態で壁や天井を移動するものもおり、通路は完全に塞がれていた。
「っ・・・・
「牢獄側へ回られなきゃ十分だ。
元から
やるぜ、皆!!」
ジェットの
「行くぞ、クレア!!」
「はい!!」
まずはユウゴとクレアが
その間にキースとジェットの順に、疾風の勢いで突っ込む。
対して、ガードロボットは内蔵された銃器を展開し、弾幕を張ろうとする。
しかし、その鼻先へ
「ブーストォっ!!」
その
そして、そのまま駆け抜けて敵陣を
空中で神機を変形させ、背後へと叫んだ。
「頼むぜユウゴ、クレア!!」
ジェットは”スナイパー”銃身を連射し、射撃体勢に入ったロボットを優先的に牽制する。
その間に、オラクルエネルギーを打ち切った2人が近接戦に移行し、それぞれの巨大な
「うおぉっ!!」
気迫と共に
鋭利で
そして、其処へ続くクレアは、
ドリルのような
「てゃぁああああっ!!」
クレア本人よりも大きいかもしれない穂先を掲げ、怒涛の突進を放つ。
そのたおやかさとは
瞬く間に
「
押し込まれて固まったところへ、同じく”ショットガン”銃身の強力な
そして、それを自在に振るう”
「凄い・・・・。
これが、ジェットの・・・・いいえ、”ハウンドスクワッド”の戦い・・・・」
先に宣言した通り、ユリハが銃を使う暇も無い
ガードロボットも、この衝突で
ジェット達は速度を緩めること無く、
「エイミー!!
”研究エリア”に到着した!!」
<了解!!
ゲートロック・・・・突破!!
開きます!!>
そして、ジェットの通信に応じ、セキュリティゲートが重々しく開かれていく。
その先は、これまでよりも
「
・・・・・ユリハ、此処から先は分かるか?」
「いいえ・・・・この区画に侵入出来るのは、
「リカルドのデータでも、この先はカバーしていない。
慎重に行くぞ」
「・・・・っ!!??」
するとその時、ある
「どうしたっ?」
「ジ、ジェット、あれ・・・・!?」
動揺するクレアが指差す先、通路の片隅には、明らかな”人間の死体”が転がっていた。
「おい、よくドアップで見れるな、そんなの・・・・」
「・・・・白衣に、名札ということは、ここの研究者か。
完全に腐乱しているが、どうやら死因は
ドン引きするジークだが、ユウゴは冷静にその
その見立て通り、
そしてその
だが、研究エリア内部は、奇妙なほど手薄だった。
警備装置の
アラガミ相手ならともかく、生々しい”殺人”の痕跡を目の当たりにして、クレアやジークは顔を
「――――気付いてるか、ジェット?
この死体、どうも状態から見て、同じ
「・・・・どいつも、逃げ出そうとしたのを後ろから撃たれた。
・・・・ユリハ、グラジオラスに来た技術者の人数は?」
「・・・・15人、確か」
「ならば、この時点でもう半分以上が既に死んでいることになる。
・・・・しかも、この施設の
これだけの状態を維持するには、
やはり、グラジオラスには何らかの
「それだけじゃないぜ、ユウゴ。
此処を使ってる、あのトレイズとかいうのは、つまりこの死体を転がしたまま、長々と研究をしてたってことになる。
マトモな神経じゃ無ぇぜ」
「・・・・っぅ・・・・!!」
すると、後方を歩いて来ていたユリハが、何故か
「ゆ、ユリハさん?」
「・・・・道はこっち、みたいだわ」
「えっ?」
「・・・・ついて来て。
シャロンが、呼んでる・・・・」
――――ユリハは、道中の幾つかの分かれ道を、何故か迷うこと無く進んで行く。
ジェット達は、進んで行った先で、今までになく広大な
辺りには何らかの制御装置や、動力伝達用の巨大なケーブル、
「デカいな・・・・もしかして此処は、あのローレライの足元なのか?」
ユウゴの言う通り、鉄塔の装置は既に
そして光源の真下には、
「 シャロンっ !!!!」
「うぉっと、待ちなってユリハ!!
おい、ジェット!!
ジークは
すると確かに、
――――
真っ白い頭髪は、
おまけに、ヒクヒクと顔の
その男は脇目も振らず、薄汚れた白衣の下の、虫の
見るからに異常に興奮し、苛ついた様子で、盛んに独り言を口走っているようだった。
「ああっ・・・・くそ、くそ・・・・っ。
これだから、
なぜ、いつも私を
そうだ、貴様らはいつも、揃いも揃って・・・・っ。
私の
一向に制御装置から目を離そうとしないが、それでもユウゴは油断せず、神機を構えながら声を張り上げる。
「お前が、ニウロフ・トレイズ博士か?」
ところが、それに対する男の答えは、バンッ、と両手で激しく制御盤を叩くことだった。
「黙っていたまえよ。
こうして、貴様らの後始末をさせられている私が見えないのか?
それとも、貴様らは自らの
「なんだと、テメ――――っ」
「 貴様らがっ !!!!
システムに
私のローレライを、また苦しめるのか!!??」
「何を・・・・言っているの・・・・っ?」
その異様さに
「・・・・間違いないわ。
あの
「
そのまま、テメェのオモチャで遊んでな。
だが、シャロンは連れて行かせてもらう」
ジェットは、以前にも散々に
だがその瞬間、ユリハが鋭く声を上げる。
「危ないっ!!」
「なっ!?」
刹那、
間一髪、ジェットは降り注いできた
「ちぃっ!!
またガードロボットか!?」
「ち、
なにあれ・・・・!?」
そう言うクレアの目は、広間の奥から轟音を立てて歩み出る、巨大な機械を捉えていた。
今までのガードロボットを更に
頭のない
すると、なんと
「な、なんだありゃ!?
あいつ、機械と合体しちまったぞ!!??」
「しかも、そのまま来やがる!!
避けろ、皆!!」
< 潰れろ、
機械の身体の
ジェットの指示で全員が散開するが、しかしその動きを戦闘機械の全身に
「――――無限に
貴様らが
食事、睡眠、
・・・・ああ、やはりっ、
人間など消えろ!!!!
私のローレライこそが、人間の未来なのだからぁ!!!!」
狂気に
それらに狙いも何もあったものではなく、傍にいるシャロンや、この部屋ごと破壊しかねない。
「ほざくな、くそったれ!!
当たれぇ!!」
機関砲を振り切り、側面を取ったユウゴが
だが、強力な散弾射撃が戦闘機械を
「これ、
「はぁ!?
何をきっちり準備整えてやがんだっての!!??」
然り、装甲の強度だけでなく、
これが銃撃や、ユリハの
「トレイズ博士・・・・!!
どこまでも、シャロンを・・・・私達を
狂乱と敵意をばらまく
――――だが、ジェットは、こうして話も通じぬ
「
まして、アラガミと比べりゃただの
そもそも、壊せば
間合いを
瞬発力を解放し、戦闘機械の
狙いは
「
AGEとしての熟練の技で、装甲の奥の
薙刃形態の短くも肉厚な刀身が、
そして、それを
途端に戦闘機械の
「今だ、行けっ!!」
ユウゴの長剣が、右前腕の
ジェットとクレアの攻撃が、
そしてジークが、首元の操縦席の装甲を、
「う、ぐっぅああああ!!??」
「――――今だ、行くぞっ!!」
「喰らってやるぜ!!」
生じた装甲の
勝負は、そこで決していた。
「き、さま、らぁ・・・・っ!!??
AGE、
「
火花を吹き出す制御盤に突っ伏し、
それに対してジェットがそう吐き捨てた
何の用途かは知らないが、”ただの人間”であるならあんな物は不要な筈だった。
「博士、もう動かないで。
シャロンを返してもらうわ」
倒れ伏すトレイズへ、ユリハは今にも引き金を引きかねない剣幕で銃を突きつける。
むしろジェットには、よく冷静でいられていると思えるほどだ。
この男は、彼女達を
「裏切るつもりか、実験体!!!!」
「味方だったつもりはないわ!!
貴方だってそうなのでしょう!?
私達は
「ならば飼い犬らしく、従っていろ!!
貴様らのような
ローレライは、アラガミの大軍や灰域にすらも、確実かつ
それは今、この瞬間、貴様らのしがみついているこのグラジオラスが証明しているのだぞ!!??」
「威張ってるじゃねぇよ!!
俺らは知ってるんだぜ?
アンタのご自慢の
その時、問答をするユリハとトレイズに対し、ジークとユウゴが
「貴様っ!!!!」
「――――ローレライには、重大な欠陥がある。
その強力な効果を発揮させるには、薬剤などの”処置”で、被験者の
だが、それによって、ほぼ間違いなく深刻な障害を残してしまう為、継続的な使用は不可能。
何より、そういった
作戦前、アインから聞いたローレライの”正体”を語られ、トレイズは更に目を剥き、言葉を失うほどの激怒を浮かべる。
ところが、ややあってトレイズは、今度は低く笑い出し始める。
何が可笑しいというのか、やがてそれは大きな
「まさか、それが
他ならぬ貴様ら
「なんだと・・・・っ!?」
「AGE・・・・アラガミと同じく、死の灰の中を
人は、灰域に怯え
そして幾度も、それに
貴様ら
狂気そのものの興奮のまま、トレイズはジェット達を、”
まるで、これが
「・・・・ふざけんなよっ、テメェっ!!??
お前は、
無理矢理に
仲間を、家族を、理不尽に
「だが、私はっ!!
”私のローレライ”は違う!!!!
機械は裏切らぬ!!
技術は喪われぬ!!
ローレライは、
それでも、今のトレイズには、どんな激しい言葉も届くはずはなかった。
この男の狂った眼差しに
とっくに現実を見失った者へ
「ならば、貴様らはどうだ!?
己の
所詮、
古き
「何も見えてねぇんだよ、てめぇは」
その刹那。
急速にジェットが動き、薙刃形態を振りかぶっていた。
<ズガァンッ・・・・ッ!!>
渾身の力で叩き込んだ
自分本位に騒ぎ立てるトレイズも、その
身勝手さに
「
ああ、確かにこのクソッタレな世界じゃ、どいつもこいつもロクな死に方すらしないだろうさ。
だったら今、テメェがそうならず
そうして、
追い詰められた狂人の言い草に、付き合うつもりなど無かった。
そうであっても、黙っていられるはずがなかった。
今、この男が吐き捨てた
1人の”ヒト”としての
「俺から言わせりゃ、アラガミも、テメェら
その根性が、
「ジェット・・・・っ!?」
ジェットの怒れる背中を案じる、クレア。
それを分かっていながら、容赦なくトレイズの
今まで、ジェットはどんな怒り、どんな理不尽に遭っても、人間相手に危害を与えることは無かった。
無意識にあった
後ろで
あまりにも幼稚で、身勝手だった。
あまりに残酷で、無責任に過ぎた。
ならば、こいつらも”痛み”を知れば、変わるだろうか?
AGEとして、ジェットが生き抜いてきた
その中で
また、見届けてやる義理も無い。
ジェットの
だから、くどくどと説教を垂れてやるつもりはない。
ただ、この焼け爛れた世界で、それでも人が向き合わなければならない
「――――結局は、
生きる為には、奪い取る。
助ける為には、”
思い切り、
ぎへぃあ、のような、奇妙な悲鳴と共にトレイズは機械を背にして倒れ込み、悶絶した。
のたうち回り、大量の鼻血が
それでも、今までジェットが見てきた”痛み”の
「・・・・適当に、見張っとけば良い。
こいつを此処で殺そうが、転がしとこうが、大して差なんてないだろうさ」
そう言ってジェットは、突き立てた神機を引き抜き、ユリハの方を振り返った。
所詮は
「・・・・彼を、拘束しましょう。
この人は、自分の
だから、時間を掛けて、知らなければならない。
・・・・もう、何もかも遅すぎるのだとしても・・・・」
「ユリハ、さん・・・・っ」
されど直ぐにその意識は、装置に繋がれたシャロンの方へと向けられた。
「シャロン・・・・っ!!」
ローレライの
二度と目覚めぬ眠りにあるようなシャロンへ、必死に呼び掛け続けた。
その一方、ジェットはふと、巨大なローレライを見上げていた。
「ジェット」
その背中に話しかけてくるユウゴに、ジェットは
「ローレライの効果には随分と差がある、って気にしてたよな?」
「・・・・ああ。
だが、アインさんから聞いた、ローレライの
振り返って、ローレライの
つまりそれは、装置の
「
まだ
「そして、出会ったシャロンは、主に
トレイズと同じ、”大きな男”を。
・・・・答えは、案外に単純だったな」
追い詰められて、自分というものを失いかけて。
それでもシャロンは、敵か味方か、守るべき相手なのかを
「――――
だったら尚更、この
ジェットはそう呟き、ユリハに抱き上げられているシャロンの元へ歩み寄った。
すると、ぐったりとしていたその身体が、唐突に震える。
まるで迫ってくる脅威に抵抗しようとするように、赤く光る
<キィ・・・・ッゥウ・・・・ギ、グッ・・・・キ・・・・ィ!!>
「シャロンっ!?
ダメ、違うわっ・・・・この人は・・・・!!」
ジェットは神機を地面に突き立て、暴れるシャロンの両手を
そして、悪夢の中で
「寝ぼけてるんじゃねぇ。
目の前を見ろ。
お前の敵はなんだ?
お前が戦うのはなんだ?
・・・・いつまでもやられっぱなしで、大事な人を泣かせてんな」
途端に、シャロンは目の前にいるジェットを初めて目にしたかのようにして、もがくのを止めていた
その大きな両眼と、初めて真っ直ぐに視線を
「こちらハウンド1。
グラジオラスの中央施設を占拠し、ニウロフ・トレイズは拘束した」
<了解!!
直ちに、グラジオラス・メインフレームの掌握にかかります!!>
「ぐ、くっ・・・・おのれ、この状況の
・・・・よくも、知った風な、
「そいつはお互い様、ってな。
それに、戦いもせず見てるだけ、はテメェのお望みのご
だったら
振り返ることなく、冷厳に言い捨てるジェット。
そしてその時、通信機からイルダの声が全員へ届けられる。
<よくやってくれたわね、皆。
・・・・これでもう、後戻りは出来ない。
けれど、誰かに犠牲を
私達には、それが出来るはずだわ>
思えば、クリサンセマムの
だが、この過酷な作戦を大きく
彼女は、後ろに控えるしかない非戦闘員ではあるが、しかし確かに知っている。
誰かを守り、救いたいのなら、突き当たった困難と戦い、前に進み続けるしかないことを。
<――――改めて、全員に
我々の課題は、3つ。
自分達と、グラジオラスの人々を守り抜くこと。
ローレライという兵器と、それに
そして、外を包囲するアラガミの大軍を相手に、一人も欠けることなく、生き延びてみせること。
・・・・いよいよ、最後の
”ハウンドスレッド作戦”・・・・我々の総力を結集し、この窮地からの一点突破を
<<「「 了解っ !!!! 」」>>
クリサンセマムの全員の返事は、まるで結束と開戦の号砲のように、力強く上げられた。
>> To be Continued....
・Tips.9
「ニウロフ・トレイズ」
未承認のミナト・グラジオラスの
その完成の為ならば手段を選ぶこともなく、自身を人間の
優れた才覚の反面、人間として欠落している倫理観などは、
元は"フェンリル"の本部に所属し、若くしてローレライ計画をほぼ独力で立ち上げたものの、かつての”厄災”の
その後は
大勢のAGE達や、偶然に捕まえたシャロンを実験体に、ローレライの完成をもって”グレイプニル”への
その為の