異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する (旧題 : 金色の魔王(魔法の王)は微笑む)   作:2F29くん

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第112話 破綻した計画は意図せず復活する

 石造りの階段を降りるたび、空気は冷え、湿り気を帯びていく。壁には苔がこびりつき、どこからともなく水滴が滴る音が響いていたーーぽたり、ぽたりと規則正しく。

 

 

 なんで儂がこんな目に遭うんじゃ。あの公爵のガキを接待して気分を良くして、色々優遇してもらうつもりじゃったのに。まさかクビにされるとはのう。儂が築き上げたものが台無しじゃ。

 こうなったら"アイツ"を解放して国を交渉のテーブルに無理やり着かせてやる。少し暴れさせたらもう一度封印すれば良いだけじゃしな。

 

 年寄りは魔力のおかげで年に見合わず軽い足取りでさらに地下へ下っていく、アルカナ学園の運動場の地下深く怪物が封印されている場所へ。

 

 彼は数十分もの間、階段を降り続けていた。そして遂に封印されている場所までたどり着いた。ここは地下深くなのに異様に広い空間がある。そのど真ん中にクリスタルのようなものが浮いている。

 その前で彼はとある魔法を行使する。それは学園長のような特別な人間に国から伝えられる怪物の封印コードが刻まれている特異な魔法だ。

 

【解放《リリース》】

 

 そう唱えた途端、地下深くが大きく揺れる。そして、巨大な敵が姿を現した。

 

「儂はまだ舞える!」

 

 

 

 

 

 アルカナ学園が地獄に変わろうとしている最中、ヘルトは優雅にお茶を飲んでいた。その後ろ姿に詩乃が語りかける。

 

「お師匠様、なんだか嫌な予感がします。この国で何か大きな出来事でもあるんですか?」

 

 事件から少し時が経ち、予定がなかったので皆でだらだらしていた。 そんな平和な時間に詩乃が不穏なことを言う。その感覚を他の人も思っていたようで、空気に亀裂が入る。

 

「私もそれ感じてた。落ちつかないというか…」

 

 メアはいつものような元気はなくなっている。それだけ影響を受けているということだろう。成長を見られて嬉しく思う。

 

「ヘルト様も何か感じることがあるのではありませんか?」

 

 わざわざこちらまで来てからルナが俺に問いかけてくる。答えなんて決まっているのに。それでも聞かれたのだから答えない選択肢なんてない。

 さっきから俺の第六感が喚いてうるさいんだよ。

 

「もちろん俺も詩乃と同意見だよ。これは国の方に報告しないといけないクラスだから、ちょっと連絡するか。あっちにも動いてもらわないと手が足りなさそうだし」

 

 お茶を飲んでいるのは変わらないが思案げにしている。今でも彼の頭の中では様々なシナリオが描かれているのだろう。

 

 その言葉を受けて詩乃は急ぐように立ち上がる。

 

 

「お師匠様、場所を教えてください。私が赴いて全部潰してみせます。そうすれば問題は解決するので、後は国に任せればいいだけになります」

 

 いきなり弟子から脳筋な提案をされた。確かに詩乃ならば1人で全てを潰せるかもしれないが、その代償として地形が大きく変わる可能性がある。さすがに1人だけで行かせるわけにはいかない。

 

「今回はとりあえず皆で行くよ。人手はあるに越したことはなさそうだから。アルカナ学園の近くに転移するから準備してね」

 

 もうある程度察しがついているが厄介なことになったな。これは俺が解放しようとしていた怪物の封印が解かれてしまったようだ。アイツを制御できると思ったおバカさんがいるようで驚きだ。

 早く止めにいかないと手がつけられなくなるかもな。

 

「準備は出来た?」

 

 時間があまりないのですぐ聞いてしまったが、皆は頷いてくれた。よし、今度は封印なんて生易しい手段じゃなくて、完全に存在を消してやるか。ついでにおバカさんの顔も拝むとしますか。

 

「じゃあ転移しようか、レイドバトルの開始だよ!」

 

 意気揚々としたヘルトの声が城にこだまする。それに触発されてやる気が湧いてくる。こっちのモチベを上げるのがヘルトはなぜか上手い。

 こうなったらやってやるわよ!

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