え?生物兵器が主役?…専門外なんだが…   作:りんご味

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間に合った!
まだかろうじて6月!

ギリギリだけど、6月中に投稿するって約束は破ってません!多分!


じゅうごわ

 

 

「ぜぇっ、はぁっ、たぁ、助けてくれええええぇぇぇぇ!」

 

辺り一帯に悲鳴を響かせながらエイブリーはビルに向かって全速力で走っていた。

回収する予定だったリュックは持っていない。

直前でゾンビに気付かれ逃げ回る羽目になってしまったからだ。

そして、逃げているうちに、行きの間には目にもつかなかったゾンビ達がどこからともなく大量に表れたのだ。

 

エイブリーが大きな足音を響かせて逃げていたせいで、活動を停止していたゾンビ達を起こしてしまったのだ。

 

逃げることしか頭になく、息切れで呼吸が荒くなっているエイブリーはこの後のことなど考えもしていない。

自分が逃げ帰った後、ゾンビを引き連れて帰ってしまうとか、

籠城に成功しても、もう建物の傍がゾンビだらけになってしまうとか、

よしんばピンチを切り抜けられたとして、その後の居場所がなくなってしまうとか、

そういった後のことなど、彼は一切考えもしなかった。

ただただ自分の身の安全を!

今はもうそれだけしか頭にないエイブリーは、

ゾンビを撒いてビルに帰るといった行動すらせずに、まっすぐにビルに逃げ込むのだった。

 

 

 

 

「うっそだろ。なんだよあの数…」

 

思わず引き攣ったような声が出てしまうリシュ。

いや、声だけではなく、その顔もまるで苦虫を嚙み潰したかのような表情で頬を引きつらせている。

 

ゾンビ、ゾンビゾンビ!

 

夜道の向こう。

無数のゾンビが群れをなして押し寄せていた。

数十体どころじゃない。

百体近い。

まるで黒い津波のように蠢いている。

ストリートの端から端まで見渡す限りゾンビだらけ!

最早数えるのも馬鹿らしくなるほどの数。

 

 

そんなゾンビの群れを引き連れながらエイブリーは、

別の方向へ逃げてゾンビを撒く、とか、

前の作戦のように物を投げて気をそらす、とか、

そういった行動を一切取らずにまっすぐ自分たちの避難場所のビルに突っ走ってきてしまった!

 

 

「開けろ!早く開けろって!」

 

閉まったままのビルの扉に向かってがなり立てながら、エイブリーはまっすぐに突っ込んでくる。

ゾンビを引き連れているとはいえ、このまま手助けもせずに見殺しにするという選択肢は、この場にいる性根の優しい面子の中には存在しなかった。

 

ゾンビの視界の前に立つことに、恐怖と緊張感から嫌な汗を搔きながらも、リーシュ達は扉を開けてエイブリーを待った。

 

 

 

エイブリーが転がり込むようにビルへ入ってきた。

息を切らしながら笑う。

 

「はぁ……はぁ……危ねぇ!でも、さすが俺!逃げ切ったぜ!」

 

「エイブリー!お前どういうつもりだ!なんでこんなことを!」

 

「うるせぇ!早く助けに来いよ!この間抜け野郎共が!危うく死ぬところだったんだぞ!」

 

「なっ⁉ッぐ!このっ!~~~~~~っ!!」

 

全力疾走でビルの中に駆け込んできたエイブリー。

そんな彼に、焦ったマイルズが詰め寄る。

なぜこんな愚かなことをしたのか?と問い詰めるが、返ってきた返事は助けに来るのが遅いという罵倒。

まったくもって話にならない。

皆が寝ている間に勝手に拠点を抜け出したエイブリー、そして、その後ろには彼が引き連れて来てしまったゾンビの群れ。

どんな愚か者でも、謝罪から入るだろうこの場面で、まさかの罵倒。

 

さしもの温厚なマイルズも、

謝罪も無しのいきなりの罵倒に、呆れと怒りで言葉に詰まる。

 

「やめろマイルズ、時間の無駄だ!どうせ碌な考えなど無しに手柄のためとか言って突撃したに決まっている!馬鹿に何を言っても通じんものは通じん。今はそんな馬鹿の相手をしている場合じゃないだろう!」

 

そう、コナーの言う通り、

ゾンビ達は走りはしないから、走って逃げてきたエイブリーとは少し距離が離れていた。

このビルに到着するには、おおよそだが5分ほどはまだかかるだろう。

しかし、もうゾンビ達はエイブリーがこのビルに入るところをしっかりと見てしまっている。

現にエイブリーが見えなくなった今も、遮二無二といった悍ましい様子でこちらのビルを目指している。

 

獲物(リシュ達)を喰うために、このビルに殺到するのは時間の問題なのだ。

 

「今はとにかく!正面玄関をバリケードで塞ぐぞ!全員上の階から椅子や机を運んできてくれ!」

 

「なんでこの僕がそんなこと!」

 

「っつ!黙ってろエイブリー!お前はもう引っ込んでろ!」

 

この期に及んでもそんなことを宣うエイブリーに、遂に温厚だったマイルズまでもが怒鳴りつける。

堪忍袋の緒が切れたようだ。

 

「全員、まずは動こう!!」

 

「机集めるわ!」

 

「もう一回入口塞いでみる!」

 

「3階に鉄パイプがあったから持ってくるわ!」

 

「窓も補強しないと、これは見えないように隠してるだけだから割られちゃうよ!」

 

他のメンバーたちは、そんな光景を後目に慌てて動き始める。

眠気や疲労感など疾うに吹き飛んでいた。

 

ビルの正面入口へ机や棚が運ばれる。

PC用のケーブル類を無理やり縛ってつなぎ合わせロープ替わりにする。

遂には書類の束まで引っ張り出されてバリケードに積み上げていく。

 

誰もが必死だった。

エイブリーを除く、全員が感じていた。

自分たちの死の予感を。

 

 

 

 

 

 

一方でマイルズとコナーに「すっこんでろ!」と通路の脇に押しやられたエイブリーは、本当に今の状況をさっぱりと理解していなかった。

なぜ自分がこんなにも理不尽な怒りをぶつけられているのか。

マイルズとコナーだけでなく、女たちも自分に恨みの籠ったような眼を向けてくる。

何故そんな態度を取る?

彼は自分以外のメンバーが自分をどう思っているのか、心の底から分かっていなかった。

 

「取り逃した食料(アイテム)を探しに行っただけなんだぞ?」

 

「結果を見ろ!お前は僅かな食料の代わりに、この場の全員の命を危険に晒しているんだ!」

 

「何言ってんだ?このビルは俺が苦労してバリケードを作ったんだぞ(拠点化したんだぞ)?ゾンビなんかに突破できるわけないだろ?」

 

「あの数のゾンビだぞ⁉今みんなが必死にバリケードを作ってるのを見てまだそんな態度が取れるのか!」

 

マイルズは2階の会議室の机や椅子を、リレー運搬の要領で取りに来るリーシュやコナーに渡しながら、廊下の隅で腰を下ろしてサボっているエイブリーに怒鳴りつける。

話すのも忌々しいと思いながらも、エイブリーに反省を促す。

 

「はぁ~、お前ら何もわかってないなぁ。食料が足りなかっただろ?」

 

「だからって一人で行ってどうにかなるわけないだろう!」

 

「はん!無能なくせに、毎回俺の意見を却下しやがって!そうやって毎回俺の意見を却下するから話す価値が無いと思ったんだよ!

それに今回のはたまたま上手くいかなかっただけさ!次の挑戦で楽勝だね!」

 

説得を続けていたマイルズの顔が引きつる。

せめて一言皆に謝罪を。

そう思っての説得だった。

既に彼を見る他のメンバーの視線はもはやアラスカの冬よりも冷え切ったようなものと化している。

もしも、この危機を乗り越えられたとして、その後のエイブリーに対する他のメンバーの感情は...

それは、もはや火を見るより明らかだろう。

しかも、彼は懲りずにまた外に行くつもりのようである

 

「俺が動かなかったら、この状況は解決しないんだよ」

 

「お前が勝手に動いたせいで、今どうなってると思ってんだ!!」

 

「いや、それはゾンビが多かったせいだろ。俺のせいじゃないね!」

 

マイルズはもはや聞きたくもないといった様子で頭を振った。

 

 

 

 

 

 

 

ビルの中でリシュ達が必死にバリケードを強化しているその時、

ビルの外。暗闇の中からヌルリと、

遂にゾンビの群れはリシュ達の避難しているビルへ到達した。

 

ドン!

 

ドン!

 

ドン!

 

入口に積み上げられた即席のバリケードが軋む、揺れる。

女性陣の誰かの悲鳴が上がる。

恐怖に苛まれながらも誰もが作業を続ける。

机を積む。棚を押し込む。紙束を段ボールに入れて積み上げる。ケーブルで作ったロープで固定する。

揺れるバリケードを拡張し続ける。

 

必死だった。

だがエイブリーだけは違った。この期に及んでも...

 

「なんか大げさじゃない?」

 

は?

 

 

必死にバリケードを強化している最中のローレンがリシュが聞いたこともないような低い声を出す。

 

エイブリーは肩をすくめて口を開く。

 

「逃げ切れたんだからよ。もう休もうぜ」

 

「これのどこが逃げ切れたっていうのよ!」

 

「いや、俺は帰ってきたんだから、さっさと上で寝ようぜ」

 

「――っ‼こんっの何も理解しようとしない馬鹿エイブリー!死にたいんだったら一人で死になさい!」

 

そう言ってローレンがダッと駆け出して、右腕を大きく振りかぶった!

パシーンと大きな音が鳴り、突然の衝撃にまったく無警戒だったエイブリーが後ろに2、3歩ヨロヨロと後ずさる。

 

「…な、何すんだよ‼」

 

「ゾンビが来てるのよ⁉あんたも逃げる最中に喰われている人達を見たでしょう⁉今度は私たちが喰われるかもしれないのよ⁉なんでそんなに呑気にしていられるのよ⁉」

 

ローレンはエイブリーに少しだけ期待していたのだ。

避難したばかりのとき、不安にかられて落ち込んでいた自分を慰めようとしてくれたし、なんだかんだ言いつつも食料調達の作戦を考えたりしていてくれたからだ。

時間が経つにつれて、徐々に攻撃的な性格に豹変していく彼に恐怖を覚え、近づけなくなっていたが、それでもこの局面を一緒に乗り越える仲間になっていけると信じていたのだ。

 

なのに、

 

「いつまで気の抜けたこと言ってんのよ‼私たち今死にかけてるってまだ分からないの⁉」

 

裏切られた期待が心に小さな穴を開けた。そしてそこに怒りや嫌悪の感情が雪崩れ込むのを感じる。

メンバーの中で一番温厚なローレンでさえエイブリーに対して怒りを隠せなくなってきていた。

 

 

 

 

 

外ではゾンビが建物を叩き続けている。

中ではエイブリー以外の避難民たちが必死にバリケードの補強を続けている。

その中でエイブリーだけが他のメンバーたちの中に入れずにいる。もう入っていけるような空気でもなくなっている。

 

「なんで俺ばっか責められるんだよ……」

 

返事は誰からも返らない。

それどころではないし、エイブリーに時間をかけている場合でもないから。

しかし、エイブリーはそんな事情など察しようとせず、ただただ無視されたと感じた。

 

仲間を危険に晒した?別にゾンビの囮に使ったわけでもないのに?

確かに今はゾンビに囲まれている、だが、それが何だというのだ?

自分は逃げ帰ってこれたんだから、それで終わりだろ?

大袈裟にバリケードの強化なんかしやがって...

僕が作ったバリケードがあんなゾンビごときに壊せる訳が無いのに...

 

どうして皆理解してくれないんだ?狂ってるのか?まともなのは僕だけか?

 

 

 

 

 

 

 

 

集団行動において自分の行動の結果を理解できない人間は、

悪人より厄介なことがある。

 

その証拠に今、

全員が命がけでバリケードを積み上げている横で、

エイブリーだけが被害者みたいな顔をして、マイルズ達を睨んでいる。

 

「エイブリー!そこに居ると邪魔だ‼上に引っ込んでろ‼」

 

「うるさい‼僕に話しかけるな‼どうせ僕の活躍が気に入らないだけの妨害キャラのくせして‼」

 

通路のど真ん中で喧嘩腰でマイルズに言い返す。

両手をバタバタと振り回しながらその場を梃子でも動かないと言わんばかりに陣取る。

まさしく味方の足を引っ張る行為そのもの

 

無能な味方は、有能な敵より質が悪いのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間あるいは数分が経過しただろうか?それともまだ数秒しか経っていないのか?

あまりの緊張感と作業の疲労でリシュは時間の感覚が曖昧になっていた。

重い物を必死に運び続けていたせいで、腕の力も徐々に抜けて来て力が入りにくくなってきた。

それでも今手を抜けば、その付金は自分たちの命で払うことになってしまうと思えば、休もうなどという考えは欠片も浮かんでこない。

 

リシュ以外のメンバーも必死にバリケードを組んでいる。

ローレンは一緒に机を運んでいる。

母さんとクロエは棚を押して運んでいる。

マイルズは割られた窓を板で塞いでいる。

コナーは資料らしき紙がパンパンに詰まった段ボール箱を運んでいる。

全員がバリケードを破られまいと必死に努力していた。

 

しかし…遂に限界の時はやってきてしまう。

 

 

ドン!

 

ガン!

 

ガリガリガリ――

 

ゾンビたちが建物を引っ掻いている音の中に木の割れるような音が混じりだす。

 

ガチン!ガチン!

 

バキ!ガシャーン!

 

硬質な物を噛んだような音とガラスが割れて落ちる音も混じりだす。

 

 

 

音と振動の発生源がだんだんとバリケードの中を突き進み、こちらへと近づいてきてしまっている。

バリケードが突破される!そう判断したコナーはマイルズに相談する余裕が無いことを瞬時に悟り、声を張り上げた!

 

「っ!やばい!もうバリケードはいい!みんな上に逃げろ!」

 

咄嗟にコナーがそう叫んだ瞬間、リシュとローレンが立てかけて固定していた木の板を突き破って血と生傷でボロボロの右腕が飛び出してきた!

 

「きゃあああああ!」

 

突如目の前に現れた脅威にローレンの悲鳴が上がる中、リシュも全身の震えとゆっくりと顔が青ざめていくのを感じていた。

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エイブリーは壁にもたれながら苛立ちで荒くなった息を整えていた。

 

「まったくさぁ」

 

誰も聞いていないのに話し始める。

 

「みんな騒ぎすぎなんだって」

 

返事はない。

全員一階で作業中だ。

 

「確かにゾンビの数は多かったけどさ」

 

ガン!

建物が揺れたような大きな音が2階にも響く。誰かが悲鳴を上げるが、そんなことをエイブリーは気にも留めない。

 

「どうせそのうち散るだろ?あのバリケードは僕が作ったんだからゾンビに突破は無理だって」

 

本当に全員大袈裟に反応しやがって、と内心で苛立ちながらエイブリーは立ち上がった。

バリケード作りを手伝いに行こうとしているわけではない、少し時間も経ったことだしあいつらも反省しただろうと、

エイブリーはローレン達からの敵意にも気付かず呑気に一階に続く階段に足を向ける。

 

階段を下りながらメンバーを見てみれば、まだ大袈裟にバリケードの補強なんかしている。

そんなにも危険アピールがしたいのか?

はいはい

わかったわかった

僕が大人になってやろう。まったく、これだからビビりな奴らh「ガチャァァン‼」

 

「…え⁉」

 

エイブリーの視線の先には、バリケードを突き破って現れたゾンビの右腕があった。

遮二無二と空を掻くその姿を、呆然と眺める。

ミシリ!と空いた穴を起点としてバリケードに罅が入る。

 

…嘘だろ?

そんな筈は、

 

エイブリーの思考がゆっくりと現実から逃避を始めようとした次の瞬間、

 

轟!とまるで爆発したかのような音と共に、バリケードの木材がはじけ飛ぶ!

ピッと木材の破片がエイブリーの頬を切り僅かに傷を作る。

鋭い痛みに思わず右手で頬を抑える。

痛みのおかげで、ゆっくりになっていた思考が急速に回り始める。

手を見てみればそこには出血のせいで赤く染まっている。

そして、木片が飛んできた方向に目を向ければ…

 

舞う埃と木片の雨がおさまった時、そこにいた大量のゾンビと目が合った。

 

「う、うわああああああああああああ⁉」




はい、読了お疲れ様です。
内容全然進んでないじゃん、と思われているそこのあなた正解です。
リアルが忙しかったのと、執筆活動のスランプ?みたいなのでイマイチ筆が乗りませんでした。ごめんなさい!

それはそうと、久しぶりに本作のUA見たらなんか前見た時より比べ物にならないくらい上がってました、お気に入りもすっごい増えてるし、誰か紹介してくれたりしたのかな?
それかもしかしてランキングに載ったりしたのか?とも思いましたが、更新もしてないタイミングにUA増えてるので謎は深まる一方です。誰か知ってる方いたら教えてください。

あと、ベロニカリメイク来ましたね!
作者はベロニカ結構好きなのでマジでうれしいです。バイオのストーリー的にもかなり大事な部分ですしね。
ベロニカとアンブレラクロニクルズのアンブレラ崩壊のくだりはナンバリングになってないのおかしいだろ!とずっと思ってたので、ベロニカリメイク今から楽しみです!
やったことない方は発売したら是非買いましょう!



感想&評価お待ちしてます!
次回の更新は少し早くできると思います。多分...
では、また次回~
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