エーテル・レコード ーかつての少年兵が英雄と呼ばれるまでー   作:蒼色ノ狐

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第108話 滅びし国

「クソッ! 何の手ごたえも無い!」

 

 突如現れたビーストに対し、ユーリたち連邦軍は苦戦を強いられていた。

 エーテルを使用した兵器は無効化され、実弾や実体剣でも大きな損傷を与えられない。

 加えてビーストたちの攻撃は全力で防がないとMTがもたない程に強力という反則ぶり。

 今も犬のような姿をしたビーストが生えている砲身からエネルギーを撃ちだし、防いだ機体のシールドが溶けてしまった。

 

【ユーリ。このままでは危険です。一度撤退した方が】

「出来たらそうしてる! だが白兵部隊の撤収が終わってない!」

 

 状況が不利だと感じ取ったのはユーリだけでなく、艦長であるエリカも同じらしい。

 少し前から白兵部隊の撤収作業が行われているが、相当な人数が送られていた為に時間が掛かっている。

 完了するまでは持ち堪えなければならないと言うのがユーリの考えであった。

 

「せめて有効打が打ち込めれば……!」

 

 愚痴りながらも実体剣であるシラヌイを構えビーストに切りかかるユーリ。

 だが当たるものの、やはり切り裂く事は出来ず引き付けるのがやっと。

 

(だがコレでいい。無事に撤収できればコッチの勝ちだ)

 

 牙をむき出しに向かってくる犬型のビーストに対し、応戦の構えを取るジークフリート。

 

 ―だが

 

【ユーリ! 後方!】

「!?」

 

 アイギスの声と共に鳴り響くアラートに気付き後方を確認すれば、先ほどまで何も無かった空間に新たな穴がポッカリと現れていた。

 しかも何かしらの力が働いているようで、ジリジリと引き込まれているようであった。

 

「まずい!」

 

 このままでは穴に入ってしまうと察したユーリは、すぐさま離脱を図る。

 しかし動きを理解したように、ビーストは加速しジークフリートに体当たりをしてきた。

 そうなれば穴に諸共落ちる結果となるのは、誰でも分かるだろう。

 

「っ! アイギス! 機体の制御を!」

【了解】

 

 まるで幾何学模様が重なり合ったような風景が流れていく中、アイギスにジークフリートの計器の調整を頼むと、ユーリはしがみつくビーストをライフルで殴りつけ引き離す。

 離れたビーストは吸い込まれるように離れていくと、そのまま姿を見せる事は無かった。

 

【そろそろ出口のようです。ユーリ、衝撃に備えてください】

 

 アイギスの忠告通りに衝撃に耐える準備をするユーリ。

 しばらくすると幾何学模様は消え、一面の荒野を見渡せる空中に放り出されていた。

 

「状況は?」

【各駆動系に問題なし。現在地は検索中です】

「頼む。……それにしても、ここは」

 

 一面荒野なのは目新しい事ではない。

 ユーリが問題視していたのは、鳴り響き続ける雷鳴と黒い雲であった。

 それも珍しい事では無いだろうに、見てるだけで心を不安にさせる何かがある気がした。

 

【……ユーリ】

「どうした」

【場所の検索結果が出ましたが……やり直しても】

「時間が惜しい。やり直してもいいが、報告はしてくれ」

【……地図上によれば、今いる場所はエデン首都エリン上空】

「……何?」

【つまり現状だけ見れば。エデンは既に滅んでいます】

 

 アイギスが口にした事実に、ユーリは呆然と聞く他に無かった。




今回は結構ギリギリとなってしまいました
この時期になると体調が不安定で仕方ありません
言い訳はともかく、風雲急を告げる展開ですが、皆さまいかがでしょうか?
これからも期待して見て頂けると、有り難いです
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