エーテル・レコード ーかつての少年兵が英雄と呼ばれるまでー   作:蒼色ノ狐

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第109話 告げられた時代

【様々なデータを参照しましたが、間違いなくエリン上空である事は疑いようがありません】

「そうは言ってもなアイギス。信じろと言われても無理があるだろう」

 

 アイギスが導き出した結論にユーリは渋い顔をしながら異議を唱える。

 何せエデン程の巨大国家が瞬く間に壊滅など、ジークフリートのカメラ越しとは言え見ても信じられる訳もなかった。

 

「……下に降りて詳しい調査をするべきか?」

【異常である事は確かです。何が起きてもおかしくないですが、その方が良いかも知れません】

「よし。なら早速……!!」

 

 ジークフリートを降下させようとした矢先にユーリに目に飛び込んできたのは犬型のビースト、それも四匹であった。

 レーダーに引っ掛からないため、発見するのが遅くなる。

 ユーリが瞬時に回避行動を取らなければ、ビーストが発射したエネルギー弾によって撃ち落とされていたかも知れない。

 

【ユーリ】

「チッ! 掠ったか!」

 

 だが完全に回避する事は叶わず、腕の白く塗装された装甲が吹き飛ぶ。

 すぐさま反撃のためライフルを構えエーテルを撃ち出すが、やはり先程と同じように何らかに掻き消されてしまう。

 

「やっぱりか」

【ユーリ。ここは逃げるのが手かと】

「だな。こんな訳の分からない状況で死ぬのはごめんだ」

 

 アイギスの意見に賛成したユーリは荒れ地に向かってライフルを撃ち土煙を目くらましに使うと、ビーストから背を向け逃走を図る。

 幸い作戦は上手くいったようで、ある程度距離を取る事ができた。

 

「どうにか逃げられたか」

【その様です。ですが、あの生物と思われしモノは何なのでしょう?】

「今それを考えても仕方ない。取り敢えず休憩できる場所を探さないと」

【地図上であれば、直線上に旧テルモ基地があるはずです】

 

 一先ずの目的地を定め、ジークフリートを直進させるユーリ。

 その途中で何度も景色を確認してみたが、やはり一面荒野なのは変わらず、天候も荒れ果てたまま。

 どこまで行っても同じなのではないかという不安が募る中、ユーリはアイギスに確認を取る。

 

「アイギス。通信はどうなっている?」

【エデンに登録されている方法は勿論、モールス信号まで試しましたが応答がありません】

「そうか」

 

 想像してなかった訳では無いが、それでも気落ちする。

 ユーリの脳裏では既に、自分一人でどれだけ生きていけるかを算段していた。

 だが不幸というものは重なるもので、ジークフリートのカメラが現状で一番最悪なモノを捉えた。

 

【ユーリ。鳥型のビーストが三体、向かってきてます】

「……避けるルートは?」

【エーテルの残量から考えれば、遠回りは避けるべき。加えて変えても出会う可能性も否定できません】

「つまり突っ切るしか無いって訳か」

【……はい】

 

 長い沈黙の後に、アイギスは肯定した。

 それも当然で、ジークフリートの主な武装はエーテルを使用している。

 ビーストはエーテルを無効化するのだから、攻撃手段は封じられていると言っていい。

 その状況で突破すると言うのは、如何にユーリが凄腕だろうと無理があった。

 

「心配するなアイギス。運が良ければ五体満足で生き残れるさ」

【……ええ。期待していますユーリ】

 

 ユーリの強がりか冗談か不明な発言に対し、アイギスはそう答える他に無かった。

 

「ふぅ。よし、じゃあ行くか!」

 

 大きく息を吐くと、ユーリはジークフリートのスラスターを全開にして突撃を開始。

 

 ―するはずであった

 

 二本の黒く輝く閃光が、二匹のビーストを貫き地に墜とす光景を見るまでは。

 

「なっ!」

 

 目の前の光景が信じられず、目を見張るユーリ。

 だが更に驚くべき情報が、アイギスからもたらされた。

 

【ユーリ! エデンの所属コードを持ったMT二機が向かって来てます!】

 

 カメラを最大にして見てみれば、確かに灰色のMTが並んで向かっている。

 残るビーストは危機を察してか逃げ出したが、どうやらMTの方は追いかける事はせずにこちらと合流するようだ。

 ユーリの方からも近づくと、灰色のMTは敬礼をして迎え入れた。

 

「ご無事ですか? ユーリ・アカバ中佐」

「助けてくれて助かった。色々聞きたい事はあるが、まずここはどこだ? 本当にエデン領内なのか?」

「エデン領内なのは間違いありません。かつては、が付きますが」

「……どういう意味だ」

「単刀直入に言いますと、ここは中佐が戦っていた時間より六十年ほど進んだ世界となります」

「【……】」

 

 問いかけに対しての返答に、アイギスすら言葉を失う。

 MTのパイロットは大まじめに、驚愕するユーリに対しこう付け加えるのであった。

 

「ようこそアカバ中佐。この全てが終わった世界へ」

 

 ―新西暦百二十二年

 それは人類滅亡が目に見える、終末の時代であった




告げられた真実!
果たしてユーリの行く末や如何に!
どうか期待して続きをお待ちください!
(GWに休みが取れないーー!!)
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