エーテル・レコード ーかつての少年兵が英雄と呼ばれるまでー   作:蒼色ノ狐

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第124話 引き継ぐ者たち

「機密……ねぇ」

 

 アイシャへと渡す予定である端末を弄りながら、ユーリは先程のエリカとの会話を思い出す。

 権限で言えばエリカより特務大佐であるユーリの方が上であり、本来機密など意味がない。

 それなのにわざわざエリカが機密と言うと事は、アイシャが個人的に知られたくない情報であるとユーリも気づいていた。

 

「はぁ、全く。めんどくさい立場になったもんだ」

 

 と口では文句を言いつつも、顔には僅かに笑みが乗っているユーリ。

 実際様々な雑事を引き受けてくれているエリカに、彼は感謝しているだ。

 だからこそ文句の一言も無く動いているのだが、広いユキカゼの艦内をただ歩くのは暇なのであった。

 

「……ん?」

 

 だからこそ反対側から来た三人組を見つけた時、ユーリはタイミングの良さに笑ってしまう。

 近づいていく中、向こうもユーリに気付いたようで緊張の面持ちで敬礼をする。

 

「アカバ特務。何か御用ですか?」

 

 まず口を開いたのは高身長の真面目そうな優男。

 その肩ぐるしい態度に苦笑しつつ、ユーリは気さくに話しかけていく。

 

「いや。ただお前らの隊長を探しててな。どこに居るか知らないか?」

「ああ隊長なら第三格納庫にいるっすよ」

 

 質問に答えたのは、金髪を軍の中では珍しいリーゼントに纏めた一見不良に見える男。

 顔立ちも厳つく、初めて見た大概の人間はビビってしまうほど。

 

「特務がこんな近くに。……ああ、過呼吸になりそう」

 

 ブツブツと小声で呟いているのは、紫色の髪で前髪を隠した小柄な少女。

 実際は十八を超えているらしいが、童顔も合わさって分かりづらい。

 三人組はそれぞれジョン、ハヤト、ミンメイ。

 現在のアイシャの部下であり、引き継いだデュラハン隊のメンバーでもあった。

 

「ハヤト。君はもう少し上官を敬った方がいい。失礼じゃないか」

「何だと七三野郎。特務が前に砕けた態度でいいって言ってたじゃねか。従わなぇ方が失礼なんじゃねぇのか。あぁ?」

「何だって」

「何だよ」

「はぁはぁ。やばい、近くにいるだけで妊娠しそう」

(やっぱり……キャラ濃いよな。こいつら)

 

 喧嘩寸前なジョンとハヤトの二人に、かなり危ない発言をするミンメイ。

 個性的な三人をよく纏めているものだと、ユーリは改めてアイシャに対する評価を上げる。

 だが何時までもこうして眺める訳にもいかず、軽く釘だけ刺して立ち去る事に。

 

「今は喧嘩するのも良いが、戦闘中にはするなよ」

「はっ」

「……了解っす」

 

 渋々ながらも受け入れた二人の横を抜け、第三格納庫へと向かうユーリ。

 後方から再び聞こえる喧嘩声や聞き取れない呟きを想像して、思わず笑みを浮かべ言葉を漏らすのであった。

 

「全く。デュラハン隊の未来は明るいな」




今回は新たなパイロット達を紹介です!
物語は停滞気味ですが、どうか首を長くして展開をお待ちください。
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